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学生に"ウケる"ゲーミングノートPCとは?サードウェーブ、学生のナマの声を聞くべく座談会を実施

5月19日 開催

 サードウェーブは5月19日、ライアットゲームズのPC用MOBA「リーグ・オブ・レジェンド」の学生プレーヤーを各大学のサークルから集め、学生の生の声を新製品開発に活かすべく座談会を開催した。

 サードウェーブは今年3月に毎日新聞と「全国高校eスポーツ選手権」を共催しているが、昨年2018年7月には「LoL」の大学生リーグ「LeagueU」公式大会「League of Legends Japan Collegiate Championship 2018」のオフライン決勝戦にも協賛している。学生eスポーツシーンを強力にサポートし続けている同社は、次に学生「LoL」プレーヤーに向けた「GALLERIA」ブランドのゲーミングノートPCを開発中だとのことで、新製品に学生たちのリアルな声を反映したいとの想いから今回の座談会を開催。「LeagueU」のプレーヤーに現在のPCの使用状況や活用シーンなどのヒアリングを行ないつつ、新PCへの要望・意見などを募った。

 座談会にはMCとしてeスポーツキャスターの平岩 康佑氏を迎え、「LeagueU」よりプレーヤー6名、サードウェーブより製品・マーケティング統括本部コンシューママーケティング部 部長の升 淳氏、同モバイル本部 本部長の西村祐典氏の2名が参加。座談会では"凝ったデザイン不要論"や、"RGBイルミネーション不要論"、"ノートPC不要論"といったメーカーにとってはかなり厳しい意見なども飛び出したものの、サードウェーブの提示した極めてバランスの良いサンプル機には揃って目を輝かせるなど、傍から見聞きしていても非常に興味深く、面白い座談会であった。

 そもそもこうした座談会が取材陣を入れて開催されること自体が珍しく、貴重な機会でもある。早速座談会の模様をお伝えしたい

座談会のMCを務めたeスポーツキャスターの平岩 康佑氏
サードウェーブの製品・マーケティング統括本部コンシューママーケティング部 部長 升 淳氏
サードウェーブの製品・マーケティング統括本部モバイル本部 本部長の西村祐典氏

「『LoL』がちゃんと動けばまずOK!」

 「ゲーミングPC」において最も重要なのは「自分のやりたいゲームタイトル」が満足に動くことだ。今回のケースで言うと「LoL」がそれに該当するわけだが、「LoL」はさほどスペックを要求せず、専用のビデオカードを搭載しないビジネス用のノートPCなどでもスペックによっては動かすことだけならなんとか可能なタイトルでもある。そういった意味では後ほどの話題にも繋がるが、ハイエンドのビデオカードを必要としない分、軽量・薄型のPCを作りやすいタイトルであるとも言える。

 学生たちの話によれば、「LoL」ではその競技性の高さから一部のFPSタイトルなどと同じく画面を見やすくするために不要な影の描写を切ったり、PCのスペックによってはコマ落ちを避け、FPSをフルで出し切るために画質を落としたりされることもあるそうで、画面の美しさよりも動作や視認性こそが優先されるとのことだ。

 このあたりはeスポーツタイトルとして扱われるタイトル全てに共通するところでもあるが、逆にそこさえきっちりしていれば「CPUがこれで、ビデオカードはこれで……」といった細かなスペックはさほど重きを置かないという傾向にあるようだ。また、サードウェーブはじめPCメーカーによる各タイトルの「推奨PC」といった表記は、「PCのスペックに詳しくない人でもやりたいタイトルのものを買えばいいのでわかりやすい」という声も聞かれた。

「重量の許容範囲は1Kg前後!」

 昨今の学生たちは、ゲームは自宅のデスクトップでプレイして、学校にはノートPCやタブレットを持ち込んで板書やレポート、資料の作成を行なう傾向にあるそうだ。カバンにはまず教科書や筆記用具などが詰め込まれており、そこにPCやタブレットなどを含めると結構な重量物を毎日持ち運んでいる。

 であれば、もちろんPCは軽いほうがいい。そもそも学校にはタブレットしか持ち込まない人も増えてきているようで、「タブレットがあるならPCを一緒に持っていくことはない」という声もあった。そのタブレットの立ち位置をPCが占めるためには最低でも持ち運びの負担にならないことが大前提で、薄くて軽いならそれに越したことはない。

 一方でゲームをするなら最低でも13インチ程度の画面サイズは欲しい。こうなってくると、学生たちの求めるノートPC像が見えてくる。学生たちの声を聞きながら、升氏は「僕らはどうしてもPCという製品単体で考えてしまう。でも、教科書と一緒に持ち運ぶということを考えると、軽さにもっと大事な意味が出てきますね」と、学生のライフスタイルを直接聞いて思うところがあったようだ。

「外で『LoL』やりますか?」学生からの厳しい声

 軽くて薄く、学業に使えて、「LoL」が動く。そんなゲーミングPCであれば学生たちにもウケるのでは、という展望が見えた矢先、「そもそも外で『LoL』やるかなぁ……」という声を皮切りに、学生たちからはかなり厳しい意見も聞かれた。

 というのも、仮に「LoL」が快適に動くPCが手元にあったとしても、外での使用でメインとなるであろうWi-fiやテザリングといった無線通信の環境下ではいつラグが発生するとも限らない。「LoL」では一瞬のラグが命取りとなるため、「わざわざ不安定な無線でやるくらいなら自宅でプレイする」という声もあり、更に学校の回線では「LoL」などのゲームがブロックされているということもあるようで、ゲーミングノートPCを持ち運んでまで「LoL」を外でプレイするかどうか、という点に疑問を呈する学生もいた。

