先行レビュー

D&Dらしい「自由さ」のゲーム化に挑む。「Warlock: Dungeons & Dragons」デモレポート【TGS2026】

魔法で雨を降らせ、瓦礫を足場に。美しい世界を、自由な発想と好奇心で探索

【Warlock: Dungeons & Dragons】
2027年 発売予定
価格:未定

 Wizards of the Coastが2027年に発売を予定している「Warlock: Dungeons & Dragons」。今回、開発を手掛けるInvoke Studiosによるプレゼンテーションデモを見る機会を得た。

 本作は、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(以下、D&D)の世界を舞台にした三人称視点のシングルプレーヤー向けアクションアドベンチャーだ。対応プラットフォームはプレイステーション 5、Xbox Series X、PC。

 主人公のカァトリは、多彩な武器を使いこなしてきた歴戦の戦士。いなくなってしまった大切な人を探すため、強大な魔女ターシャと契約を交わしてウォーロックとなる。その選択は、長い時間をかけて魔法を学ぶのではなく、契約によって力を得る“近道”。それと引き換えに、大きな代償が伴うこととなるという。

 今回のデモで強く印象に残ったのは、そんなカァトリが操る魔法の自由度だ。敵を攻撃するだけではなく、周囲の水や炎、物体などに干渉し、自分なりの方法で道を切り開いていける。

水で炎を消すことはもちろん、炎そのものを投げることもできる

 デモ序盤、カァトリはダーコンにある街へと向かっていた。

 まず目を奪われたのが、その美しい景観だ。建物だけでなく遠くまで広がる地形もしっかりと描かれており、実際にその世界を歩き回ってみたいと思わせる光景だった。

 道中では、油の入った壺を魔法で掴んで投げたことで炎が燃え広がり、進路が塞がれる場面があった。そこでカァトリは近くの水場から水を魔法で引き寄せ、炎へぶつけて消火し、先へと進んでいく。

 だが、これは単に「魔法で火をつけたり消したりできます」というだけのデモンストレーションではない。開発者によれば、この場面では燃えている油そのものを掴み、即席の火球のように投げることもできるという。

 「ここでは水を使う」とゲーム側から答えを提示されるのではなく、与えられた魔法と周囲にあるものから、プレーヤー自身が解決方法を考える。そういった本作の特徴が、わかりやすく表れた場面だった。

主人公のカァトリ。魔女ターシャと契約を結び、ウォーロックとして力を得る

アイコンではなく、自分の好奇心を頼りに世界を歩く

 本作にはマップが用意されているが、多数の目的地アイコンを順番に追っていくタイプのオープンワールドではないという。街に暮らす人々と話して情報を集めたり、自分で気になる場所を見つけたりしながら探索を進めていくのだ。

 本作の世界には、一般的なゲームでいうサイドクエストに近い“謎”も数多く存在しており、どこまで発見して解き明かすかはプレーヤーに委ねられているという。

 実際のデモでも、街で情報を得て地下にあるダンジョンを発見。そこから先も「この場所を調べろ」と細かく指示されるのではなく、周囲を観察しながら先へ進んでいた。

 マップ上に表示されたクエストを消化するのではなく、「あそこには何があるのだろう」と自分の好奇心で寄り道していく。こうした探索の仕組みは、美しく作り込まれたダーコンという世界との相性も良さそうだ。

ダーコンに広がる街並みと、遠くにそびえる巨大な城塞。広大な世界を自由に探索していく

 さらに少し進んだところにあった地下ダンジョンでは、探索に魔法を利用する様子が次々と披露された。

 格子に行く手を阻まれた場面では、「ミスティ・ステップ」を使って霧のような姿となり、その隙間を突破する。カァトリがウォーロックとして魔法を扱えるからこそできる芸当だ。

 さらに面白かったのが、途中で道が途切れている場所だ。カァトリは周囲にあった瓦礫を魔法で運び、それを壁へ貼り付けるように配置。即席の足場を作りながら進んでいった。決められたスイッチを探して橋を架けるのではなく「道がないなら、自分で足場を作る」という発想で突破するわけだ。

