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ガイバー、みずほ先生、綾波にfigma……歴史に名を刻む名作ずらり

「マックスファクトリー設立30周年 オメデトMAX展示会」

期間:11月10日~11月19日まで

会場:アキバCOギャラリー

入場料:無料

 マックスファクトリーは、11月10日より11月19日まで、秋葉原のアキバCOギャラリーにおいて、マックスファクトリー30周年を記念し、これまでの歩みを振り返るイベント「マックスファクトリー設立30周年 オメデトMAX展示会」を開催する。入場料は無料。

マックスファクトリー代表取締役であるMAX 渡辺氏。「MAX塗り」などのテクニックでも知られる、モデラーとして多くのファンを持つ人物だ
マックスファクトリーのこれまでの歩みを記録した年表。見ると様々な記憶が蘇ってくる
そして次のルームではその年表に記載されている沢山の商品を実際に見ることができる。商品に込められた情熱は、目の前にすると圧倒させられる
10月末に発売された「ホビージャパン12月号」では、MAX 渡辺氏と横山宏氏が表紙に登場している

 マックスファクトリーは、ホビーに詳しくない人でも“「figma」を手がけるメーカー”と言えばピンと来る人も多いのではないだろうか。昨今では「ダグラム」のプラモデルで大きな成功を収め、経済誌にまで取り上げられたこともあった。ホビーファンにとっては、ホビー業界を牽引してきたメーカーとして誰もが知る存在である。

 会場ではこのマックスファクトリーのこれまでの歴史と、これからを見ることができる。本稿ではオープンに先がけて行なわれた内覧会から、展示品の内容を紹介していきたい。今回は、マックスファクトリー代表取締役であるMAX 渡辺氏の話も聞くことができた。

 会場には大きくマックスファクトリーの年表が提示されている。そこにはマックスファクトリーが手がけた商品のリストと、代表的な商品写真が展示されており、マックスファクトリーのこれまでの歩みがわかるようになっている。ホビーファンなら誰でも「ああ、あの商品あったなあ」、「これ買ったわ」、「これ欲しかったなあ」と感慨にふけることになるだろう。かなりの情報量の詰まった年表だ。

 年表のあるルームにはマックスファクトリーの手がける最新作が展示されている。完成品フィギュア、大型の商品から、figmaの新作などこれらもかなり見応えがあり、マックスファクトリーのチャレンジ精神を強く感じることができる。

 そして圧巻は次のルームだ。ここにはマックスファクトリー30年の歴史を積み上げてきた多くの商品が実際に展示されてあるのである。内覧会に参加した来場者は圧倒されるように「宝の山だ」とつぶやき、マックスファクトリーのスタッフに「良くこんなに残っていましたね」と声をかけていたが、マニアでなくても感嘆のため息をつかずにはいられない、ホビー史の歴史に輝く“お宝”が展示されているのだ。

 このお宝は本当に大きな価値を持つものばかりだ。ホビーファンならば、商品の数々を見ながら様々なことを思い出し、改めてマックスファクトリーがホビーの歴史においてどのような役割を果たしてきたか思いをはせることになるだろう。

 マックスファクトリーは1986年にガレージキットメーカーとしてスタートした。記念すべき最初の商品はソフビキット「マジンガーZ」。ガレージキットメーカーは少数生産のソフトビニールや、レジンなどのキットを販売している。この時代のガレージキットは部品は無彩色であり、大きなバリがついていたり、パーツが変形していたりしていることが多く、モデラー達はそれを補修し、調整し、綺麗に色を塗って組み立てていた。

 ガレージキットは大手玩具メーカーやプラモデルメーカーが扱わないキャラクターや、原型師達の解釈による独特のバランスが魅力だった。「ガンプラ」などでアニメの設定に近いモデルが生まれるようにもなっていたが、それ以上にアニメに忠実だったり、独特のデザインセンスでキャラクターを立体化するというガレージキットメーカーは、モデラー達に強く支持された。

