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「The Order: 1886」開発者セッション&インタビュー

最新メイキングムービー「勝利をもたらす武器」を公開!

9月18日~21日 開催(一般公開日 20日~21日)

会場:幕張メッセ1~9ホール

入場料:
前売り 1,000円
当日 1,200円
小学生以下無料

ルー・ヴェーラスリヤ氏

 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアは、プレイステーション 4用アクションアドベンチャー「The Order: 1886」を2015年2月20日に発売する。価格は未定。今回は、本作でクリエイティブディレクターを務めたルー・ヴェーラスリヤ氏によるメディアセッションのレポートをお届けする。

 ヴェーラスリヤ氏は、本作について「史実をベースに、フィクションを取り入れつつ現実味のある世界観を構築した。史実とはそれた“ネオ・ビクトリア時代”」と説明。19世紀ロンドンを研究して作られたグラフィックスを“フィルミック”と表現。これは映像やアートを重要視したスタイルで、これまで公開されたトレーラーでも随所で堪能することができる。

 「今回は武器についてもう少し詳しく説明したい」というヴェーラスリヤ氏。シューターとして武器そのものを重要視しており、こちらも世界観同様、史実に登場した武器を研究し、フィクションを取り入れつつ現実味を出すことに注力したという。「英国製武器は効率重視。大英帝国は大規模な軍隊なので大量生産が前提」と、ゲーム中に途上するカービン銃の戦闘シーンを上映。「当時は戦場でよく使われていた」というグレネードも重要な要素のひとつ。ゲーム中には、ドイツ製の武器も登場する。効率重視の英国製に対し、こちらは先進的なものが多いという。

 前述の2国に対し、アメリカ製は「技術的には進歩していなかったが、強力」と説明。ショットガンが普及しており本作には3連装ショットガンという強烈な武器が登場。マグネシウム製の弾を使えば、さらなる大ダメージが期待できる。

 武器だけでなく、世界観や歴史も大事にしている本作。実在の人物だったラファエル侯爵のほか、天才発明家として知られるニコラ・テスラが登場。ここでも現実にフィクションをくわえていくアプローチがとられており、前半は史実どおり、後半は「そこからは少しそれていく(ヴェーラスリヤ氏)」とのこと。1882年にフランスで、もうひとりの大発明家エジソンに雇われニューヨークに移住。物語はそこから史実をそれていき、テスラは研究成果を実証する場所として研究所を設立。プレーヤーたちは、ここを数回訪れることになる。

 実験室も、やはり若干のフィクションで彩られた現実味あふれる装い。ブースにも展示されているアークガン、サーマイトライフルのほか、スナイパー仕様カービン銃、ボウガンなどなど、実在の武器をもとにテスラが発展・発明した武器が提供されるという。

 ここでヴェーラスリヤ氏は、ブースに出展中のデモの直後にあたる、第3章ホワイトチャペルを使いデモプレイを披露。病院のシーンは「当時の病院を再現するために膨大な研究をした」といい、壁にかけられている絵、棚に置かれているものも忠実に再現。BGMで流れている音声は当時のレコードを再生したもので、ストーリーには関係ないが最後までちゃんと聞くことができるというから驚き。モブも大筋には無関係ながら、その発する言葉などは世界観を構築するうえで欠かせないものとなっている。

 戦闘シーンは、ライカンスロープとの戦い方、さらには物理演算によるリアリティと迫真のシーンを披露。弾丸で破壊されるオブジェクト、骨格標本のパーツが弾けとぶ様子などは、思わず声をあげてしまいそうになる。余談ながら、敵からダメージを受けた際などは血に濡れた服の質感にもこだわっているという。

 一見プリレンダかと思う映像のすべてがインゲーム。「PS4本体の性能をMAX引きだし、駆使したタイトルだと思っている」とヴェーラスリヤ氏は胸を張る。こちらも2015年2月22日の発売日が待ちきれないといった感じだが、まずは本日公開された新トレーラー「メイキング 勝利をもたらす武器」を堪能するとしよう。

【「The Order: 1886」メイキング:勝利をもたらす武器】

ルー・ヴェーラスリヤ氏 合同インタビュー

――1866年に時代を設定した理由を教えてください。

ヴェーラスリヤ氏:1886年は産業革命のなかで変革の多い時期でした。選んだ理由のひとつは、1886年が産業革命の始まりから結構時間が経過していたこと、 より大きな変化が訪れる20世紀の少し前。また、ガラハッドというキャラクターが長年生きていくなかで、その変貌にどうやって対処していくかも描けるということで、この年代に決めました。

――作品に影響を与えたものはありますか?

ヴェーラスリヤ氏:本作はユニークなビジュアルを持っています。歴史を参照した部分もありますし、1920年代など少し進んだ時代を取り入れた現実味のあるけど架空のものも数多くあります。その発想の素になった作品を特定することは難しく、色々な映画を観たり、たくさんの本を読んだなかから、さまざまなアイデアを取り入れており、それが合わさってユニークなビジュアルを作り上げていると考えています。

――シューターとこの時代を組み合わせることで苦労した点は?

