2018年3月1日 11:00
日本マイクロソフトが展開するリアルタイムストラテジー(以下、RTS)「Age of Empires」シリーズといえば、1997年にその1作目がリリースされた古くからの歴史を持つタイトルだ。今回紹介する「Age of Empires: Definitive Edition」はその元祖「Age of Empires」をベースに、グラフィックスを更に綿密に作り直して4K解像度での描写に対応するなど改良を施した製品となる。
RTSでは、ターン制のシミュレーションゲームとは異なり、その名の通り、リアルタイムでゲーム内の時間が進む。常に全てのプレーヤーが常時操作を行ない、与えたコマンドのリアクションも即座に反映されるため、次々とコマンドを入れていくスピーディーなゲームスタイルが特徴だ。アクション要素が強めながら、それでいて迅速に判断が迫られる戦略性も高いため、競技性の強いタイトルといえる。
実際に、筆者が本シリーズに出会ったのは2002年頃、当時の新作「Age of Empires II: Age of Kings」のLAN接続によるマルチプレイが初めての体験だった。当時勤めていた会社では、昼休みになるとマルチプレイで対戦するのが日課となっており、そこに加わったというわけだ。RTS初体験の筆者だったが、当時の仲間から色々やり方を教わり、少しずつ鍛えられていき、チームの戦力の一部になっていったのは、非常に心地よい体験だった事を思い出す。
それ以降は本シリーズ含め、RTSに触れる事なくすごしてきたため、本作が久しぶりのRTSだ。今回は本作をプレイすることで、当時のプレイスタイルを思い出して楽しんでいけるか、見ていきたい。他にもRTS未経験の人や「Age of Empires」シリーズを引退してブランクのある人が再び楽しむやり方についても紹介していきたい。
キャンペーンは歴史の勉強? 日本語ナレーションでストーリーもバッチリ
本作の改良の最大のポイントは、グラフィックスと音声だ。特にグラフィックスについては4Kディスプレイ表示にも耐えうる緻密な書き込みが特徴、とのことだが、正直最初に見た時は特別美麗に感じることはなかった。ところが昔の「Age of Empires II: Age of Kings」の記事のスクリーンショットと比較してみてビックリした。
正直、普通に「Age of Empires: Definitive Edition」をプレイしていると全く自然な感じだったので、気が付かなかったのだが、こうして改めて見比べてみると、そのきめ細やかさには驚くばかりだ。操作感そのものは当時とあまり変わらない感触だが、ズームを等倍に変更することで、かなり引いた画角になるので、きめ細やかさが際立つし、より広範囲を一望できるようになるので、かなりプレイがしやすくなっている印象を受けた。
ちなみに後述の「カスタムゲーム」にはゲームモードという設定があり、デフォルトは「Definitive Edition」になっているのだが、これを「クラシックモード」に変更することで、なんと1997年当時のグラフィックスで遊ぶこともできる。試しにこちらの設定でも遊んでみたが、こちらが思っていた以上に簡素な書き込みだった事にも改めて気が付かされた。当時はこれでもかなり書き込んでいるように見えていたのは、ディスプレイの解像度が低かったからかもしれない。
さて、そんなグラフィックスの違いに驚きつつ、プレイを開始してみたが、今回は久々のプレイだったので、まずはローカルで遊べる「キャンペーン」をプレイしてみることにした。キャンペーンは、古代エジプトの時代から古代ローマの時代くらいまでの歴史を網羅する形でステージが作られているシングル専用のモードで、ほぼ史実に基づいたストーリー展開が楽しめる。古代エジプトの時代のみチュートリアルとして設定されているが、キャンペーンでは、ステージ毎に目的が設定されており、それぞれの目的を到達すればクリアとなる。
例えば、最初にプレイしたチュートリアルのエジプト時代では、「人口を7人にしろ」などちょっとルールがわかっていればすぐにクリアできるような簡単なものが続くが、段々と難しい内容に変わっていき、段階的に「Age of Empires」の全ての機能が使えるようになっている。
キャンペーンの各ステージ開始前には、キャンペーン目標の一部を当時の支配者のような口調のナレーションで説明してくれるが、これらを全て日本語で語ってくれるのでストーリーの展開などがわかりやすく理解できる。その他にも、実際の歴史の背景についての解説のテキストも用意されていて、古代世界史の勉強にもなる。
基本的に「Age of Empires」でプレーヤーが行なうことは、施設をクリックして、施設上で作成可能な物を生産したり、町の人々に指示を出して、木材を集めさせたり、食料を集めさせたり、家や施設を建てるなどして、更に領土を広げていくことだ。また、後半になってくると、戦士育成所を建てて、他のプレーヤーを征服したり、他のプレーヤーから拠点を防衛するための戦闘用の兵士を生み出して運用していく。
