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「にょろっこ」は”誰でも簡単にプレイできるように”。「ほんだのげーむ タイトル発表会」レポート

制作総指揮兼プロデューサーの本田さんがきっかけや苦労を語る

2021年初夏 サービス開始

プレイ料金:無料(アプリ内課金有り)

 フォワードワークスは4月20日、「ほんだのげーむ タイトル発表会」と題した、タレントの本田翼さんがプロデュースする非対称対戦ゲーム「にょろっこ」の発表会を開催した。

 本作は2021年初夏からサービスを開始予定のAndroid/iOS用天使と悪魔のサバイバルアクションゲーム。基本プレイは無料で、気軽に遊べる非対称対戦ゲームとなっている。また、Android限定の接続テストが1万人限定で4月23日12時から4月24日23時59分まで行なわれる。

にょろっこ

 本作は本田翼さんの「ゲームを作りたい」という夢を実現するために、フォワードワークスと日本マイクロソフトが開発をサポートして制作されており、本田翼さんが製作総指揮を務める記念すべき1作目となる。

 発表会ではまず本作の製作総指揮とプロデューサーを務める本田翼さんが登壇し、本作の説明を行なった。「にょろっこ」というタイトルの由来は「にょろにょろ対戦ごっこ」を略したものだとし、遊び方や役割をあえて決めずプレーヤーが好きなように自由に楽しんでほしい。いろいろなごっこ遊びを見つけてほしい。そういう想いが込められていると語った。

「にょろっこ」製作総指揮・プロデューサーの本田翼さん

 本作のキャラクター達も原画から本田さん自身がデザインしており、開発初期に書かれたコンセプトアートも空から銃で人間を追いかける天使たちと、鐘を鳴らして天使たちに”おかえり願おうとする”人間チームが描かれている。本田さんは「ゲームのコンセプトとして空と地上を舞台にした協力対戦ゲームにしようと開発してきました」とした。

 ゲームとしては天使チームが2名、人間チームが6名の合計8名で戦う協力対戦ゲームになっており、人間を攻撃する天使チームと、攻撃を避けながら天使を追い払う人間チームがさながら鬼ごっこのように、追いかける側と逃げる側として2つの視点で遊ぶことができるというのが本作の特徴となっているという。ちなみに”本田さん自身”ではないが本田さんの中の「なにか」もゲーム内に登場するとのこと。一体どのような形で登場しているのか、とても気になる。

本田さんが初期に書いたコンセプトアート
天使チームと人間チームに分かれて戦いあう

 本作はどこか懐かしいノスタルジックな世界観で描かれているが、これは本田さんの実体験に基づいて描かれているそうで、「懐かしさのあるものにしていきたい」という狙いのもと、昔自分が子どものころに公園で遊んでいた感覚、公園にあったものなどを集めていったところ昭和テイストのものが出来上がっていったという。また、団地育ちの本田さんが当時住んでいた街をイメージした「団地ステージ」というものもあるそうだ。

 プレイ時間は10分程度となっており、双方に戦いやすいような仕掛けも用意されている。子どものころに遊んだ鬼ごっこをオンライン上で遊べるようなゲームになっているということで「普段ゲームをしない人でも簡単にプレイできるように考えました」と笑顔でコメントした。また、オンライン上でわいわいゲームで遊ぶ楽しさを知ってほしいという願いから、シンプルなゲーム性を追求して開発したという。「ぜひ家族や友達、パートナー、そしてまだ出会ったことのない誰かとこのゲームを楽しんでいただきたい」と熱い想いを述べた。

 本作は遊べる期間が6カ月限定であることも発表されており、「ゲームというエンターテイメントはゴールがあるから夢中になる、熱くなると」いう考えのもと、「フィナーレに向けて盛り上がり、最大限に楽しむことができる6カ月の特別な体験を皆さんと共有したいと思っている」とコメントした。

 また、配信期間中は「にょろっこ祭り 本田翼と6か月間騒ぎな祭!2021年最長のお祭り開催Death」と題して、サービス開始時の誕生祭から七夕やハロウィンなど季節に合わせた毎月のイベントなどが順次開催される。そして、フィナーレは「みんながハッピーなエンディングが迎えられる」ような集大成となるイベントも行なわれる。「どこに住んでいても参加して楽しめるようなものを考えているので、楽しみにしていてほしい」という。

 加えて毎月「にょろ1グランプリ」というイベントも開催され、お題に沿ったスクリーンショットやお題に対しての回答をSNSで投稿。投稿の中から本田翼さんが審査してナンバーワンを決めるという、ゲーム対戦が苦手な人でも挑戦できる企画も用意される。3、4ヶ月後には「にょろっこ放送局」という生配信の実施やアップデートも用意されているとのことで、詳細は今後、本日より開設された公式サイトや公式Twitterにて随時告知されるという。

プレイ期間中は様々な”お祭り”が用意される
毎月いろいろなイベントが盛りだくさん!

