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野良連合「フォートナイト」部門が日本HPのイベントでオフラインデビュー

シーズン5の緒戦を4人生存の圧倒的“ビクロイ”で飾る!

7月12日開催

会場:e-Sports SQUARE AKIHABARA

 日本HPは、既報のように、東京秋葉原のe-Sports SQUARE AKIHABARAにおいてゲーミングに特化した記者発表会を開催し、「OMEN by HP」および、新ゲーミングブランド「HP Pavilion Gaming」の新製品を発表した。発表会は3部制で行なわれ、1部はメディア、2部はインフルエンサー、そして3部は一般ユーザー向けに公開収録という形で進行した。日本HPの発表内容については発表会レポートを参照して貰うとして、本稿では第3部の公開収録の模様をお届けしたい。

 7月12日の20時よりスタートした「エンドユーザー向けゲーミングPC新製品紹介 公開収録」では、OMEN by HPのエグゼクティブアドバイザーに就任したゲームキャスターの岸大河氏と、ストリーマーのNottinTV氏の2人を進行役に、「OMEN by HP」、「HP Pavilion Gaming」の新製品の魅力をわかりやすく伝えるというものだった。

【岸大河&NottinTVがOMEN by HPのゲームストリームを体験】
2人は「ザ クルー2」を使ってOMEN by HPの新機能となるゲームストリームを体験。接続トラブルで開始がもたついたのは想定内だったものの、2人の下手さはまったくの想定外で、残念ながら7位と8位を走る2人を観るだけのイベントになってしまった。ゲームストリームそのものは非常に快適に動作し、OMEN by HPの新たな機能としてアピール十分だった

 筆者のお目当ては、ゲストとして招かれたプロゲーミングチーム野良連合の「フォートナイト」部門のデモプレイだ。野良連合と言えば、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)」をはじめ、「レインボーシックス シージ」、「フォーオナー」などで実績のあるプロチームだ。その野良連合が、「オーバーウォッチ」部門の元選手を主力に、今もっともホットと言っていいバトルロイヤルゲーム「フォートナイト」のプロチームをいち早く結成し、来たるべき日本大会、リーグに向けて練習を重ねていることを知り、一目見てみたいと思ったのだ。

【野良連合】
初のオフラインイベントのためか緊張した面持ちの選手達
ある意味選手よりも目立つ存在だったオーナーのKIZOKU氏。トークもうまくイベントを盛り上げてくれた

 ちなみに「フォートナイト」のプロシーンは、まだ“開戦前夜”という感じで、各種アナウンスは行われているものの、正式にはスタートしていない。しかし、その空前の盛り上がりは本物であり、6月のE3で行なわれた「フォートナイト」プロアマイベントでは、Twitchの視聴者数が100万人を突破し、ここ数カ月、Twitch視聴者数1位の座は、特定の大会、特定の有名ストリーマーによる配信が行われない限り、基本的に揺らぐことがない。名実共に世界一位の人気を持つバトルロイヤルゲームだ。

 というわけで楽しみにしていたデモプレイだが、正直な所、20時になるまで本当に行われるのかどうかわからなかった。というのも、当の「フォートナイト」がこの日シーズン5に向けたアップデートを行なうため、サーバーメンテナンスに入っていたからだ。メンテナンスが長引いたり、アップデート恒例のサーバートラブルがあったりすれば、中止となってしまう。筆者は、1部から参加していた岸氏に、「本当に『フォートナイト』できるの?」と、ウルトラマンショーに目当てのウルトラマンが本当に来てくれるのか知りたがる子供のように何度も繰り返し確認してしまったぐらいである。

 筆者はメディア向け発表会終了後、原稿を書いていたので細かい時間は不明だが、17時よりスタートしたメンテナンスは、20時前に再び会場を訪れたときには終わっており、無事シーズン5のサービスが開始されていた。岸氏はNottinTV氏とのトークで、ショットガンが弱体化され、2丁のショットガンを切り替えながら隙無く射撃できるダブルポンプが使えなくなり、干ばつによって湿地帯が砂漠エリアに変わったことなどを報告してくれた。シーズン5の詳しい情報はパッチノートで確認できる。

【フォートナイト シーズン5 | アナウンストレーラー】

 イベント後半では、筆者お目当ての野良連合「フォートナイト」部門のメンバーによるデモプレイが行なわれた。デモは2種類実施され、1つは「HP Pavilion Gaming」のハイスペックデスクトップPC「Pavilion Gaming Desktop 790」を使って選手が1人ずつ代わる代わる「フォートナイト」をプレイし、PCのパフォーマンスの高さをアピールするというもの。

 PCのパフォーマンスの高さをわかりやすく見せる為に、単に「フォートナイト」をプレイするだけでなく、Webカメラでプレイ中の選手の映像を流しつつ、かつそれを「FaceRig(フェイスリグ)」を使って、VTuberっぽく配信するという二重三重に負荷を掛ける形でデモプレイが行なわれた。

