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主役は編集者・舞台は原稿用紙 「Chronoscript: The Endless End」デモ版プレイレポ

集英社ゲームズ新作は2D×3Dで魅せる歯ごたえ十分の探索型アクション

【Chronoscript: The Endless End】
2026年秋 発売予定
価格:未定

 集英社ゲームズは、プレイステーション 5/PC(Steam)用探索型アクションアドベンチャー「Chronoscript: The Endless End(クロノスクリプト: エンドレスエンド)」を2026年秋に発売する。

 本作は千年続く"終わりの続きの物語"の中を、原稿に囚われた編集者として解き明かしていく作品だ。3Dグラフィックスで描かれた幾千もの原稿用紙が散らばる洋館と、原稿に緻密なペン画で描かれた2Dグラフィックスの世界という、2つの次元をまたいで物語が展開される。開発を手掛けるのは「RPGタイム!~ライトの伝説~」で知られるデスクワークスだ。

 舞台となるのは西暦2026年。長期連載を終えた編集者フレドリック・G・ミュラーのもとへ奇妙な編集依頼が届き、依頼人の待つ山奥の洋館を訪れた彼は、一匹の蚊に血を吸われた途端に意識を失う。目覚めた先は、洋館の主である千年生きる吸血鬼ヴィオラ・S・チェンバースが綴った"終わりの続きの物語"、その原稿用紙の中だった。

 今回はデモ版を試遊をする機会を得た。本稿では、体験できた範囲のゲーム性と手触りをお伝えする。

【Chronoscript: The Endless End - プロローグトレーラー】

ページをめくるように進む、2Dプラットフォーマーの手触り

 デモ版は、プロローグを終えるとすぐにゲーム本編がスタートする構成になっている。基本となるのは探索型2Dアクション、いわゆるメトロイドヴァニアだ。行く手を阻むのは、現世に禍根を残しながら世を去り、そして蘇った"なれの果て"と呼ばれる敵たち。

 今回プレイできたのはチュートリアルにあたるステージで、基本操作を遊びながら順に習得していくスタイルとなっている。なお最初の段階で回復は2回までの使用制限が設けられており、チェックポイントの「椅子」に座ることで使用回数が最大まで回復する。

 特徴的なのがステージの区切り方だ。エリアの継ぎ目は新たな原稿用紙へと移動する演出で、画面の隅には「5」「6」「13」といったページ番号が振られている。現在地の表示も「執筆室/終わりの続き」といった章題とともに「23P」とページ数で示され、距離ではなくページで進行が示されるという一点だけで、自分が物語の中を読み進めているのだという感覚が生まれる。

ボスを倒して新アクションを獲得。探索の幅が段階的に広がるスタイル

 道中に配置された強制戦闘部屋で敵を撃破すると、新たなアクションを獲得できる。探索型アクションの定石どおり、行動の選択肢が増えるにつれて到達できる場所も広がっていく設計だ。

 デモ版で習得できたのは3種類。特定の部屋に出現するコウモリ型の敵をすべて倒すことで得られる「頁翼の跳躍」は、跳躍後にもう一度跳躍できるようになる、いわゆる2段ジャンプにあたるアクションである。

 獲得画面には効果の説明に加えて短いテキストが添えられており、コウモリが吸血鬼の眷属となった経緯が語られる。能力の解放が世界観の開示を兼ねる構成だ。

 2つ目はインクを操るボスの撃破で得られる「稿墨の没入」。床や壁に広がるインクの中へ潜り込めるようになり、潜行状態から跳躍すると通常より高く飛べる。ペン画とインクという本作の世界観に即した移動アクションで、地形の攻略手段としても機能していた。

 3つ目の「瞰視の羽虫」は、後述するマップ表示に関わるアクションとなっている。

 キャラクター強化の要素も用意されている。敵を倒すことで強化用のアイテムが手に入り、チェックポイントの「書見椅子」で、ライフ、回復、攻撃力、指輪、探知、黒滴という6系統の要素を伸ばしていける。各系統は5段階ほどに枝分かれするスキルツリー形式で、何から強化するかはプレーヤー次第。育成方針の違いがそのまま攻略スタイルの差になっていきそうだ。

 収集要素も確認できた。赤いリボンで結ばれた巻物を拾うとコレクション「明後日の買物メモ」が手に入り、ライフ+3の効果を持つ。中身は小麦粉やバター、コリアンダーが並ぶ買い物リストで、アイテムそのものが世界観の断片として機能している。

敵の行動を覚えて挑む、歯ごたえのあるボス戦

 本作のアクションは、率直に言って手強い。

 チュートリアルで対峙する「愚読の司書虫」は、淡い体毛に覆われた芋虫状の巨体を持つ"なれの果て"だ。事前情報が一切ない状態で挑むことになるため、初見での撃破は難しい。筆者の場合、1度目は成す術なく倒され、2度目で相手の行動パターンを把握し、3度目でようやく攻略に至った。