頓挫するかに思えたプロジェクトは「1枚の絵で光が射した」

 続いて、日本マイクロソフトの米倉規通氏も登壇し、開発に至るまでの経緯を説明した。全てのはじまりは2年近く前、本田さんがとあるイベントで、将来の夢として「いつかゲームを作ってみたい」と語っていたこと。日本マイクロソフトは企業ミッションとして「地球上のすべての個人、すべての組織がより多くのことを達成できるようにする」というものを掲げており、「その本田さんの夢を日本マイクロソフトが支援して、ゲーム業界に結果として大きなインパクトを残せるのであれば是非やるべきだ」という判断の元、本田さんと話をしたことから本企画が始まったのだという。

日本マイクロソフトの米倉規通氏

 マイクロソフトはXboxというコンソールビジネスのほかに、ソフトウエア、開発ツール、サーフェスといったハードウエア、そして本作で採用されたクラウドの開発プラットフォームといったゲームのバックエンドオペレーションを一手に担うサービスを提供している。これらを駆使することで本田さんの夢を360度全方位から支援できるとした。

 一方、本田さんはこのプロジェクトが始まった2019年6月から1年間ぐらいは「このプロジェクトが無くなってしまうんじゃないかと思うくらい頓挫した時期があった」とコメントしており、米倉氏も最初は本田さんもゲーム開発の経験がなかった上、その後企画の進行が停滞した期間が6カ月ほどあり、プロジェクトが実現できなくなる可能性も感じていたと当時を振り返った。

 プロジェクト当初は、提案された企画と本田さんの意見をすり合わせてゲームの中身を作っていく、という形で進めていたそうだが、本田さんの中でしっくりこなかったため、結局0から本田さんが発案して進めていく方向に変更したという。本田さんは「その分時間もかかってしまった」と苦笑いを浮かべた。

 ピンチを救ったのは、本田さんが企画書の裏に書いた1枚の絵だった。米倉氏は本田さんの絵を見た瞬間、「こんなにやりたいことがはっきりしてるならこれでいいじゃん!!これやろうよ!!」と叫んだそうで、「その瞬間に製作総指揮・プロデューサー本田翼が誕生した」と語った。

当時を振り返る本田さんと米倉氏

 また企画開始当初はまだコロナ禍ではなかったため、対面での打ち合わせをしていた。しかし、企画が固まりだしたころから、徐々に対面での打ち合わせが難しくなり、オンライン会議へと変更されていったという。ただ、マイクロソフトの「Microsoft Teams」というコラボレーションプラットフォームのおかげでスムーズに会議に参加できたととても楽しそうに語った。

 米倉氏は本田さんのもう1つの夢の「社会人になってみたい」という希望も叶えてあげたかったそうで、本田さん用のマイクロソフト社員証を用意し会社に出社してもらうところまで準備していたが、このコロナ禍で叶えてあげられなかったのが残念だと口惜しそうに語った。

 ここで本田さんはプロデューサーとして何が大変だったか聞かれると「大変なことは上げたらきりがない」としながらも、特に大変だったのは予算管理だったそう。予算の工面は相当大変だったそうで、クリエイター精神が強い本田さんに「ビジネスのことも考えたほうがいいのでは」と米倉氏がアドバイスすることもあったという。一口にゲームを作ると言っても、”作ったゲームで製作者にも還元しなくてはならない”ということを考えた上で、自分がやりたいことをやっていくにはどうしたらいいのかというところは頭を悩ませたそうで、「ただ好きなゲームを作ろうという気持ちでいたが、現実はもっといろいろなことを見ないといけないというのが、ゲーム開発で難しいところだと感じた」とコメントした。また、本田さん1人でゲームのゲーム性やキャラクター達などを考えていたため、その時間を多忙なスケジュールの中から捻出するのはとても大変だったそうだ。

苦労を語る本田さん

 米倉氏は様々なジレンマを抱えながらゲーム制作に取り組む本田さんを見ていたこともあり、今回の「にょろっこ」は本田さんが0から考えたもので、「マイクロソフトが裏で作って本田さんがちょっと意見を入れたようなもの」ではないことを強調した。本田さんが本当に悩んで作った「原案」、「タイトル」、「キャラクター達」は「本当にすごい」の一言で、ゲームのローンチまでプロデューサーとしてやり遂げたことを称賛した。