 ほかの解法があるかはわからない。ただひとつ言えるのは、炎を消す場面と同様に、ここでも魔法は特定のギミックを解除する“鍵”というより、プレーヤーが自由に使える“道具”として機能していたことだ。

雨を降らせ、電撃を流す。環境も戦闘の武器になる

 魔法を活用するのは探索だけではない。戦闘では敵を引き寄せたり、動きを止めたりするほか、周囲にある物体を利用することも可能だ。敵を吹き飛ばして高所から落とすなど、地形を利用した戦い方も披露された。

 中でも興味深かったのが、天候を変化させる魔法だ。

 カァトリが魔法を使うと、その場に雨が降り始める。そして濡れた場所に電撃系の魔法を放つことで、敵を感電させていた。「こういった戦い方もできるのか」と、素直に驚かされた場面だ。

 そして、カァトリはウォーロックではあるが、純粋な魔法使いではない。もともとは多彩な武器を扱う歴戦の戦士であり、魔法だけでなく剣を使った戦闘が披露された。

魔法だけでなく、近接武器を組み合わせた戦闘も可能。カァトリはもともと多彩な武器を扱う歴戦の戦士だ

 巨大なモンスターとの戦いでは、魔法で相手の動きを制限しながら接近して攻撃したり、強烈な一撃を加えるフィニッシャーらしき演出も見ることができた。さらに、街の鍛冶屋では武器をアップグレードする場面もあり、装備の強化要素も用意されていた。

 公式で表記されているジャンルはアクションアドベンチャーだが、実際のプレイ画面を見ると、魔法と近接武器を組み合わせながら冒険する三人称視点のアクションRPGに近い印象を受けた。

巨大な敵との戦闘も。魔法や近接攻撃を組み合わせながら強敵に挑む

D&Dを知らなくても「試したくなる」魔法の面白さ

 「Warlock: Dungeons & Dragons」というタイトルを見たとき、「D&Dの知識が必要なのではないか」と筆者は考えていた。実際に、「エルドリッチ・ブラスト」など、D&Dファンならわかる要素も多数盛り込まれていた。

 一方で、炎を見つけたら「水をぶつけたらどうなるだろう」。道が途切れていれば「この瓦礫を動かしたら足場にできるのではないか」。雨が降っていれば「電撃を使ったらどうなるのか」といった、本作の根底にある面白さは、D&Dを知らなくても直感的に理解できる。自分の持っている魔法と目の前の環境を見て、思いついたことを試してみるのが良さそうだ。

 今回のデモで何より印象に残ったのは、魔法の自由度とダーコンの美しさだ。水や炎に干渉し、瓦礫から道を作り、雨まで利用して戦う。しかも、様々な謎を解決するには街で情報を集めたり、気になった場所へ向かうなど、自らの発想で行動を起こさなくてはならない。そんなプレーヤー自身の好奇心や冒険心が試されるということで、好奇心のおもむくまま実際に歩き回れる日が楽しみになるようなデモだった。

 そして、プレゼンテーションデモの後には、開発チームによるQ&Aセッションも行われた。その模様をQ&A形式でお届けする。

「何をするのも自由」。開発チームが語る「Warlock」の世界とゲームデザイン

Invoke Studios クリエイティブ担当副社長 Jeff Hattem氏

――デモではターシャという存在や、カァトリと行動するインプが登場していました。目的地が明示されない本作において、冒険のヒントを与えてくれる存在なのでしょうか。

Hattem氏:まず、ターシャはカァトリが契約している「パトロン」です。カァトリがゲームを進めているあいだ、ターシャは彼女の感情や経験を感じ取っています。

 ただし、ターシャ自身にもやるべきことがあるため、「ここへ行きなさい」「こうしなさい」と直接カァトリを導くわけではありません。何かを頼むことはありますが、何をすべきか逐一指示する存在ではありません。

