【特別企画】
「テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター」プレビュー
2024年9月13日 12:00
この完成度の高さは愛ゆえ!?本作のプロデューサー石川氏が語る新たなリマスターの形とは?
正に決定版でありながら自由度の塊。「TOG」を遊ぶのにこれ以上ないほど洗練された仕様で今回のリマスターは生み出されていると言っても過言では無いだろう。リマスター作品の中でもここまで手が込められてる作品は珍しいので、如何に本作が愛を込められて作られているかが分かる。
なぜここまで気合の入った完成度に仕上がったのか。今回は本作のプロデューサーである石川結貴氏にインタビューする事ができたので、その詳細を最後に記載して本記事を締めたいと思う。
――「テイルズ オブ」シリーズのリマスター作品が出続けている中で、今回「グレイセス」に白羽の矢が立った理由などはありますか?
石川氏: 特定の理由が1つあった、という訳ではなく複合的な理由がありますが、ひとえに多くの方が「グレイセス」や、「テイルズ オブ」シリーズを長く応援してくださったおかげです。今作ではオリジナル版以上に言語も増やしておりますので、より広い地域の方々にもお楽しみいただけると嬉しいです。
――「グレイセス」は特にファンからの要望が多かった感じでしょうか?
石川氏: これは富澤(「テイルズ オブ」シリーズ総合プロデューサー)も言っていたのですが、丁度2019年に単独イベントを行なった際にリマスターを強く熱望する声を聞きまして、その際に富澤も「いつか出せるように頑張ります」と宣言していたと思うんですけど、今回についに念願叶ってという形になりました。今回こういった形で世に送り出せたことを1人のファンとしても嬉しく思っています。
――今回はリマスターシリーズの中でもプラットフォームの広さや追加要素などから力の入れ方が凄いなと感じたのですが、何か意図や理由などはありますか?
石川氏: ありがとうございます。今までよりプラットフォームや追加の仕様だったりで力が入っているように感じて頂けたのはある意味狙い通りで開発として嬉しく思います。今回はシリーズ30周年を記念したリマスタープロジェクトという事で、コレを皮切りに新しい作品を作っていく中で追加の機能だったり対応言語だったりを統一した基準で展開していければと考えています。
――と言う事は今後のリマスター作品は今回の「グレイセス」と同じぐらいの完成度になる事を期待してもよろしいのでしょうか?
石川氏: なるべく力を入れてるように感じて頂けるような、満足して頂けるような完成度を目指したいと考えています。
――今回の新機能はビギナーへのお助け要素的な側面がありながらも、既プレーヤーが“2周目のような感覚で遊べる”ようなシステムも多く見受けられたのですが意図はありますか?
石川氏: 仰る通り、まずは元々遊んでたプレーヤーにきちんと評価して頂けるような形を目指してました。もう一度遊びたいなと思って頂いてこそのリマスターだなと思っていますので、既存のプレーヤーの皆さんがより深く遊べて楽しめるような部分は意識したポイントになっています。リマスター版としては1周目ですけど人生としては2週目、もしくはそれ以上のプレイって方も多いと思いますので。
ただその為の仕様って既存プレーヤーだけが嬉しいって事は無いと思っていますし、初めて本作を触る方も昔はプラットフォームや時期的な問題でたまたま遊べ無かったという方や今のRPGの快適さに慣れている方々も少なくないと思いますので、そういった方々にとって“遊びやすさの幅”をご提供できればと考えています。
こちらが指定する「強くてニューゲーム」ではなく、お客さんの方で幅を選んでいただける強くてニューゲームという形を目指したかったので、今回の仕様の中では「グレードショップ」が非常に都合が良いという事になりましたね。「CC」や経験値を増やす、アイテムの所字数を上げるなど様々なパターンでプレイが可能ですし、お客さんが自由に遊び方を選んでいただけるようになったのは開発の意図した仕様というより元々の「テイルズ オブ」に入っていた「グレードショップ」があったからこそですし、当時のスタッフには改めて感謝ですね。今作を改めて遊んでもらえる強いきっかけになると思っています。
――「グレードショップ」の遊び方の幅を鑑みますと、「エンカウント切り替え機能」もプレーヤーの遊び方を広げる施策として取り入れた感じでしょうか?
