【連載第4回】オンラインゲームの楽しさを再認識しよう!


てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム


「リネージュII」で体験した“移動狩り”の衝撃
争うように敵に殴りかかる、ハイテンションなパーティープレイ


 オンラインゲームの様々な面を取り上げ、面白さを再確認する「てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム」。今回は、「リネージュII」で体験した“ハイスピードの狩り”を語っていきたい。戦士だけでなく、ヒーラーも魔法使いもみんなで争うように敵に殴りかかり、次々と敵を倒しぐるぐると部屋を回る。このスピード感溢れるカオスな戦いを、僕は「リネージュII」で初めて体験した。

 いわゆる「移動狩り」と呼ばれる現在のMMORPGで日常的に繰り返されている光景だが、初体験は衝撃的だった。「次の敵、次の敵!」という感じで高いテンションを維持したままエンドレスに続く狩り。この狩りのスタイルを僕は「リネージュII」を皮切りに、いくつものタイトルで体験した。今回は、そんな狩りとのファーストコンタクトを語っていきたい。


■ 「俺にも殴らせろ!」一丸となって斬りかかり、部屋中の敵を殲滅していく狩りの楽しさ

韓国産MMORPGの代表作とも言える「リネージュII」。グラフィックスの美しさと、膨大なコンテンツが生む世界観が魅力で、日本での人気も高い

 「リネージュII」は日本では2004年よりサービスを開始しているNCsoftのMMORPGだ。韓国では非常に人気を集めているゲームであり、サービス前から日本での注目は高かった。何よりもその美しいグラフィックスで話題を集めた。

 「リネージュII」は前作に当たる「リネージュ」の世界をベースに、「リネージュ」よりも前の時代を舞台とした作品で、人間のほかに、エルフやドワーフ、オークといった種族でプレイできる。美しい自然、恐ろしいモンスター、異質な文明を感じさせる各種族の街のデザインなど、を非常に細かく描き込んだグラフィックスが生む迫力は、サービスが6年経過したいまでも色あせない。「リネージュII」はこのグラフィックスが象徴する世界観が大きな魅力だった。

 また、人間やエルフの女性キャラクターは清楚な美しさがあり、直立のポーズはモデルのように背中を反らして立っている。欧米のファンタジー系ゲームに登場するプレーヤーキャラクターとははっきり違う、派手で華麗なデザインだ。ダークエルフの女性はセクシーだし、男性キャラクターも美形揃い。ドワーフは男性が髭もじゃのオッサン(あるいはジジイ)に対して、女性が何故か美少女風だ。このキャラクターデザインと、世界観が日本のプレーヤーにマッチしたようで、大きな人気を集めた。

 サービス当初の「リネージュII」は初期キャラクターの狩場に人が溢れ、獲物を取り合うことも多かった。現在のMMORPGの基準から比べるとレベルアップには時間がかかり、同じ狩場での狩りの時間も長かった。また、モンスターは攻撃力が高めで、数人のプレーヤーが協力して倒した方が効率が良かった。このため、狩場で声をかけ即席のパーティーを組むことも多かった。

 「リネージュII」で驚かされたのは、「ダンジョンでの狩り」だった。「リネージュII」はクエストでユーザーを次の狩場へ誘導するタイプ。ダンジョン関連のクエストも多かったのだが、敵が多く、とても1人では進めなかった。どうしようかと考えているとき、パーティー募集の声が聞こえ、混ぜてもらうことにした。「リネージュII」では9人というかなり大人数のパーティーが組めるのだ。

 集まったプレーヤーキャラクターは人間のファイター、エルフのエルヴンメイジ、オークのオークファイターなど雑多だ。この大人数でどんなパーティープレイをするのだろう。ダンジョンに入り、奥に進んでいく。道行く敵をどんどん倒しながら進む。他の人はリーダーに合わせて通路に立ちはだかる敵にそれぞれの攻撃を繰り出していく。その圧倒的な火力は初めての僕には魅力的だった。

