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“純国産ストラテジー”の真骨頂! 「クリスタル オブ リユニオン」インタビュー【後編】
国産のストラテジーゲームは「自分が作らなくては出てこない」
(2016/4/15 00:00)
国産のストラテジーゲームは「自分が作らなくては出てこない」
――今回「クリユニ」は、「超建国ストラテジックファンタジー」というジャンル名を採用しています。
結城氏: これにも結構こだわりがあって。「クリユニ」で唯一、ユーザーが絶対にやることは建国しかないんですよ。キャッチーにしたいっていうのが1点と、建国というのをちょっとバカっぽく、でもカッコよくみたいなところで打ち出そうと思ったんですよ。
別にストーリーを見て楽しんでもいいし、チャットして遊んでもいいし、それこそ戦争に明け暮れてもらっても全然かまわない。それに対して開発者側から何か制限をかけることはなくて、そのゲーム全体のパッケージとして遊んでもらえれば。ただ、唯一、国だけは作ってねと。国を作らないと始まらないので。
そういうところで、やはりメインテーマとしては「超建国」となるわけです。そこにつづく「ストラテジー」はゲームジャンルで、「ファンタジー」をつけたのはJRPGらしさ、純日本産らしさの演出というか。かならずしもそうではないけれど、「ファンタジー=RPG」みたいなところはニュアンスとしてあるので、それらを合わせて「超建国ストラテジックファンタジー」と。
瀧澤氏: ある意味無茶をかなりしているゲームだと自分は思っているので、成功したら新しいジャンルになるのかなと。ストラテジーゲームにストーリーがこんなにガッツリついても面白いんだ、新しいねという。
――今のモバイル用ストラテジーゲームでは、「クラッシュ・オブ・クラン」や「クラッシュ・ロワイヤル」のように、どちらかと言えばカジュアルなストラテジーゲームが主流になりつつある中で、そこであえてこういった重厚なものをぶつけるのはなぜでしょうか?
瀧澤氏: プレイ体験が濃い、というのが大きいですね。ああいうカジュアルな対戦ゲームも好きで面白いのですが、この手のゲームでしか味わえないコミュニケーションの楽しさだったり、思い出に残るような出来事は濃いコンテンツからしか生まれないと思っています。
作る側からすれば、正直ライトな対戦ゲームのほうが簡単なわけですが、国内でこの手のゲームを作っているところがほとんどない。「クリユニ」を作り始めたころ、これを世に出したときにたぶんほかに国内で似たようなタイトルは出ていないだろうなっていう、確信に近いものはありました。自分が作らなければ国内からはたぶん出てこないだろうと。
結城氏: カッコいいですね(笑)。
瀧澤氏: まぁ実際出ていないので(笑)。そもそも面倒くさいんですよ、作るのが。まず画面数がめちゃめちゃ多いです。データの量も尋常じゃないですし、さらにバランスも取っていかないといけないので。
あとは、先ほどの「願いを叶える」という仕組みをやってみたかったので。やはりそれは、こういった多人数が同時に戦うゲームでないとできなかったアイディアですね。
「攻略本」的なアートワークも見どころ
――結城さんの本職であるアートワークはいかがでしょうか。
結城氏: gumiのと言いますか僕のと言いますか、そこはきっちり魅せたいところかなと思っています。特別ライトな感じでもないですし、思いっきり濃くもないですし、中間層を狙ったアートワークといいますか。
ターゲットの話になると本当は全員にやってほしいのですが、コアターゲットとして30~45歳ぐらいの、昔からゲームをやってきてコアなゲームが大好きなプレーヤーを主流にしています。
例えば30~40歳ぐらいの人に極度な萌えっ娘がすごく好きな人が多いかと言われれば、そんなこともないだろうということで、なるべく広く好まれる形でアートワークには気をつけています。少し古き良きところも多少入れつつ。
しかし、別に古さの部分にだけとらわれるようなことではなく、新しいテイストも見せる、みたいなところにもこだわりました。今回はそういうところをすごく意識して、気持ちのいいアートになればいいなと思っています。
デザインやUIも、この手のゲームはやることが多いのでゴチャゴチャしちゃう部分は本当にしょうがない部分ではあるのですが、それでも極力すっきり見えるように、かつRPGっぽく見えるようにはこだわっています。結構ギリギリまで、ゲームに組み込みながら、3~4回はやり直していますね。