ヴェーラスリヤ氏:最初はすごく難しくて……当時の技術はそこまで発展していません。あまりやりすぎてしまうと、プレーヤーが現実味を感じない危険がありました。そういった意味では、時代考証を徹底して現実味のある武器を作りました。ただ、当時は発明の時代でもあり、発明品が数多く存在しました。検証を行なっていく過程で、さまざまなアイディアのもとがみえてきたので、それを取り入れることで簡単に組み合わせることができると感じました。

――全世界同時発売ということで、ローカライズにはかなり注力されたと思いますが、ストーリーや世界観で「他言語で伝えるのは難しかった」部分はありますか?

ヴェーラスリヤ氏:世界規模でローカライズにあたり、開発の早い段階から各地域のチームと相談していました。私自身も色々な地域のバックグラウンドがあるので、各地域で理解できるよう力を注いでいます。ヨーロッパの地域に特定すると、彼らはハッピー(笑)。色々な意見をくれました。

――もっとも難しかったことは?

ヴェーラスリヤ氏:開発を終わらせること(笑)。真面目にお答えすると、1番難しかったのは、膨大な量のやりたいことをどのようにゲームのコアに集中させるか。チームとして「あれもやりたい」、「これもやりたい」というのがあるんですが、それをいかにそぎ落としてゲームの基本にそっていくか。その選択が1番難しい所だと思います。技術面でも難しかったですね。チームとしては、PS3向けは作らず、いきなりPS4に突入したこともあって……それはリスクでありつつも、最終的には凄くいい形でつながったかな、と考えております。

――ブラックサイトが「騎士専用」ということは、ライカンスロープが「専用」で何かやってくる厄介な攻撃などもあるのでしょうか?

ヴェーラスリヤ氏:ライカンスロープは獣に近い能力を持っていて、人よりも早く動けます。殺すのがすごく難しい存在です。あまり触れるとユーザーの楽しみを奪うことになるので……詳しくはゲーム本編で楽しんでいただければと思います。

――作品を発表されてから、ユーザーの反響はいかがですか?

ヴェーラスリヤ氏:開発者として、自分が作りたい作品を実現できたことが、まずひとつうれしかったです。ゲーム業界からも凄くいい反応をいただけたんですけど、1番面白かったのは、ゲーム業界以外のユーザーの反応があったこと。たとえば歴史家から当時のロンドンに関する反応があったり、CNN、タイムマガジンから「なんでこんな歴史を選んだの?」とか。ゲームと関係ないメディアや人々から、ゲームとまったく関係ない要素について触れられたりとか。そういう反応は、見ていて面白かったです。

――ニコラ・テウラといえばエジソンの存在は欠かせませんが、エジソンはゲーム中に出てきますか?

ヴェーラスリヤ氏:凄く答えたいんですが……詳しくお答えすることはできません。実際、テスラ以外にも史実をもとにした人物が数多く登場しますし、世界観という意味では“裏”で動いていたりもしますので、それが全体を形作っていると思います

――当時を研究する過程で、良かったことはありますか? たとえば「こんな貴重な資料を見ることができた!」とか。

ヴェーラスリヤ氏:2月にイギリスを訪れた際、ジェリー・ホワイトさんというヴィクトリア時代を研究している専門家にお会いできたんです。彼は世界的な権威がある歴史家で、ゲームの時代考察など見てもらった際、彼がいっていたことがとても印象的でした。「当時の歴史、空気を再現していた。今まで見てきたどの映画や本よりも忠実に再現できていた」と。チームとしても膨大な量の検証などをしていたので、それが結果にあらわれてとてもうれしい。

――武器は、現状で発表されているものより増えていきますか?

ヴェーラスリヤ氏:はい、数多く登場します。

――予約特典に主人公のコスチュームがありますが、ゲーム中にもほかにコスチュームは登場しますか?

ヴェーラスリヤ氏:すでにビデオでも2種類のコスチュームをお見せしました。ただ、重要視していたのが、キャラクターを見た目で覚えてほしくない、ということ。性格を伝えることが1番重要。そういった意味で、シーンごとに衣装が変わることはありますが、切り替える楽しみ、というわけではありません。

――現実味を持たせた武器、というお話がありましたが、それが適当かどうかのジャッジは誰がしているのでしょうか?

ヴェーラスリヤ氏:武器に限らず、重要な決断はチームで協議して決めるようにしています。ディレクター間だけでなく、みんなの意見を聞き反映させています。

――発売を楽しみにしている日本のユーザーにメッセージをお願いします。

ヴェーラスリヤ氏:長い間開発をしてきたこともあり、発売が凄く待ち遠しいです。チームとしても、さまざまなバックグラウンドをもった人たちが集まり、全力をかけて作ったゲームです。物語やアートだけでなく、キャラクターや世界観、すべてにおいてユーザーの皆様の反応を見るのが非常に楽しみです。日本のユーザーの皆様にも、気に入っていただけたらうれしいと思っています。

――ありがとうございました。我々も発売日を楽しみにしております。

(豊臣和孝)