G-Star 2010レポート

ncsoft、WIN「リネージュ II」G-Star 2010出展版を先行公開

「CT3 破滅の女神」のストーリーなど概要が明らかに


11月16日 開催

会場:ncsoft本社



「破滅の女神」イメージビジュアル

 韓国ncsoftは、11月18日から韓国・釜山で開催されるゲームイベント「G-Star 2010」での出展内容に関するプレスカンファレンスを、16日にソウルにあるncsoft本社で開催した。

 このカンファレンスでは、同社が開発中のWindows用MMORPG「Blade & Soul」と、MOアクションRPG「Metal Black: Alternative」に関する最新情報のほか、日本ではエヌ・シー・ジャパン株式会社がサービス中のWindows用MMORPG「リネージュ II」に関する発表も行なわれた。

 日本の「リネージュ II」では、先日「NEW PROJECT」として公開された謎のムービーがある。カンファレンスでは、このムービーで見られた映像を含みながらも、より尺の長いムービーが上映され、この映像が「CT3 破滅の女神(Goddess of Destruction)」のものであることが明かされた。これは日本では「サードスローン」と呼ばれるであろうもので、12月21日に実装予定の「リネージュ II クロニクルス」よりも後のアップデートとなる。韓国では2011年上半期、日本では2011年内に実装予定としている。

 さらにG-Star 2010では、「破滅の女神」のシナリオの一部と新たなアクションを体験できるスペシャルバージョンが出展される。これについてもカンファレンスにて先行体験できたので、まずはこの内容からお伝えしたい。

【イメージビジュアル】

【ムービー】
カンファレンスで公開されたムービーは残念ながら一般非公開とされたので、ここでは代わりのショートムービーを紹介する




■ 復活を目論む破滅の女神に、巨人の力を得て対抗する人々の物語

タイトル画面では、遺跡が次々と落下するシーンが描かれている

 G-Star 2010では、両翼で空を飛ぶ人型のモンスターと、それに対峙する女性主人公が戦うシーンから始まる。モンスターは破滅の女神「シーレン」の命を受け、空中遺跡をアデン城に落とそうとしていた。女性はそれを止めようとするが、撃退されてしまう。モンスターが去り、傷つき倒れこんだ女性のもとに、遅れて男性主人公が現われ、「何で今頃来てるのよ!」と女性に怒鳴られる。今回のG-Starバージョンでのプレーヤーはこの男性主人公となっており、事あるごとに女性に怒鳴られいじめられながらも、モンスターを追って進んでいく。


モンスターを相手に奮戦するも敗れる女性と、のんきに後からやってきたプレーヤーキャラクターの男性。当然、女性に怒られる

 舞台となるのは、まさにアデン城へ落とされようとしている空中遺跡群。デモシーンが終わりゲームプレイが始まると、すぐに新たなスキルが得られる。これは既存のスキルとは異なるもので、巨人が残した力を得て「覚醒」することで使える特殊なスキルだという。G-Starバージョンではこれらの新スキルを体験できるよう、通常とは異なる会得方法でどんどんスキルを覚えていく。

 新スキルには、突進して敵を吹き飛ばしたり、オーラのようなものを発して敵を浮き上がらせたりし、成功すればさらに追撃できる連続技があった。また遠くの敵に鎖のようなものを投げつけ、自分の目の前に引っ張ってくるというユニークなスキルも。プレーヤーは登れない高所にいるモンスターを目の前に引っ張ってきて、突進で吹き飛ばして追撃を加えるといった動きの激しいコンボも可能だ。他にも分身して敵を切りつけたり、隕石のようなものを落とす範囲攻撃など、威力もさることながらグラフィックス的にも派手で目を引くものが多かった。


G-Starバージョンは1本道のストーリーで、特定の場所に到達すると新しいスキルを使用できた敵に突進して吹き飛ばすと、画面に黄色いアイコンが表示される。これをクリックすると、敵に飛び掛って追撃を加えるという一連のコンボになる
鎖のようなものを投げつけて、敵を目の前に引っ張ってくるユニークなスキル分身して切りつける強力な攻撃スキル
近くの敵を空中に打ち上げ、さらに追撃を加えられる遠距離に放って大ダメージを与える範囲スキルも

 また新たな移動手段として、特定の場所で高く跳躍し、斜め下方向に角度を変えて降りることで、歩いて渡れない空中遺跡の島々をジャンプで移動するという仕組みも用意されていた。ものすごい高さに跳躍し、すごいスピードで落ちてくるので、見た目にもなかなか爽快感がある。これは巨人の力を得たプレーヤーだけが使える機能で、空中遺跡だけでなくアデンの各地で使えるようになるという。


