2017年10月18日 12:00
TSUKUMOから発売されているノートPC「eX.computer note N1544J-720/T」は、特にゲーム用PC「G-GEAR」シリーズとしては販売されておらず、一般的な「ハイパフォーマンスPC」と位置づけられている。その中でも上位モデルとなっている「N1544J-720/T」は、CPUにインテルのCore i7-7700HQを搭載し、GPUとしてNVIDIAのGeForce MX150が使われているほか、価格が104,800円(税別)からとかなり求めやすい感じ。これはゲーム用ととしてもそれなりの期待が持てるPCなのではということで、今回レビューすることとなった。果たしてその実力は如何ほどなのか? これからご紹介していこう。
まずは今回レビューするマシンのスペックについて書いていく。
【eX.computer note N1544J-720/T】
CPU:Core i7-7700HQ
GPU:NVIDIA GeForce MX150 / インテル HD グラフィックス 630
メモリ:PC4-19200 DDR4 SODIMM 8GB(8GB×1)
ディスクドライブ:240GB M.2 SSD (シリアルATA対応)
ディスプレイ:15.6型フルHD ノングレアIPS方式液晶
OS:Windows 10 Home
このほか、カスタマイズできる項目としてはメモリを16GBに、ディスクドライブを最大500GB(M.2 SATA)まで拡張できる。その場合でも138,000円(税別)とかなりコストパフォーマンスがよい感じだ。
本体だが、筐体サイズは378×267×24.9mm(幅×奥行き×高さ)と、普通のA4サイズのノートPCと思っていればよい。15.6型の液晶はノングレアのIPS方式を採用しており、とても見やすい。キーボードはテンキー付きの日本語109キーボードで、筆者の実測ではキーピッチは約17ミリ、キーストロークは約2.5ミリ。キーとキーの間に隙間があるアイソレーションタイプなので打ちやすい感じだ。
コネクタ類だが、本体左には電源ジャック、有線LANコネクタ(100Base-T/100Base-T/10Base-T対応)、HDMIポート、USB Type-Cポート、USB 3.0ポート、SDカードスロットが並ぶ。右はヘッドフォンジャック、マイクジャック、USB 2.0ポート、USB 3.0ポート、排気口がある。スピーカーは前面背部に2つあるが、「Sound Blaster Cinema 3」に対応しているので、バーチャルサラウンドの環境でプレイすることができる。ちなみに光学ドライブは用意されていないので、外付けのUSB対応ドライブなどを利用することになる。
CPUは先ほども述べたようにCore i7-7700HQが搭載されているが、これは最新の第7世代「Kaby Lake」のCPUで、ベース動作周波数は2.80GHz。ターボ・ブースト利用時の最大周波数は3.80GHzにまで対応する。
ビデオ周りだが、これも先ほど述べたとおり、オンボードのインテル HD グラフィックス630のほかに、NVIDIAのGeForce MX150が搭載されている。GeForce MX150だが、前のノートPC用GPUであるGeForce 940MXの後継版。GeForce GTX 1080などと同じく最新のPascalアーキテクチャが採用されており、GeForce 940MXと比べて3Dの性能は1.33倍となっている。デスクトップのGeForce GTX 10シリーズのどのあたりに位置するのかというと、正式には公表されていないが、GeForce GT 1030のノートPC向けという話もある。それならばある程度ゲームの動作も問題なくこなしてくれるはずだ。
ベンチマークテストの結果
ではここからは、ベンチマークテストを行なった結果について紹介していこう。テストは3DMarkのほか、Unigine製のベンチマークソフトである「Superposition」、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」を使用した。
3DMarkの結果についてだが、やはりグラフィックス回りの性能はローエンドなので、重い処理をするTime Spy、Fire Strike Extremeなどではかなり処理落ちをしてしまったのはいたしかたないだろう。特にTime Spyでは紙芝居以下の状態となっており、DirectX 12ベースの、ポリゴンを多用したゲームでは順当な動作を期待できなさそうだ。
ただしそのほかのSky Diver、Cloud Gate、Ice Storm Extremeといったテストではそれほどのコマ落ちも見せずにテストを見ていることができた。これならばある程度軽い処理の3Dゲームであったら、特に気にせずプレイすることができると思われる。
次にテストしたのが「Superposition」だが、これは今年になってリリースされたベンチマークテストで、4KマシンやVR向けに作られているので、重い3D処理をさせるベンチマークテストとなっている。ゲームエンジン「UNIGINE 2」をベースに作られているので、実際にゲームをする環境に近い形でのテストが行なえるほか、3DMarkなどとは異なり、ゲームモードが用意されていて、実際にオブジェクトつかんだり、ほかのオブジェクトに当てたりといったことも可能なのが特徴だ。
今回は1080p Extreme、1080p HIGH、1080p MEDIUMの3種類について行なってみた。ただしGeForce MX150はVRAMが2GBしかないため、1080p Extreme、1080p HIGHを選ぼうとすると「十分なスペックがない」と怒られてしまう。それにもかまわずテストをしてみたのだが、やはり性能的にはつらく、Time SpyやFire Strike Extremeの時のような処理落ちを見られた。ただし1080p MEDIUMについては十分実用的な動きを見せており、これも同じようにスペック的には期待が持てることがわかった。
加えてCPUとGPUの性能を測定する「CINEBENCH」についてもテストを行なってみた。CPUがCore i7-4700MQ、グラフィックスがインテルHDグラフィックス4600とかなり前のPCとなるが、NECの「LaVie LL750/R」と比較をした結果を示しておく。当然ながら世代の差は歴然で、N1544J-720/Tのほうが圧倒的によいデータとなっている。特にグラフィックスはこれほど差が付いてしまうのかと思うほどの値だ。
