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スクエニ、「FFXIV: 新生エオルゼア」発売記念発表会を開催

吉田氏「皆さんと共に『FF』という名のテーマパークを目指して、長く運営を続けていきたい」

 スクウェア・エニックスは、本日8月27日より正式サービスを開始したプレイステーション 3/Windows用MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」の発売記念発表会を開催した。発表会にはプロデューサー/ディレクターの吉田直樹氏をはじめ、スクウェア・エニックス代表取締役社長の松田洋佑氏らが登壇し、最新トレーラーと共にリローンチ(再始動)を祝った。なお、本日はこの後、ユーザーに向けて発売記念イベントも開催される予定となっている。こちらは後ほどお伝えしたい。

【「FFXIV: 新生エオルゼア」発売記念発表会】
「FFXIV: 新生エオルゼア」発売記念発表会では多くの関係者が詰めかけ、お祝いムードに包まれた

万感の思いがこもった発売記念発表会。歴史的なリローンチが成就

スクウェア・エニックス代表取締役社長 松田洋佑氏

 発表会では、ストーリークエストのカットシーンの名場面をちりばめたストーリートレーラーを初上映したあと、松田社長をはじめ、各社の代表者がお祝いの言葉を述べ、その後、ヒカリエで行なわれている「EORZEA MIRROR」の紹介、質疑応答という流れだった。とりわけ、松田氏、吉田氏の挨拶や、アライアンサー企業の祝辞は、これまでの長年の経緯と、“リローンチ”という極めて珍しい計画の成就に万感の思いがこめられた熱いものばかりだった。本稿ではそのコメントと、発表会の最後に行なわれた質疑応答の内容を中心にまとめておきたい。

スクウェア・エニックス代表取締役社長の松田洋佑氏

「本日『FFXIV: 新生エオルゼア』を皆さんにお届けすることができ、大変感慨深いものがあります。2010年以来、オンラインゲームとしての『ファイナルファンタジー』を再生させるべく、弊社一丸となってこの日に向けて取り組んできました。“すべてはお客様のために”というスローガンで、最高のクオリティ、最高の品質を目指して一丸となって邁進してきました。先日まで行なわれたβテストでは、世界全体で100万人がプレイされ、300時間のプレイ時間を超える人もいました。「FFXI」は10年以上、弊社に多大な貢献をもたらしてくれている。それと同じように「FFXIV」も大きく育ってくれることを確信している。本日よりPC、PS3でサービスを開始します。また、PS4へのマルチプラットフォーム展開も計画しています。さあみなさん、新たな冒険の始まりです。生まれ変わったエオルゼアをプレイして頂き、新しい世界を楽しんで頂ければと思います」

ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア プレジデント 河野弘氏

ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア プレジデント 河野弘氏

「ずいぶん前に吉田さんがSCEのオフィスにお見えになって、『FFXIV』を新生としてリローンチする。根本的にユーザーが納得していただけるレベルにまで作り直すというご説明があった。それを伺った時に、これは大変なことだで、これからどれぐらいの期間を掛けてどのように仕上げていくのだろうと思いましたが、吉田さんの構想とチームの熱意は大変なものがあり、『FF』がユーザーが待っているレベルまでチームを信じて待とうと社内で話したことを覚えています。そのような経緯があった中での正式サービスの日を迎えたわけで、開発の皆さんの努力が報われる形で、アーリーアクセスが世界中から大変なアクセスで大賑わいをしております。SCEのPS Storeで、ダウンロードの予約販売をしているが、過去最高の予約実績が出ています。やっぱり『FF』が持つコンテンツとしてのパワーと、開発にあたった吉田さんをはじめ開発チームの皆さんの熱意は大変なものがあると思いまして、皆さんの努力と熱意に対して心から経緯を評したいと思います。

