インタビュー

考え込む時間を生むゲーム体験。「シュレディンガーズ・コール」開発者インタビュー

4年半の試行錯誤の中で完成した新感覚ADV

【シュレディンガーズ・コール】
5月28日 発売予定
価格:2,480円

 集英社ゲームズは、Nintendo Switch/PC用絵本を読んでいるかのように、優しさに包まれる感覚のノベルアドベンチャー「シュレディンガーズ・コール」を5月28日に発売する。今回は本作のパブリッシャーである集英社ゲームズ、開発チームのアクロバティックチリメンジャコにインタビューを行なった。

 「シュレディンガーズ・コール」は世界最後の話し相手である主人公「メアリ」が、世界が滅亡する際に未練を残したキャラクターたちの話しを聞く物語だ。メアリが記憶が消えつつあるキャラクターたちの話を書き留め、未練の根幹を紐解いていく。ゲームの詳細についてはプレビュー記事を掲載しているので合わせてチェックしてほしい。

 今回発売に先駆けて発売元の集英社ゲームズのシニアプロデューサー林真理氏(以下:林氏)、開発元のアクロバティックチリメンジャコのディレクターのAchabox氏、エンジニア・サブシナリオのame氏、シナリオ・音楽担当の入交星士氏にインタビューすることができた。本作の開発の経緯や本作への思いなどたくさんのことを伺うことができたので、紹介したい。

左から集英社ゲームズ シニアプロデューサー林真理氏、アクロバティックチリメンジャコ ディレクターのAchabox氏、エンジニアのame氏、シナリオ・音楽担当の入交星士氏
【シュレディンガーズ・コール 2nd PV】

「世界最後の話し相手」から始まった、答えのない感情をゲームにする4年半の挑戦

――まず、そもそもの制作の経緯からお聞きしてもよろしいでしょうか。

林氏:元々、集英社ゲームズでは「集英社ゲームクリエイターズCAMP」という、インディーや小規模開発者を支援するWebサイトを運営していまして、そこではクリエイター同士が出会い、チームを組むような活動をしています。

 その中で、「次のステップとして公募をやってみよう」という話になりまして、「ゲームを作ったことがない人でも大丈夫です。企画書だけで応募してください」という形で募集を行ないました。

集英社ゲームズのシニアプロデューサー林真理氏

 そこで応募してきてくれたのが、「アクロバティックチリメンジャコ(Acrobatic Chirimenjako)」というチームでした。僕も含めたプロデューサー陣で審査を行ない、大賞を受賞した作品が、この「シュレディンガーズ・コール」になります。

 Achaboxさんと、入交さん、そして別のプログラマーの3人チームだったんですが、途中でエンジニア担当の方が他の仕事で忙しくなり、抜けることになりました。そこで「新しいエンジニアを探そう」ということでサイト上で募集を行なったところ、応募してくれた中にameさんがいました。

 ameさん自身もゲーム開発経験はありませんでしたが、入交さんも舞台や映画畑の方だったので、ゲーム制作経験はほぼゼロだったんですが、「この3人でやってみよう」ということでスタートしたチームです。

Achabox氏:本当に何もわからない状態でした。

――ゲームを本当に作ったことがない方々と、一緒に作り始めた作品だったんですね。

林氏:でもゲーム自体はみんな大好きでしたので、研究や勉強をしながら、4年半くらいかけて完成に至りました。最初は本当に企画書しかなくて、コンセプトしか決まっていませんでした。どんなゲームになるかも定まっていない状態から「どう作っていくか」を模索していました。

 また、オフィスもなかったので「まずどこで作業する?」というところから始まりました。当時は会社ですらなかったので、契約のために「まず法人を立ち上げます」というところから一緒にやっていった感じです。

――本当に、企画書から始まったんですね。

林氏:そうですね。企画書から始まって、起業して、ゲーム制作へ進んでいきました。

――その企画書に書かれていたのは、どのような内容だったのでしょうか。

林氏:電話越しに相手と会話をしながら、その人を救っていく物語というコンセプト自体は、最初から書かれていました。

Achabox氏:「世界最後の話し相手」という女の子「メアリ」がいて、知らない人たちから電話がかかってくる。その“心残り”を救うゲームを作りたい、というのが根幹でした。企画書自体は6~7枚程度しかない、本当にシンプルなものでした。

 イメージ映像や、「こういう作品を作りたい」というインタビュー動画も自分たちで制作して提出しました。

アクロバティックチリメンジャコのディレクターのAchabox氏

――「シュレディンガーズ・コール」というタイトルから、“シュレディンガーの猫”を連想したんですが、電話を取るまで相手の状態がわからない、あるいは生きているのか死んでいるのか曖昧である……そういった要素と繋がっているのかな、と感じました。そもそもの発想の根幹はどこにあったのでしょうか?

