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公園を冒険の場所に! 幼児向けモバイルゲーム「Biba」
AR技術で、遊具遊びにロールプレイや“やりこみ要素”を付与
(2015/3/3 16:51)
GDC 2015のモバイルゲームサミットで、「Designing Mobile Games That Actually Get Kids Mobile」というタイトルでZeros 2 Heroes MediaのNis Bojin氏は、子供向けAR(拡張現実)ゲーム「Biba」での取り組みを語った。
「Biba」は墜落し宇宙船が壊れたロボット達が、様々なクエストをこなしながら宇宙船の修理を目指すというストーリー。プレーヤーである子供は、スマートフォンの中での物語やゲームを、現実の公園の遊具などと重ね合わせ、遊具を遊びながらゲームを進めていく。遊具で遊びながら、宝探しをしたり、車でのレースをしている気持ちになれる、ユニークなゲームとなっている。
ゲームの手法を活かして遊具遊びと親子のコミュニケーションを促進
「Biba」はゲームのタイトルであり、開発会社の名前だ。Bibaは子供向け遊具の製作会社PlayPowerと協力して子供向けARモバイルゲーム「Biba」を開発した。「Biba」の対象年齢は3から9歳の子供。プレーヤーは両親と共に、ゲーム内のロボットと会話しながら様々なクエストに挑戦していく。サービスは2015年末を予定している。
「Biba」のユニークなところは拡張現実を使った遊具遊び、ゲームをきっかけに「外で遊ぶ」ことを目的としていることだ。ゲームに夢中になるあまりスマホやタブレットにかじりつくのではなく、例えば滑り台を1回滑って再びタッチしてスピードを競うなど、遊具遊びとゲームを連動させているのだ。
コンテンツは開発中だが、迷路遊びや障害物競走などがあるだけでなく「実績」も設定されていて、「このゲームを何回遊んだ」というような項目があり“やりこみ派”の子供の心を刺激する要素も盛り込まれる。
“外で遊ぶ”ことを目的とするため、スマホやタブレットは親が保持し、子供に画面にタッチさせることでゲームは進行していく。ゲームの設定や、目標はロボット達の「お願い」として提示されるが、それを親が読み聞かせるのも有効だ。親と子供が楽しく遊び、目標が提示されるので子供を応援でき、そして子供の遊びをちゃんと見守れる、コミュニケーションツールとしての働きも大きい。
プレーヤーである子供達はゲームで様々な役割を担う。「探検家」として目標となる遊具を探したり、スパイエージェントとして隠密諜報活動をする。レースでは子供は「車」そのものとなって走り回るのだ。ただ遊具を使って遊ぶのでなく、ごっこ遊びを提案され、さらに得点や記録などの「ルール」が提示される。コンピューターゲームによって、遊具遊びがさらに魅力的になる世界を「Biba」は展開しようとしてるのだ。
このほか1つのゲームで目標を達成すると、ランダムで次のイベントが提示される。子供は次に何がくるのかわからず、公園でさらに楽しく遊べるようになる。また遊具を遊んでいる兄弟に合わせてスクリーンを操作するなど複数の子供達の遊びに対応することもできる。
ここでBojin氏は実際の遊び方を提示したが、関係者の子供はまだ幼いためかまだ興味が薄く、それを見ていたもう1人の子が遊びたがって画面をさわりにくる、といった面白いシーンとなっていた。その反応もいかにも子供ならではで、開発者の挑戦心をかき立てる雰囲気もあった。
「現実の遊びをさらに楽しく」という「Biba」の方向性は、タブレットを抱え、自分だけの世界に没入してしまいそうな子供達を危惧し、子供を外で遊ばせたいと思う親の心を満たしてくれるかもしれない。また、子供を見守り一緒に遊びたいという親の気持ちも満たしてくれる。ゲーム開発者が提示した新しいアプローチであり、本作の正式リリースと、ユーザーの反応に注目したい。