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「電脳戦機バーチャロン マスターピース 1995~2001」メディア対抗戦レポート
20年ぶりに大会に出て思い出した「バーチャロン」の面白さ
2019年12月13日 10:00
- 12月10日開催
- 会場:セガゲームス本社
プレイステーション 4で11月27日に発売された「電脳戦機バーチャロン マスターピース 1995~2001」。「発売を記念したメディア対抗戦をやりましょう」とセガからお誘いをいただいた。
発売から2週間足らずで対抗戦とはずいぶん急ぎの話だが、そこは24年の歴史を持つ「バーチャロン」シリーズだし、ある種のお祭りみたいなものであろう。筆者もあれこれ忙しく、入手したタニタのツインスティックも長らく未開封のままだったが、お声がけいただいたならと軽い気持ちで参加することにした。……1人で。
なおゲーム内容については、先日掲載した「電脳戦機バーチャロン マスターピース 1995~2001」先行プレイレポートをご覧いただきたい。
お祭りイベントへ気軽に参加したはずでした
12月9日、セガ本社に集まったゲームメディアは、弊誌GAME Watchと、4Gamer、Gamer、電撃オンライン、ファミ通の5誌。使用するタイトルは収録3タイトル全てで、トーナメント形式で実施。タイトルごとに1位に3点、2位に2点、3位に1点の得点が与えられ、その合計点で順位が競われた。なおゲームパッドだけでなくツインスティックも4台用意されていた(筆者はもちろんツインスティックを使用)。
最初のタイトルは2on2の「電脳戦機バーチャロン フォース」。繰り返すが筆者は1人で参加したため、セガの方に助っ人として参加していただいた(実際のところ、他媒体も撮影のみのスタッフがおり、弊誌を含む3誌は1人参加だった)。
筆者はアーケード時代、近場に設置店がなく、決まったプレイ場所も相方もなければ、使用機体もバラバラという有様。当時、初めて入手した指揮官機がこれだったなという記憶から、「エンジェラン『慰撫+』」を選択した。
初戦は4Gamerとの対戦で、相手の機体が「景清『山』」。過去のシリーズに登場していない機体を選択している時点で、「この人はちゃんと本作を遊んでいるし、本気で勝ちに来ているな……」と気づいた。
そして筆者の脳裏を横切ったのは、「景清『山』」のジャンプTCW。避けにくくて大ダメージだったな、と思ったらやっぱり避けられずに轟沈。近接攻撃も対処しきれず、あっさり敗北してしまった。やはりぶっつけ本番はよくない。
負けたとはいえ3位決定戦に出られるとのことで、ここでの対戦相手はファミ通。今度は狙ってダメージを取れる機体にしようと思い、「マイザー イータ」を選択。相手は「マイザー イータ」と「フェイ・イェン PH」。敵の攻撃を避けて、硬直にジャンプ前ダッシュCWを叩き込むことだけを考え、無事に撃破。何とか3位の1点をもぎ取った。
他の対戦も含めて様子を見るに、本作ではそれほど参加者の技量差がない様子だった。しかし1名を除いて全員がツインスティックを使用。おそらく旧作からのファンが集まっているのだろう。想像以上にガチガチな対戦になってきた。
体で覚えたものはいつまでも忘れません
次の対戦は「OMG」こと初代「電脳戦機バーチャロン」。3作の中では、筆者がアーケードで最も多く遊んだタイトルだ。学生時代のゲーセンで、なぜかみんな機体を問わず近接戦縛りをやるのが好きで、筆者も「ドルカス」でひたすら近接戦をやりまくった思い出がある。
初戦は再び4Gamerで、機体は「テムジン」。次は電撃オンラインの「アファームド」、決勝はファミ通の「ベルグドル」という流れ。
他の参加者には申し訳ない(!?)のだが、本作に関しては筆者が1枚上手だった。CWキャンセルで隙を消しているのは筆者だけだったので、アーケードでやり込んだ人はいなかったのだろう。もっとも、20年以上経った今もフレーム単位の操作が当たり前にできる自分が何より不思議。体で覚えるほど遊び倒したのだなあと実感する。
決勝戦で「GREEN HILLS」のマップを引いた時は、「ベルグドル」と丘を挟んで見えない相手と撃ち合う不毛な戦いを思い出したが、そういうこともなく。1本も落とさずパーフェクトゲームで筆者が優勝となった。
察するに、参加者の中では筆者が最古参であり、参加者の本命は次の「電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム Ver.5.66」だということだろう。齢42歳の老兵の活躍はここまで。
「このバージョンは知らない」では勝てません