Achabox氏:やっぱりコロナ禍が大きかったと思います。

 企画書を作っていた当時、親族などを亡くしたりしていて、自分の人生の中でもかなりつらい時期でした。しかもコロナで人に会えない状況だったので「誰かに相談したい」、「話を聞いてほしい」という感情が強くありました。それと同時に亡くなった親族の隣に家族が寝ていて、きっと親族を思い出して語りかけているんだろうなという状況を見てきました。

 そんな状況のときに「世界最後の話し相手」というメアリのイメージが頭の中に強く浮かんできました。「この女の子が誰かの話を聞いてあげる物語を作りたい」、「作らなければいけない」そんな気持ちが強くありました。

――この物語はどうやって組み上がっていったのでしょうか。

林氏:テーマ自体は実は一番最後に収束していきます。全ての章が最後の章に関わってきます。その中で逆算をしていろいろ生まれてきました。いくつかのテーマを作っていく中で、たくさん書いてたくさん捨ててを繰り返し、どのような話を作っていくかを考えてきました。その中で一番自分たちがやりたかったものを表現できているものが残ってきたという感じです。実はその最初から決まった手順で作ったというよりも、死ぬほど捨てたシナリオがある中で洗練されて残ったのが本作です。

Achabox氏:2章には1章と違うギミックがあったり、3章ではメアリの見方が変わるなどを加味したうえでキャラクターが置かれています。

――4年半という長い期間、コンセプトを練り続けながら開発していたとのことですが、やはり衝突もあったのでしょうか?

Achabox氏:めちゃくちゃありました。価値観がぶつかるので、「俺はこう思う」、「いや私は違う」ということは、本当にたくさんありました。

林氏:3人ともディレクター気質なので、それも1つの原因かと思います。

 形式上はアチャさん(Achabox氏)がディレクターなんですが、全員が自分の表現を持っているので、意見が真っ二つに割れることが多かった。しかも3人という人数が厄介で、1対1対1になると誰も折れない。

 そうなると僕が「林さん、どう思います?」って呼ばれました(笑)。集英社ゲームズとしても、ただのクライアントではなく、一緒にチームとして作っている感覚が強かったです。

 京都と東京だったので、基本はビデオミーティングだったのですが、週1~2回、1時間の予定の会議が気づけば3時間になっていることもありました。Slackでも毎日のようにやり取りしていました。

Achabox氏:仲が悪かったわけではないです。でも、本当に言い合いはしていました。

林氏:自分たちのチームではクライアントというよりもマンガなどの編集に近い感覚で接していたと思います。ゲーム会社の上下関係というよりは、作家と編集の距離感に近い感覚ではないでしょうか。

 例えば今回、「シュレディンガーズ・コール」がブラジルの展示会「gamescom latam」で部門ノミネートされたんですが、入交さんが「現地に行きたい」となったときもプロデューサーが同行して、一緒にブラジルまで行きました。そういう意味でも、“チームとして一緒にやっている”感覚がかなり強かったです。

――集英社ゲームズさんとアクロバティックチリメンジャコの皆さんでどんな話し合いがあったのでしょうか。

入交氏:僕たちはとてもゲームが好きです。

 だから「ゲームっぽさ」もすごく入れたかった。でも、集英社ゲームズ側からは「普通のゲームにならなくていい」と言われ続けていました。

 結果的に、ノベルゲームでもないし、アドベンチャーでもない、言葉にしづらい作品になりましたが、それが逆にこのゲームらしさになったのかなと思っています。

アクロバティックチリメンジャコのシナリオ・音楽担当の入交星士氏

ame氏:「答えがないこと」をゲームにする、というのが本当に難しかったですね。

アクロバティックチリメンジャコのエンジニアのame氏

Achabox氏:「心残り」とは何なのか、それをどうゲームとして成立させるのかというところから悩みました。

 普通のゲームなら「敵を倒す・勝つ・稼ぐ」といったわかりやすい目的があります。でも「シュレディンガーズ・コール」はそうじゃない。だからこそ、ゲームとして成立させるための調整は、本当に大変でした。

