【特別企画】

「ASURAJANG」先行プレイレポート。戦場はまさしく“修羅場”そのもの! カジュアル志向の新星バトロワがアツかった

【ASURAJANG】

2024年 配信予定

価格:基本プレイ無料

 G・O・Pは、2024年配信予定のプレステーション 5/Xbox Series X|S/PC用対戦アクションバトルロイヤル「ASURAJANG(仮称)」における日本独占ライセンス契約を5月23日に、開発元である株式会社D-ZARDと結んだ。

 本作は、33人のプレーヤーが一堂に会する戦場を舞台に、個性豊かな「アシュラ」と呼ばれるキャラクターたちが生き残りをかけて戦うバトルロイヤルだ。韓国のD-ZARDが開発している本作だが、いわゆる“アニメ調”のトゥーンレンダリングで描かれるキャラクターは、日本の人気少年マンガ作品から大きな影響を受けているのだという。さらにアニメ風ビジュアルを表現する上で「原神」でも採用実績のあるゲームエンジン「Unity」ではなく、「Unreal Engine」を用いた開発苦労もあったそうだ。

【【ASURAJANG公式】ゲームプレイトレーラー】

 ゲームはシーズン制で運営され、一定周期ごとに新たなフィールドマップと新キャラクターが登場することになっている。そしてPC以外にPS5/Xbox Series X|Sなど、家庭用ゲーム機向けにも配信される予定だ。なお、6月10日から実施される「Steam Nextフェス」にも出展されるとのことである。

 今回そんな「ASURAJANG」に関して、G・O・PとD-ZARDがライセンス契約を結ぶにあたり、G・O・P本社では「日本独占ライセンス契約調印式典」が実施された。本稿ではそこでメディア向けに実施された「ASURAJANG」の先行体験会と、メディア合同インタビューの様子をまとめてお届けしていきたい。

左:D-ZARD CEO キム・ドンヒョン氏、右:G・O・P COO 麥谷 将人氏

個性豊かなキャラクターとバトルロイヤルならではの駆け引き。スリル満点の試合展開にハラハラした先行体験会

 「ASURAJANG」は、昨年2023年12月15日に第1回目のクローズドβテストを実施していたが、今回のメディア向けに開かれた先行体験会では、最新バージョンがプレイできた。ただし、ゲームはまだ開発中のバージョンであるため、正式サービス開始時のものとは仕様が異なる場合がある。その点については、ご留意いただきたい。

 体験会では3人一組のチームで臨む「バトルロイヤル・トリオ」と、プレーヤー全員が敵の「バトルロイヤル・ソロ」のルールをプレイした。トリオでは、出席したメディアがそれぞれ2つのチームに分かれて戦うことになった。なお、今回は社内サーバーでプレイしており、メディア以外のプレーヤーはボットになっていた。今回はチームバトルのバトルロイヤル・トリオを軸に紹介していきたい。

 体験会で選択できるプレイアブルキャラクターは全10名。どのキャラクターも際立って個性的なデザインに仕上がっている。また、それぞれのキャラクターごとに戦闘スタイルも多彩でかなり個性的だ。例えば、目のやり場に困る大胆なナース姿のムイムイは、プロフィールに「武器・錠剤リボルバー」とあって、文字通り錠剤を弾丸のように飛ばす戦い方である。

身長や体重、年齢といったプロフィールなどが細かく決められていた。バトルロイヤルゲームの中では、ビジュアルを含めてキャラクターを押し出している
バトル画面は見下ろし型の視点を採用。視界が広いので、敵も味方もお互いを把握しやすい

 早速キャラクターを選択してチームでのバトルロイヤルに参加していく。選んだのは身の丈ほどある太刀を武器に携えた少女剣士のパイラだ。刀と少女の組み合わせとくれば、日本のサブカルチャーでは、概ねセーラー服の美少女と刀……といったビジュアルが相場だと思っている。が、「ASURAJANG」ではそうしたお約束を破ってくれて嬉しく思う。

 ちなみに本作はチーム内で同一のキャラクターが被っても問題はない。後述のインタビューでも触れているが、日本と韓国ではこのチーム内での“キャラクター被り”について、全く異なる反応が得られたのだそうだ。既存のバトルロイヤルゲームや、「オーバーウォッチ」等のヒーロー系チームバトルにおいては、同一のキャラクターを選択できないケースがほとんどなので、こうした仕様についてはやや新鮮に映る。

筆者が選んだキャラクターは「パイラ(CV.佐倉綾音さん)」。趣味が刀の収集だったり出身地が修羅場だったりと、妙に心を掴まれた
ロビー画面ではキャラクターのエモートを確認できた。パイラはおやつとして焼き鳥(?)を食する
マッチメイキングを終えた試合開始前のわずかな時間は、自由にキャラを動かせる。本体験会では少しでも操作方法を叩き込む貴重な時間だった

