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【TGS2022】日本とスイスが出会った血祭りアクション「Wanted: Dead」プレビュー&インタビュー

刀と銃、中間のハンドガンで広がる戦いの自由度! 常に考えて戦え!

【Soulstice: Deluxe Edition】

11月24日発売予定

価格:6,490円(税込)

 スイスのゲームメーカー110 Industriesと、日本のゲームメーカー・ソレイユはTGSに共同で開発した「Wanted: Dead」を出展した。本作はプレイステーション5/Xbox Series X/S/PC向けアクションゲームで、2023年2月14日発売予定、価格は未定だ。今回、試遊とデモプレイ、そして開発者に話を聞くことができた。

 ソレイユのCEO岡本好古氏は、かつてTeam NINJAに所属、「NINJA GAIDEN2」もプロデューサーをはじめ様々なタイトルを手がけた。ソレイユとしても「NARUTO TO BORUTO シノビストライカー」、「ヴァルキリーエリュシオン」とアクションゲームにこだわっているという。本作ではプロデューサーを務めている。

ソレイユのCEO岡本好古氏(左)は、本作ではプロデューサーを担当。110 IndustriesのStefanie Joosten氏は本作ではリード・シネマティック・ディレクターを務め、ゲーム内のサウンドトラックも手がける

 110 Industriesは岡本氏のファンであり、「こう言うゲームを作って欲しい」と企画を持ち込み、ゲーム制作が実現したという。「Wanted: Dead」は岡本氏の「自分たちが作るアクションゲームは?」という想いの詰まった作品となっている。まずゲーム要素を紹介し、本作に込めた想いを紹介していきたい。

【Wanted: Dead Gamescom Exclusive Trailer】

銃で蜂の巣、刀で滅多斬り! 戦場を駆け回り敵を血祭りに上げる爽快アクション

 「Wanted: Dead」は現在に至るまであえてストーリーやバックボーンを細かく紹介していない。プレーヤーキャラクターである主人公は警官であり、アンドロイドによる軍隊と戦うという物語が展開するようだが、積極的には紹介されていない。大きくフィーチャーされているのはその“アクション”である。

 本作はサードパーソンのアクションゲームだ。主人公はアサルトライフルやショットガンのような銃に加え、日本刀を使いこなす。素早い動きで敵に近づき刀で切りつけたと思えば、アサルトライフルを連射し敵を撃ち抜く。銃を構えるとカメラがグッと寄りシューティングゲームに近い感触になる。刀は強力だが敵によってはガードされる場合もある。

「Wanted: Dead」は、刀と銃で激しく戦うアクション。
滴の位置や距離で攻撃は多彩に変化する
ハンドガンを活用することで攻撃の幅が大きく広がる

 ここで第3の武器「ハンドガン」が重要となる。ハンドガンは敵のガードを崩したり、刀で接近戦を挑もうとする時もう一歩距離が足りないときのけん制、また敵の頭を撃ち抜くとどめにも使える。近接、ダッシュ、ハンドガンをタイミング良く押すと敵をより素早く、スタイリッシュに倒せるようになる。

 今回は試遊に加え、スタッフによるデモプレイを見ることができた。本作はゲームを進めていくことで様々なスキルを解放したり、武器をカスタマイズすることで強力なキャラクターに成長させられる。体力の回復は刀による近接攻撃を成功すると一定量回復する。体力が大きく減った場合は回復アイテムを使うことができるが、刀を使うことでより有利に戦える。

 試遊では最初すぐに死んでしまいその歯ごたえに驚いた。うまく立ち回り、ハンドガンを交えてしっかり戦うことでステージの先に進むことができた。理不尽に難しいのではなく、本作ならではの闘いのリズムや、敵の攻撃に的確にハンドガンをカウンターさせることで有利になったりと、テクニカルな戦い方を目指したくなるゲームだと感じた。

ステージの合間で様々なスキルを取得し成長させる
銃とハンドガンもカスタマイズ可能

 また、「仲間の頼もしさ」も本作の特徴の1つだと感じた。「Wanted: Dead」はチームで戦うのだが、仲間はけん制や、グレネードでの範囲攻撃などをしてくれる。前への道を切り開くのはプレーヤーだが、仲間はしっかり前線を押し上げてくれる。一緒に戦っているという感触がしっかり味わえた。

 そしてスタッフによるデモプレイでは「Wanted: Dead」の高いポテンシャルをしっかり感じることができた。まず主人公の動きが全然違う。するすると敵の銃弾をくぐり抜け肉薄、的確に敵を倒しターゲットに向かう。デモ用にすべてのスキルが開放されているとのことだが、うまいプレーヤーの動きは強い魅力があると実感した。

 また敵と戦う際、集団の中に紫の光る帯を巻いている敵を優先して倒していた。その敵はリーダーで彼を早く倒さないと増援を呼ばれるという。増援を呼ばれる前に素早く倒すことでスキル用のポイントも多くもらえるとのことだ。敵集団から的確にリーダーを探し出し、他の敵に囲まれないように倒す。そういった立ち回り要素もあるとのこと。

 また、序盤の敵は軍隊風の服装だったが、「公園」ステージの敵は工事現場の作業員風の服装で、つるはしなども武器にしていた。彼等はどうやらアンドロイドのようだ。他にも巨大なボスなど様々な敵が登場するという。

 やはりうまいプレーヤーの動きがとても印象的だった。「Wanted: Dead」でスタッフが実現したいものがわかる気がした。インタビューでは岡本氏と、110 IndustriesのStefanie Joosten氏に話を聞くことができた。本作へのこだわりを掘り下げたい。

