Electronic Entertainment Expo 2009現地レポート

Microsoftブースレポート バラエティに富んだ粒選りのタイトルが集結
「Halo」シリーズ最新作「Halo 3: ODST」、ホラーアドベンチャー「Alan Wake」などを紹介!

 

6月2~4日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center


 今年のE3でもプラットフォーマーとして大きな存在感を見せていたMicrosoft。メディアブリーフィングでは、ポール・マッカートニーやスティーブン・スピルバーグといったビッグゲストや、全身で操作する新たなインターフェイス「Project Natal」、そして「METAL GEAR SOLID: RISING」の展開発表といったサプライズばかりが強調されがちだが、プラットフォーマーの勢いを計る上で重要なファーストパーティータイトルも充実していた。

 Microsoftブースは、まさにファーストパーティータイトルをメインに据えた出展になっており、多くの来場者を集めていた。E3がメガショウ復帰後初のMicrosoftブースは、Xbox 360とXbox Liveに特化した内容となり、GDCで数多くのセッションを開催していたDirectX 11関連やWindows 7は一切なく、ブレがないという点で狙いが明確な出展内容だった。3月に開催されたGDCでは、Windowsを含めたトータルのゲーム開発者向けの技術情報の公開、E3ではゲームコンソールであるXbox 360に特化した出展という形に綺麗に切り分けられた印象だ。

 Microsoftブースレポートでは、先日お届けした「Forza Mortorsport 3」に並ぶ自社タイトルである「Halo 3: ODST」と「Alan Wake」のほか、粒選りのXbox Liveアーケードタイトルをお届けしよう。

【Microsoftブース】
出展にもっとも力を入れていたのは「Forza Mortorsport 3」だったが、人気の点では「Halo 3: ODST」がやや上だったか。やはり、Xbox 360史上最高のヒットを記録した「Halo 3」の最新作だけあって注目度は高い



■ 「Halo 3」をベースに新境地に挑戦した意欲作「Halo 3: ODST」

デモを行なってくれたBungieのスタッフ。左が「Halo 3: ODST」クリエイティブディレクターのJoseph Staten氏、右が同デザインディレクターのPaul Bertone氏
プロローグの降下シーン。この後にトラブルが発生して緊急着陸をすることになる
舞台となるニューモンバサの街
派手なSFバトルは健在。「Halo」ファン待望の1作となりそうだ

 「Halo 3: ODST」は、東京ゲームショウ2008のマイクロソフトの基調講演で「Halo 3: Recon」として発表された「Halo」シリーズ最新作。Xbox 360でビッグヒットを記録した「Halo 3」の外伝であり、「Halo 2」と「Halo 3」の間をつなぐストーリーが紡がれていく。

 発表時の段階で明らかになっているが、今作の主人公はマスターチーフではなく、軌道降下特殊部隊(Orbital Drop Shock Trooper:ODST)に所属する名もなき新兵。「Halo」シリーズは、味方NPCとのCO-OPによる部隊対部隊の戦いにその醍醐味があるが、今回はプロローグシーンで軌道降下に敵から反撃を受けて部隊がちりぢりとなり、単独での行動が多いようだ。

 今回はクローズドブースでシングルプレイキャンペーンのデモを見ることができたが、驚いたのは日本メディアのために、日本語版でデモを行なってくれたことだ。英語版の発売日は9月22日なので、マスターアップはまだ先のはずだが、すでに日本語版のビルドができあがっているところに日本マイクロソフトの熱意を感じた。日本語版の発売時期は今秋としており、英語版からそれほど遠くない時期の発売が期待できそうだ。

 さて、デモの内容は、敵の攻撃を受けて大混乱の中、軌道降下を行なった主人公は、たった1人で、降下機から脱出し、コブナントひしめくニューモンバサの地で単独で行動を開始するというシーンからスタートする。舞台は人通りの絶えた夜の街路。主人公は怪我をして瀕死の状態であり、医療キオスクまでたどり着き、怪我を回復させるのが最初のオブジェクトとなる。

 BungieのデザインディレクターのPaul Bertone氏は、「Halo 3: ODST」は“ミステリーゲーム”だという。仲間達と合流するために、たったひとりでコブナントの見回りを回避しながら、広大なニューモンバサの街を捜索していくことになるという、従来の「Halo」シリーズではなかったステルスプレイのことを指している。実際に、全体マップを見ることができたが、フィールドはMMORPGのメイン都市のような広大さで、近未来的なキューブ状の空間が網の目のように四方に広がっている。あまりの広さから、迷わないようにウェイポイントを設定する機能まで付いている。

 その後、仲間たちと合流を果たしたODSTの隊員達は、コブナント軍を相手に、巨大兵器や強力な近未来兵器を駆使したど派手な戦闘が繰り広げられる。デモでも、長い橋が主人公の攻撃により粉々に破壊されるといういかにも「Halo」らしいシーンを見ることができた。「Halo 3」の味わいは残しつつも、スニークアクションという新たなゲーム性にチャレンジしており、「Halo」ファンならまず間違いなく納得できる仕上がりになっている。

 最後にマルチプレイについて触れておくと、「Halo 3: ODST」のマルチプレイモードは、「Halo 3」の基本セットにプラスする内容になっている。具体的には、Xbox LIVEマーケットプレースで配信中の「Legendary」、「Heroic」、「Mythic」の各マップパックを含む「Halo 3」の全マルチプレイ用マップに加えて新規で3マップを追加し、総計24マップを収録。「Halo 3」フランチャイズのマルチプレイが再び大きく盛り上がりそうだ。


