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【夏休み特別企画】ミャンマーゲームマーケットレポート(マンダレー編)

「海賊版も高すぎる!」。そんな彼らのトレンドは“海賊版のディスクレンタル”

「海賊版も高すぎる!」。そんな彼らのトレンドは“海賊版のディスクレンタル”

街で見かけた個人商店

 さて、マンダレーを歩いていてよく見かけたのは個人商店だ。日本にもかつて数多く存在していた生活用品、雑貨、卵や塩といった基本的な食材や調味料を扱っているお店で、マンダレーでは、1ブロックごとに必ず1店舗は見つけることができた。

 個人商店ではゼージョーマーケットと同じように卵1個、塩数グラムという最小単位で各種商材を扱っていたが、個人商店のおもしろいところは扱っている商品の多彩さだ。安価で性能が良いため新興国で大人気のLEDライトや、昼飯は弁当を使うミャンマーの国民性を反映したステンレス製の弁当箱、そして店の奥に並べられた無数のDVDなど、1店舗でゼージョーマーケットの供給を満たしてやろうという気概が感じられておもしろい。

 謎のDVDはゲームではなく、そのほとんどは映画だった。当然すべて海賊版で、DVDとジャケットのコピーをビニールケースに入れて棚に並べている。日本でCDショップが行なっているワゴンセールのような感じだ。驚いたのはその品揃えや包装のアバウトさではなく、ビジネスモデルだ。売っているのかと思いきやレンタルのみということで、こういう店がマンダレーにはたくさんあった。

 海賊版は1,000チャット(約100円)から1,500チャット(150円)ほど掛かるが、レンタルならさらに300~500チャット(約30~50円)以下まで価格を下げられる。彼らが求める“消費サイズに合わせた商品化”がここでも行なわれているわけだ。

 海賊版ソフトを扱うコピーソフト屋はマンダレーにもいくつかあったが、PS2のソフトが1本600チャット(約60円)という地球最安値(筆者調べ)で販売されていた以外は取り立てて特筆すべきことはない。レンタルショップに押されているためか、あるいはPCの普及が進んでいないためか、正確なところはわからないが、コピーソフト販売ビジネスは今ひとつ盛り上がっていないという印象だ。

 街にはPCショップも見かけることができたが、いずれも開店休業状態だった。やはり価格がまったくマッチしないという点と、停電と低速なネット回線の影響もあって、ヤンゴン以上に需要がない感じで、ヤンゴン編でも触れたがミャンマーにPCが普及することは永遠にないのではないかという印象を強くした。

 ネットカフェについてはヤンゴン同様、数だけは多かったが、いずれも現地の客はほとんどおらず、海外から来たバックパッカーが数名、WebメールやFacebookを利用しているのが確認できた程度。PC系のビジネスは総じて“消費サイズに合わせた商品化”がうまくいってないという感じだ。

【マンダレーの個人商店】
マンダレーの個人商店は、雰囲気や品揃えが日本の数十年前の個人商店にも通じるところがあって、ついつい入ってしまった。そこで貫かれているビジネスモデルは市民の消費量に合わせた商品化だ。米数合が200チャット(20円)、卵1個130チャット(13円)で売られている

【レンタルディスク屋さん】
いずれも古く、ずっと前から営業していることを伺わせる

【コピーディスク屋】
マンダレーの街にも多くのコピーディスク屋があった。調べた限りでの価格は600チャットから1,500チャット(60円から150円)程度だった

【ネットカフェ】
ネットカフェは3店舗ほど確認することができた。ヤンゴンよりも少ない印象だが、流行ってないという点では共通している。ポイントは、新しい店舗は1つもないところで、すでにPCを含め設備は限界まで古びており、ギリギリのビジネスをしている様子が伝わってきた

(中村聖司)