ステージの合間で様々なスキルを取得し成長させる
公園での戦い。様々なステージが待っている

進化したアクションゲームを見せたい! 仲間との絆も注目要素

 Stefanie Joosten氏は本作ではリード・シネマティック・ディレクターを務め、ゲーム内のサウンドトラックも手がける。またゲーム内の主人公の仲間の1人も演じ声優として参加している。ちなみにゲーム内のキャラクターは猫を溺愛しているが、Joosten氏は犬派とのこと。

 110 Industriesのソレイユへの熱烈なラブコールで実現した「Wanted: Dead」は、ソレイユならではのこだわりを込めたアクションゲームだ。「NINJA GAIDEN2」のイメージを受け継ぎながら、「現代だからこそ作れるアクションゲームとはどんなものか?」という問いかけをゲームの根底にしている。

アクションゲームへのこだわりを語る岡本氏
Joosten氏は日本文化が大好きで、このゲームでもその想いを込めたとのこと
Joosten氏はゲーム内でも声優として参加。仲間の1人を演じる

 現在「ソウルライク」、「死にゲー」と呼ばれる、「ダークソウル」から始まるきついバランスと駆け引きを求めるゲームが大きな潮流となっているが、「アクションゲームを作るものとして、その流れに乗るのは恥ずかしい」と岡本氏は断言する。自分たちは別なベクトルの進化したアクションゲームを提示したいと岡本氏は言葉を重ねた。

 その進化は「銃と刀を使いこなすアクション」だ。銃と刀では普通にやると独立したアクションになってしまう。そこに「ハンドガン」という中間に当たるアクションを盛り込むことでより自然に2つの攻撃をつなげることができる。そして「Wanted: Dead」は、1vs多数のゲームだ。プレーヤーは常に多数の敵がどこにいるか、どの距離にいるかを考えて戦うこととなる。刀で切り込むか、銃で距離をとるか、敵はどう動くか……。これらを考えながら、常に状況を考えながら戦って欲しい、そういうシステムを目指したと岡本氏は語った。

 さらに状況でアクションも変化する。壁際に敵がいる場合は押しつけるように攻撃するし、少し離れた敵には突きを放つ。ハンドガンの攻撃も変化するし、銃もアサルトライフルとショットガンでは敵の挙動が変わる。これらを考え、使いこなすことで、主人公がよりプレーヤーの思い通りに動き、多彩な戦い方ができるようになる。

 「敵の攻撃力が単純に高いとか、モーションを覚えるとか、そうではなく、敵と自分の位置関係、数、それに対し、剣か刀か、ハンドガンか、どう戦えばいち早く敵を殲滅できるかを常に考える、それが私たちの考える"難しいゲーム"でありたいと考えています」と岡本氏は語った。

ハンドガンがアクションの駆け引きを進化させる
敵との距離を考えて戦う
幕間劇も注目ポイント

 敵の位置と攻撃方法を考えて戦わず、がむしゃらに突っ込むだけではゲームオーバーを繰り返すことになるが、それは「死んで覚えろ」というわけではなく、考えて戦って欲しいとのこと。様々な選択肢がある。「ガードがタイミングよくできなかった、敵の攻撃を見切れなかった、そういうゲームではないんです。どの位置でどう攻撃するか、立ち回りをどうするか、よりよい攻撃を考えて欲しい。ボタンを押したはずなのに、かわしたはずなのに、という言い訳をさせない、レスポンスと攻撃の結果はこだわっています。敵を主体に考えるのではなく、より能動的に戦えるゲームだと思います」。

 初心者へのアドバイスとしては「銃と刀を状況できちんと使いこなす」ということだという。距離と効率を考えるのは基本だ。「Wanted: Dead」はここにハンドガンというつなぎの要素を入れたのだが、これによりさらに敵との戦いというテーマに対してより絞り込む、よりテーマ性が強いシステムを提示できたと岡本氏は考えているという。

 アクション部分はもちろん、ストーリーテリングも注目して欲しいとJoosten氏はコメントした。プレーヤーの心に訴えかける要素としてカットシーンでの「チームの絆」は大事にしたという。「Wanted: Dead」は1人で戦うのではなく、チームで戦うシーンが多いゲームだ。カットシーンでの軽口のたたき合いや、仲間を思いやる様子など"つながり"も注目して欲しいとのことだ。格キャラクターの個性、関係性も見所。ゲーム中も様々な通信が注目ポイントだ。

 このほか、今回は見ることができなかったが、様々なミニゲームが入っている。懐かしい2Dシューティングや、ラーメンつくりをモチーフにしたものなど、こちらはかなりユニークな要素に振り切っているという。本編とは別のユーモア要素としても注目して欲しいとJoosten氏は語った。チームの絆、シリアスに突き詰めるアクション要素、ド派手な演出、そしてぶっ飛んだセンスによるギャグと、様々な要素が込められている。これはソレイユと110の共同開発だからこその奥深さだとのことだ。

 最後にユーザーへのメッセージとしてJoosten氏は、「私も含めて110のスタッフの日本への愛が詰まったゲームです。世界はもちろんですが、日本のゲーマーの皆さんにプレイして欲しいです」と語った。

 岡本氏は「2つの国で作った独特の味が魅力です。その上でアクションゲームとして野心的な挑戦をしています。進化したアクションゲームです。ぜひ体験してください」と語った。

 今回自分でプレイし、その上でスタッフのデモプレイでの本作のポテンシャルの提示、さらに岡本氏の熱のこもったアクションへのこだわりを聞き、本作の発売が一層楽しみになった、「進化したアクションゲーム」とはどんなものだろうか? 期待したい。