ニュース
【特別企画】コミック「孤独のグルメ」の主人公がアクションフィギュア“figma”に!
アームロックも可能、ご飯も付属! figmaで表現する“五郎らしさ”とは?
(2014/5/27 13:00)
「孤独のグルメ」というコミックがある。原作・原案:久住昌之氏、作画:谷口ジロー氏で、扶桑社から1997年に最初の単行本が出版された。中年にさしかかろうという独身男性の主人公・井之頭五郎が様々なところで“ご飯”を食べ、その感想を独り言で語るという形式だ。
五郎が立ち寄る店は大衆食堂のような店が多く、個人輸入業という仕事の合間での食事がほとんどだ。非常に地味な作品だが、久住氏の様々なこだわりと、谷口氏の緻密な作画で独特の味わいのある作品となっている。このコミックがネットを中心に人気を博し、2012年からはテレビドラマも制作され、現在でも新たなファンを増やし続けている。
その井之頭五郎をモチーフに、マックスファクトリーがアクションフィギュア「figma井之頭五郎」を発売する! figmaはキャラクターのデザインそのままのスタイルを保ちながら、できるだけ関節を目立たせず、様々なアクションポーズを可能にしている。現在、最も人気の高いアクションフィギュアブランドといえるだろう。
figmaはアニメの美少女がラインナップの中心であり、アニメのスタイルを保ちながら、様々なポージングを可能にしている。また、付属品もキャラクターの特性を活かしており、ファンの評価も高い。そしてもう1つの大きな魅力が、ユニークなモチーフである。美少女だけでなく、中日ドラゴンズの「ドアラ」や、「インディ・ジョーンズ」といった“変化球”のラインナップもfigmaの魅力なのだ。「figma井之頭五郎」もfigmaの幅を広げる、挑戦的な作品といえる。
今回、「figma井之頭五郎」に、開発者達がどう挑んだか、そしてキャラクターをアクションフィギュア化するfigmaの魅力そのものにも迫ってみたい。
「ぶたがダブってしまった」特別バージョンも登場。井之頭五郎そのままのアクションフィギュア
「孤独のグルメ」の魅力は、独特の井之頭五郎の思考に共感を覚えるところにある。川崎近くの工場群を見てから、焼き肉を食べるときの食欲の盛り上がりを「うおォン 俺はまるで人間火力発電所だ」と心の中でいう。石神井公園でドリンクを飲んで「このワザとらしいメロン味!」といったりする。食べ物そのものを説明するのではなく、食べたことで生まれる心のつぶやきに共感を覚える。
彼はたばこが似合い、過去には女優との苦い恋の思い出もあり、古武道をやっていたりもする。谷口氏の描く精密な風景の中にたたずむ五郎はかっこいい男性だ。しかし一方で、なかなか食べる店を決められずだらだら歩いてしまったり、ついメニューを多めに頼んでしまったり、回転寿司で注文できなかったり、内気でドジっぽいところもある。常に何かの想いを心の中でつぶやいているかのような、人の目に対して敏感なところもあり、ナイーブな一面も持っている。
今回、「figma井之頭五郎」を開発したマックスファクトリー企画部の金子二等兵氏と、同じく企画部のI.G.坂井氏に見せてもらったのは「デコマス」と呼ばれる商品見本だ。この商品見本を元に、工場で大量生産される。このため製品とは素材や仕様が一部異なる。デコマスは背広が分割されているが製品版では1つのパーツになる。デコマスでは既存の関節パーツを使っているため抜けやすいところもあるが、製品版では精度が上がるという。
「figma井之頭五郎」を見た最初の感想は、まさに「コミックの中から五郎が抜け出してきた」、というものだった。表情、髪型など谷口氏の作画そのままで、口元のしわや鼻の高さは立体となった説得力がある。背広の袖や足などには関節のための分割があるが、全体のシルエットとしては、背広姿の男性として違和感はない。「ああ、井之頭五郎だ」と感じさせる、キャラクターをきちんと再現したフィギュアだと感じた。
「figma井之頭五郎」は「通常顔」、「ほおばり顔」、「語り顔」の3種類の表情パーツ、11種類の手のパーツが付属するという。最初に見た「通常顔」は渋さの中にちょっと内気な部分も感じさせる、心の中で何かつぶやいていそうな表情になっている。金子氏は「figma井之頭五郎」は比較的立体化させやすい素材だという。figmaはアニメ・コミックのキャラクター表現に関しては技術の蓄積があり、その手法を活かしやすかったとのことだ。