意外な結果を残したのが「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」。これまでのベンチーマークテストを裏付けるように、「最高品質」の設定ではフレームレートはさすがに平均で24.2程度であったが、評価は「快適」となった。「高品質(ノートPC)」でも平均フレームレートは37.2で「とても快適」、「標準品質(ノートPC)」では平均フレームレートは60fpsに近い55.0をたたき出して「非常に快適」という結果に。このためグラフィック設定を調整すれば、「ファイナルファンタジーXIV」は十分に遊べそうだ。
最後にドライブ回りのベンチマークテスト結果も示しておこう。M.2が使われているがNVMe対応ではなくSATA接続となっているので、リードが534.1MB/秒、ライトが346.5MB/秒という結果だ。しかしSSDなのでHDDに比べれば高速で利用できるので、メリットはあると言えよう。ただ基本モデルではサイズが240GBとなっているので、容量に不安がある場合は500GBを選んだ方がよいだろう。
実際にゲームをプレイしてみた
これまでのベンチマークテストである程度ゲームをプレイすることが可能なことがわかったが、実際にプレイしてみてどうなのかを検証していきたい。今回使ったソフトは「The Elder Scrolls V: Skyrim」、「NieR:Automata」、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」の3本だ。
「The Elder Scrolls V: Skyrim」
まずは「The Elder Scrolls V: Skyrim」から。人気の「The Elder Scrolls」シリーズ最新作の本作は、プレーヤーはどこの誰なのか、なぜ帝国軍に捕まっているのかわからない状況からスタートする。序盤では斬首されそうになった主人公が、突然のドラゴンの来襲によって逃げ延びることができる、というストーリーが展開される。このドラゴン、もちろん火を吐いたり、熱い吐息のような衝撃波を出したりと、かなり3Dゴリゴリな感じで作られているのだが、処理落ちをまったく気にすることなくプレイすることが可能だった。
NPCたちの動きや建物のオブジェクト、燃えさかる村の炎の揺らぎ、川の流れといった演出も十分に堪能することができた。このゲームをプレイする分には、この性能で十分楽しめると思われる。グラフィックの設定も「High」となっており、高画質モードでのプレイが可能だ。
「NieR:Automata」
「NieR:Automata」はスクウェア・エニックスがWindows版とプレイステーション 4版を発売しているアクションRPGで、読者の方ならご存じだろう。スクウェア・エニックスらしい3Dゲームなので、ビデオチップを選ぶかと思い、このゲームをプレイすることにしたのだが、結論から言ってしまうと特に問題なくプレイが可能だった。本作が要求するスペックがGeForce GTX 770 VRAM 2GB 以上ということもあるが、キャラクター移動や「イクラ弾幕」と呼ばれる敵の攻撃をつぶしたり回避するといった行動にも、もたつきは感じられず快適だ。このあたりはインテルHDグラフィックだと厳しいと思われるので、GeForce MX150の恩恵はあると言えよう。画質設定をチェックしてみたが、「画質プリセット」は「HIGH」となっており、高画質で十分に遊べそうだ。
「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」
「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」、略して「PUBG」は、ここのところ人気となり、最後まで勝ち残る「ドン勝」といえばこのタイトルという代名詞まで付いた作品。どうせ試すならばこの人気作は外せないだろうとプレイしてみた。必要動作環境もGeForce GTX 660 2GBと、このパソコンならば十分に使えそうだ。
最初に表示されるキャラクターメイキング画面も特に問題はなし。そこからログインして移るロビー画面も問題なく表示。ただキャラクターを移動させていると、ちょっと引っかかりを感じるのが気になるところ。
いざゲームプレイへ。飛行機から降りてパラシュートを開くまでは特に問題なし。地上にも無事降りて移動することに。これもまた問題は感じなかった。武器を拾い、装備を整えていざ戦闘モードだ。遠くから銃声が聞こえる。どうやら敵が近くに寄ってきているらしい。家の中に入り、物陰からのぞくといきなり敵が! とっさに対応を取ろうとするが、動作が重い。あっという間に敵にやられてしまった。
どうもこのあたりの微妙なタイミングに遅れが出てしまうようだ。筆者の利用している回線はSo-netのNURO光なので、回線的な問題というよりも、グラフィックスの表示速度の問題と思われる。実際に常にプレイしているデスクトップマシン(CPU:Core i7-6700K、ビデオ:GeForce GTX 1070)では特に問題は起きていないからだ。
そのためグラフィックスの設定かと思い、設定画面を見てみたのだが、インストール時にグラフィックス性能を自動的に判断しているのか、「非常に低い」画質での動作に設定されていた。本作のような、動きの速さを求められるTPS/FPSといったゲームでは、シビアな部分で差が出てしまうのかもしれない。
低価格だが十分にゲームパソコンとして使えるマシン
これまで見てきたように「N1544J-720/T」シリーズは、価格も104,800円からと求めやすいにもかかわらず、ある程度のゲームであれば快適にプレイできるマシンだ。GeForce GTX 1080などを搭載するようなハイエンドのゲーム用ノートパソコンには確かに及ばないが、そのコストパフォーマンスは十分に高く、実用に耐える。重いゲームでも設定をいじることができればプレイに支障はないと思われる。ビジネス用途としての利用だけでなく、ゲームを楽しみたいと思う人にはうってつけのマシンであろう。