 『FFXIV』はPS4でもリリース予定です。PS4だとより高品位なグラフィックスと、PS Vitaのリモートプレイで遊んだり、PS4ならではの楽しさを提供できると考えています。PS4版が出ますよという話をすると、ユーザーさんの中にはじゃあPS4まで待とうかと心配される方もいるかもしれませんが、その心配はまったくありません。PS3はPS4で引き継いでいけますし、PS3版を購入しても後悔しないように何らかの仕組みを用意することをスクエニとSCEの間で相談しているところです。ですので、PS3ユーザーもPS3版で思う存分「FFXIV」を楽しんでいただいて、PS4に引き継いでいって欲しいというのが我々の願いです。様々な経緯があって本日を迎えたわけですが、SCEとしても全面的に『FFXIV』をプレイステーションを代表するタイトル、日本を代表するタイトルとして全面的にバックアップをさせていただきたいと考えています。最後にSCEとスクエニさんとで共同製作したテレビCMを公開します。来週から放送されるもので、今日が初出しになります。スクウェア・エニックスの皆様、本日はおめでとうございます。

【「FFXIV: 新生エオルゼア」新テレビCM】

日本マイクロソフト コンシューマー&パートナーグループ 統括本部長 金古毅氏

日本マイクロソフト コンシューマー&パートナーグループ 統括本部長 金古毅氏

 「『FFXIV: 新生エオルゼア』の発売開始誠におめでとうございます。弊社とスクエニさんとは強力なパートナーシップで結ばれておりまして、Windows、Windows Phone、そしてXboxにゲームタイトルを供給していただいている。私どももオンラインゲームの市場拡大に全社を挙げて取り組んできましたが、この度、スクウェア・エニックス様より、全世界で展開可能な新しいMMOの発売を心から喜んでおります。4月の下旬にニコニコ超会議があり、そこで共同出展させていただいた。そこで『FFXIV: 新生エオルゼア』について非常に大きな手応えを感じておりました。我々はOSベンダーとしては有名ですが、それ以外にマウス、キーボードもリリースしておりまして、我々の製品も『FFXIV』推奨のハードとして対応しており、大きな期待を持ってこの日に望んでおります。

 おかげさまでWindows 8のリリースより1年弱が経過しましたが、Windows 8はその起動速度の高速化、使用メモリ削減、強力なセキュリティということで、最新のオンラインゲームを最適な形でプレイして頂くためのOSに仕上がっております。これから色々とパートナーと一緒にキャンペーンを予定しております。Windowsプラットフォームは今後も推奨PCをパートナーさんと一緒に出していきますし、独自の世界観で楽しみたい方に対しては、自作PCという市場への支援もしていくつもりです。日本マイクロソフトとしては最新のOSと最新のハードで、素晴らしい世界観を楽しんでいただきたいと考えております。私自身もそのクオリティの高さに感動している。今後もお客様が安心して『FFXIV: 新生エオルゼア』をお使い頂ける環境作りを整えて参りたいと思っております。本日は誠におめでとうございます」

インテル 取締役副社長 宗像義恵氏

インテル 取締役副社長 宗像義恵氏

 「『FFXIV: 新生エオルゼア』の発売おめでとうございます。新製品の発表と言うことで、私自身、ワクワクしておりまして、非常に期待値も高いです。インテルは、スクエニさんと一緒にゲームにおけるユーザー体験の向上を目指して、様々な技術供与をさせていただいています。特にCPUのパフォーマンスの向上によって得られる、さらなるユーザー体験の向上、そしてソフトウェアの最適化、こういったものによって『FFXIV』の精緻な世界観の表現やユーザー体験の強化に貢献することができておりました。

 『FFXIV』の素晴らしい世界観をより多くのお客様にご体験いただけるように、今回特にスクエニさんと取り組んだのはインテルが提唱しているUltraBookに対応する最適化作業です。『FFXIV: 新生エオルゼア』が、我々の第4世代のCoreマイクロプロセッサーファミリー(Haswell)に対応して、ユーザーがより快適に楽しめる環境を提供することが可能となりました。こちらの最適化にあたってはインテルのUS本社にあるラボが協力して、本社を挙げて開発に取り組みました。第4世代のCoreマイクロプロセッサーファミリーが搭載されたUltraBookは薄型、軽量、洗練されたデザイン、高い電力効率、それでいてなおかつグラフィックスの性能が高くなっております。すべてのユーザーが満足する高いグラフィックスパワーを実現しており、ゲーム体験を満喫して頂きたいと考えております。インテルは今後もスクエニさんとこれからもエンドユーザーさんにワクワクするような感動を味わっていただけるような作品作りへの協力関係を深めていきたいと考えておりますのでご期待下さい。本日は『FFXIV: 新生エオルゼア』の発売誠にありがとうございます」