本作では指示を出された町の人たちが指示通りに動作する。筆者が好きなのは、この人たちの動きだ。木を切ったり、家を建てるときのアニメーションが、見ていてとても気持ちいい。描写される姿は非常に小さいが、とてもリアルな体の動きを感じさせ、まるでミニチュアの世界をのぞいているかのような雰囲気で、和むのだ。
指示で注意したいのは町人の行動には引き続き継続していくものと、次の指示を待つ状態になってしまうものがあることだ。例えば、木を切って木材を集めるという指示は1度出してやると、1本の木を伐り終えた後は、周囲の木々をどんどん切っていくため、その都度指示をする必要がない。その反面、家を建築するように指示した場合は、1軒の家を建て終えたら、次々と家を建てるわけではなく、そこで動きがストップし、次の指示を待つ状態で待機する。町人が指示待ちになっていないかをチェックするのは非常に大事だ。
そして各勢力を特徴付けるのが、「文明」と「進化」システムだ。「文明」は当時の各国独自の文明が選択できるようになっており、「エジプト」や「ギリシャ」などのほか、アジア方面でも「大和」や「朝鮮」が選択できる。当然ここでの選択は実際のゲーム内の見栄えに大きく影響する。
「進化」はこのコマンドを実行することで、建造可能な建物が増えたり、武器の性能が向上したりと文字通りの文明の進化だ。進化の実行には、町の人を生み出せる「町の中心」で、一定の条件を満たす必要がある。チュートリアルではこういったルールや国の特徴を学んでいける。
チュートリアルのキャンペーン序盤で筆者が悩んでしまったのが、「旧跡」というステージ。このステージでは、エリア内にある旧跡5ヵ所を制圧するのが目的となる。旧跡自体の制圧はそこに行くだけで済むのであまり難しくないのだが、これまでのチュートリアルでは自分の町の人しかいなかった世界に、このステージから敵が登場するようになる。しかもいきなり馬に乗って強そうな斥候が登場し、そのままにしていると、この斥候の攻撃であっさり全滅させられてしまうのだ。正直最初のうちは唖然としてしまった。これに対抗する手段として、チュートリアルでは、複数の町の人を作成して守れ、とアドバイスされていた。
ところが、たくさん町の人を作っても仕事を割り当てたりしていると、各個撃破されてしまうため、全く歯が立たない。そこでこちらが取った作戦は、ある程度の人数を作成出来たら、それらを集めて全員一斉に殴りかかるというものだ。1対1では明らかにこちらが不利だが、まとめてかかれば犠牲は最小限で済む。この作戦で見事に敵の斥候を撃破することができて、ステージも無事クリアできた。本作では単体同士で勝てない相手でも多人数で挑めばどうにかなる事が多いので覚えておいて損はないだろう。
チュートリアルのキャンペーンは目的がはっきりしているので、そこに向けて何をすればいいかを考えつつ、人を増やしたり、施設を建造すればいいため、ゲームが進めやすい。初心者の人はまずはこれを一通りプレイして、RTSの感覚を覚えていくのがいいだろう。
シングルモードのカスタムゲームでNPC相手にRTSの神髄を学べ!
キャンペーンを一通り遊んだところで、続いては、ある意味で本作のメインコンテンツとも言える、他プレーヤーとの対戦、マルチプレイを……といきたいところだが、ここはもう1クッションおいて、コンピュータ相手に1人でマルチプレイを遊べるカスタムゲームで腕を磨いてみることをお勧めしたい。
というのも、複数プレーヤーが同時に戦うRTSのゲーム進行はこちらが想定しているよりもかなり速い。いきなりプレーヤーが相手だとチーム戦などで足を引っ張ってしまう場合もあるため、事前に腕を磨いておいて損はない。また、マルチプレイではルールの詳細を全てホスト側が決定するため、こうした設定可能なルールの詳細を自身で事前にプレイしておいて把握しておいた方がいい。
ということでシングルモードのカスタムゲームを選択すると、プレーヤーがホストとして各種ルール設定を行なえる。文明の選択やチーム分け、参加するプレーヤー数、マップの詳細、人口や資源、開始する時代の設定など、かなり細かいルールが用意されている。
特にゴールの種類と制限時間は要注意だ。ゴールの種類は「標準」のほか、他のプレーヤー、またはチームを全て征服する「征服」のほか、指定した時間が来たら終了する「制限時間」、または最終的に得点で競う「得点」など、このゴールの設定次第でプレイスタイルは大きく変わっていく。
ということで、コンピュータ3人を含む4人プレイ、そのうちコンピュータ1人を味方に引き入れ、チームを組んで2vs2のチームバトルを制限時間25分設定にして挑戦してみた。チュートリアルで大体の流れは掴んでいたため、正直、スムーズに勝てると思っていた。ところが、こちらがまだのんびり食料を集めてる段階で、早くも、敵の偵察船が進行してきたのだ!