青白く光った床の上に乗ると、高く跳躍する
上空で表示される矢印をクリックすると、別の島へと渡れる。巨人から得た人智を超えた力を感じられる

 そうこうしながら、先程女性主人公と戦ったモンスターに追いつく。モンスターは今度はプレーヤーが戦うことになる。身に付けたスキルを使うと、さほど苦労なく倒せた。

 女性主人公のリベンジを果たしたと思ったのも束の間、倒したばかりのモンスターと同じ姿をしたモンスターが、今度は多数現われる。「シーレン」は空中遺跡をアデン城に落とすことはかなわなかったが、代わりに「話せる島」へ落下させることに成功する。空中遺跡の落下によって「話せる島」が吹き飛ばされるシーンが流れたところで、G-Starバージョンは終了となる。

 前述の通り、G-Starバージョンは実装時とは異なるスペシャルバージョンとして制作されたものなので、ゲームの進行は実際とは大きく異なると思われる。ただしストーリー展開は全くの無関係といった感じには見えなかっただけに、「話せる島」の行方を含め、この後がどうなるか気になるところだ。


先ほど女性を打ち倒したボスモンスターと対戦。巨人の力を得た主人公は、モンスターの最後の猛攻も華麗にかわして勝利する。しかし空には同じモンスターが無数に現われるのだった
遺跡はアデン城には落ちなかったものの、話せる島に落下してしまう。爆発のような破壊に見舞われる話せる島が映し出された後、「シーレン」と思われるキャラクターの笑みでゲームが終わる



■ 2年の開発期間をかけた「破滅の女神」について開発者に聞く

左から、ハン・ジェヒョク氏、チェ・ギビョン氏、チャン・ヒュンジュ氏

 カンファレンスではムービーと試遊の内容を踏まえて、より詳しい内容を開発陣に尋ねる時間をいただけた。お答えいただいたのは、プロデューサーのチェ・ギビョン氏、チームリーダーのチャン・ヒュンジュ氏、ゲームデザインチームリーダーのハン・ジェヒョク氏。

 「破滅の女神」に関する最初のアップデートでは、その導入部となる「覚醒(Awakening)」が実装される。開発は前回の大型アップデートの後から始められており、約2年かけているそうだが、現在はその「覚醒」が概ね完成したといったところで、まだまだ先は長いという。

 まずはその世界観について。「破滅の女神」の全体のストーリーとしては、「シーレン」が復活を果たそうと、アデンに部下を送り込んでさまざまなことを画策し、人々がそれに対抗するという流れが柱となる。G-Starバージョンで見られたストーリーでは、アデン城を破壊するために遺跡を落とすという話だったが、ここには違う意図も込められている。具体的には、アデンに遺跡が落とされることによって、初めて「覚醒」、すなわち4次転職が可能になるという。

 「シーレン」に対抗する力を与えてくれる巨人については、本作における神話として描かれている。「シーレン」はもともとは水の女神で、美しく知恵のある優しい女神だったが、主神アインハザードと戦うことになり、争いに負けて封印されてしまう。巨人は神々が戦っている様子を見て、神も大した存在ではないと見下すようになる。やがて巨人は神に戦いを挑むが、アインハザードに負けて滅ぼされてしまう。しかしたった1人だけ生き延びた巨人がいる。

 この巨人の力を受け継ぐ仕組みのことを「覚醒」と呼ぶ。現在の「リネージュ II」においては、転職し、お金を払ってスキルを得ていくが、覚醒ではこの仕組みが若干変わり、一定のレベルに到達すると自動的にスキルを習得できたり、一定のゴールに到達しないとスキルが得られないといったものになるという。覚醒で得られるスキルはクラスごとに異なり、G-Starバージョンではそのうち男性クラスの1つだけが公開されたという状態だ。

 「破滅の女神」では他にもアップデートが予定されている。G-Starバージョンでは覚醒の一部を見られたが、他にもレベルキャップの開放や、アイテム関連の大きな変化もあるという。レベルキャップに関しては、G-Starバージョンでレベル90という表記が見られたが、どこまで開放するかはまだ決まっていないという。レベルキャップを開放することで、ゲームが難しくなるのを嫌がるユーザーもいるため、そういったユーザーの声にも対応できるよう気を使っているのだそうだ。

 最後にチェ氏より、日本のプレーヤーに向けてメッセージをいただいた。「サービスを始めて7年、プレイしていただいたユーザーの皆様に感謝します。最近、アップデートをなくて申し訳ありませんでしたが、こうして新しいアップデートを発表できて嬉しく思います。我々が全力を尽くして作ったもので、過去7年間の内容をはるかに上回る素晴らしい内容になっていると思います。これからも『リネージュ II』をよろしくお願いします」


Lineage II(R) and Lineage II(R) the Chaotic Throne are trademarks of NCsoft Corporation. 2003 (C) Copyright NCsoft Corporation. NC Japan K.K. was granted by NCsoft Corporation the right to publish, distribute, and transmit Lineage II the Chaotic Throne in Japan. All Rights Reserved.

(2010年 11月 17日)

[Reported by 石田賀津男]