 ゲームは常に180fps張り付きで、その意味ではデモの目的は達成していたと言えるが、肝心のデモプレイそのものが、「FaceRig」のアバター選択やフェイス調整、操作方法の確認等に時間が取られ、彼らのスーパープレイをまったく観ることができず時間終了となり、非常にフラストレーションが貯まる内容になっていた。これは我々視聴者側よりむしろ、選手自身のほうがより強く感じていたのではないかと思う。プロを呼ぶイベントとしては考えられないほど雑な企画だった。

【「HP Pavilion Gaming」で「フォートナイト」をプレイ】
4人の選手が代わる代わる「フォートナイト」をプレイ
「FaceRig」を合わせて起動した状態でも180fps張り付きだった
「FaceRig」の調整にこだわり、木の上に降下してしまい、あえなくそのまま落下死。プロゲーマーに何をやらせたいのかよくわからないイベントだった

 その一方で、最後に行なわれたSQUADでの1戦は非常に見応えがあった。試合前にチームメンバーは「ビクロイ(Victory Royale!の略で、1位の意味)取ります」と決意を語り、オーナーのKIZOKU氏も「ビクロイは取れると思います」と追認。自信を覗かせた。KIZOKU氏の解説によれば、「フォートナイト」部門の選手募集をした際に、ゲーム内のランキングを選考基準とし、上位から合計8名を選抜したという。メンバーの中にはソロスク(ソロであえてSQUAD戦をプレイするトレーニング手法)で31キルを取った選手や、デュオで66連勝した選手も含まれているということで、「負けたらお尻ペンペンですね」と笑顔で語っていた。

【戦いに臨む野良連合の選手達】

 果たして結果はどうだったかというと、1度だけ1人がスナイパーにダウンを取られたものの、最初から最後までほぼ危なげのないゲーム運びで、全員生存したままビクロイを獲得した。

 選手達は、筆者のみならず、彼らにとっても初体験となったシーズン5の新マップの感触を確かめながら、「フォートナイト」の定番スタイルだったダブルバレルが禁止されたためか、ややスナイパーライフルやアサルトライフル多めの中長距離戦を主体にしていた印象だ。

 今回彼らはシーズン5初回プレイということでリスクを避け、やや端に降りたためか、バトルの回数は限られていたものの、いざ戦端が開かれると、息を合わせた建築アクションによる攻防一体の高速展開、ライフルである程度ダウンを取った段階で一気に寄せて全滅に追い込むという、いかにもプロらしい横綱相撲的な展開でビクロイをもぎ取った。

 もはや“野良”のゲームは、野良連合にはヌルすぎるようで、プロリーグのようなレベルの高い競技の場で戦いたくてウズウズしているという感じが伝わってきた。試合後の感想では、日本一どころか世界一を口にするメンバーも相次ぎ、頼もしく感じた。もちろん、“野良連合暫定1位状態”を他のプロチームも黙ってみているはずはなく、今後「フォートナイト」部門の新設が相次ぎそうで、eスポーツにおけるバトルロイヤルシーンを「PUBG」のリーグ共々、盛り上げてくれる存在となりそうだ。そうした中で野良連合は勝ち続けられるのか、その先にある日本一位、世界一位にたどり着けるのか。彼らの活躍に注目したいところだ。

【プロのSQUAD】
随所で魅了するプレイを魅せてくれた野良連合のメンバー

【有言実行のビクロイ】

 余談だが、eスポーツとしての「フォートナイト」は、「まだよくわからない」というのが正直な印象だ。今回は大会モードや観戦モードは使用せず、eスポーツイベントとしては不完全な状態だったが、それを抜きにしてもとにかく画面映えがしない。今回は純粋に各選手の画面を中央の大型モニターに映し出しながら実況解説が行なわれたが、バトルが始まるとほぼ壁しか見えなくなり、しかも4人が同時に同じ行為を行なうため、周囲が壁だらけになり、画面だけ見ていると何がなんだかわからない。もちろん、「フォートナイト」プレーヤーなら何をしているかは理解できるし楽しめるわけだが、パッと見た人を魅了させる絵面ではない。これはeスポーツとしての「フォートナイト」の大きなウィークポイントだと思う。

 逆に言えば、常に建築の効果を十分に発揮させるために、屋外に出撃して戦うため、必ず決戦になる点は良いところで、このバトルのスピード感と、建築を駆使した空中戦は、「PUBG」にはない魅力だ。「フォートナイト」を一過性のブームではなく、eスポーツとして定着させるためには、戦況が一望できるわかりやすい観戦システムと、「PUBG」とはまた異なるアプローチの実況解説が求められると感じた。ゲームとしての「フォートナイト」のみならず、eスポーツとしての「フォートナイト」の今後の展開にも注目が集まるところだ。

【壁、壁、壁……】