【特別企画】

【スト6】「CC12」&「SFL:WC2025」決勝戦現地レポート。世代を超えた強豪たちが両国国技館で激突!

さはら選手&REJECTの日本勢が優勝!

【CAPCOM CUP 12】
3月11日~3月14日
会場:東京都墨田区「両国国技館」
【ストリートファイターリーグ ワールドチャンピオンシップ 2025】
3月13日~3月15日
会場:東京都墨田区「両国国技館」
会場となった両国国技館には、朝から多くの人が詰めかけた

 「ストリートファイター6(スト6)」の公式世界大会「CAPCOM CUP 12(CC12)」および「ストリートファイターリーグ ワールドチャンピオンシップ2025(SFL:WCS2025)」が3月11日から15日にかけて東京・両国国技館で開催された。

 世界中で行なわれた熾烈な予選を勝ち上がってきた48名の選手が、優勝賞金100万ドルをかけて激突した「CC12」では、日本の若手で「Good 8 Squad」に所属するプロ一年目のさはら選手が優勝。一方の「SFL:WC2025」では、日本・アメリカ・ヨーロッパの3地域で行なわれている公式チームリーグを優勝した3チームが争い、同じく日本の「REJECT」が優勝。国内開催ということもあり、会場は大いに盛り上がっていた。

 本稿では、そんな「CC12」及び「SFL:WCS2025」の決勝大会の現地レポートをお届けする。さまざまなドラマが展開された本大会の熱量が、少しでも伝われば幸いだ。

両国国技館が「スト6」一色に!

 会場となった両国国技館は、まさに「スト6」一色といえる光景が広がっていた。最寄りの両国駅からの道のりですでに「スト6」関連のブースがあったり、国技館の前にはのぼりが立てられており、会場に入る前からすでに世界大会の熱気を感じることができた。

国技館の前にはのぼりが立てられていた

 会場では、入り口横にカプコン公式の物販ブースが設けられ、来場者は公式グッズを購入できた。場内外にはキッチンカーやチームブース、協賛出展ブースも並び、観戦の合間にも楽しめる空間が広がっていた。特に選手にエールを送れる手書きの応援ボードのスペースでは、ファンが描いたイラストやメッセージを見ることができ、ファンの思いが伝わってきた。

チームブースは「Good 8 Squad」、「REJECT」、「Saishunkan SOL 熊本」、「広島 TEAM iXA」、「VARREL」に加え、海外チームの「Bandits」も出展。公式ブースと共に、多くの人で賑わっていた
スズキのバイク「隼」のジュリコラボモデルも展示されていた
応援ボードのスペース。あまりの人混みのため撮影できなかったが、インターバル中には選手へのメッセージを書く人の姿もあった

 現地では国内のファンが多く訪れていたが、その年齢は様々だった。また、チームのユニフォームを着た女性や、海外のファンも少なくなく、「スト6」が幅広い層に親しまれていることが感じられた。また、プロ選手が会場を散策している場面も見られ、世界大会の出場選手たちを間近に感じられる点も、現地観戦ならではの魅力となっていた。

開場直後のステージ。升席から観戦できるのは両国国技館ならではで、来場者はスクリーン越しに試合を見守った
試合前の合いの手では、多くの来場者が声を出し、応援用のスティックバルーンを掲げていた
熱戦をスクリーンで観戦。エドの通称「ドリームコンボ」の合いの手や、リスクの高い無敵技での切り返しの際は、特に大きな声が上がっていた
大会進行を務めたアール氏(左)と、Ryan Hart氏(右)。今回もアール氏の「いってみましょおおぉぉぉ!」の掛け声は大会を大いに盛り上げてくれた

「CAPCOM CUP 12」レポート。強豪を撃破したさはら選手が見事優勝!

