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【夏休み特別企画】ミャンマーゲームマーケットレポート(ヤンゴン編)
市民の身近な娯楽はゲームセンターと映画館。ゲームショップはまったくなし
(2013/8/21 00:00)
市民の身近な娯楽はゲームセンターと映画館。ゲームショップはまったくなし
前座はこれぐらいにして、本題のゲーム関連情報についてご紹介していきたい。今回ヤンゴンでは、ダウンタウンの中心部にあるボージョーアウンサンマーケット、その周辺にある電脳街、中華街、ダウンタウンから少し外れた新興エリアのショッピングモールなどを数日掛けて見て回った。
ヤンゴンのダウンタウンは、碁盤の目のように東西南北にまっすぐ伸びる道路で区画整理され、英国統治時代(1937~1948)を偲ばせるコロニアルデザインの建物が目に付く。ただし、建て替えやリノベーションは殆どされておらず、貴重なデザインの石壁はペンキが剥がれ落ちボロボロだ。内装は木造になっており、木造の階段や扉を見ると長年大事に使い込んでいるのがよくわかる。
ダウンタウンを歩いていて良く目に付いたのはゲームセンターだ。新旧様々なタイプの店舗があり、入場料を取るところもあれば無料の所もあったが、共通点は1枚100チャット(約10円)程度でコインを買って、そのコインを投入して遊ぶシステムになっていること。おそらく日本からの払い下げらしい日本製の古いアーケード筐体が目に付いたこと。そして最後にどの店にもギャンブルコーナーがあったことだ。
ヤンゴンの経済都市としての最大のウィークポイントは、停電が多く、電圧も安定していないなど、電力環境が脆弱なことだ。ホテル滞在中に何度か、ふつふつっと照明が明滅して最終的には消え、数分後に自家発電装置が稼働して電気が復活するということがあった。このため、ヤンゴンの施設では、ホテルやオフィスビルなどの大規模な施設では自家発電装置、レストランやカフェなどの中小規模施設では無停電電源装置が欠かせない。そしていずれの場合でも電化製品を傷めないように電圧安定装置は必須アイテムになっている。
こうしたことから、大量の電気を必要とするゲームセンターが多いのは不可思議だが、中がカジノ化していると知って納得がいった。レートはどこも一律1対1で、購入したコインをそのままのレートで換金することができる。若干深刻だと感じたのは、子供も参加していることだが、それ以前に、この国には国費による義務教育制度がなく、普通に子供たちが働いているなど、この国が解決すべき課題は多い。
ダウンタウンから少し外れたところにある大型のショッピングモールにはゲームセンターのほか、映画館も目に付いた。料金は1,000チャット(約100円)程度で、ハリウッド映画もあれば、現地向けの仏教ものもあった。それほど盛り上がっているという印象はなかったが、しっかり現地の娯楽として根付いている感じだった。
なお、アジアには必ず存在する、あらゆる国からのゲームハードを集めて、パッケージイメージのカラーコピーをバインダーに挟み込んでコピーソフトを売りまくっているようなゲームショップはヤンゴンには1店も存在しなかった。現地在住者も今まで見たことがないと言うことだったが、さすがに1店舗ぐらいはあるはずだと思ってかなりのエリアを見て歩いたところ、本当にまったく見かけることができなかった。
この理由について現地関係者は、「ミャンマーは、敬虔な仏教徒が多いため、娯楽への関心が薄いのではないか」という見解だったが、私はそうではないと確信していた。娯楽を求めない一般層の人々を今まで見たことがないし、ミャンマーの人々が本当に娯楽を求めていないなら、ゲームセンターや映画館が流行るわけがないからだ。
実際、その後に訪れた中華街では、プレイステーション 2とTVを並べたPS2カフェを1店だけ見ることができたし、詳しくはマンダレー編でお伝えする予定だが、マンダレーには上記のようなアジアらしいゲームショップをいくつも見ることができ、また、スマートフォンでゲームを遊んでいるのも確認することができた。
ヤンゴンにゲームショップがない理由は、電力事情が不安定であることが大きいと思われる。一般家庭でコンソールゲームを遊ぼうと思ったら、自家発電装置もしくは無停電装置、そして電圧安定装置が必要で、非常にコスト高になる。その上、昨今のゲームコンソールはオンラインアップデートが必須になっていて、これを1MB程度の回線で対応するのは簡単ではない。つまり、コンソールゲームが遊べる環境にないことが大きいと思われる。
ただ、ミャンマーの人々がゲームを嫌いなわけではないというのは、中華街で見かけたPS2カフェでよくわかった。彼らは、英国支配の名残から、サッカーが大好きな国民性で、6台のマシン中4台で「ウィニングイレブン」を楽しんでいた。利用料金は1時間300チャット(30円)。ソフトはほとんど英語版で、パッケージの時点ですでにコピーのため、流入経路はよくわからない。いずれも1台に2人か3人ずつ座ってオフラインの2人プレイを楽しんでいて、日本の30年前の風景を見たような気持ちになった。