偵察船は攻撃も可能な各エリアを見回れる偵察用の小舟で、第2段階に進化させないと、建造できなかったはず……と思い、慌てて画面右に表示される各プレーヤーの進化状態をチェックしてみると、明らかに自分だけが進化の流れから取り残されていた。そのまま25分が経過し、進化の流れに乗り遅れた筆者のチームは敗北となってしまった。
標準の難易度のコンピュータ相手でもこれだけ苦戦するのに、マルチプレイでプレーヤーに挑むのはちょっと厳しい。そう思い、筆者が試してみたのは難易度を最も難しい「非常に難しい」に設定してゲームを開始し、そのゲームは捨てて、コンピュータのプレイの様子を見学するという作戦だ。
こうやって、高難度のコンピュータの操作を見ていると、確かにプレイに無駄がない。進化をなるべく優先させるため、増やした町の人たちは全員が即座に役割をあてがわれ、また、1人だけマップ周辺を歩き回らせることで、どこに何があるかを把握していく。その上で作成した町の人をすぐにそこに向かわせるため、無駄がないのだ。
また、資源を回収する際に、資源のそばに収穫物を収容するための貯蔵庫などを作ることで、移動のロスをなくすようにしているのもうまい。
こうして色々学んで挑んだ2度目のカスタムゲーム。設定は同じで再度挑戦してみたが、今度はこれまでよりも無駄な動きが多少減ったため、進化の速度はほぼ同じくらいで進めることができ、最終的に勝利することができた。まぁ同じチームのコンピュータの成果の方が大きかったが、こうやってカスタムゲームを繰り返すことで、腕を磨いておけば、マルチプレイでも善戦できそうだ。
ロビーマッチングの搭載で世界中のプレーヤーと戦える!
「Age of Empires」シリーズ最大の醍醐味はやはりマルチプレイだ。「Age of Empires: Definitive Edition」でもメインとなるのはマルチプレイモードであり、本作では更に原作にはなかった「ロビーブラウザ」を搭載し、世界中の見知らぬプレーヤーとのマッチングが簡単に行なえるようになっている。
前述のとおり、筆者が本シリーズと出会ったのは2002年頃の「Age of Empires II: Age of Kings」だったが、顔見知りの仲間とともに遊べるマルチプレイで遊んでいたからこそ、会社に在籍している間は、毎日遊ぶほどのめりこめた。
しかし、当時の「Age of Empires」シリーズにはネットワーク経由のマルチプレイは搭載していたが、あくまでもネットワークを使って他のプレーヤーと遊べるだけで、見知らぬプレーヤー同士が気軽に遊べるようなマッチングの機能は用意されていなかった。見知らぬプレーヤー同士で対戦するには、プレーヤー同士が交流するような掲示板を使うなど、別のサービスを利用してマッチングしなければならなかった上に、IPアドレスやポートの設定などのネットワークの知識も必要と、非常に敷居が高かった。実際に筆者自身も、社内LANという閉じた空間で、目と鼻の先にいる仲間同士の対戦しか体験しておらず、インターネット経由での対戦はやった記憶がない。
当時のゲームプレイの中でも特に鮮明に記憶しているのは、やはりベテランプレーヤーの動きは、どんなに高難易度のコンピュータと比べても段違いのうまさだったことだ。動きに無駄がなく、町の人々に次々と的確に指示を繰り出して、どんどん作業を割り当てる。マウスカーソルは絶えず動き回り、領土全体の状況の把握も的確だ。
進化のタイミングも絶妙で、条件がクリアになった瞬間にはすでに進化コマンドが入っているというスムーズさだ。特に戦闘を仕掛けるタイミングは絶妙で、折角施設などの建設が順調に進んできたタイミングで大量の騎馬部隊がなだれ込んできて、防衛設備が不十分な領土が蹂躙される景色をよく見せられた事はよく覚えている。
ということで、ベテラン勢の強さを肌で知っていた筆者としては、見知らぬプレーヤーとのマルチプレイに不安もあったが、それ以上にマルチプレイの魅力も知っていたので、今回は何度かマルチプレイで他のプレーヤーに戦いを挑んでみることにした。