 そんな会場の熱気は、試合観戦によってさらに高まっていった。3月14日に行なわれた「CAPCOM CUP 12」のトップ16ファイナルでは、熾烈な予選グループを勝ち進んだ選手が、5本先取のトーナメント方式でしのぎを削った。1回戦から各ブロックで優勝候補がぶつかる、文字通り「誰が優勝してもおかしくない」ハイレベルな試合が常に展開され、見事なプレイが出る度に悲鳴のような歓声が会場中に響いていた。

 印象的だったのは、海外の人気プレーヤーにも、日本の選手に向けられるものと同じように声援が送られていたことだ。MenaRD選手や、Blaz選手、Big Bird選手といった人気選手はもちろんだが、micky選手やXerna選手といったまだ国内で名前が知られていない選手のプレイにも声があがっており、会場全体が国境を越えて、好プレイそのものを楽しんでいることが伝わってきた。

「CC12」では四股名のような漢字表記で選手を紹介。日本人選手にもその選手らしい漢字があてられていた
Top16に勝ち進んだ選手達
トーナメント表。予選を勝ち上がってきた強豪ぞろいで、誰が優勝してもおかしくなかった

 決勝トーナメントでは、1回戦から波乱の展開が続き、優勝筆頭候補のLeShar選手、MenaRD選手が敗退。特にLeShar選手とひぐち選手の試合はドライブゲージの攻防を巡る手に汗握る展開となり、ひぐち選手が使用するガイルの「ソニックブーム」をLeShar選手の使うエドが「ジャストパリィ」する度にどよめきが起こっていた。対するひぐち選手は、SA2「ソリッドパンチャー」を使用した連携や、要所要所での強気な中段技、数少ないチャンスをものにする見事なコンボ判断を見せ、フルセットまでもつれ込んだギリギリの試合を制した。

両キャラとも守りが強いガイルvsエドの組み合わせは、じりじりとした展開に。最期までお互い見事なプレイを続けたが、ぎりぎりでひぐち選手が勝利した
緊迫した試合を終え、ジャイアントキリングを達成したひぐち選手

 その後、2回戦目では国内最強格の1人であるベテラン・ふ〜ど選手と、昨年のプロシーンに突如現れ、「CC11」で準優勝を果たしたチリの15歳・Blaz選手という優勝候補の2人が激突。

 試合は序盤からふ~ど選手のエドが攻めの動きをみせセットを連取するものの、Blaz選手はラウンドを重ねるごとに相手の動きに対応し、使用するサガットの強みである高火力を活かす動きで追い上げていき、フルセット、フルラウンドまでもつれる展開に。最後は画面端に追い込まれたふ~ど選手が、防御のために使用したSA2「サイコキャノン」から前に出ていく動きに対し、Blaz選手が針の穴を通すような投げで切り返した後、エドのしゃがみ大パンチが空ぶったのを見逃さず、差し替えしからのフルコンボで一気に体力を削り切り勝利した。

最後はBlaz選手が強気にボタンを押し続けてパーフェクトで勝利。両選手とも、ラウンド毎に相手の動きに素早く対応し、コンボ判断も完璧に近い。まさしくトッププレーヤー同士の対戦だった

 そんなBlaz選手をTop4(準決勝)で止めたのが日本の若手であるさはら選手。試合後のインタビューで、対戦相手がほかのエドと対戦していたアドバンテージを活かしたと語っていた通り、Blaz選手の完璧に近いプレイの僅かな隙や、読み合いの癖を咎めて見事に勝利し、決勝へ駒を進めた。

コンボミスでセットを落としてしまったさはら選手は、インターバルでヘッドセットを外していた。試合後のインタビューで「会場の歓声のお陰で、気持ちをリセットできた」と語ってくれた

 もう一方の準決勝では、ひぐち選手とフランスのKilzyou選手がぶつかり、序盤をひぐち選手がリード。しかし、Kilzyou選手は舞からキャミィにキャラクターを変更することで、ひぐち選手の勢いを止め逆にリズムを掴む。最後は再び舞にキャラクターを戻し、強力な飛び道具「花蝶扇」を絡めた攻めを通したKilzyou選手が決勝へ進んだ。

決勝戦を前に一言求められ、Kilzyou選手は「ただ、優勝を目指して頑張りたい」、さはら選手が「勝ちましょう」と話した
試合に挑むさはら選手。プロ一年目とは思えない強気なプレイを見せてくれた
フランスの若手プレーヤー・Kilzyou選手。舞やキャミィ、ジュリなど様々なキャラクターを使いこなす器用なプレーヤーだ

 若手同士がぶつかった決勝戦では、さはら選手が最初の1マッチは落としたものの、それ以降のラウンドで圧倒。自身の持ち味である攻めっ気溢れるプレイを決勝の舞台でも続けつつ、舞の「花蝶扇」の僅かな隙を許さない動きでマッチを連取していく。