 一方、デモに登場したインプは「スカブ」という名前です。彼はこの土地の出身なので、カァトリにアドバイスを与えてくれます。

――D&Dには数多くのキャラクターがいます。その中で、カァトリのパトロンとしてターシャを選んだ理由を教えてください。

Hattem氏:D&Dにはたくさんの興味深いキャラクターがいますが、私にとってターシャは、そのカオティックな性質が非常に魅力的です。

 彼女が善なのか悪なのか、何をしようとしているのかわからない。そこが魅力のひとつだと思っています。

 また、ターシャはD&Dでも非常に長い歴史を持つキャラクターです。マルチバースのさまざまな場所を旅しており、豊富な知識を持っています。そんな彼女をカァトリのパトロンにするのは面白いと考えました。

――カァトリはどのような武器を使用できるのでしょうか。

Hattem氏:カァトリはもともと多様な武器を使いこなす熟練の戦士です。メインとなる武器は剣ですが、ほかにも両手持ちの剣やレイピアなど、さまざまな武器をアンロックして装備できます。

 さらに、契約によって扱える特殊な武器も存在します。何もないところから魔法によって武器を作り出すこともできます。今回お見せしたもの以外にも、多くの装備があります。

――探索ややり込みも含め、本作のプレイ時間はどの程度を想定していますか。

Hattem氏:どれだけ世界の秘密を探すのか、ダーコンをどこまで探索するのかによって変化するので、具体的な時間を答えるのは難しいです。

 ただし、何百時間もかかるような規模ではなく、数十時間単位になるのではないかと考えています。

――魔法を使い、プレーヤーそれぞれの発想で道を切り開くゲームデザインは、非常に多くの解法を考える必要があります。開発も難しいのではないでしょうか。

Hattem氏:とても大きなチャレンジです。

 プレーヤーが先へ進むための手段は用意していますが、従来のゲームのように「これをしなさい」とゲーム側から指示する方法にはしたくありませんでした。

 魔法やキャラクターとの会話を利用し、自分で世界を探索する。何をすべきかを直接指示されないことで、より魅力的な体験になると考えています。

 もちろん実現するのは難しく、開発中には何度もプレイテストを行っています。プレーヤーの反応やフィードバックを確認し、それを魅力的な体験を作るために活用してきました。

――進み方にはさまざまな選択肢があります。そうした選択によって、物語やクエストに変化は生まれるのでしょうか。

Hattem氏:物語の中心には、カァトリが大切な人を探すという旅があります。

 一方で、この世界にはプレーヤーが解き明かせる多くの謎が存在します。ダーコンという世界すべてがカァトリを中心に構築されているわけではありません。

 カァトリ自身も初めてダーコンを訪れる旅人です。彼女とともにこの世界を訪れ、自分のペースで発見していくことになります。

――開発者の皆さん自身のD&Dのプレイ体験は、本作にどのような影響を与えていますか。

Hattem氏:D&Dそのものが、本作にとって大きなインスピレーションです。長い歴史の中で、多くのデザイナーやストーリーテラーが関わってきました。今回も彼らとのコラボレーションが実現しています。

 D&Dを遊んでいて魅力的なのは、プレーヤーの自由度の高さです。さまざまな行動が許容される懐の深さがあります。

 「何をするのも自由」という体験を、本作でも魔法システムやプレーヤーの創造性を通じて表現したいと考えました。オープンで、プレーヤー主導のゲームデザインを目指しています。

――最後に、D&Dのファンと、D&Dを知らないゲームファン、それぞれに本作の魅力を教えてください。

Hattem氏:D&Dファンにとっては、長年親しまれてきた世界の中でも、ここ15~20年ほどあまり描かれてこなかったダークな側面を再び訪れることができる点が魅力になると思います。D&Dのマルチバースを、新しい切り口から体験できます。

 一方で、本作を遊ぶためにD&Dの知識は必要ありません。

 主人公のカァトリ自身が、この世界を知らない旅人としてゼロから冒険に飛び込んでいきます。D&Dを知らないプレーヤーもカァトリと同じ目線に立ち、ウォーロックの力や世界の秘密を知っていくことができます。

――本日はありがとうございました。