マルチプレイを遊ぶには、メインメニューの「マルチプレーヤー」から「ロビーブラウザ」を開くことで、ロビーに入ることができる。ロビーに入ると、現在募集中のゲーム一覧が表示される。ロビーブラウザで表示される詳細はホストのプレーヤーが設定したゲーム名のほか、プレーヤー数やマップの種類、ホストのいる地域などが確認できるが、ルールの細部については表示されない。ルールを確認したい場合はそれぞれのゲームに参加する必要がある。また、ルールをフィルターする機能もあるので、こちらで好みにあった条件のルールを採用するゲームを探すことも可能だ。
また、ルールがわからなくても、ゲーム名を見ると、ここにある程度、参加条件を書いている人も多い。最初のうちはこのゲーム名に「noobs」や「beginers」など、初心者向けを謳うゲーム名を探して入るのがお勧めだ。
ちなみに、メインメニューから選べる「クイックマッチ」を使うことで、現在募集中のゲームを検索していきなり飛び込むことも可能だ。ただ、こちらで何度か試してみたが、あまりマッチせずに自身をホストとして新たにゲームを立ち上げようとしてしまうので、これなら最初から自分がホストになって建てて、好みのルール設定して待機する方がいいだろう。
マルチプレイで希望のゲームを発見してもいざゲームに参加しようとすると、満員になっていたり、弾かれてしまったりする場合がある。このような時はロビーのゲーム一覧を更新して最新の情報を取得し直すことで、まだ募集しているゲームを再度チェックすることができる。
なお、1回の対戦にかかる時間だが、ゲーム速度の設定にもよるが、非常に速く進行する設定だと15~30分くらいで終わってしまう場合もあれば、ゆっくり進行する設定にしていると1時間30分~2時間くらいかかる場合もある。
いよいよマルチプレイに挑戦を開始する。最初に筆者が選択したゲームは、1vs1vs1vs1の全員敵対バトルだ。これまでのプレイで培ってきた、進化の速さがどこまで他のプレーヤーに通用するかが気になっていたが、今回のバトルでは、ゲーム速度の設定がかなりゆっくりになっていたため、第2段階への進化くらいまではどうにか他のプレーヤーと同じくらいのタイミングでついていくことができた。
これなら勝てるか? と期待したのもつかの間、そこから第3段階への進化で遅れをとりまくってしまう。そして、そうこうしているうちに隣の敵と接触し、そこから一気に攻め込まれて敗北してしまった。
気を取り直して2戦目は2vs2のチームバトルだ。このマップではさらに進化が圧倒的に遅くなってしまい、30分程度であっという間にチームは敗北してしまった。このマップでの最大の失敗は、食料の確保に手間取ってしまい、人も増やせず、大幅なタイムロスになってしまったことだ。本作において、序盤の食料確保は人を増やすために絶対必要だ。これをよりスムーズに行なえるようにしないとこの先も勝ちは見いだせない。
食料確保の方法は、野生の「ベリー」を収穫するのが一番簡単だが、それ以外にも野生動物の狩りや、川や海などに港を建てて漁船を出すことなどでも行なえる。地形の状態を早めに把握し、適切な食料確保の手段を決定しないといけないと学んだ。
今回、初めて他のプレーヤーとの共同作業になったが、特にコミュニケーションを取ることもなく、お互い自身の領土を強固にするのに一生懸命だったので、協力プレイのようなものは特に発生しなかった。逆に敵からの襲撃が発生し始めたくらいのタイミングでもう1人の仲間は早々に戦線を離脱してしまった。本シリーズでは、敵の襲撃に対して、その段階での防衛設備で対処し切れなかった場合は、そのまま敗北が確定してしまうことが多い。何度か遊んでみたが、この辺のタイミングで見切りをつけて離脱するプレーヤーは非常に多いので、あまり結果を気にせずフラットに遊べると感じて気が楽になった。
そんなわけで、1vs1vs1vs1の全員敵対バトルに再挑戦した。今回はそばにベリーがあり、周囲に浅瀬もあるなど、立地もよい感じで第2進化までは割と互角に進められていた。ところが今回の立地ではもう1人の相手が浅瀬を挟んでほぼ真横にいることが判明。
それに対してこちらは偵察船を増やして防衛しようと努めたが、敵はそこに穀倉での研究を経て建設可能になる「見張り台」を建てることで対策してきたのだ。そこで戦力差がつきはじめ、最終的にはそこに怒涛のように押し寄せた大量の騎馬隊に押しきられて敗北となった。時間は1時間30分程度と結構長い戦いになった。
今回の敗北の要因は、もう1人の敵が予想以上に近くにいたことと、木材以外の資源も序盤のうちから集め始めてしまったことだ。今回は資源の豊富な土地が割り当てられたので、うれしくなってついつい人員を色んな資源に割り当ててしまったため、第3段階の進化に必要な資源を十分に集めきれなかったからだ。