 リーダーは1つの部屋に僕らを導いた。部屋が見渡せる位置に移動して、周りを見回す。部屋の内部にはモンスターがうじゃうじゃいる。これだけのモンスターと戦うのか、と思っていたら、リーダーは一言「この部屋にしようか」。周りのプレーヤーは「そうですね」とか言っている。なるほど、部屋の一角に陣取って狩りをするのかと思ったら…………パーティーメンバー全員が一丸となって敵に特攻し始めたのだ。あわてて僕もついていく。集中攻撃に敵はたまらず倒れ、リーダーはすぐに次の敵を探す。「移動狩り」もしくは「狩りマラソン」と形容したくなるような、エンドレス戦闘の始まりだった。


イラスト:ミズノ マサト

「おれにも!」

 という感じなのだ。とにかくこの狩りのスピードは速い。もたもたしてると何もしないまま一戦闘が終わってしまう。ダメージを受けた味方は回復魔法だけではなく、自らポーションも使って戦いに参加し続け、そのテンポを切らさない。部屋を一巡して敵を全滅させると、再出現までの短い間に休憩を挟む。そして敵が出始めると、再びぐるぐると部屋を周り敵を倒す。このスピード感のある狩りのテンポには驚かされた。

 テンションも何かスゴイのだ。チャットで何かを叫んだり、会話をするわけではないのだが、味方全員が眼をギラギラさせて次の獲物を探しているのがわかる。敵が現われ、1人が斬りかかったら総攻撃だ。気がつくと回復役のヒーラーすら杖で敵を殴りつけている。彼等が一斉に飛びかかるのを見て、僕自身もいつしかぐりぐりと視点を動かし、獲物を探し、敵を殴っていった。まるで自分を含めたパーティーが押し寄せる濁流になって敵を飲み込んでいくかのような体験だった。

 もうとにかく、敵を殴るのが楽しいのだ。こちらの攻撃力が圧倒的なのだから、極論を言えば、自分は怠けても経験値はもらえる。しかし非力な魔法使いすら杖で敵を殴っているのを見てしまうと、負けずに俺も、という気持ちになる。まるで“祭り”に参加しているような楽しい気持ちで僕は狩りを続けた。

 それまで僕は「エバークエスト」でもパーティーでのテンポの速い狩りをしていたが、こちらは盾役、アタッカー、ヒーラーなどの役割はかっちりと決まっており、盾役のプレーヤーが敵を引きつけて他のメンバーは待ち受けて攻撃していた。ところが、この「リネージュII」の狩りは違うのだ。ほぼ全員が攻撃し、全員で敵をタコなぐりにする。「全員突撃」とでもいうような、戦略やプレイスタイルという前に、とにかく敵を倒し、経験値をゲットする、という原初的な印象すらある狩りを僕はこの戦いで学んだ。

 この時期、韓国産のゲームが沢山日本に上陸してきた。新しいオンラインゲーム会社が次々生まれ、新しいゲームをサービスしていった。その多くは「リネージュII」と似たようなシステムを採用していたが、グラフィックスはかなわないため、一種の方便として「性能の低いPCでも動く」というのをセールスポイントにしていた。

 これら韓国産のオンラインゲームをプレイしているとき、役立ったのが「リネージュII」での移動狩りの記憶だ。狩場を決めたら、そのエリアを一掃する勢いでどかどか敵を倒し続け、経験値をたっぷり獲得してレベルを上げまくる。シンプルだがテンションが上がるこの狩りは、MMORPGの魅力の1つだと思っている。即席のパーティーの経験値獲得のための狩りという短い関係だが、瞬間の一体感と、レベルが上がったときの達成感、そして狩りから離脱するときの心地良い疲労感。この楽しさを体験できるのもオンラインゲームならではだ。

 もちろん、ゲームの楽しさはこの「移動狩り」だけではない。強くなったキャラクターはさまざまなスキルでキャラクター性を特化していく。パーティーではその職業ならではの役割が求められてくる。また、PvPや攻城戦など狩りとは全く違う戦術を求められる戦いも経験するようになる。それでも“移動狩り”のプレイスタイルは現在のMMORPGの大きな楽しさであり、多くのプレーヤーが体験するものだ。最近はどのゲームでもソロ指向が強まっているが、レベルアップのために狩場に陣取り、ぐるぐると狩りをするあの感触は独得のものであり、ゲーム初心者にも是非体験してもらいたいと思う。


