スクエニ、「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」を発表

“世界崩壊までの13日”を生きるライトニング最後の物語
会場限定で公開された実機映像のレポートも掲載


9月1日 開催

会場:渋谷ヒカリエ


 株式会社スクウェア・エニックスは、9月1日、2日に東京の渋谷ヒカリエで開催中の「FINAL FANTASY展」にて、「FINAL FANTASY XIIIプロジェクト新展開プレゼンテーション」を行なった。このプレゼンテーションでは、ライトニングが織りなすサーガの“新たな作品”にして“最終章”となるタイトル「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」を公開した。本稿では、その詳細をお伝えしていこう。




■ 「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」を2013年発売予定!!
  アクション寄りの新バトルシステムを搭載したライトニング最終章を描く最新作

プレゼンテーション全体の進行役を務めたプロデューサーの北瀬氏

 プレゼンテーションにはシリーズプロデューサーである北瀬氏をはじめ、ディレクターの鳥山氏、メインプログラマーの浜口氏、アートディレクターの上国料氏が入れ替わりに登場し、この日発表した「FFXIII」シリーズの新作タイトルについて、スライドを交えつつ紹介していくプレゼン形式で紹介していった。

 北瀬氏に続いて登場したのは、新作品全体のコンセプトをプレゼンするディレクターの鳥山氏。鳥山氏は、まず新作のキーワードに“ライトニングの復活”という言葉を紹介し、「FFXIII」、「FFXIII-2」で展開された物語を映像で振り返った。そして、この2作を超えるさらに強いライトニングを、彼女の最後の戦いを描くと続けていく。

 「FFXIII」、「FFXIII-2」の物語を経てクリスタルとなり永い眠りについたライトニング。彼女は数百年の後に目覚め、新たな世界へと踏み出していく。それが、新作「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」(以下、「LRFFXIII」)というわけだ。プラットフォームはプレイステーション 3/Xbox 360で、2013年発売予定となる。

「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」
対応機種:プレイステーション 3、Xbox 360
発売日 :2013年発売予定





■ 作品全体のコンセプトは“ライトニングである”こと、そして“世界を作る”こと

「FFXIII」シリーズのディレクターを務める鳥山氏。「もう1度ライトニングを復活させる」として、今作全体のコンセプトをプレゼンした

・全体のコンセプトその1「ライトニングリターン」

 「LRFFXIII」のコンセプトは2つ。その1つめは、“ライトニングであること、ライトニングを見せること”に、徹底してこだわった作品であるとのこと。“主人公がライトニングであるからこそ生まれるゲームプレイ”として、例えば「光」、「スピード」、「エレガント」といった彼女を象徴するような言葉を体験できるアクションを体験できる作品になるという。

・全体のコンセプトその2「World Driven(ワールドドリブン)」

 もうひとつのコンセプトは「World Driven(ワールドドリブン)」という言葉。オリジナルな造語ということだが、わかりやすく言うと「現実世界のように生きている世界を体験する」というものだ。

 「LRFFXIII」で作られるその世界は、4つの島で構成された“終わりゆく”世界「ノウス=パルトゥス」。世界には現実同様に朝・昼・夕・晩と時間が流れるが、ノウス=パルトゥスは13日後に終わってしまう世界であり、世界の終わりとはその世界に住む人々の死を意味し、それはライトニングの死も意味するという。そんな限られた命の時間に生きる人々ごと世界を作っていく。

 世界崩壊への13日間という限られた時間の中で、何を考え、どう行動するのか。これがプレーヤーに委ねられているゲームになるということだ。


【残された時間がわずかな世界そのものを作り出す】
「World Driven(ワールドドリブン)」というコンセプトを基に、現実世界のように生きている世界そのものを作る。手に持っているのはコクーンをかたどった地球儀ならぬ“コクーン儀”

【現実世界とはFacebookで連携】
普通の地球儀を手に持ち、「現実世界とはFacebookとゲーム機能が連携して楽しめるようになる」と語る鳥山氏




■ ゲームシステムのデザインは「時間の流れ」と「動き続ける世界」、そして「ライトニングのカスタマイズ」

ゲームデザインについてのコンセプトを紹介したメインプログラマーの浜口氏

 メインプログラマーである浜口氏は、「LRFFXIII」ゲームデザインについてプレゼンした。“世界を作る”という言葉から始めた浜口氏は、「LRFFXIII」の世界には、現実同様にルールがあり、それに沿って人々が暮らし、そして変化していくということを紹介した。

