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【E3 番外編】初心者が行く!世界最大級のゲームイベントE3取材体験記
2018年7月10日 12:00
エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ、通称E3がロサンゼルスのコンベンションセンターにて、現地時間の6月13日から15日まで開催された。
E3は言わずと知れたゲーム業界最大規模のイベント。新作の発表や新情報の公開がバンバン行なわれる1年で最も熱いイベントであると同時に、日本のゲームファン、そしてもちろんゲームメディアの担当者は時差の関係で早起きしたり寝なかったり昼間に意識が飛んだりといった感じで、年間を通して最も楽しく、そして最も根性を試されるゲームイベントのひとつでもある。
筆者は今回、いわゆる"現地組"の1人としてE3の取材に赴いた。その成果は「E3 2018 現地レポート」としてお伝えさせていただいたが、実は筆者はE3に参加したのは初の経験だ。
昨年は日本でカンファレンスの配信や、情報発表後のニュース執筆を担当してはいたものの、現地会場に行くのは初めて、というか会場があるロサンゼルスに行くのも初めてという具合で、もっと言うと海外に行き始めたのもGAME Watchの担当になってからという感じである。実は昨年前半の段階ではパスポートすら持っていなかった。
そんなわけで海外経験も浅く、英語もたいして喋れない筆者が、先達の「メチャクチャ面白くて、メチャクチャ辛い」という言葉にビビりながら初めてE3に参加した経験の一部を、「E3 番外編」としてお伝えしたい。
寝たほうが楽なのはわかっているのに、飛行機ではしゃぐ男がひとり
空港というのはやっぱりなんだかワクワクする。今回はデルタ航空でのフライトで、羽田からの出発だ。羽田-ロサンゼルスの直通便はJAL、ANA、デルタ航空、ユナイテッド航空、アメリカン航空の5社から出ているが、日本を15時~16時代の間に出発するのはANAとデルタ航空とアメリカン航空の3社。その他の2社は深夜便で、日本時間23時前に出発して現地時間17時過ぎの到着となる。
夕方に出発できる3社の中で、最も早く到着できるのはデルタ航空のDL6便だ。到着日にはEAのカンファレンスが控えているため、一刻も早く到着でき、かつその時点で他社より価格が安かったデルタ航空を選択した。出発地が羽田というのも嬉しいところで、品川から京急線を使うと20分足らずで到着することができる。
デルタは海外の航空会社なので、チェックインからもう英語でのコミュニケーションなんだろうか……などとソワソワしていると、外国人ながら日本語ペラペラの担当者さんがスムーズにチェックインを済ませてくれる。ここでほっと一安心。
日本とロサンゼルスの時差は16時間で、日本時間15時15分発、現地時間で9時2分到着。搭乗時間は約10時間の長旅だ。つまりは夕方出て朝に着く、という形になるので、搭乗直後からガッツリ寝ておくと睡眠時間10時間でシャッキリと朝を迎えられる。
……のが頭ではわかっているのだが、飛行機というのは妙にテンションが上がってしまって、なかなか寝付けない。というか寝るのが勿体ない気がしてくる。なのでここぞとばかりに持ち込んだNintendo Switchで「オクトパストラベラー」の体験版を改めて遊んでみたり、機内食をモリモリ食べながら空の旅を満喫してしまった。
また、座席前に備え付けられたモニターで見られる映画はざっと300本程度がラインナップされており、後ほど確認したところによると概ね70から100タイトルが日本語に対応しているのだとか。これは海外航空会社の中ではかなり多い数字で、「エイビーロード・リサーチ・センター」の調査によると、機内エンタメ部門の満足度はドバイのエミレーツ航空、日本のJAL、ANAに次ぐ4位につけている。
実際、筆者はラインナップのなかから日本語吹き替えの「デッドプール」や「キングスマン: ゴールデン・サークル」を発見。2本連続で鑑賞しつつ、1人でニヤニヤしながら楽しんでいたりした。ほかにも映画「銀魂」など日本の映画もラインナップに入っているので、映画好きの方も退屈せずに時を過ごせるだろう。
道中コーヒーやお茶、コーラなどのソフトドリンクや、ビールやワイン、ウイスキーなどのアルコールも定期的に提供してくれるので、飲み物に困ることはない。というかアルコールドリンクも無料で飲めるというのはかなり驚いた。
また、さらに驚いたのは飛行機の中で「LINE」が使えたこと。本来は「iMessage」、「Facebook Messenger」、「WhatsApp」のみ対応と記載されているのだが、何故か「LINE」も無料で使えてしまったので、友人たちには「機内なう」的なメッセージを送信して悦に浸ってみたりしていた。
ちなみに、有料のサービスにはなるが機内では通常のWi-Fiも使える。どうやって通信しているんだろうかと素朴な疑問を抱きつつ試しに使ってみたところ、調べものやメールの送受信くらいなら問題なく使えるレベル。もちろん有料のWi-Fiを使ったのは帰りの飛行機で、溢れんばかりの取材内容を記事にするべく、回線をフル活用させてもらった。
回線とPCさえあれば世界中どこに行っても仕事ができてしまうというのは嬉しいやらありがたいやら、そしてある意味辛いやら悲しいやらといったところだが、いざというときの為に回線が用意されているのは素直に嬉しいところだ。
価格はそれぞれ1時間プランが6.95ドル、3時間プランが18.95ドル、フライト中ずっと使えるプランが21.95ドル、乗り換え込で終日使えるプランが31.95ドル。インターネットを使うことが確定していて、かつ直行便であればフライトプランが時間あたりの単価が最も安くなる。
そんなこんなでひとしきりハシャいだ後は、靴を備え付けのスリッパに履き替え、アイマスクと耳栓を装備。毛布にくるまってだらけきったミノムシのようなスタイルで就寝し、気づいたらロサンゼルスに到着していた。
荘厳な会場、そして熱気。早速プレスカンファレンスでE3の洗礼を受ける!