 4-1と、もう1マッチも落とせない状況に追い込まれたKilzyou選手は、準決勝と同様にキャラクターを舞からキャミィに変更。悪い流れを止めようとするが、さはら選手はペースを乱すことなく、ラウンドを取得。続くラウンドでも序盤から体力リードを作るが、Kilzyou選手も最後まで諦めず、ギリギリのしゃがみ小パンチ暴れからコンボを繋げ不利な状況を打開しようとする。しかし、最後はさはら選手が、エドの溜め「フリッカー」から立ち小パンチをガードさせたのち、少しだけ後に歩いて投げ抜けを狩るという冷静な動きからコンボを繋ぎKO。プロ一年目にして「スト6」世界最強の称号を手にした。

投げ抜けを許さないシミーを決め、さはら選手が見事に勝利した
優勝を喜ぶさはら選手

 見事さはら選手の優勝で幕を閉じた「CAPCOM CUP 12」だが、Top4に残った選手がいずれも若手だった点も印象的だった。シーンを長く見ている筆者にとっては、上位4名のなかで最年長だったのが、「スト5」時代には新世代として見られていたひぐち選手だったことにも、時代の移り変わりを感じさせられた。

 一方で、ふ~ど選手や板橋ザンギエフ選手、ももち選手など、長年シーンの第一線で活躍を続けるベテラン勢も、なお存在感を放っており、彼らがトップレベルで戦っていることも「スト6」シーンの層の厚さをうかがわせた。新旧のプレーヤーたちに、国や地域を問わず大きな声援が送られていたことも含め、「CC12」では「スト6」の熱量や幅広い層への広がりを一層感じることができた。

優勝トロフィーを掲げるさはら選手。トロフィーは重かったようで、「腕が疲れます(笑)」とこぼしていた
さはら選手には賞金100万ドルと、次回の「CC13」出場権が送られた。来シーズンの活躍にも期待だ

圧倒的な強さで日本代表「REJECT」が優勝!「SFL:ワールドチャンピオンシップ 2025」レポート

 個人戦の熱気冷めやらぬまま、3月15日には「ストリートファイターリーグ: World Championship 2025」の予選2日目と決勝が行なわれた。予選2日目では、前日の予選一日目に引き続き、日本代表「REJECT」が、アメリカ代表「Bandits」、ヨーロッパ代表「Ninjas in Pyjamas」に勝利し、1位で決勝へ進出。2位で予選を通過した「Bandits」と激突した。

オープニングでは、世界的ギタリストであるMIYAVIさんがオープニングライブを行なった。リュウとガイルのテーマアレンジを演奏し、会場を沸かせた
試合に挑む3チーム

 予選2日目では、会場がひときわ盛り上がる展開があった。なんと、ウメハラ選手とMenaRD選手の選手の大将戦が実現したのだ。昨年、MenaRD選手はXでウメハラ選手に10本先取の対戦を呼びかける、いわば“果たし状”のような投稿を行なっていた。大将戦は、MenaRD選手が希望する10本先取に比べて短い3先先取ではあるものの、その組み合わせが世界大会の舞台で実現したことに、会場の期待も大きく高まっていた。

 試合は、ウメハラ選手の豪鬼、MenaRD選手のブランカが共に攻めが強いキャラクターということもあり、スピード感のある展開に。結果はMenaRD選手がウメハラ選手の僅かな隙を捉え、特大リターンを叩き出す展開が続き3-0でMenaRD選手が勝利した。今回は惜しくも負けてしまったウメハラ選手ではあるものの、自身が得意とする10本先取には自信があるとのことなので、再戦の機会があることを期待したい。

オーダー発表前。対戦を要求するようにウメハラ選手を見つめるMenaRD選手
試合前の両選手。待ちに待った試合を多くの観客が見守った
普段はステージに合わせやや見辛いコスチュームを使用する傾向のあるMenaRD選手だが、ウメハラ選手との試合ではデフォルトカラーを使用。MenaRD選手なりのリスペクトの表れだったのかもしれない

 世代を超えたトッププレーヤー同士の戦いで、ヒートアップした会場。その熱気が冷めやらぬまま迎えた決勝戦では、日本代表ということもあり「REJECT」を応援する声が多かった。一方の「Bandits」へも、海外から応援にかけつけたファンの声援だけでなくMenaRD選手の人気もあってか日本のファンが彼らへ向けた応援ボードを掲げる姿も見ることができた。