・ゲームシステムコンセプト「時間の流れはプレーヤーの行動次第で進むことも戻ることもある」

 まずは“時間の流れ”について。終末時計という時計を手に取って「ただ時間が進むだけでなく、世界に大きな出来事が起きると、時間が進む事もあれば、戻る事もある。それを本作のコンセプトに採用した」と語る浜口氏。具体的には“モンスターを倒すことで時間が戻る”こともあれば、“ライトニングが奇跡を起こすと、その代償として時間が進む”こともあるということだ。

・ゲームシステムコンセプト「動き続ける世界」

 次は“昼夜の変化”。これはRPGではあまり珍しくはないものだが、本作ではより本格的に世界が生きているとのこと。朝がくると世界に暮らす人々は活動を開始し、昼は仕事をしていたり買い物をしていたり。モンスターは身を潜めていて安全に移動できるという。一方で夜になれば、酒場が賑わってモンスターは活発的に行動をし始める。

 また、時間によって開いている門が閉じたり入れなくなる建物があり“行ける場所が変化する”。さらに、本作の移動手段のひとつにはモノレールがあるということだが、それにも発車時刻があり、本数の少ない時間や多い時間があり、深夜になれば終了してしまう(いわゆる終電がある)。

 このように、現実世界同様のレベルで全てのものに時間の影響があるため、その中でプレーヤーがどう行動していくのかが大事になる。


【時間経過によって「動き続ける世界」】
昼夜の概念があるRPGというのは珍しくはないが、本作では人々の暮らしや施設、交通、生態系など、現実世界同様と言えるほどに世界が動いていく

・ゲームシステムコンセプト「ライトニングのカスタマイズ」

 「FFXIII」、「FFXIII-2」と姿や武器が変わっていったライトニングだが、今作では衣装が複数用意されているとのこと。その正確な数字はまだ開発中なので言えないものの、“10種類や20種類という規模ではなくもっと多い”とのこと。

 衣装を変えることでライトニングの能力は変化し、バトルで使用するアビリティも変わっていく(アビリティの変化は検討中)。バトル中に武器や衣装を瞬時に変更し、アクションゲームとはいかないまでも、ボタンのレスポンスの良さを重視したバトルを楽しめることが今作の魅力となっているという。

【ライトニングの衣装によるカスタマイズ】
能力やアビリティが変化するという衣装チェンジよるライトニングのカスタマイズ。その数は“10や20程度ではない”とのことで、かなり多彩なカスタマイズが楽しめるようだ




■ “終わりゆく”世界「ノウス=パルトゥス」の独特な世界観やそこに生きる人々

「LRFFXIII」の世界観についてプレゼンテーションを行なったアートディレクター上国料氏

 アートディレクターの上国料氏は、本作の世界観についてプレゼンを行なった。「LRFFXIII」の世界は前述のように“終わりゆく”世界「ノウス=パルトゥス」。この世界は4つの島で構成されており、上国料氏の解説では、

「海が広がっているが、その先には奈落へと落ちていく滝もある(非常に美しいとのこと)」
「緑の丘陵地帯」
「砂漠」
「遺跡」
「彼岸地帯」
「遠方には“エトロ神殿”」
「さらに彼方の空には“リングをともなったネオコクーン”が浮かんでいる」

 とのこと。気になるキーワードが多く出てきたが、その詳細はまだ明かされていない。


【終わりゆく世界「ノウス=パルトゥス」】

 次に世界の中心にある街「光都ルクセリオ」にスポットが当てられた。「FFXIII」の神話に登場した神様“ブーニベルゼを崇める宗教都市”とのことで、デザインのテイストはゴシックで、メカニカルな要素もミックスされている。光と闇を象徴する白と黒の格子模様が至るところに見られる。

 この街では建物の外に家具や絵画が置かれ、あちこちの道ばたに旅行カバンが放置されているなど、異様さも醸し出されている。

 さらに、この街にある建物やオブジェクト、人々やモンスターが紹介されていったのだが、いずれもこれまでの「FFXIII」シリーズとはひと味異なる印象を受ける。人々のデザインでは、仮面を被り背中には何か装置を背負った宗教人、サイバーな装備を身につけている盗賊など、崩壊していく世界に生きる人々ならではの退廃感を感じさせる。