ロサンゼルス国際空港に降り立つと、そこは既に異国の空気。ギラギラに太陽が差していながらも、湿度が低くて過ごしやすい。空港からはUBERを利用してダウンタウンのホテルまで移動し、EAの担当はそのままカンファレンスへ。そして担当外の筆者はこれが日程的に最初で最後のチャンス!!!!とばかりにふらりとハリウッドに行ってみた。ダウンタウンからハリウッドは地下鉄で15分ほどの距離なので、かの有名な「HOLLYWOOD」の看板をぜひ見てみたいと思ったのだ。
ハリウッドはイメージ通りの華やかな観光地といった風情で、そこかしこに謎のTシャツやオスカー像を模したお土産が売っていたのが印象深い。実際に観た「HOLLYWOOD」の看板は意外にも「あれ?思ったより小さくない?」という感じではあったのだが、写真や動画などでしか見たことがなかったものをこの目で見られたという達成感があった。
さて、翌日からはE3突入だ。とはいえここから2日間は一般来場者も交えたイベントではなく、関係者向けのプレスカンファレンスが続く。この時点ではまだ会場のコンベンションセンターが開場していないので、プレスカンファレンスは近隣の"ハコ"や劇場などで行なわれるのだが、筆者はユービーアイソフトのプレスカンファレンスの取材に行って、その会場にまず度肝を抜かれた。
ユービーアイソフトのプレスカンファレンスは由緒ただしき劇場、The Orpheum Theatreで行なわれた。館内は中世を思わせるような絢爛な装飾が施され、思わず場に圧倒されるような空間となっていた。そしてそこに集うはユービーアイソフトの担当者や世界各国のメディア、配信者や招待プレーヤー達。世界規模のイベントであることをひしひしと感じさせる。
カンファレンスでは「アサシン クリード オデッセイ」や「ディビジョン 2」、「スカルアンドボーンズ」をはじめ様々なタイトルの情報が発表された。会場は情報が出るたび、開発者が壇上に登るたび、そしてタイトルの移り変わる瞬間、次のタイトルのロゴが現われた瞬間にも大歓声に沸き、その熱狂を肌で感じることができた。
日本でも東京ゲームショウはじめ各種発表会などに赴き取材を行なってはきたが、この熱狂は"異様"と言ってもよかった。会場が一体となって「HOOOOOOO!」と盛り上がるような光景は日本のイベントではなかなかない。熱に充てられた筆者もいつしか一緒に盛り上がり、終わるころには心地よい疲労感に包まれ、会場を後にした。
E3 Expo開幕。さらに熱を増すお祭り騒ぎ!
さて、プレスカンファレンスがひと通り終わった現地時間6月12日からはE3 Expoのスタートだ。E3はこれまで業界関係者のみが入場可能な"見本市"といった形式だったのだが、昨年からは一般来場者に門戸を開き、ユーザーと一体となったイベントへと変化してきている。
会場では各社のブースが所狭しと展開され、試遊や物販には長蛇の列、フォトスポットには人だかり、右を見ても左を見てもゲーム!ゲーム!ゲーム!! ゲーマーにとっては楽園のような空間が広がっていた。
中でも驚くのは参加者たちのテンションの高さ。試遊をしながら隣のプレーヤーと大騒ぎしていたり、フォトスポットではキメッキメのポーズでノリノリで写真撮影をしていたりする。心底楽しんでいる様子が感じられて、傍から見ているこちらもつい嬉しくなってしまうような光景がそこかしこで広がっていた。
かくいう筆者はExpo開幕後、試遊試遊執筆インタビュー試遊インタビュー執筆試遊試遊執筆といった感じで怒涛の日々を迎えることになるが、プレスカンファレンスで発表されたばかりの新作が遊べたり、アツアツの新作について開発者に直接インタビューする機会に恵まれたのは本当に幸せな時間だった。
もちろん、取材したものは皆さまにお伝えしたいので、ホテルに戻ってからも昼夜関係なく原稿に向かう日々ではあったのだが……。「なるほど、これが辛くて楽しいということか!」と先達の言葉の重みをここで思い知ることとなった。
E3はチケット購入で参加が可能!是非その熱狂の坩堝へ
E3は一般来場者でも事前にチケットを購入することで参加が可能だ。現地の熱狂、そしてゲーム業界の最先端をその肌で感じることができるのは本当に素晴らしい。
しかし、いざ行ってみようと思っても、長めのお休みが必要で、安くないコストもかかる……と超えるべきハードルはいくつもあるだろう。ただ、E3はもとより、ハリウッドやサンタ・モニカも近いので、E3に合わせてアメリカ旅行というのも悪くない選択肢なのではないだろうか。特に羽田発の直行便、今回ご紹介したデルタ航空を使えば移動も快適だ。
初めて肌で感じたE3の熱狂は本当に凄まじかった。会場中ゲーム尽くし、かつゲームファンしかいないというこの環境は特異でありながら極めてエキサイティングで居心地のいい空間だ。ゲームファンなら1度は万難を排して参加してみて欲しいと切に思う。