■  てっちゃんの割とどうでもいい話 「その“美尻”が魅力のダークエルフ」

とても色っぽいダークエルフの後ろ姿。防具がアップグレードされていくと荘厳になってくるが、ダークエルフ用の防具の露出度は他と比べて高めだ

 「リネージュII」はその美しいグラフィックスに第1の特徴がある。初登場から現在まで6年が経っているが、グラフィックスに古臭さは感じられない。それは建物やモンスター、そしてキャラクターのデザインがとても細かく、デザイナーの強いこだわりを感じさせているからだと思う。

 このグラフィックスだからこそ、特にサービス開始当初話題になったのが女性キャラクターの美しさと、“お色気要素”である。エルフやヒューマンの女性は清楚なイメージの服装が多いのだが、露出の高い装備もあり、ショートパンツやミニスカートで「脚線美」が楽しめる。モデルのようにすらっとしたスタイルで、欧米のゲームの「朝から肉を山盛りで食ってそうな女戦士」や、「どこか不気味な近寄りがたさのある女魔法使い」とは違う、華奢で可憐な雰囲気があり、ここも日本のプレーヤーに受けていたところだ。

 そして、お色気といえば何と言ってもダークエルフだ。他の種族と比べてグラマーで、何故か必ず胸の谷間を強調した衣装を着ている。胸以上に魅力的なのが、「お尻」である。オンラインゲームに限らず3人称視点のゲームで主人公のアバターは「ゲームプレイ中ずっとプレーヤーキャラクターの後ろ姿を見ることになるのだから、女性キャラクターの方が良い」というもっともらしい意見がある。

 筆者もその意見に与する人間のひとりだが、ダークエルフはその手の人間にはたまらないキャラクターデザインになっている。特に走っているポーズがお好みであり、前傾姿勢でプレーヤーの方へ豊満なお尻を突き出してくれる。「眼福」という言葉が似合うキャラクターだ。



~今回ぐだってしまったオンラインゲーム~

「リネージュII」

「リネージュII」グラフィックスの細かい描き込みと密度には驚かされる。最新コンテンツでそのクオリティーはさらに上がっている

 「リネージュII」は韓国NCsoftが手がけたMMORPGだ。日本では2004年から運営されており、定額制と従量課金制でサービスされている。前作に当たる「リネージュ」より過去の世界を扱っており、地名やキャラクターに共通したものもあり、韓国で大きくヒットし、日本でも人気を獲得した。

 2007年に新種族「カマエル」が追加され、現在はヒューマン、エルフ、ダークエルフ、オーク、ドワーフの6種族でプレイできる。レベルキャップまでの道のりが長いゲームとしても知られており、サブクラスも用意されている。対戦要素にも力を入れており、世界にいくつかある城を奪い合う「攻城戦」が盛んに行なわれているほか、「要塞戦」などGvG要素も多く盛りこまれている。

 2010年5月には高レベルキャラクターを対象にした史上最強レベルのボス「フレヤ」が登場したほか、レイドボス戦がインスタンス化するなど様々なアップデートが行なわれた。2010年12月21日には最新アップデート「リネージュ II クロニクルス」も予定されている。「『リネージュ II』を新たな境地に導くもの」と告知されており今後の情報公開が待たれるところだ。


【スクリーンショット】
緻密さと、ダークさ、そして自然の美しさ、さらに“異質さ”。「リネージュII」はグラフィックスが生む世界観が魅力だ
アップデートには様々なコンセプトが盛りこまれる。サービス開始から6年、コンテンツは非常に膨大だ
既存のコンテンツのアップデートやバランス調整も行なわれ、初期よりもずっと遊びやすい作品になった。今でも絶えず進化し続ける作品なのだ

LineageII(R) and LineageII(R) the Chaotic Throne are registered trademarks of NCsoft Corporation. Copyright (C) 2003 NCsoft Corporation. NC Japan K.K. was granted by NCsoft Corporation the right to publish, distribute, and transmit Lineage II the Chaotic Throne in Japan. All Rights Reserved.

(2010年 11月 16日)

[Reported by 勝田哲也]