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伝説の西部劇ストラテジーがついに復活! 「Desperados III」プレビュー

初代「Desperados」の魅力が最新の3Dテクノロジーで鮮やかに復活! これは良いぞ!!

【Desperados III】

2019年発売予定

 THQ Nordicは、Gamescom 2018に合わせて西部劇ストラテジーゲーム「Desperados III」を正式発表し、2019年にWindows PC、PS4、Xbox Oneで発売することを明らかにした。

 「Desperados」といえば、往年のPCゲーマーなら避けて通れない、懐かしさとほろ苦さを感じるタイトルだろう。初代「Desperados」が誕生した2002年頃、2DクォーターベースのストラテジーゲームがPCで大流行した。火付け役は、スペインのゲームデベロッパーPyro Studiosが生み出した「Commandos」だ。

 2Dならではの高精細グラフィックスで描かれた広大なフィールドを舞台に、異なるスキルを所持した複数のキャラクターを使い分けて、ターゲットの暗殺や、オブジェクトの奪取といった任務に挑む。Eidos Interactiveより発売された「Commandos」は、日本を含む世界中で大ヒットし、雨後の竹の子のように無数のクローンタイトルが生まれた。そのひとつが「Desperados」だ。

 と書くと往年の「Desperados」ファンは怒るかもしれない。しかし、舞台が第二次世界大戦から西部劇に変わっただけで、ゲームデザインそのものはまったく同じなのだ。もっとも、クオリティは高く、なんといってもおもしろかったため、「Commandos」共々よく遊ばれた。そして「Commandos」共々、誰も望んでいない3Dグラフィックス化に挑み、いつしか時空の狭間に消えていった……。

 初代から数えると17年振り、ほぼ存在しなかったことになっている「2」から数えても13年振りの復活となる「Desperados III」は、原点である初代「Desperados」をベースに、最新の3Dグラフィックステクノロジーで、「Desperados」の楽しさを現代に蘇らせた作品だ。

 というのは後付けの知識で、公開された下記トレーラーだけでは正直全然よくわからず、THQ Nordicブースにも出展していなかったため、THQ Nordicのビジネスブースの門を叩き、「日本から来た『Desperados』のファンだが、『Desperados III』を見せてくれないだろうか?」と頼み込んだらあっさりアポイントが取れた。やはりダメ元で頼み込んでみるものだ。

【Desperados III Announcement Trailer】

「Desperados」ばりにTHQ Nordicビジネスブースに侵入を果たした筆者
「Desperados III」プロデューサーを務めるJonathan Riedler氏
「Desperados III」は、PCに加えてコンソール版も発売されるため、ゲームパッドでの操作にも対応している

 最初に見て驚いたのは、初代「Desperados」を彷彿とさせる緻密なグラフィックスだ。「まさか2Dか?」と疑ってしまうほど描き込まれているが、スムーズな拡大縮小、周囲に伝わる音の範囲を示す3Dエフェクトなどを見て、当然のことながらこのゲームは3Dグラフィックスを採用したゲームであることが理解できた。

 ゲームの主人公はシリーズお馴染みのクーパーのままだ。Cooperとその一味が力を合わせてミッションに挑んでいく。今回は仲間のヘクターと共に行動していた。ヘクターは一見野人のような風貌だが、背中に背負った大きな車輪のようなワナを駆使して敵をトラップに掛け無力化するのを得意としている。

 ゲームデザインは見事なまでに初代「Desperados」のままだった。今回見たのは、巨大な街を舞台とした暗殺ミッションだったが、複数のターゲットに近づくために、スニークアクションを繰り返し、見張りや検問を仲間と助け合ってひとつずつ突破していく。たとえばこうだ。

・見張りの位置、その視界の届く範囲を確認する
・見えない位置にワナを仕掛けて、物音を立てて見張りをおびき寄せる
・ワナにハマった見張りを担ぎ上げ、茂みに隠す
・別の見張りに注意しながら前進する

 こういうスニークアクションをちまちまちまちま繰り返しながら少しずつ目標に向けて進んでいくゲームだ。

隅々まで丁寧に描かれたグラフィックス。3Dで描かれているため拡大縮小回転、自由自在だ
1人にしたところで殺す

 衝撃を受けたのは街の広さだ。画面1つ分、4つ分というレベルではなく、ワイルドウェストの宿場町を丸々1つ描いており、通常のスケールで何十画面分もある。1時間や2時間でクリアできるというレベルではなく、軽く何十時間も掛かりそうで、ある意味ジグソーパズル的な趣味に昇華しているといっても過言ではないかもしれない。

 もっともこれだけ1ミッションが巨大化してしまうと、1度失敗する度に最初からやり直していたのでは全員の心が折れるため、「Desperados III」では任意のタイミングで自由にセーブできるようになっている。少し進む度にセーブすることで、誰でもいずれ(それが何時間後か、何十時間後かはわからないが)クリアできるという案配だ。

 デモを見ていて良いなと思ったのは、先述したようにワイルドウェストの宿場町が丸々舞台になっており、そこに暮らす人びとも細かく描かれているところだ。大通りでは人びとが行き交い、交差路では移動式の店舗を展開して酒らしきものを売っている。酒場、宿、銀行、ショップ、住居、農場、建設中の建物、壊しかけの建物、そしてマップ中央には、線路が引かれつつあり、まもなく鉄道が開通することが窺える。こうした生きた宿場町が、「Desperados」らしい丁寧さで丹念に描かれており、これらを見ているだけで楽しめる。

宿場町を構成する建物が1つ1つ丁寧に描かれている
鉄道敷設工事が行なわれている

 酒場などの2階建ての建物はズームレベルに応じて自動的に屋根が取り払われ、表示される階が変わっていく。そうそう、言うまでもなく、拡大縮小だけでなく、ぐるぐる回ることもできる。こうした表現も3Dならではだ。

 ゲーム性としても、仮に敵のアジトで、見つかって追いかけられていても大通りに出れば雑踏に紛れることができたり、酒場の女性の反応を利用して敵から隠れたりなど、アイデア次第で無数の解法が用意されていそうだった。また、?マークを浮かべるキャラクターに近づくと、彼らの会話を盗み聞きできる。こうした部分にもステージ攻略のヒントが隠されていそうだ。

ズームすると屋内が見えるようになる

 それから音の表現もクールだ。足音、剣戟、銃声など、アクションに付随して発生するあらゆる音が、キャラクターを中心とした円形の波紋で表現される。大きな音になればなるほど波紋も大きくなり、その波紋が届いたすべてのキャラクターに音が聞かれたことを意味する。こうした表現は当時は難しかったが、3Dグラフィックスを導入したことで、自然に、リアルに盛り込むことが可能となっている。

様々な情報が表示され、かなり遊びやすくなっている

 敵のアジトは、赤い枠で囲まれており、その外にいる限りは一般人として敵の警戒外となるが、一歩でも踏み入れると警戒される。アジトの位置はすぐわかるが、そこにどうやって侵入するか、侵入した後でどうやってミッションを遂行するか、広大なフィールドをフル活用して考えていく巨大なパズルゲームは、今の時代にマッチしているかもしれない。

 THQ Nordicは日本法人がないため、THQによる日本語展開は絶望的で、スクウェア・エニックスやスパイクチュンソフトのような海外ゲームを積極的に取り扱っているメーカーが発売してくれることに期待するしかない。このゲームは正直かなりマニアックといえるが、同じくマニアックだった「Sudden Strike 4」もスクウェア・エニックスがローカライズしたし、諦めるのはまだ早い。気長に日本語版の発表を待ちたいところだ。

プレイアブルキャラクターは5人