本田さんが必死のプレゼンで口説き落とした川口氏

 続いてはフォワードワークスの川口智基氏も登壇。かつては完全なライバル関係であった米倉氏と川口氏だったが、今回お互いに業務や立場も変わったということもあり、夢のタッグが実現することとなった。お互いにゲーム業界を盛り上げていきたいという熱いを持った2人が共に、本田さんの夢を後押しする形になった。

フォワードワークスの川口智基氏

 ゲームを作った以上、その後はそのタイトルを運営していかなければならない。当初は本田さん自身がパブリッシャーになるという計画もあったそうだが、パブリッシング、そして運営という業務を本田さん1人で遂行するのは難しい。では運営を依頼する上で信頼できるのは誰か。そこで米倉氏に相談したところ、紹介されたのが川口氏だったという。

 一方の川口氏も同時期にこのプロジェクトが発表されたのを見て「画期的でワクワクする」と可能性を感じ、米倉氏に手伝えることはないかという連絡をしていたのだとか。ただ、本田さんは米倉氏に紹介してもらったフォワードワークスに運営を頼みたいという気持ちと、ゲーム運営というある種の博打をお願いしてもいいものかという気持ちが拮抗していたと当時を振り返る。米倉氏も川口氏を紹介することはできるが、引き受けてくれるかはどうかは川口氏の判断と本田さんの”口説き”に任せたといい、本田さんが必死にプレゼンをして今回の体制が完成したのだという。

 川口氏は当時の本田さんのプレゼンについて、「いろいろなことがユーザー視点で考えられており、ゲームの中身だけでなく、ゲームプレイを通したユーザー体験としてよく考えられている。やりたいことも明確で、それを実現させたいという熱量の高さを感じたプレゼンテーションだった」と振り返った。

当時を振り返る本田さんと川口氏

 ちなみに登壇者それぞれの好きなキャラクターは、米倉氏は本田さんが1番最初に書いた「ケンタ」というキャラクター、川口氏は可愛らしい容姿と容赦ない攻撃を繰り出すギャップが好きだという「天使」、そして、本田さんは「蚊」を選んだ。本田さんは「蚊」を書いた瞬間「自分ちょっとすごいかも。これだ!!」と思ったというほど思い入れのあるキャラクターだそうだ。

右から1番目が「ケンタ」右から3番目が「蚊」
左から1番目が「天使」

企画のきっかけのひとつは「ゲームや漫画が好きということを堂々と言えない状況を変えたい」

 本田さんは今回の企画を引き受けた理由として、「ゲームを作ってみたい」という好奇心があったことに加え、「ゲームや漫画が好きということを堂々と言えない状況を変えたい」という想いがあったことを明かした。

 本田さん自身もかつて「趣味は何ですか」と聞かれたときに「ゲームや漫画が好きなんです」となかなか言い出せなかった経験があるという。特に当時はまだゲームや漫画というものがまだ世間的に認知されていない趣味で、偏った人間が好きなものというイメージがあった。そのため、本作は「一部の人だけでなくもっと万人の人もっとたくさんの人に、子どもや男性の方だけでなくいろいろいろな方々に遊んでもらいたい。ゲームというものを知ってもらいたい。そのきっかけになったらいいなという想いで作りました」と力強くコメントした。

本作制作のきっかけを語る本田さん

 最後にユーザーに向けてのメッセージで発表会は締めくくられた。

 「私たち日本マイクロソフトは「人の夢を叶える」というお付き合いをしていくというところからプロジェクト参画できて、本田さんの夢のお手伝いをできたことをすごくうれしく思っております。様々なサービスを通じて本田さんの支援をさせていただきたいと思っております。1サポーターとして、同じ1ファンとして『にょろっこ』が多くのお客様に遊んでいただける日が来ることを楽しみにしております。(米倉氏)」

 「私たちフォワードワークスはパブリッシャーとして多くの方々にできるだけ早く、このゲームをお届けできるようにまずは準備をしっかり進めていきたいと思います。ユーザーのみなさま、そして本田さん、日本マイクロソフトさんと一緒にこの『にょろっこ』を盛り上げていきたいと思いますので、配信開始までどうぞ楽しみにお待ちください。(川口氏)」

 「私はこの場に立てて、この発表をすること自体が貴重な経験だと思っています。まずこの経験をさせていただけたことに感謝しています。『にょろっこ』というゲームはオンラインゲームというものなんですけども、最近はこのコロナ禍でゲームをする機会が増えた方も多いと思います。それでもコンシューマゲーム、家庭用ゲーム機は高くて買う勇気がないなという方には、ぜひこの携帯でできる『にょろっこ』というゲームを触って、ゲームというものの楽しさ、オンラインゲームで協力していくということの楽しさがたくさんの世代の方に届いたら本当にいいなと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。(本田さん)」