最初のポーズは両手をポケットに突っ込んだ立ち姿。坂井氏は「五郎はポケットに手を突っ込んで立っていたり、歩いている姿が多かったので立体ではぜひ実現したかった」と語った。確かに、立ってポケットに手を突っ込んでいる姿が決まっている。アクションフィギュアは激しいポーズや、戦闘の構えなどを差せて飾ったりするが、「figma井之頭五郎」は何気ない立ち姿で飾りたくなってしまう。
もちろん関節を大きく曲げてポーズをとらせることも可能だ。スーツの裾は軟質素材になっており、足は椅子に座るくらいまで可動する。腿は90度以上上げることができ、膝もかなり曲がる。ここで感心させられるのがズボンの表現だ。曲げたときはもちろん、立っているときもシルエットに違和感がない。スーツのしわの表現は、立っているとき、曲げているときでも“らしく”見えるのだ。このノウハウはfigmaの開発で得てきたものだという。
原作では横柄な洋食屋の主人が五郎を突き飛ばそうとしたとき、五郎が“アームロック”で主人の動きを止めるシーンがある。正確には古武道の“固め技”だろうが、ファンの間では“アームロックのシーン”として知られている。原作中ほぼ唯一のアクションシーンであり、物静かな五郎の秘められた実力が明らかになる印象的な場面だが、このシーンをfigmaで再現できる。顔は「ほおばり顔」を使用して勢いのある感じにしてみた。発売されたらファンの間で色々なキャラクターがアームロックの餌食になりそうである。
“腕を曲げる”というところでは、「顎に手を当てる」というポーズを自然にできるのも楽しい。顎に手を当てる専用の手のパーツも用意されているのは坂井氏のこだわりとのこと。「いかにも五郎、という感じじゃないですか?」と坂井氏は語った。今回色々動かしてみたのだが、やはり井之頭五郎は“立っているポーズ”が決まる。たばこを持つ姿、顎に手を当てる姿、ポケットに手を突っ込んでいる姿……全て、立っている姿が似合うのだ。アクションフィギュアとしては、面白いモチーフと言えるかもしれない。
井之頭五郎らしいオプションとしては、「箸とご飯茶碗」が付属する。箸は手に持った形で、茶碗には専用の手に接続するためのジョイントがついていて、ご飯をかきこむ姿を再現できる。茶碗に盛られたご飯は箸の分だけへこんでいるのがセールスポイントだという。こういった細かいこだわりもfigmaならではだ。ちなみに、茶碗とご飯は分離し、空の茶碗にすることも可能。オプションパーツには「交換用ジャケット」もある。通常のジャケットと違うのは、左の裾が持ち上がっており、これにより左手をポケットに手を突っ込んだ姿にできる。
さらに「figma井之頭五郎」には「大盛りver.」という、GOODSMILE ONLin_E SHOPのみで販売する特別バージョンがある。この「大盛りver.」では、「とん汁」、「ぶた肉いため」、「テーブル」、「パイプ椅子」、「両手をポケットに突っ込める背広と、対応した右手」が追加される。
パイプ椅子の安い感じの造形、何とも言えないいかにも“ありそう”な緑色、簡素なテーブル……実に「孤独のグルメ」らしいチョイスだ。ぶた肉いためととん汁は五郎は頼んでから「ぶたがダブってしまった」と気づくシーンを再現したもの。ぶた肉とキャベツの千切りはもちろん、原作通り「不思議な練りからし」まで再現されている。とん汁の汁や野菜の透け具合など、チェックすると驚いてしまう。
「figma井之頭五郎」は他のfigma同様、1/12サイズのフィギュア用小物と相性が良い。近年、figmaの人気を受けてか様々なメーカーがこのサイズの小物を出しており、井之頭五郎に似合うものを探すのも楽しいだろう。また、“料理”のミニチュアというのも、実は人気が高いテーマである。色々な組み合わせで遊ぶことができるだろう。
そして、「大盛りver.」は別売りの小物を使わずにも原作の雰囲気を再現できる。特にパイプ椅子の“原作に似合う感じ”はファンならば「これだよなあ」と思う出来になっていて、とても楽しい。開発者こだわりのセットになっていると感じた。
「figma井之頭五郎」は、ファンに強くお勧めしたい作品であり、ネットで人気を得ること間違いなしの完成度を持っていると感じた。次ページでは金子氏、坂井氏にインタビューを行ない、本作への想いに加え、figmaそのものへの想いや、こだわりを聞いていきたい。