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ソニー、PC向けゲーミングギアブランド「INZONE」正式発表
ゲーミングモニター2機種、ゲーミングヘッドセット3機種からスタート
2022年6月29日 10:04
- 【ゲーミングモニター INZONE Mシリーズ】
- 7月8日より順次発売予定
- 価格:154,000円前後(M9)
- 【ゲーミングヘッドセット INZONE Hシリーズ】
- 7月8日より順次発売予定
- 価格:12,000円前後(H3)より
ソニーは6月29日、ゲーミングギアブランド「INZONE」を正式発表し、ゲーミングモニター「INZONE Mシリーズ」2機種、ゲーミングヘッドセット3機種を7月8日より順次発売する。
“オーディオ・ビジュアルのソニー”として、すべてのものを備えながら、プレイステーションへの配慮からあえて出していなかった、汎用のゲーミングギアの世界についにソニーが参入する。ゲーミングギア業界からすれば間違いなく戦々恐々だろうが、我々ゲームファンからすればワクワクするようなビッグニュースだ。
今回発表されたのは、ゲーミングモニターとゲーミングヘッドセット。いずれもソニーが得意とするカテゴリだ。両カテゴリの商品共に、プレイステーション 5をはじめとしたプレイステーションファミリーへの最適化はしっかり謳いつつも、eスポーツシーンも視野に入れたPCでの活用を強く意識しているところが最大の特徴だ。
白と黒を基調としたツートンカラーは、PS5との親和性も高く、公式モニター/ヘッドセットと呼称したくなる雰囲気に包まれている。しかし、性能をつぶさに見ていくと、PS5だけでは活かし切れない多彩な機能を備えたプレミアムゲーミングギアであることがわかる。
ゲーマーに必要なものがまるっと揃うゲーミングモニター「INZONE M」シリーズ
まず、ゲーミングモニターから見ていこう。今回はそれぞれターゲットの異なる2機種がエントリーされている。
「INZONE M9」は、27インチ、4K/144Hz液晶を搭載した“映像美”を重視したモデル。HDMI 2.1で、PS5でも4K/120Hz出力でゲームが楽しめる。応答速度は1ms、HDRはDisplayHDR600、VRRやNVIDIA G-Syncにも対応するなど、現行世代のゲームをこれ1台でまるっと賄える充実したスペックを誇る。現行のBRAVIAにも通じるベゼルレス仕様で、27インチのわりにはコンパクトな印象を受ける。
最大の特徴はBRAVIAで培った高画質技術を活かした映像美。DCI-P3 95%の色域を備え、色深度は10.7億色、IPSパネルおよび、直下型LED部分駆動による高コントラストで、PC向けのゲーミングモニターとしては、トップクラスの映像表現を実現している。7月8日発売予定で、価格は154,000円前後を予定。
「INZONE M3」は、27インチサイズまでは同じだが、解像度はフルHD(1,920×1,080)、リフレッシュレートは240Hzと、すでに4K解像度に移行しているPS5/4向けではなく、明確にPC向けに特化したゲーミングモニターだ。eスポーツシーンのスタンダードであるフルHD、240Hz/1ms駆動を実現し、eスポーツ業界にも殴り込みを掛ける。こちらは発売日、価格共に未定。
2モデルの共通項は、PCモニターならではのチューニングと、ゲームタイトルごとの設定項目の保存/読み込みが可能なPCソフトウェア「INZONE Hub」、INZONEにマウスやキーボード、ヘッドセットを接続しておくことで、起動したデバイスに連動して接続先を自動で切り替えてくれる「オートKVMスイッチ」、豊富な接続端子(DP 1.4×1、HDMI 2.1×2、USB×5、3.5mmオーディオジャック)など。その一方で、リモコンは非搭載と、まさにPC向けゲーミングモニターだ。
ソニー謹製ノイキャン&優れた定位感がゲームシーンに新風をもたらす「INZONE H」シリーズ