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクター吉田直樹氏

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクター吉田直樹氏

「『FFXIV』の開発総指揮を引き継いでから3年近く、『FFXIV: 新生エオルゼア』の制作を発表してから約2年が経過しましたが、世界中のファンに支えられてこの日を迎えることができました。予約者に対して提供しているアーリーアクセスでは、全世界合わせて40万人が寝食を忘れて『FFXIV: 新生エオルゼア』をプレイして頂いている。それを含めて本日正式サービスをスタートできるということで、本当に嬉しく思っております。

 『FFXIV: 新生エオルゼア』は、『FF』の正当な最新作であり、オンライン専用のMMORPGという野心的なジャンルのゲームになっています。オンライン専用となっても変わらず『FF』らしく世界最高峰のグラフィックス、ストーリー、ゲーム体験をご用意させて頂きました。どうぞ新しい冒険の世界に足を踏み入れていただければと思います。関係各社様に厚く御礼申し上げます。

 本日PS3版、Windows PC版の発売を迎えたわけですが、さらに来年PS4への対応、それからDirect X11対応、4Kテレビへの対応など、今後もご支援を頂きつつ、野心的にこのタイトルを発展さえていこうと考えております。『FFXIV: 新生エオルゼア』はオンラインゲームであり、常に最新の内容にアップデートされます。プレーヤーの皆さんと共に『FF』という名のテーマパークを目指して、長く運営を続けていきたいと考えております。これからも末永くよろしくお願いいたします。

 今日という日を迎えた喜びを全身で感じています。今日がゴールではありません。ひとつの通過点。世界中の皆さんと共に作り上げるFFとして5年、10年、皆さんに愛されるタイトルになれるよう初心を忘れず頑張っていきたいです」

吉田直樹氏への質疑応答

――「FFXIV: 新生エオルゼア」を通じて伝えたいオンラインゲームの魅力とは何か?

吉田氏:我々が作り上げたエオルゼアという世界を、世界中様々な、言語、価値観の違う人々と世界を共有しながらコミュニケーションを取って遊べるのがオンラインゲームの魅力ですし、おもしろいところ。逆にそこが敷居が高いと感じられるポイントにもなっていますが、メディアさんに対しては「FFXIV: 新生エオルゼア」では、いつもの『FF』のつもりでプレイして下さいと答えています。コミュニケーションを取らずとも、家庭用ゲーム機と同じように遊ぶことができるようになっています。これまでのオンラインゲームでは、パーティーを組んでというところがコミュニケーションを取らないと難しかったところですが、「FFXIV: 新生エオルゼア」ではコンテンツファインダーを実装することでこの問題を解決しています。今回は何より若いジェネレーションのオンラインゲームを未経験の方に遊んで頂いて、徐々にオンラインゲームを素晴らしさに触れていって頂ければと思います。

――「FFXIV: 新生エオルゼア」で実施した施策についてどのように評価しているか?

吉田氏: 1番わかりやすいのは数字という結果です。松田からも数字のアナウンスがあったように、フェーズ3で100万人を超える応募があって、その大部分の方にプレイして頂いた。フェーズ3では、データが削除されるクローズドβテストという環境であるにも関わらず、50万人以上がプレイして頂き、その平均プレイ時間が30時間を超えるというほど熱中をしていただきました。そのままテストが終了して、1カ月フィードバックを反映させてOBTフェーズ4を実施させていただいたが、フェーズ4では登録したら誰でもプレイできたが、最終的にはワールド増強しつづけるぐらいの大盛況でした。そのままデータを引き継いで、いま40万人を超えるユーザーがこの瞬間もプレイしている。お店ではこれから発売されるので、さらなるプレーヤーの皆さんにプレイして貰えるのではないか。リローンチという珍しいタイトルだが、今のところ、非常に好調な滑り出しと言えるのではないかと思います。