ある程度進化のタイミングの指針を決めて、今度は初心者歓迎と銘打った1vs1のソロバトルに挑戦した。これまでの経験を活かして順当に進化していこうと決めたので、序盤で使わない余計な資源を集めずに第3進化に向けて淡々と領土を開拓を進めた。
その甲斐あって進化の速度はほぼ互角と順調だ。ところが、ここで大誤算が発生する。先方の取った戦略はこれまでのプレーヤーとは異なる先制攻撃だったのだ。これまで第2進化の段階でいきなり攻めてくる人はいなかったのでこれには面食らった。
最初のうちは進化前の状態でも作成できる「こん棒戦士」が続々とこちらの領土になだれこんできていた。今回のマップでは、食料の要となるベリーが少なかったため、食料確保には、川を確保し、魚を収穫することが必要だったため、早めに港を建設し、漁船をいくつか確保していた。そのため、進化を終えた直後に偵察船を大量投入して対応したつもりだったのだが、これが失敗のはじまりだった。
先方はこん棒戦士に加えて、見張り台をこちらの領土にガンガンと建ててくる戦略を取ってきたのだ。これによりこちらの建造物がどんどん破壊されていく。さらには第2段階の進化で作れるようになる騎馬隊や、前述のこん棒戦士がどんどん攻めてきて、結局30分ほどでこちらのエリアは敵の兵士たちに蹂躙され、終了となってしまった。
結局、何度かマルチプレイに挑戦したが、1度も勝利を得ることはなかった。でも、毎回マルチプレイで遊ぶたびに確実に得るものはあった。
一番の学びは、やはり戦争は避けて通れないということだ。本シリーズでは基本的に作れる人の数に上限があるし、人口を増やすためには家を建設する必要もある。その上で、建設にかかる資源や、進化に必要な条件をそろえるための食料など、資源の確保に注力してしまうため、どうしても兵士の作成が後手に回りがちだ。
その結果、兵士を増やす前に敵の攻撃にあってしまうとなす術もなく崩壊してしまうため、この辺のリソースの割り振り方をもう少し研究した方がよりスムーズに敵と渡り合えるようになりそうだ。
また、効率のよい防衛設備や、地形ごとにおススメの設備なども頭に置いておく方がいいだろう。特に「見張り台」は何度も使われていたのに、自分ではまだ建設したことがなく、今回慌てて調べたほどだ。建設は人の手で行なわれるが、人が建設できる物については、進化で劇的に増やせる以外にも、建設した施設で研究を行なうことで新たに増やせるものもある。見張り台は穀倉で研究することで建設可能になるというのは全く情報として入れていなかったのも敗因の1つといえる。こうした施設の建設可能になるタイミングや必要な資源などもふまえてリソースを割り当てれば、よりスムーズに敵に対処できるようになりそうだ。
仕掛けるタイミングについても、敵対勢力が比較的近くにいて、進化の速度が五分五分の場合であれば、早めの仕掛けはかなり有効であることも理解した。ただし、こうした奇襲は割とオーソドックスな戦法だが、本来自身の領土拡充に使うリソースを割り当てる事になるため、失敗した時のリスクもそれなりに大きい点にも注意が必要だ。
以上、マルチプレイについても何戦かトライしてみたが、やはり「Age of Empires」シリーズの醍醐味は、全てのプレーヤーの条件がフラットな状態からはじまり、短時間で自分なりの国を立ち上げていくところが面白い。初心者だろうとベテランプレーヤーだろうと、全てのプレーヤーが条件に設定された初期の状態からスタートして競い合う。そこにはこれまでのプレイで手に入れたアイテムなどは登場しない。あるのはプレイで得た知識と経験、そして勘のみ。このフラットな感じこそが、今回改めて本シリーズをプレイして感じた魅力だ。
本作をより深く味わうには、勝った場合も負けた場合も、すぐにゲームを終わらせずに、終了した時の敵の地形を確認したり、戦闘終了時に確認できるタイムラインをチェックし、どのタイミングで進化したか、などの情報をチェックして、次の対決に備えて考察したり、研究するのも面白い。こうしたゲームプレイ後の研究が楽しいのも本作の魅力の1つといえるだろう。
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