続いて、ゲーミングヘッドセット。ソニーが世界を牽引するノイズキャンセリング機能を備えたワイヤレスヘッドフォンで、ソニーのお家芸を惜しみなく投入することで一気にゲーミングヘッドセット市場のシェア獲得を狙う。白と黒のツートンカラーに加え、ヘッドバンドとハウジングのつなぎ目部分のLEDはブルーと、モニター以上にPS5との親和性を意識したデザインとなっている。
アピールポイントとしてはソニーが長年培ってきた立体音響技術による明確な定位感、ヘッドフォンメーカーならではの装着快適性、そして同社十八番のノイズキャンセリング機能の3点。カタログスペックだけで“強さ”を実感してしまう布陣だ。
ラインナップは3種類。スタイルはほぼ同一で、機能に明確な差がある。最上位の「INZONE H9」が唯一の無線&ノイズキャンセリングモデル。ミドルクラスの「INZONE H7」は無線モデル、エントリーの「INZONE H3」は有線モデルとなる。価格はH9から順に36,000円前後、29,000円前後、12,000円前後となっているが、H9のみ、イヤーパッドの素材が、WH-1000M5にも採用されているソフトフィットイヤーパッド(合成皮革)が採用されており、オススメ度は桁違いに高い。
ソニーならではの装着感とノイキャンで、早々と買いを決めたソニーファンのゲーマーも多そうだが、“ゲーミンググレード”としてもっともこだわっているのが、音の定位感だ。立体音響を実現しているゲーミングヘッドセットは珍しくないが、実際にはそのクオリティはなんとなく立体的に聞こえるものから、ハッキリ位置が特定できるものまで千差万別だ。
「INZONE H」シリーズは、同社が培ってきた立体音響技術を惜しみなく投入し、ハードウェアと、ソフトウェアの両面で、ゲーミンググレードまで磨きを掛けた逸品に仕上がっている。
まずハードウェア面では、振動板の形状や(H9、H7のみ)、ハウジング上のダクト、左右対称の音響構造などの工夫により、ゲーム内の音を余さず再現し、定位感を高めてくれるとしている。
ソフトウェア面は、PCソフトウェア「INZONE Hub」とスマートフォンアプリ「360 Spatial Sound Personalizer」、360立体音響技術を活用した7.1ch立体音響バーチャライザーの3点。PCソフトウェア「INZONE Hub」は、PCでサウンド設定を調整できるソフトウェアで、「360 Spatial Sound Personalizer」は、立体音響を耳の形から個人レベルで最適化してくれるアプリだ。
この音響効果はあくまでPC向けで、PS5には対応しないものの、PS5ではPS5独自の立体音響技術「Tempest 3D Audio」で定位感を得られるとしている。ハードウェア的にはドライバレベルで対応しており、PS5接続時に画面上にヘッドセットステータスが表示されるほか、本体操作でボイスチャットの音響バランスを変更できるなど、PC向けのゲーミングヘッドセットでありながら、キッチリPS5にも対応しているのはさすがソニー製品といったところだろうか。
3点目のノイズキャンセリング機能は圧巻のクオリティで、ノイキャンなしのゲーミングヘッドセットと比較するのはアンフェアだと思えるぐらい圧倒的な没入感を得られる。ノイキャンの効果については別途インプレッションでもお届けしているのでそちらも参照いただきたい。
ゲーミングモニター「INZONE M」シリーズ、ゲーミングヘッドセット「INZONE H」シリーズは、eスポーツグレードのゲーミングデバイスでありながら、PS5への親和性も非常に高く、ゲーミングデバイスのスタンダート的な存在と言える。「INZONE M9」は、HDMI 2.1世代で、なおかつDCI-P3 95%を誇る色域の広さと、直下型LED部分駆動による高コントラストで、1台目のゲーミングモニターとしてはもちろんのことだが、買い足し、買い換えにも適している。「INZONE H」は、この見事な定位感で、ゲーミングヘッドセットとしては最高クラスの装着感と、ソニーが得意とするノイズキャンセリング機能は、“ズルい”とすら表現できるスペックだ。「INZONE」が今後どのような広がりを見せていくのかは未知数だが、ゲームファン、eスポーツファンとして、モニターやヘッドセットに留まらない爆発的な広がりを期待したいところだ。