――再開発に至った経緯

吉田氏: 2010年9月30日にWindows PCで正式サービスを切ってる。世界的に注目集めていたが、プレーヤーの皆さんから失望したという声が多かった。ブランドとして大きく傷ついたタイトルになってしまいました。2010年12月3日に全権を引き継いで調査を行ない、根本的に問題だったのは、プレーヤーの体験が、「FF」と呼べる品質に達していなかったことです。オンラインゲームなのでアップデートの中で納得する到達するクオリティに達成することができるかどうか寝ないで調査し、考えた結果、これではいけないということで、世界でも類を見ない同名タイトルとして作り直す。しかも運営を継続しながら、しかも実はその裏ではまったく違うゲーム体験をお届けするゲームを作るという決断に至りました。

――なぜ「FFXV」ではなく「FFXIV」として再開発をしたのかその狙いは?

吉田氏: なぜ「FFXV」ではなく「FFXIV」にしたのか。「FF」シリーズ26年という、世界でも類をみないロングヒットタイトルになっております。特に世界中に数多くの熱心なファンがいるタイトルです。スクウェア・エニックスにおける大きな柱の一本が、プレーヤーの期待に応えられるタイトルではなくなっていました。その時点で「FFXIV」のサービスを止めて、新たに作り直して「FFXV」を出しても、おそらく「もう信用できないよ」となるのではないか。それぐらいダメージが大きかったんです。我々は、「FF」シリーズは絶対にギブアップしない。もう1度プレーヤーの皆さんの信頼を取り戻すために、同名タイトルでの作り直し、リローンチを実施した。この間、すべての情報をプレーヤーの皆さんに開示しながら、それによって少しずつ信頼を取り戻して今日に至っております。この判断はビジネスを切り捨てるのではなく、「FF」の未来のために、そういった施策を採ることが「FF」ブランドの信頼回復、商業的な成功の近道になるのではないかと考えました。

――コンソールゲームがソーシャルゲームに食われている現状、「FFXIV: 新生エオルゼア」というハイスペックのゲームを出すことと絡めてどのように考えているか?

吉田氏: ハイスペックというお話がありましたが、「FFXIV: 新生エオルゼア」は、インテル様からも話があったように、非常にレンジの広いPC、そしてPS3で動作するようになっています。どこまでロースペックで動くかというと、今では購入できないCore 2 Duoですら快適に動きますし、マイクロソフトさんのSurface Proでも動くところまで最適化を進めています。これまでハイデフ機というと、限られた環境の中でプレイするという感じだったが、そのビジネスだとどんどん狭い領域に入っていってしまいます。そのため「FFXIV: 新生エオルゼア」では、できるだけ多くの世界中のプレーヤーのハードウェア環境に適合するように作っています。

 もちろん、ハイスペックにこだわってもいいです。今回も4Kテレビでのデモも行なっていますし、ゲーム環境に数百万円掛けて頂く方から、Surface Proでプレイされる方まで、我々としてはひとりでも多くの方がプレイできるように、幅広い環境に対応しようとしています。実際、来週あたり、現在審査中ですが、スマートフォンアプリもリリースします。これはゲームが遊べるわけではありませんが、ゲームの中のデータを、外から閲覧したり、たとえば電車の中からアイテムを確認して、今日の冒険の内容を決めたり、そういった施策もはじめています。今はハードという時代ではなく、皆さんがお持ちのデバイスの中で、どうやってゲームを動かしていくのか。そこにニーズがあるのであれば、そこに答えていくのが我々のビジネスです。「FFXIV: 新生エオルゼア」は先ほども申し上げたとおり、5年10年続けていこうと思っております。そういった環境にも野心的にも対応していくつもりなのでどうぞご期待下さい。

【PS3/Windows版試遊コーナー】

【4Kテレビでのデモ】
4Kテレビが実現する3,840×2,160ドットという超高解像度によるデモンストレーション。NVIDIAのハイエンドGPU「GeForce GTX TITAN」3枚差しによって60フレーム表示を実現している。2枚では50フレーム程度しか出すことができず、吉田氏がダメ出しをしたという。吉田氏の言う数百万円のゲーム環境とはまさにこのことだ
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(中村聖司)