【「光都ルクセリオ」】

【ライトニングの衣装によるカスタマイズ】
「光都ルクセリオ」の建物や施設、人々などのデザイン。建物では近代的なものもあれば、廃材を使ったスラムのようなものもあるし、人々の価値観や宗教観というものにも、どこか退廃的なものを感じさせる

【モンスターのデザイン】

「LRFFXIII」に登場予定のモンスターのデザイン画が紹介された。モンスターもやはりこれまでの「FFXIII」シリーズとはひと味違うテイストが感じられる




■ PS3版の実機映像を会場限定で公開! バトルでは移動や回避をアクションゲーム的に行なう

 ここまででニコニコ生放送での配信等は終了したのだが、この後に会場限定でPS3版の「LRFFXIII」実機映像が初公開された。公開されたのは開発初期段階のアルファ版の実機映像。グラフィックスの開発度で言えば30%未満というところで、本来ならば見せないような段階の映像だ。そうした段階のものということもあって撮影等は禁止となっていたので、文章でお伝えしていこう。

 光都ルクセリオと思われる街中を歩くライトニングの姿が映る。衣装はもちろんこれまでのシリーズの物とは異なる。本作では“時間の流れ”が非常に大事になっているということで、街中にもたくさんの時計があり、体力ゲージの下にもコンマ単位でカウントが刻まれる時計が常に表示されていた。

 イベントパートに映像が変わったようで、街の建物から吊されている人、そこになにか呪われているかのような禍々しい文字が浮かぶ。このシーンは北瀬氏の解説によると「ライトニングが殺人事件を調査しているところ」だという。

 ジャンプして街中の高低差を乗り越え、屋上らしき場所を飛び移る。犯人グループの集団が移動していくところを物陰に隠れながら尾行していく。事件が時計とともにリアルタイムに進行し、プレーヤーはそれを追っているということだ。また次の日の朝になれば新たな展開も起きるということだ。

 次の映像はバトル関連の映像。装備画面が映り、武器・盾・衣装・アビリティを自由に装着できるようになっていた。画面はフィールドに変わって、モンスターのシンボルにアタックしてバトルへ。従来シリーズに近いエンカウント方式だ。

 バトル画面でのUIは従来のシリーズ作品に近くて、コマンド表示もATBゲージもあった。だが、プレーヤーはライトニング単体を操作していて、アクションゲーム的な操作で移動や回避を行なう。それでいて攻撃方法はATBの流れの中でコマンドを組み立てるということで、RPGとアクションRPGの中間のような印象だ。戦っているモンスター「ベヒーモス」に連続して攻撃が決まり、ノックアウト状態になった(新たなブレイク状態とのこと)。さらに、オーバークロックという時間を止めてラッシュする攻撃が繰り出され、ベヒーモスを倒して映像はフィニッシュとなった。




 新たな要素が多数確認できた映像も上映され、たくさんの拍手で幕を閉じたプレゼンテーションだった。「LRFFXIII」では、時間の流れに沿って生きている人々、動いている施設、限られた世界崩壊までの時間という独特な世界観や理念がある。そこでプレーヤーがどのように行動するのかがポイントとなる。また、バトルではATBも受け継ぎつつ、移動と回避をアクションゲームのように行ない、衣装チェンジによる能力の変化も楽しめる。

 コクーンで普通に暮らす1人の女性だったライトニングが運命に抗い、そして神話に導かれ、ついに今作では数百年の時を経て世界が終焉する時に直面していく。そこで描かれるライトニングの最後の戦い。運命を超え、時間を超えた彼女が最後に目にするものとは? 続報を楽しみに待ちたいところだ。


「LRFFXIII」の世界をイメージして上国料氏が描き上げた油絵。光都ルクセリオと思われる建物の上にたたずむライトニングが描かれているライトニングの声優を務めた坂本真綾さんからビデオレターによるメッセージも。シリーズ作を通じてライトニングを長く演じてきて、さらに今作でも演じられることを喜んでいた

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(2012年 9月 1日)

[Reported by 山村智美]