入交氏:実は僕たち3人の方が、「もっとゲームっぽくしたい」って思っていました。相手を説き伏せるようなパートを入れたいとか、パズルのようなものを入れたいと考えていたこともありました。ゲームなんだから、もっとゲームらしくしようと思っていました。

 でも集英社ゲームズ側からは「君たちは、別の方向性で勝負した方がいい」と、むしろ止められる側だったんです。世間のイメージとは逆かもしれないですね。

林氏:「ゲームってこういうものですよね」っていう要素を入れ始めると、急に普通になってしまう。だから、「別に無理にゲームらしくしなくていい」と、ずっと話していました。その結果、ノベルゲームでもないし、アドベンチャーゲームとも言い切れない、独特な作品になった。でも、それがこのゲームらしさなんだと思います。

 インタラクティブアートは「考えさせられる」けど、ゲームとして面白いとは限らないです。でも「シュレディンガーズ・コール」は、ちゃんとゲームになっている。プレーヤーが選択し、悩み、感情を動かしながら進められる。そこは、作品である以前に、ゲームとして成立させたかった部分でした。

救うとは何か……プレーヤー自身の感情と記憶を問いかける

――実際にプレイしてみると、自分の見たくない部分を突きつけられる感覚がありました。

ame氏:皆さん、どこかしらで「自分に刺さる部分」があるみたいで、そこで1回ゲームを止めて考え込む方も多いです。

 ただ、このゲームで一番コンセプトが表れているのは最後の章です。最後はまた大きく印象が変わるので、ぜひ最後までプレイしてほしいです。

Achabox氏:本当に、人によってダメージを受ける章が違います。例えばクリエイター系の人だと、2章がかなり刺さる。漫画家になりたいとか、音楽で生きたいとか、何かを作ろうとしている人には特に重いと思います。

ame氏:逆に1章は、親子関係とか、社会人としての悩みを抱えている人に強く刺さることが多いですね。3章はまた方向性が違ってきます。

――プレイしていて感じたのは、メアリという主人公を通して、プレーヤー自身が試されているような感覚でした。

ame氏:かなり近いですね。最終的には……と言いたいところなんですが、そこはまだ言えないです(笑)。

Achabox氏:重たい話を聞き続けるって、普通に考えたらしんどいです。でも、それをゲームとして成立させるにはどうすればいいのか。“寄り添う”って何なのか。“話を聞く”ということは、どういうことなのか。そこは最後まで、本当に悩み続けた部分でした。

入交氏:このゲームは、プレーヤー自身の感情を借りて成立しています。だから、同じシーンでも、人によって全然違う受け取り方になる。きっとプレーヤー自身の経験や記憶を、どこかで重ねてしまうからだと思います。

――選択肢が非常に多いゲームですが、「どちらを選べば正しいのだろう」と悩む場面がかなりありました。

入交氏:このゲームは、「絶対的な正解」と「絶対的な不正解」が、あまりないです。プレーヤー自身の倫理観とか、価値観とか、「自分だったらどうするか」が問われる作りになっています。しかも、選んだ内容は内部的に記録されていて、後半で“自分が選んできたもの”として返ってくる。だから、単純な分岐ではないです。

林氏:エンディングはひとつです。だけど、「自分が何を選んだか」は確実に残ります。

Achabox氏:最後に、自分で選んだことを突きつけられる感覚があります。だからこそ、“どっちが正しいんだろう”じゃなくて、“自分が本当にそう思うか”で選んでほしいですね。

――このゲームでは、「記憶を失っていく」というテーマも印象的でした。

Achabox氏:そこは初期からずっとあったテーマでした。会話をしながら、失われた記憶を取り戻していくゲームにしたい。でも、どうやってそれをゲームとして成立させるかは最後まで難しかったです。たとえば、仮に月が世界に落ちて死ぬとなった時に、記憶は多分なくなるというよりも全部塵のように吹き飛んでしまうと思っています。でも、人は「忘れたくない」という感情だけは残る気がしています。