最後の「電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム Ver.5.66」の対戦では、お約束の特別ルールが発動し、1位7点、2位3点、3位1点の加算に変更された。「オラタン」を制するものは「バーチャロン」を制す。タイトルの人気的にもそうであろう。もちろん筆者は「OMG」がよかったが……。
その筆者だが、「オラタン」をまともにプレイしたのは初期バージョンの「Ver.5.2」までで、当時は「ドルドレイ」で各地の大会を荒らしまわったものだったが、その後は学業や就職でしばらく離れてしまっていた。見た目は同じだが中身のバランスはずいぶん変わっており、当時の戦術は通じないし、相手の戦術もわからない。操作方法と基本の駆け引きで何とかするしかない。
初戦はまたも4Gamerで、相手は「エンジェラン」。「『エンジェラン』って装甲が厚くなったんだっけ?」程度の知識ながら、とにかく避けて、適当にドリルを投げて、隙があったらしゃがみRTRWを撃って……で辛くも勝利。
次の相手はGamerで、機体は「フェイ・イェン」。引いたステージが「AIRPORT」だったので、「ドルドレイ」使いは開幕メガスピンドリルで空中を滑るのが礼儀である(と一部地域では言われている)。もちろん冷静に見られれば一方的にやられるのだが、何と面食らった相手にヒットして6割もダメージを与えてしまった。
実は相手が全国大会レベルのプレーヤーだということは対戦前から知っていて、その後はハイパー化した「フェイ・イェン」に周囲を延々とステップされ、対処法を知らない筆者は華麗に撃沈。その後もいいところなく敗北した。ひたすら各種特攻を出して事故を狙っておけばよかったか。
ただその後の3位決定戦では、ファミ通の「フェイ・イェン」にきっちり勝ち、3位の1点を獲得。何とか3作とも得点を取れて、総合でも準優勝。これで古参プレーヤーの面目躍如としたい。
20年ぶりの大会で思い出しました
率直に言って、ゲームメディア対抗戦で誰が勝ったか負けたかというのは読者の皆様には興味の枠外だと思う。とはいえ、筆者としては貴重な体験だった。
筆者が「バーチャロン」の大会に出たのは、おそらく20年以上前が最後。当時は学生だったが、石川県にあるゲームセンターの店長の計らいで、自ら大会を開かせてもらっていた。自作のビラを近隣の「バーチャロン」設置店に置かせてもらい、大会では実況解説もして、近隣県を含め多くの方々にご参加いただいた。その大会のほとんどは自分で優勝するという鬼の所業ではあったが(笑)。
その後は忙しい日々が続き、「バーチャロン」は移植などのたびに少し遊ぶ程度になってしまった。その際に意外だったのは、筆者にとっては、オンラインで対戦しても、当時ほどの楽しさが感じられなかったこと。筐体にお金を入れて、負けたら終わりの緊張感があってこその真剣さが、自分にはあったのだろうと思っていた。
しかし今回、久々に大会という形で「バーチャロン」に触れることができ、改めて楽しさを思い出した。勝ってどうこうというような大会ではないのに、試合のたびに胃が痛くなるような緊張感があった。そして対戦した相手が目の前にいて、話ができるという幸せ。筆者にとって、対面での対戦の面白さはこれだったと気づかされた。
「バーチャロン」でプレーヤーが顔を合わせて対戦できるイベントを起こすのは、今はなかなか難しいかもしれない。しかし世間ではアーケード筐体を修繕・保存しようという動きも見られるし、業界的にはeスポーツも盛り上がっているだけに、決して悪い流れではない。
本作の発売がただの懐古的価値だけに留まらず、「バーチャロン」が定番タイトルとして生き続ける礎となり、コミュニティが再興するきっかけになって欲しい。筆者はこの対抗戦に出たことで「Ver.5.66」や「フォース」をしっかり遊んでみたいと思ったし、「3作のうち1作だけ好き」という方々にも3作全て楽しんで欲しいと願う。「じゃあお前が20年ぶりに大会を開けよ」という声が聞こえてきそうだが。
対抗戦の終わりには、プロデューサーの亙重郎氏が挨拶し、「不具合があってご迷惑をおかけしたが、パッチを当てて遊びやすくなっていくと思うので、引き続き気に留めていただきたい」と語った。ゲーム自体の改善はもちろん、その先の広がりにも期待していきたい。
【電脳戦機バーチャロン マスターピース 1995~2001】
対応機種: プレイステーション 4(PlayStation Storeからのダウンロード販売)
配信日: 11月27日発売
価格: 4,500円(税別)
ジャンル: 3Dロボットアクション・シューティング
プレイ人数: 1~4人(オンライン対応)
発売・販売: セガゲームス
CERO表記: A(全年齢対象)
公式サイト: http://virtual-on.sega.jp/
公式Twitter: https://twitter.com/vow_2017