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「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」イベントレポート
中文版公式ページスタート、日本の開発者に力を与える台湾ユーザーのパワー
(2013/2/3 07:03)
Taipei Game Show 2013のSCETブースで2月2日に行なわれた「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」のイベントでは、本作のディレクターを務めるスクウェア・エニックスの鳥山求氏と、パブリシティプロデューサーの村上洋平氏が登壇した。
イベントではゲームの特徴、中文版のプロモーションムービー、さらにイベントと同時に公開となった中文版公式ページが紹介された。公式ページは作品の魅力や、ストーリー要素をもっとユーザーに届けたいという開発スタッフの想いが実現したものであるということで、その報告に台湾のゲームファンから大きな歓声が上がった。
「LRFFXIII」は中文版も世界同時発売。台湾のファンに作品の魅力を紹介
鳥山氏は昨年の「FINAL FANTASY XIII-2」でもTaipei Game Showを訪れている。鳥山氏を拍手で迎えるファンに対し、鳥山氏は「今回も皆さんの前に立てることができてとっても嬉しいです」と感謝を語った。
PS3/Xbox 360「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII(「LRFFXIII」)」は「FINAL FANTASY XIII」、「FFXIII-2」から続く物語で、2013年秋の全世界同時発売を予定している。鳥山氏は中文版もこの世界同時発売に加わっていることを今回改めてアナウンスした。
鳥山氏はステージで「LRFFXIII」の特徴を紹介した。「LRFFXIII」の主人公は「FFXIII」の主人公ライトニングである。彼女は「FFXIII」、「FFXIII-2」の物語を経てクリスタルとなり永い眠りについた。そして数百年後の世界で目ざめ、新たな世界へ踏み出していくのだ。目ざめた世界は13日後に終わってしまう世界であり、ライトニングは世界崩壊への13日間という限られた時間の中で、何を考え、どう行動するのかを問われていくゲームとなるという。
今作はアクション性が強く、障害物は自由に飛び越たり、高低差を活かしたアクションもできるようになる。ハシゴを登ったり、もののぶら下がったりと、フィールドで様々なアクションができる。バトルでの操作は基本的にはライトニングのみ操作し、これまでのシリーズよりダイナミックで、アクティブな戦いができるという。フィールドには昼夜の概念があり、人々は色々な生活を行なっており時間で様々な表情を見せる。クエストが時間によって受けられたり、ゲームの流れも大きく変化する。
今作は主人公の「ライトニング」にこだわった作品だと鳥山氏は語った。今作ではライトニングは多彩な服装が用意されていて、衣装にアビリティをセットすることで細かいカスタマイズが可能となる。「スタイルチェンジ」によって3つの衣装を使い分けることができる。また、ライトニングの内面へとも切り込む作品となっており、「ルミナ」というキャラクターが鍵を握る。
さらに会場ではパブリシティプロデューサーの村上洋平氏により「LRFFXIII」の中文版公式ページオープンがアナウンスされた。中文版公式ページはこれまでシリーズでは用意できなかったものだ。日本語版や英語版と同様のコンテンツを繁体字で楽しむことができる。
鳥山氏はキャラクターや、物語の設定など、公式ページの各要素を紹介した。特に「ルートマップ」という項目はゲーム内に登場する地域を360度パノラマで見ることができ、さまざまなポイントがピックアップ可能となっている。「日本語や英語の公式ページ同様、コンテンツは随時アップデートしていくので期待してください」と村上氏は語った。
この後会場で鳥山氏が、クイズに答えた来場者にライトニングが描かれたポスターをプレゼントした。来場者はとても嬉しそうに鳥山氏と握手していた。「『FFXIII』シリーズがが好きだ」という雰囲気が会場中から伝わってくるイベントだった。
これまでのシリーズに登場したキャラクターと再会、彼等の出会いが生むドラマとは?
イベント後に行なわれたインタビューでは、鳥山氏が台湾メディアからの質問に答えていった。本作のシステムは様々なポイントでこれまでの作品のシステムを受け継ぎながら進化しており、特にライトニングのカスタマイズは自由度が高い。
今作はライトニングに特化しているため、武器と盾のバリエーションが増えており、アクセサリーとの連鎖により使えるアビリティも強化されている。武器や盾だけでなく、アクセサリ、そしてウェアこれらを組み合わせて特性をはっきりしたものを作り、そこからさらに「スタイルチェンジ」によって特性の違うセットに瞬時に切り替えて戦っていけるという。
「他に登場する仲間やパートナーは登場するのか?」という質問も上がった。今作は「FFXIII」、「FFXIII-2」から続く「ライトニングサーガ」の完結編であり、新キャラクターを投入するより、過去のキャラクターを登場させ、この世界のまだ残っている謎をしっかりと問いかけていく方向性になる。「FFXIII」のキャラクター達も新しい形で登場する。
ただし、彼等は「世界を破滅に向かわせてしまった」という罪の意識を抱えており、場合によってはライトニングと対立することもある。ちなみに、今作はライトニングに特化した内容であるが、クエストなど特定のタイミングで仲間になるキャラクターもいるという。
鳥山氏はGame Developers Conferenceで「FFXIII」、「FFXIII-2」の開発体制を開発者達に紹介しているが、「LRFFXIII」の開発体制は「FFXIII-2」同様“とてもうまくいっている”とのこと。1年半ほどの開発でゲームのリリースまで迎えることができそうで、スクウェア・エニックス内部スタッフでコンテンツ開発を行なっているという。
鳥山氏は“より楽しく開発をしよう”ということを今作では心がけてきた。例えば今回のTaipei Game Showでのファンの反応はとてもスタッフに力をくれるもので、鳥山氏はたくさんの動画を撮ってスタッフに見せるために持ちかえるとのことだ。「こんなに『FF』を待ってくれている人達がいる」ということを伝える。このようにできるだけ楽しく開発ができるようにしているという。
また、「LRFFXIII」は中文版が他の国のバージョンと同時発売になるが、これは台湾ユーザーに嬉しいところだ。鳥山氏は「FFXIII」、「FFXIII-2」のアジア圏での好評な売り上げが、この体制を後押ししたという。中文版のローカライズを早い段階から行ない、各国のユーザーテストなども組み込んだ。より洗練された形でローカライズ作業が行える体制ができてきたということだ。
中文版の公式サイトはSCE Asiaの働きかけによる実現が大きかったとのことだが、中文版ページが人気を得られれば、スクウェア・エニックスとして中文版公式ページに今後より積極的に取り組んでいくかもしれないという。
台湾ユーザーの熱気が開発者を元気にさせている、という意見は納得できるものがあった。やはり開発者とユーザーが触れ合うイベントは楽しいし、お互いにプラスの方向がある。まして自分が行ったこともない世界中のユーザーに自分が作ったコンテンツが愛されていることを実感するというのは、開発のモチベーションを上げてくれると思う。
Taipei Game Showは年々規模が縮小し、参加するメーカーが減っている。その中でSCE Asiaの取り組み、特に日本の開発者と台湾ユーザーを出会わせるというイベントの開催は日本のゲーム業界そのものに力を与えていると思う。
ユーザーとメーカー、そして開発者が出会える機会はもっともっと増えて欲しい。より幅広いユーザーが楽しむためにも、Taipei Game Showそのものに対して、台湾メーカーも力を入れて欲しいと思う。ユーザーはメーカーに大きく期待している。その期待に応えて欲しい。
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