 決勝は、先鋒・中堅が2試合先取、大将が3試合先取で行なわれ、先に70ポイントへ到達したチームが勝利となる形式となる(大将戦のみ勝利チームが20ポイント獲得。他は10ポイント)。さらに、2巡目の大将戦までに4人全員が1度は出場しなければならず、単純な個の強さだけでなく、誰に誰をぶつけるかというオーダーの戦略も問われるものとなっていた。

決勝を争った両チーム。2人のエドを軸に国内リーグを勝ち上がってきた「REJECT」と、MenaRD選手が大将を張り続けチームを牽引してきた「Bandits」がぶつかった

 試合は予選の勢いのまま1巡目を「REJECT」がストレートで勝利。一気に40ポイントを獲得して主導権を握った。1巡目の大将戦では、ふ〜ど選手と、MenaRD選手が対戦。「CC2025」のトーナメントでは対戦のなかった強豪同士の試合をMenaRD選手の使うブランカの強烈な攻めをふ〜ど選手がさばき切り勝利。攻めのプレイが特徴のふ〜ど選手だが、守りの的確さも見せつけた。

 2巡目では、追い詰められた「Bandits」が、アメリカリーグから大将を張り続けていたMenaRD選手が初めて先鋒戦に出場。LeShar選手に勝利すると、続く中堅戦では、ウメハラ選手をChris T選手が勝利し食い下がる。しかし、「REJECT」は流れを大きく崩さず、大将戦でふ~ど選手が勝利。優勝まであと10ポイントに迫った。

MenaRD選手の使用するブランカの強力な攻めは圧巻。特に「ブランカちゃん人形」が絡んだセットプレイは凶悪だった

 最後は3巡目、先鋒として出場したLeShar選手のエドがBooce選手のテリーと対戦。最初のラウンドこそパーフェクトでBooce選手が勝利するものの、持前の冷静で堅実なプレイを崩さずに1セット目を勝利。続く2セット目でも相手の生ラッシュを冷静にしゃがみ大パンチで止め、そこからのコンボで一気に体力を削り、セットプレイでパリィに投げを重ねKO。70-20で「REJECT」が勝利し優勝を決めた。個々の強さに加え、2人のエドを軸にしたチーム全体で流れを切らさない、総合力の高さが勝利に繋がった。

最後はLeshar選手が、テリーの「バーンナックル」を読みバックステップし、生まれた隙に小技を打ち込み勝利。シーズンを通し常に冷静なプレイを魅せてくれた
お馴染みのポーズで優勝を喜ぶ「REJECT」の選手たち

 「SFL: World Championship 2025」では、個人戦の「CAPCOM CUP 12」とは異なり、試合中の選手同士の声の掛け合いや、ファンがチーム全体を応援する一体感が強く感じられた。個人戦ではステージ上の2人に視線が集まる一方、チーム戦ではベンチに控える選手たちの反応や仲間を鼓舞する声も見どころとなっており、ファンはそうした選手たちのやり取りにも注目しながら、チーム戦ならではの空気を味わっていた。

試合中に声をかける「REJECT」の選手達。チーム戦ならではの光景だった

次回「CC13」も両国国技館で開催! 数々の名勝負と好プレイに期待

 個人戦の「CAPCOM CUP 12」では極限の読み合いと個の強さが、チーム戦の「SFL: World Championship 2025」では、個人技に加え、チーム戦ならではの戦略が、それぞれ強く印象に残った。大会を通して、好プレイのたびに大きな歓声が上がり、両国国技館は終始「スト6」への熱狂に包まれていた。

 実際、今大会は5日間で2万人を動員する記録的な成功を収めており、その盛り上がりの大きさがうかがえる。さらに、次回の「CAPCOM CUP 13」と「SFL: World Championship 2026」も同じく両国国技館で開催されることが決定しており、この熱気が来シーズンへどのように繋がっていくかは期待したい。

 ゲームセンターの時代から格闘ゲームをプレイしている筆者にとっては、幅広い層が会場へ集まり、試合を見守っている光景は、とても感慨深いものだった。実際にプレイする人だけでなく、観戦や応援を通してシーンに関わる人たちまで含めてコミュニティが広がっていることは、「スト6」シーンの大きな強みだろう。この広がりが続いていけば、今後はさらに多様な人たちがシーンに関わり、新たな盛り上がりが生まれていくはずだ。

 「CAPCOM CUP 13」へ向けた戦いはすでに始まっている。今シーズンもまた、この舞台へつながる数々の名勝負と好プレイに期待したい。