 「あの時こうしたかった」、「伝えたかった」、「話したかった」そういう気持ちが心残りとして残って、だからこそメアリに電話をかけるんじゃないか、と考えていました。

 本当は思い出さない方が幸せな記憶もあると思います。でも、それでも思い出したい。手放したくない。その矛盾が、人間らしいなと思っています。「シュレディンガーズ・コール」は、人間の矛盾を描いているゲームなんだと思います。

――作中では、「相手を救う」という表現が何度も出てきます。ただ、プレイしていると「救うって何なんだろう」と考えさせられました。

ame氏:それは、本当に最後まで悩んでいたテーマでした。例えば、相手を忘れさせることが救いなのか。全部思い出させることが救いなのか。どっちが正しいのか、僕らもわからなかった。だから、このゲームでは「これが正解です」とは言っていません。

Achabox氏:「寄り添う」って、綺麗事だけじゃないと思います。相手の傷に触れないといけないときもあり、思い出させないと前に進めないこともある。でも、それが本当に相手のためなのかはわからない。このゲームは、そういう曖昧さを残したかったんです。

林氏:最後までプレイすると、多分、人によってかなり感想が変わると思います。「救われた」と感じる人もいるし、逆に苦しくなる人もいる。作品側が全部答えを決めてしまうより、プレーヤー自身がどう感じたかを大事にしたかったので、それでいいと思っています。

――実際にプレイ後、数日経ってから急に思い返す瞬間がありました。

Achabox氏:それは、すごく嬉しいです。遊んでいる瞬間だけじゃなくて、日常に戻った後でふと思い出すような作品にしたかった。例えば、夜中に急に誰かのことを思い出したり、昔の後悔を考えたり。「シュレディンガーズ・コール」って、そういう感覚に近い作品かなと思っています。

「少し立ち止まって考える時間」を大切にしたゲーム性

――作中では、キャラクターたちが独特な言葉を話していますよね。日本語ではあるけれど、どこか抽象的で、不思議な感覚があります。

Achabox氏:最初は普通にフルボイス案もありました。でも、実際に入れてみると、演技によって答えが決まってしまう気がしました。

 このゲームって、プレーヤー自身が感情を補完することで成立しています。だから、「こういう感情です」と断定したくなかった。ユーザーさんに想像してほしいと思った結果、セリフ逆再生にしてノイズ加工を使った、意味はわからないけど感情だけ伝わるような音声表現になりました。

林氏:そういう意味では映像やビジュアルでも「全部は説明しない」ということを大切にしています。なぜメアリがあの部屋にいるのか、なぜ外へ出ようとしないのか。ちゃんと理由はありますが、プレーヤー側が想像できる余地を残したかった。音楽も映像も、全部そういう方向で作っています。

 仕様書通りに作るのではなく、「一回作って、違ったら捨てる」を延々と繰り返してきたチームなんです。映像も、音楽も、シナリオも、全部そうでした。設計図通りにものを作るという真逆のことをやってきたと思います。

 大規模開発では絶対にできないやり方だと思います。でも、この3人だからできたことだと思います。

――独特なゲームシステムですが、制作にあたっては既存のアドベンチャーゲームなども研究されたのでしょうか?

入交氏:いろんなゲームを研究しました。アドベンチャーゲームとノベルゲームの違いや選択肢がどう機能するのか、「話す・聞く」みたいなシステムなどです。実際によくあるものに近いものをやってみようと試していた時期もありました。

 でも、いろいろ試した結果として「最終的には今の形になりました」という部分もすごく多くて。だから結果的に、ちょっと変なものというか、変わった作品になっていると思います。それでも、アドベンチャーゲームのようにしようとしていた名残みたいな部分は、かなり残っています。

Achabox氏:たぶん、「言葉にできないもの」を作ろうとしていたんだと思います。だから、ジャンルとしても簡単には分類できない作品になった。でも、それで良かったのではないかなと思っています。

 ゲームの中には「敵を倒す」や「クリアする」といったわかりやすい快感がある。でもこの作品は、“寄り添う”ことをゲームにしようとしている。「相手の話を聞き続ける」という行為を、どうやってゲームとして成立させるのか。そのバランスは、本当に何度も調整しました。「これは本当に思い出させるべきなのか?」、「傷つけるだけではないのか?」そういう議論を何度も繰り返していました。