 マックスファクトリーはガレージキットメーカーとして、渡辺氏自身を含めた3人のスタッフでスタートしたが、渡辺氏は「我々はガレージキットメーカーではなく、“玩具メーカー”だ」という強い想いを持っていた。限られたモデラーに少数生産のガレージキットを提供するだけではなく、“一般のお客さん”にも手にとってもらえる商品を作っていきたい、スタートの時から渡辺氏はそう考えていたという。

 自社以外の“原型師”も起用し、こだわりに満ちた高精度のガレージキットを販売してファンをつかんでいったマックスファクトリーはやがて「彩色済みのフィギュア」を世に出し、モデラー以外のユーザーを獲得していくようになる。ソフビ完成品、美少女フィギュアなどをレジンキットや、ソフビキットなどと共にリリースしていた。筆者も「ガイバー」の彩色済みソフビでその精度に驚かされた記憶がある。1996年には当時人気の高かった「新世紀エヴァンゲリオン」の綾波レイをモチーフにした完成品フィギュアが大きな人気を集めた。

 マックスファクトリーは食玩などフィギュアをより幅広い層に広げながら、やがてグッドスマイルカンパニーと共に、完成品フィギュアを販売していく中で、多くの人に知られていくようになる。また「MAX合金」という合金玩具も発売、高価格で遊びごたえのある「大人の合金玩具」というこだわりの商品ジャンルも生み出していく。

 フィギュア、アクションフィギュア、プラモデルと多彩な商品を多くのユーザーに届けていくマックスファクトリーだが、渡辺氏自身はやはり「ユーザーの手で、より完成度を上げる商品」にこだわっていきたいという。渡辺氏自身はこの30年ずっと“MAX 渡辺”という、代表的なモデラーとして、日本でモデラーを増やすべく、ホビージャパン誌などで様々なテクニックを紹介するなど啓蒙的な活動を行なってきた。10月末に発売された「ホビージャパン12月号」では、横山宏氏と共に表紙に登場しているのだ。

 プラモデルのダグラムには塗装テクニックを紹介した小冊子を付属しているし、「マクロス」のヒロインなど様々なキャラクターを、1/20スケールで展開する組み立て式フィギュア「PLAMAX」では、多色成形とデカールで基本的に色分けを行ないながらも、モデラーが手を入れることでどこまでもキャラクターへの想いを込められるようにしている。そして「ウォーハンマー40,000 スペースマリーンヒーローズ」は、日本のメーカーがあまり参入していなかった海外ボードゲームミニチュアに参戦、マックスファクトリーならではの高精度なモデルで、自分のキャラクターへの想いを昇華させる楽しさを提示している。

 MAX 渡辺氏は、完成品フィギュア、アクションフィギュアと共に、これからも「モデラーの1人」として、ユーザーに作る楽しさ、自分の手でキャラクターへの想いをより深く込める楽しさを提示する商品を出していきたいという。

 話を聞き、それから年表を見直し、もう1度“お宝”が満載のルームを巡ることで、改めてマックスファクトリーのこれまでの歩み、チャレンジの面白さ、日本のホビーにおける影響力の大きさを痛感した。幅広く、魅力的なマックスファクトリーの商品は、ホビーファンでなくても強く惹きつけられるし、様々なところで目にしているものばかりだろう。その表現の多彩さ奥深さ……原型氏が、モデラーが込めたその熱い想いと、メーカーの飽くなきチャレンジにぜひ触れて欲しい。

【今後の新商品】
今後発売される新商品。電飾が施された巨大フィギュアから、figma、キャラクターを見事に表現したフィギュアまでラインナップは多彩だ

【年表】
年表の一部。様々な記憶が刺激される

【歴史を積み上げてきた名作達】
これらはあくまで展示品の一部。最初の「マジンガーZ」から、最近のfigmaやフィギュアまで、多彩な“お宝”が展示されている

【キャラクターへの想いを込めるプラモデル】
人気を博した「ダグラム」のプラモデルは、今後もラインナップが充実していく
「魔神英雄伝ワタル」のプラモデルも
1/20サイズで展開するフィギュア組み立て式フィギュア「PLAMAX」
ボード型のシミュレーションゲーム「ウォーハンマー40,000 スペースマリーンヒーローズ」