 また、「LoL」に限らず、ゲームをするときはノートPCに備え付けのキーボードではなく別途お気に入りのキーボードを使用するというプレーヤーが大半を占めており、ノートPCとキーボードを持ち運ぶ必要があるのであれば外でゲームはしないという意見もあった。さらに「ノートPCにキーボードを別途接続すると備え付けのキーボードの奥行き分、画面との距離が離れてしまうのが気になる……」という厳しい声も上がる。

 一方、こうしてゲーミングノートPCに関しては厳しい意見が飛び交いつつも、ほとんどの学生は現状オンラインで友人とプレイするのがほとんどだということで、「PCを持ち寄って皆でオフラインでプレイする、という環境に憧れる」という声も挙がっていたし、「軽くてゲームができてレポートも書けて、ということであれば十分選択肢に入る」という意見もあった。

「デザインはいらないし、光らなくてもいい!」

 話題がPCのデザインに移ると、サードウェーブからは2つの案が提示された。ひとつは剣や盾などのアイコンを散りばめた、ゲームアイコンを彷彿とさせるデザインで、もうひとつはGALLERIAのロゴが全面にプリントされたものだ。一見かなり凝ったオシャレなデザイン……だと思ったのだが、学生たちからの評判は芳しくない。

「LeagueU」とGALLERIAロゴをベースにしたデザイン2案

 というのも、そもそも学校ではデザイン的に自己主張の強いPCは使いにくいという心理が働くようで、「これを学校で授業中に開くのはキツイ」という厳しい感想が飛んだ。特にクリエイティブ系の仕事ではノートPCをシールなどでデコレーションしたりする人も多い(ゲーム・メディア業界でもよく見かける)が、学生たちはそもそもあまりPCを"デコったり"するということもなく、更には「RGBイルミネーションも必要ない」という衝撃的な発言もあった。

 "ゲーミングデバイスが光る"というのはもはや"蛍光灯が光る"のと同義なレベルで当たり前のようにも感じるが、これは学校での使用中に光らせていると他の学生の邪魔になってしまうという最もな理由もありつつ、「プレイ中に光っていると気が散るから」というゲームプレイ的な実用上の理由を上げる学生もおり、傾向として学校での使用に限らず個人的なゲームプレイの際にもRGBイルミネーションは不要、という意見が多く聞かれた。

企業やイベントのシールでデコられたPCの例。学生的にこれは"ナシ"なのだとか……

 さらに自宅ではデバイスを光らせているという学生からも「学校で派手なものを使うのには抵抗がある」と追い打ちをかけられ、これには升氏も「もしかして7色に光らせるとか意味わかんないって感じなんですかね……」と肩を落とし、デバイスをギラギラに光らせるのが好みだという平岩氏も「これがジェネレーションギャップというやつかもしれない」と困惑。学生の生の声を組み上げる、という座談会の趣旨からしてGALLERIAの「LeagueU」向けゲーミングPCは、天面がシンプルでRGBイルミネーションが控えめなものになる気配が濃厚である。

【企画書が提出される!】
デザインの話の中で、学生からは観音開きのマルチモニターを搭載したPCや、カプセルのように中に入ってプレイに集中できるゲーミングブースのデザイン案が提出された。特にマルチモニター案は平岩氏はじめ「こういうの欲しい!」と大好評

「これで13万くらいなら即買います!」

 なかなかに厳しい意見も飛び出した座談会だが、最後の話題は「価格」。安ければ安いほうがいいのはユーザー一般の心理だが、特に社会人に比べて自由になる金額の少ない学生にとって、価格は製品選びの最も重要なポイントのひとつといえる。

 そこで西村氏は「これいくらだと思います?」と学生たちに開発中のサンプルマシンを手渡す。これはCPUにCore i5、ビデオカードにMX250、メモリは8Gを搭載しており、ディスプレイは13インチ、重量は1.3kgほどと軽量・薄型で、「LoL」も最高画質で140FPSを叩き出すスペックを備えたマシンだ。

西村氏が取り出したのは薄型軽量、それでいて「LoL」がバッチリ動くというサンプル機

 このマシンを手にとった学生たちは「薄い!」、「軽い!」と目を輝かせ、「LoL」テストプレイでは「画質も凄くキレイ。動作もすごく快適ですね!」と大喜び。「このPCで13万円程度を目指して開発中」という西村氏の発言を聞くと「いいな欲しいな」、「このまま出たら買います」と非常にポジティブなリアクションを返しており、「先程のキーボードや回線の問題はあるけれど、これはかなり欲しい」という先程の流れからすると若干"ツンデレ"な声も聞かれた。

「薄い!軽い!」と学生たちから喝采を浴びる

 確かにこのマシンはスペックと筐体のつくりのバランスが非常によく、「LoL」が快適に動く。さらにデザインはシンプルで、RGBイルミネーションもキーボードのバックライトのみと控えめだ。さらに西村氏によれば「設定を落とせば『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』などもギリギリ動く」と、まさに学業とゲームを両立できるマシンだと言える。

 ただ、仕様からすれば魅力的なのは確かながら、学生からは「学校で売られているような、PCを"必要に迫られて"買うような人向けのPCは7~9万円程度」という声もあり、絶対的な金額で言うと少々高いという感想も聞かれた。また、「『LoL』を友人に勧めると興味は示してくれるものの、そうした(学校推奨の)PCでは動かなくて結局プレイできないということもあるので、PCに詳しくないユーザーにも訴求できる値段にしてほしい」という意見も挙がっていた。

テストプレイを全員が見守る微笑ましい光景
描画は常時140FPS程度をキープ。十分以上のスペックを備えている

 今回の座談会について、升氏は「皆さんの声を参考に、『これを待ってた!』と言われるような製品を開発していく」としつつ、「サードウェーブは今後も『LeagueU』をサポートしていきます!」と語って座談会を締めくくった。