 もっとも、これは理不尽な難易度という意味ではない。攻撃の予備動作を見極め、有効な立ち回りを一つずつ見つけていけば確実に突破口が開ける、トライ・アンド・エラー型のバランス設計になっている。ゆえに撃破時の達成感は相応に大きい。

 興味深いのが、勝敗時の画面表示である。敗北すると時計盤を背景に赤く「ReRead」と表示され、ボスを撃破すると「校正完了」と表示される。撃破し校正をすることで物語を正しく終わらせる、死ぬのではなく読み返す。編集者を主人公に据えた本作らしい言い換えで、こうした細部の徹底ぶりが世界観の密度を支えている。

 なお、死亡すると「経験値」と、そのステージで獲得した通貨にあたる「冥銭」をその場に落としてしまう。同じ地点に再び到達すれば回収できるが、回収前にもう一度倒れると失われる仕様だ。慎重さと欲張りのせめぎ合いが生まれる、このジャンルではお馴染みの緊張感を生み出す要素が本作にも導入されている。

 デモ版のステージ攻略に要した時間は10~15分程度と、短いボリュームながら、基本操作から新アクションの獲得、ボス戦までがひととおり収められており、本編の手触りを掴むには十分な内容だった。

マップは執筆家の部屋の中。2Dの主人公を、3Dの世界が取り囲む

 本作でもっとも独自性が際立っていたのが、2Dと3Dを行き来する構造である。

 プレーヤーが操作する編集者は、あくまで原稿用紙の中、すなわち2Dの世界に閉じ込められた存在だ。ところがステージの外周には、原稿の上に積まれた3Dの書籍や丸められた紙くず、さらには原稿を覗き込む執筆家の指と羽根ペンが描き込まれ、自分たちが誰かの机の上に置かれた紙の上を探索しているのだという事実を突きつけてくる。

 この構造が明確な形をとるのが、前述した3つ目の獲得アクション「瞰視の羽虫」だ。効果は「部屋を見渡すことができる」というもので、発動するとプレーヤーの視点が机の上まで引き上げられ、原稿用紙が升目状に並んだ全体マップが表示される。探索型アクションにおけるマップが、そのまま執筆家の部屋の中として表現されていることが分かる。

 この2D/3Dの関係が最も効果的に働くのがボス戦だ。戦闘の最中に原稿用紙そのものが机から落下し、ステージが大きく傾いてしまう場面があった。2Dアクションの文法と、その外側にある3D空間の物理が噛み合った瞬間で、本作ならではの演出と言っていい。

 ペン画によるアートワークの書き込み量も相当なものだ。背景の一つひとつまで手描きで統一されており、静止画で見た印象以上に、動かしたときの空間の説得力が高い。

エクストラでは製品版のボス戦を先行体験

 今回のデモ版にはステージ攻略のほかに、「エクストラ(ボスバトルチャレンジ)」としてボス戦のみを体験できるモードが用意されている。

 登場するのは「断罪の歌劇団長」というボス。紹介文には「拷問に理想を託した美しき貴婦人。悲鳴と嘆きに耽溺し、悲惨な舞台を演出し続け最後には自ら悲鳴の緞帳を降ろし生涯を閉じた」と記されており、"なれの果て"がそれぞれ背景となる物語を抱えているという設定が、紹介の段階から示されている。

 このモードでは、ステージ攻略では使えなかった2種類のアクションが解禁される。1つは「霧煙る躱身」。身体を黒い霧に変えて前方へ跳ぶ空中回避で、発動中はほとんどの敵や攻撃をすり抜けられる。もう1つの「インクの記憶」は、インク瓶が持つ記憶を呼び起こして力を引き出すというもので、使用回数とクールタイムが設定された特殊攻撃にあたる。今回使用できたインクでは、ヤギ型のオブジェクトが出現して前方の敵に大ダメージを与えることができた。

 肝心の戦闘は、道中のボスとは比較にならない手強さだった。距離を取れば遠距離攻撃を主体に攻めてくる一方、接近して攻撃を叩き込もうとすればノックバック効果を持つ技で引き剥がしにくる。

 さらに体力が一定以下になると行動パターンが切り替わり、プレーヤーを悩ませてくる。筆者は5回の敗北を経て撃破でき、決して易しくはないが、パターンを解き明かしていく過程そのものが楽しく、負けても再挑戦させる引力があるのは間違いない。

 骨太な探索型2Dアクションとしての手応えと、2Dと3Dを往復する構造の新規性。この2つが噛み合うことで、本作は既存のメトロイドヴァニアとは異なる感触を持った作品に仕上がりつつある。デモ版で獲得できた3種類のアクションから察するに、製品版ではさらに多彩な能力が用意され、探索の幅も段階的に広がっていくのだろう。

 コレクション要素も確認でき、やり込みの面でも期待が持てる。歯ごたえのある2Dアクションを求めるプレーヤーは、実際に本作の手触りを確かめてみてほしい。