石川氏: そうですね。そこも勿論ですし、例えば順当にプレイしたいという理由でグレードショップから何も引き継がなかった人もサブイベント等で前の街に戻るともう弱すぎて相手にならない敵だらけになると思われます。そういった時に以前まではエンカウントを避けて端っこを移動するなどをしていたと思うのですが、今作からはエンカウントをOFFにすれば堂々と道の真ん中を走りつつダッシュ機能でさらに早く移動が可能になっているので、こういった便利な部分は1周目2周目、初心者既存プレーヤー関係なく有効に使って頂ける機能かと思います。
――恐らく上級者プレーヤー達は「エンカウントOFFを駆使して超低レベルクリア」などのプレイも視野に入れてると思いますがこれも自由な遊びに入りますかね……?
石川氏: そうですね(笑)。最初からこちらが指定したパラメーターで始めないという所も今回のリマスターのポイントかなと思っていて、「俺はこの遊びがしたいんだ!」というのを強く出せるようになっています。仰る通り最高難易度でエンカウント無しといった高難易度で遊ぶことに喜びを感じるプレーヤーの方々も多いと思われますので、そういった方々の遊びを奪わずに拡張するような形にしました。
――今回リマスターでファンに向けて一番推したいポイントは何でしょうか?
石川氏: 「リマスター」としてと「グレイセス」としての2軸があるのですが、まずは「グレイセス」としての注目ポイントとしてはやはり戦闘かなと個人的には思っています。「SS-LMBS(スタイルシフト リニアモーションバトルシステム)」は「グレイセス」やった事無いけど「テイルズ オブ」は何作かやった事のあるプレーヤーだったら耳にした事があるレベルだと思うので、遊びやすさを追加した本作でも如何なくお楽しみ頂けると思います。「あっ皆が言ってたシステムってこの事か!」というのを味わって頂けるのは1人のファンとしても担当としても楽しみな所ではあります。
「リマスター」としてなんですけれども、個人的に実機を触っていて入れて良かったなと思っているのは「目的地表示」の特に「時限イベント」の表示機能ですね。アイコンの違いで分かりやすいですし、いわゆる「サブイベントの取りこぼし」をしづらくなるというのは画期的かと思います。
もちろん自分で街の人全員に話しかけてプレイするのが好きという方は表示をOFFにする事ができますので、オリジナル版通りある種良い意味で迷子になりながらお楽しみいただくこともできますし、逆に1周目からイベントは全部拾ってキャラの事を知り尽くしたいよという方にはサブイベントが見つけやすくなっていますので、そういった部分は本作ならではの部分だと思うので、ぜひ気になったかはONにして頂ければと思います。「原作の時取りこぼしてたけどこんなイベントあったんじゃん!」という感動があるかもしれないので、私的にはオススメなポイントとなっています。
――既存ファンやこれから「グレイセス」を始めて遊ぶプレーヤーに向けて一言お願いします!
石川氏: 改めて「グレイセス」を遊んでいただけるプレーヤーの皆様へのオススメポイントとして先ほどのバトルもそうなのですが、「テイルズ オブ」シリーズといえばやっぱりご期待頂いているキャラクタードラマがあると思いまして、それは初めてだろうと2回目だろうと存分にお楽しみ頂ける所かと思われます。主人公アスベルを始めとしたシリーズでも屈指の仲良し6人組……勿論「リチャード」も居ますけども(笑)。あのメンバーの冒険は「グレイセス」でしか摂取できない栄養素になっているかと思いますので、あのキャラクター達のグルーヴィーチャットのワチャワチャだったりとか、戦闘終了後の掛け合いとかを見て頂ければキャラドラマとしての摂取が「グレイセス」では濃厚にできると思っていますので、そこはぜひお楽しみいただければと思っています。
あとは今作も「未来への系譜編」が入っていますので、本編が一通り終わった後にパーティーの「“あの二人”がどうなったのか…!」といった部分も改めて楽しんでいただければと思います。
――ありがとうございました!
30周年記念として新たに始まったリマスターシリーズ第一作目の本作にかける情熱を常に感じるようなインタビューとなった。初心者・既存プレーヤーの誰もが自由に隅々まで「グレイセス」を堪能できるような完成度を期待して良いだろう。
発売日まで今暫く時間があるが、今後も配信番組等1月に向けて盛り上げていくとの事なので、新情報をこれからも追っていきたいと思う。
Tales of Graces(TM)f Remastered & (C)Bandai Namco Entertainment Inc. (C)いのまたむつみ
※画面はPlayStation(R)5版の開発中のものです。