2017年12月30日 12:00
プレミアムバンダイから、注文していた「S.H.Figuarts 一条寺 烈」が届いた。このフィギュアは、特撮番組「宇宙刑事ギャバン」の主人公・ギャバンが地球で生活するための姿を再現したフィギュアである。ギャバンは仮の名前として一条寺 烈を名乗り、地球で暗躍する「宇宙犯罪組織マクー」を壊滅させるため、戦うのだ。
「S.H.Figuarts 一条寺 烈」はギャバンを演じた大葉健二氏の野性的な雰囲気も再現。大葉氏ならではの激しいアクションを再現すべく、最新の技術を活かし可動範囲が広く、力を感じさせるポーズ付けが可能なアクションフィギュアとなっている。
今回は2013年に発売された「S.H.Figuarts 宇宙刑事ギャバン」を押し入れから引っ張り出し、一緒に撮影してみた。一緒に並べるとさらに楽しい。今回は「S.H.Figuarts 一条寺 烈」の魅力を紹介していきたい。
大葉健二氏が持つ“迫力”を再現。動かすほどに魅力が深まる
「宇宙刑事ギャバン」は多くの人の記憶に残る名作だ。地球人とバード星人のハーフであるギャバンは失踪した父・ボイサーの後任として地球に派遣され、宇宙犯罪組織マクーと戦う。マクーの怪人と戦う際、ギャバンは銀色に輝くコンバットスーツを身にまとい、必殺のレーザーブレードで悪を粉砕する。
「宇宙刑事ギャバン」はそれまでの戦隊ものやウルトラマン、仮面ライダーと大きく異なる、金属光を放つ、未来的なコンバットスーツのヒーロー像が斬新だった。そのスタイルは「メタルヒーロー」というジャンルを生み出し、金属に包まれた強化服を着たヒーローはその後様々な作品が制作され、さらに現在のヒーローものにもその要素は引き継がれている。
そして「ギャバン」は、なによりもアクションが良かった。大葉健二氏のスピード感とキレのあるアクションは今見ても素晴らしい。吊り橋にぶら下がったり、高いところから飛び下りたり、大きなアクションもものすごかったが、敵と戦う殺陣の動きもとてもキレがあって素晴らしかった。
大葉氏は男臭い風貌と、激しいアクションをこなす身体能力、さらに独特のユーモア感覚があった。彼のキャラクター性が活かされたギャバンはカッコイイだけでなく、親しみも持てるキャラクターとして当時の子供達の心を掴んだ。「S.H.Figuarts 一条寺 烈」はそんな大葉氏の雰囲気を見事に再現したアクションフィギュアである。
本商品は「デジタル彩色」によりその高い再現度を実現している。バンダイの「デジタル彩色」に関して弊誌では、「『ライダー変身!』、新1号と本郷猛はいかに最高のアクションフィギュアとなったか?」、さらに「新たなフィギュア世界を提示する造形! 『S.H.Figuarts ブルース・リー』」で取材を行なっているが、やはり目の前で見るとその表現力には驚かされる。
指先の出たドライバーグローブや、特徴的な左肩の鎖、ブーツや革ジャンの造型など衣装の再現度もチェックしていて楽しいが、やはりポーズ付けが楽しい。肩や腕は独特の分割で、曲げるとキャラクターが力を込めているような雰囲気が出るのだ。この微妙な関節設計はこれまでのアクションフィギュア制作の高い技術を感じさせる。肘を曲げちょっと肩を動かすだけで「グググッ」と音がしそうな力のこもったラインができる。スピード感とパワーを感じさせる大葉氏のアクションにぴったりの表現だ。
そして股関節である。股関節は引き出し関節になっており、腿を大きく広げることができる。腰を落としたポーズや、足を高く上げるハイキックなどもこなせる。大葉氏はジャンプ中の足のラインが美しい。腕を大きく広げ、片足を曲げるギャバンでの印象的なジャンプポーズもきちんとできる。
「S.H.Figuarts 一条寺 烈」は動かして楽しいと言うより、大葉氏、そして一条寺烈のカッコ良さを再確認するフィギュアと言える。ギャバンの映像などを探してフィギュアで再現したくなってしまう。そして映像の大葉氏のアクションに思わず見入ってしまうのだ。本当にすごくスピーディーで、キレのあるアクションである。
蒸着! 「S.H.Figuarts 宇宙刑事ギャバン」と合わせてふくらむ楽しさ
「S.H.Figuarts 一条寺 烈」には「蒸着エフェクトシート」が同梱されている。蒸着はギャバンがコンバットスーツをまとう、いわば“変身”のかけ声だが、元々はメッキなど素材の表面に金属や金属酸化物などを付着させる方法を指す。メタルヒーローにぴったりの言葉だと思う。
特撮でも烈の周りにキラキラした粒子が舞い、烈がポーズを決めると体が光り輝き、コンバットスーツをまとった姿となる。「蒸着エフェクトシート」はその蒸着状態を再現しており、劇中さながら、フィギュアの周りに銀のエフェクトを重ねることができる。
そして「S.H.Figuarts 宇宙刑事ギャバン」である。こちらは2013年発売のアクションフィギュアで、銀色の表面処理が美しい。小さなランプなどコンバットスーツのディテールを精密に再現しており、見応えがある。今の感覚で言えばちょっとレトロな装飾も楽しい。
付属するレーザーブレードは通常時のものと、必殺技の「ギャバンダイナミック」を放ったエフェクト付きのものが付属。バイザーの奥で目が光る演出は差し替え式の頭部で再現している。必要な要素は全て揃えているフィギュアではあるが、最新の「S.H.Figuarts 一条寺 烈」と比べると特に股関節の据わりの悪さなどがある。バンダイのアクションフィギュアが日々進化していることを実感させられる。「真骨彫製法」で、究極のギャバンフィギュアを希望したいところだ。
それでも2つのフィギュアを並べると楽しい。本来は同時に存在しない2人を並べ、同じポーズをとらせるのは独特の楽しさがある。「S.H.Figuarts」では、現在一条寺 烈と本郷 猛、そしてモロボシ・ダンが発売されているが、今後も続いて欲しい。変身前と後のハイクオリティなフィギュアを並べて遊ぶ楽しさを他のヒーローでも体験してみたい。
「S.H.Figuarts 一条寺 烈」はプレミアムバンダイ専売商品のため、現在入手はかなり難しいが、ギャバン、そして大葉氏のファンにはたまらない一品となっている。この商品を手に取ることでさらにギャバンや大葉氏が好きになるのは間違いない。今後のヒーローの立体化にも大いに期待したい。
(C)東映