例えば武器屋なのですが、そこだけを見てもストラテジーゲーム感はゼロだと思うんです。完全に普通の、コンシューマーゲームでもよくありそうなRPGというか。そういったところも意識しましたね。
文字列だけがバーっと並んでわかりづらいというよりは、1個階層を深くしても、ビジュアルをまず前面に出してわかりやすくする、といった方を優先しました。同様にショップなども普通のストラテジーゲームなら文字列が並んでいるだけなのですが、こちらもあえてキャラクターの立ち絵を採用して、背景なんかもショップっぽく作ったりとか。
――確かに、システムだけのことを考えれば文字だけの羅列で済ませた方がいいですよね。
結城氏: そうなんですよ。たぶん、ストラテジーに完全に慣れているスーパーコアユーザーだと「細かくてもいいから最初から文字で全部見せろ」みたいなことになると思うのですが、あえてキャラクターを入れることで世界を楽しんでいただければなと思います。
瀧澤氏: 「今までストラテジーゲームをやってみたけどむずかしくて合わなかった」という人に、「クリユニ」でもう1回、ストラテジーゲームを遊ぶチャンスを下さいという気持ちがあります。
結城氏: そうですね。「チャンスを下さい」、僕ら結構そういう風に思ってます。おそらく、ゲームシステムやUIの見づらさなんかで離脱した人はたくさんいるとは思うのですが、頼むからチャンスを下さいと。
瀧澤氏: 本質的にはこの手のジャンルはMMORPGにすごい近いと思っていて、「クリユニ」は、その面白いところを凝縮したゲームだと思っています。なので、RPGが好きな人が面白いと思ってくれる要素はしっかり備えているはずなんです。でも、今まで過去のストラテジーゲームをやって合わないなと思ってやめた人も、もう1回だけ試してくださいと。これでダメだったらすみませんでしたと。
結城氏: あ、それいいですね。言いたいですね。これでダメだったらすみませんでした! 1つ1つの武器も、いずれ図鑑をちゃんと作るつもりなのですが、細かくちゃんと見たいですよね。日本人は絵が大好きで、攻略本も大好きだし。そういった細かいところも、本当にしつこく絵で表現しています。
瀧澤氏: ゲーム内に表示されるレポートのイラストもかなりこだわってますね。
結城氏: たとえば偵察をして、その報告が上がってくるときに、ストラテジーゲームだと説明と数値だけで終わることが多い。しかし「クリユニ」の場合は、1つ1つのレポートにあわせた「挿絵」が入っていて、雰囲気を絵から感じられるようにしています。わかりやすく言うと、「ファミコン時代のドット絵で遊んでいた頃の攻略本を見たときの感動」を目指しました。
攻略本の説明の中で、ゲーム画面とは違う少しの挿絵が入ってたりするだけでも「ああ、あの洞くつってこういう洞くつだったんだ」みたいな感動って、僕らの世代……僕は36歳なのですが、そんな世代にドンピシャであると思うんですよね。これまでドットだけで想像していた部分を、攻略本で挿絵として見たときのあの感動を少しでも多くの人に感じてもらえるように「瀧澤さん、攻略本にしたいんですよ!」って。
瀧澤氏: 最初は「コイツ何言ってんだ?」と(笑)。でも、話を聞くうちに「なるほど」となって。ゲーム内でのレポートにいちいちイラストを入れるのは、普通はこの手のゲームではあまり力を入れるところではないんです。「やれるならいいけど……」と言ったら、やり切った。
結城氏: 「レポートだけで何個必要なんだっけ? 20個? 死ぬ!」ってなりましたけど(笑)。
――そこはさすが結城さんならではの発想という感じですよね。
瀧澤氏: そういった部分にそこまでクオリティを割く決断をして、実際にやり切るのはさすがだなって(笑)。
結城氏: ドMなのかな……。例えば、資源を回収たらみんなで喜んでいる感じのイラストを入れてみて、それを見たユーザーが「こんな感じなんだなぁ」と少しでも思ってもらえたらうれしいなと。
――先ほどの文字列だけ、の話もそうですが、空疎になりがちなゲームの雰囲気をどんどん膨らませたと。
瀧澤氏: そうですね。本当にRPGに近い体験ができるように、細かいところもこだわってるという感じです。ここがユーザーに伝わればいいのですがね。そういう意味でもいろいろなところを見てほしいなと。
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