【Halo 3: ODST】
「Halo 3: ODST」のスクリーンショット。敵の輪郭がハッキリ見えているのはバイザーの効果。ステルスアクション時に効果を発揮する

【Firefightモード】
「Firefight」モードは、「ODST」オリジナルのCOOPモードで、最大4人でコブナント軍の波状攻撃に耐え続けるというもの。ゲームデザイン的には「Gears of War 2」の「Horde」モードに近いが、「Firefight」モードのマップはかなり広く、局地戦とはいえ、それなりの戦術の自由度が与えられているところが若干新しいか



■ 「MaxPayne」シリーズのRemedyが放つ、サイコスリラーアクション「Alan Wake」

デモを担当したRemedy EntertainmentのリードライターSam Lake氏。ストーリー
ビジターセンターが凄惨な殺戮の現場に。平和な村に一体何が起こったのか
昼夜の移り変わり。昼は平和な村だが、夜間はライトの届かない場所は、生命が脅かされる危険地帯と化す

 「Alan Wake」と聞いてピンと来た方は、かなりのMicrosoft通である。3年前のE3 2006でDirectX 10世代のグラフィックスを採用したアクションアドベンチャーとして発表され、その後丸3年にわたってまったく音沙汰がなかったタイトルだ。Microsoftのゲーム部門は、ここ数年で数度にわたってリストラを行なっており、一時は開発中止説も流れたほどだが、今年、その健在ぶりをアピールした。Xbox 360独占タイトルとして、発売時期は2010年春を予定。日本での発売は未定となっている。

 「Alan Wake」は、ベストセラーサスペンス作家アラン・ウェイクを主人公に、スランプから逃れるために訪れた小さな村ブライトフォールズを舞台としたアクションアドベンチャーゲーム。婚約者の失踪という大きなトラブルを発端として、彼は婚約者を見つけ出すために奔走することになる。どこまでが現実で、どこまでが悪夢なのか、境目をあえて曖昧にしたスリルに満ちた世界観が特徴的である。

 「Alan Wake」は、「MaxPayne」を生み出したRemedyの作品らしく非常に凝ったゲームシステムを採用している。まず、ストーリー展開は、エピソード単位になる。これは海外のTVドラマシリーズを強く意識しており、1話ごとに起承転結のあるキッチリとしたストーリーが用意される。登場人物はすべてフルボイスで喋り、カットシーン以外でも、主人公のアクションに対してボイスで反応を返してくる。

 次に“光と闇”を効果的に使ったゲームデザインを採用していることだ。ゲームには昼夜の概念があり、昼は平和でのどかな村が、夜にはゾンビのような不死生物の巣窟となる。“彼ら”は光を弱点としており、フラッシュライトで照らすことで、ひるませる効果があり、銃撃によって撃退することが可能となる。

 利用できる光には、フラッシュライトのほか、車などに搭載されている発煙筒や、道路に点在する外灯。打ち上げてあたりを明るく照らす照明弾、そして車のヘッドライトなど、様々なバリエーションが用意されている。夜間のステージは、常に漆黒の闇だが、常に何らかの光によってステージの一部がまぶしく照らされ、非常に印象的だ。

 照明弾は、空から攻撃してくるコウモリのような飛行生物を撃退したり、バズーカ代わりに使ったりすることが可能で、発煙筒は振り回すことで、あたかもバリアのような効果をもたらす。何気ないアイテムがこの世界では格段の効果を発揮する。こうした幻想と現実の融合がたまらなく味わい深い。

 彼らの攻撃は、単体だけではなく、集団の場合もあり、さらにブルドーザーやショベルカーといった乗り物を駆使してくることもある。アラン・ウェイクはあくまで作家であるため、銃器を扱えるといっても対処できる敵の数には限りがある。銃撃だけでは対処できない難所や、絶体絶命の危機にどう対処するのかというのが本作のキモであり、「SIREN」シリーズのような回りくどさに味わいがあるゲームだ。


【Alan Wake】
光と闇が効果的に使われているアクションアドベンチャー「Alan Wake」。トロッコの奥に見えるのが、得体の知れない敵だ



【Gears of War 2: Dark Corners】
日本でもいよいよ7月30日に発売される「Gears of War 2」のダウンロードコンテンツ。新チャプター「Road to Ruin」、7つの新しいマルチプレイマップ、カスタムテーマなどが盛り込まれている。7月28日発売予定で、価格は1,600MSP。日本での取り扱いは未定となっている

【Joy Ride】
Xbox Liveのアバターキャラクタでゲームが楽しめる“アバターゲーム”の新作「Joy Ride」。Xbox Live Arcadeタイトルとしては初の試みとなる無料ダウンロード、無料プレイという新しいビジネスモデルを採用する。売り上げは、車のパーツ類やコース、ゲームモードといったDLCの販売によって上げる見込み。アバターマーケットプレイスにて販売される有料アバターの販売促進にも繋がりそうだ

【Shadow Complex】
Epic Gamesの「Gears of War」チームとChair Entertainmentがタッグを組んで放つXbox Live Arcade専用の横スクロールアクションゲーム。「Unreal Engine 3」のポテンシャルを活かした美しいグラフィックスと、物理演算の駆使したゲームプレイが堪能できる。カジュアルゲームながら、カットシーンからシームレスにゲームに移行し、120以上のスキルを用意するなど、内容は本格的。Epic初のXLAタイトルとして発売が注目される。発売時期は夏を予定。日本でも時期未定ながら発売予定

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(2009年 6月 5日)

[Reported by 中村聖司 ]