――演出面についてもお聞きしたいのですが、プレイ中、画面構成や音の使い方がかなり独特でした。

林氏:テキストや場面に合わせて曲が急に変わるというのは、入交さんが脚本を書きながら、スクリプトで文字を入れつつ、映像を作りながら、音楽も自分で作曲しています。それで「違う」と思ったら捨てて、また作り直す、というのをずっと繰り返していました。

 自分たちが表現したものに対して、プレーヤーがどう感じるのか、どう感情移入して乗ってくれるのか。そして、それに対してこちらがどうもう一度返していくのか。そういうやり取りを、ずっと繰り返しているゲームです。

入交氏:UIも含めて、気持ちよく遊ばせすぎないことは意識していました。もちろんストレスを与えたいわけではないんですが快適すぎると、この作品で描きたい感情から離れてしまう気がしています。

Achabox氏:例えば電話のノイズもそうですね。最初はもっと聞き取りやすくなっていました。でも、それだと情報として整理されすぎてしまう。「何を言っているのか完全にはわからない。でも感情だけは伝わってくる」という距離感をすごく大事にしていました。

――本作では、あえて“立ち止まって考える時間”を作ろうとしているようにも感じました。制作において、プレーヤーとの距離感や体験設計はどのように意識されていたのでしょうか?

林氏:最近のゲームは基本的にすごく親切なものが多くなってきた印象です。次に何をすればいいか全部表示されたり、ストレスなく遊べるよう設計されている。でも、「シュレディンガーズ・コール」は“少し立ち止まって考える時間”を大切にしたかった。だからあえて、不便さや、余白を残している部分があります。

Achabox氏:このゲームは、プレーヤーが黙り込む瞬間があります。実況配信を見ていても、急に喋らなくなることがある。それがすごく印象的でした。

 普通のゲーム実況って、ずっとリアクションが続くじゃないですか。でも、このゲームは途中で「考え込む時間」が生まれる。あれは作っていてすごく嬉しかったですね。

林氏:最初の企画書に書かれていた、「世界最後の話し相手」という言葉は、最後までブレませんでした。ゲームシステムも、演出も、音楽も、全部そこに向かって作っていた。だから、完成した今振り返ると、「本当にあの企画書のままここまで来たんだな」と思います。

――最後に、発売を待っているプレーヤーへメッセージをお願いします。

Achabox氏:このゲームはあまり「重たい作品」だとか、「真面目に向き合わなきゃいけない作品」と構えずに、気軽に遊んでもらえたら嬉しいです。

 実は、私たち自身も長いテキストを読むのがそこまで得意なタイプではないです(笑)。なので、アドベンチャーゲームをちょっと触ってみたいくらいの感覚で遊べるものを意識して作っていました。

 そして、このゲームに込めたメッセージそのものは、最終章にすべて詰め込んでいます。1章から4章までは、そのために積み重ねてきた部分でもあります。4年間お待たせした作品なので、ぜひ最後まで楽しんでもらえたらと思います。

ame氏:1シーンごとに「お客さんにどう感じてほしいか」を試行錯誤しながら作ってきました。言いたいことや込めたものはすべてのシーンに詰め込まれています。とはいえ、それを深く考えすぎる必要はなくて、自由に楽しんでもらえたら嬉しいです。

 「なるほど、そういう考え方なんだ」くらいでもいいですし、「でも自分はこう感じた」という受け取り方でも全然いい。プレイしてくれる人、それぞれの気持ちこそが、このゲームにとって一番大事なものだと思っています。

入交氏:少し変わったストーリー重視のインディーゲームが好きな人には、ぜひ遊んでほしいです。独特な空気感のゲームが好きな人には特に刺さると思います。ちょっと変わった作品が好きという人に向けた作品です。

林氏:4年半、本当に試行錯誤を続けてきた作品です。ゲームとしてはかなり特殊ですし、人を選ぶ部分もあると思います。心の蓋を開けたり閉めたりしながら、一喜一憂していただきたいなと思います。

 でも、どこかで誰か一人の心に強く残る作品になれたら、それ以上嬉しいことはないです。

――ありがとうございました。