 マッチ開始後、プレーヤーたちは降下地点を選び、どこからゲームをスタートするかを選ぶ。降下地点の近くにライバルがいないことを祈って、それぞれ降下していくのだ。この辺りの流れは一般的なバトルロイヤルゲームにも通じる要素だろう。「Apex Legends」のように、時間経過で縮まるセーフゾーンから避難しつつ、自分のキャラクターを装備アイテムでパワーアップさせていく。

 道中敵と出会えば、お互いヒットポイントを削り合う戦いになるか、はたまた距離を取ってやり過ごしつつ逃げ切るかの判断力が問われてくる。MOBAを思わせる見下ろし視点なので、一人称視点のFPSや、肩越し視点のTPSとは異なった性質の緊張感が走った。

 敵も自分もお互い上から見下ろした範囲内でしかキャラクターを捉えられないので、距離さえ取ってしまえば離脱そのものは容易。しかし、逃げた先にレアアイテムで固めた好戦的なプレーヤーがいると、それはそれでピンチに等しい。それでも筆者がチョイスしたパイラは比較的扱いやすく、順調にボットをKOさせていった。

マップのどこにどんなレアアイテムがあるかは確認できる。チームメンバー同士で固まるのもアリ
固まって行動しているチームに遭遇すると、孤立していた場合はかなり苦しい戦いになる。チームを組んだバトルロイヤルルールなので、当然といえば当然だが……

 バトルロイヤルでは縮まるセーフゾーンにあえて侵入し、ペナルティの持続ダメージと引き換えに、1度立て直しを図るといったことも戦略のうちだ。だが、本作では“エリアが物理的に消失して足場が無くなる”ため、そうしたリスクを取った戦略的撤退は難しい。試合後半になるほど、お互いが正面からぶつかり合う対戦ゲームの一面が色濃くなり、それぞれビルドしてきたキャラクター同士のガチ戦闘に移行していく。

 実際のバトルでは、通常攻撃・固有スキル・必殺技・特殊攻撃と、4種類の攻撃方法に加えて、ジャンプ・回避・アイテム使用といった多彩なアクションが行なえる。アイテム使用以外は、基本的に「スタミナ」を消費するので、スタミナ管理も気を遣わなければならない。

 また、プレーヤーのスタミナゲージは自分も相手も可視化されているので、お互いスタミナ切れを狙った、手に汗握る駆け引きの攻防が展開されるのも特徴と言える。ただ、敵もスタミナが少ないからといって油断していると、必殺技などを繰り出され、足場のない場外に吹き飛ばされた挙句、復帰できずにノックアウトされてしまうこともある。

戦闘中また新たなプレーヤーがその場に居合わせ、漁夫の利を掻っ攫うなんてことも多々ある。徐々に縮小していくフィールドと、各地で起こる乱戦はまさに修羅場
なるべく早めにフィールドを移動しておかないと、足場の崩落から逃げ切れずに文字通り脱落してしまう

 試合終盤、ゲームの操作にも慣れ始めて順調にキル数を伸ばしていたら、なんと味方が全滅していた。この際、一緒に行動していたはずの仲間とはぐれて各個撃破されてしまっていたようだった。そうして路頭に迷っていたところ、敵のチームに見つかり3対1の圧倒的不利な状況に持ち込まれる。

 このとき、縮小するセーフゾーンにはまだ余力が残っていたので、足場の崩落というイチかバチかの要素に賭け、なんとか敵の戦力を減らせないものかと敵チームを誘ってみることに。流石に3人同時相手はスタミナが持たず苦戦が続くが、エリアの縮小に合わせて必殺技を使い、なんとか敵2人を同時に場外へノックアウト。その後、復帰してきた最後の1人を削り切って無事に逆転勝利をおさめることに成功する。ここまでハラハラした試合展開も久しい。

 逆転できるとは毛ほどにも思っていなかったが、敵をただ倒すだけではなく、スタミナ切れを狙って場外に突き飛ばせば、誰にでも勝利を掴むチャンスがある。もちろん上手いプレーヤーならば、スタミナ管理にスキがなかったりするのだろうが、こうしたバトル中の駆け引きが奥深く、楽しいと感じられた。

メディア合同インタビュー。「『KOF』にインスピレーションを受けた」

――「ASURAJANG」の世界観やストーリーについてこだわった部分を教えてください。

キム・ドンヒョン氏:アクションゲームなので、ストーリーやナラティブに関しては足りない部分もあると思いますが、我々が作ったキャラクターに愛着を持って欲しいと考えています。私は日本の「THE KING OF FIGHTERS(ザ・キング・オブ・ファイターズ)」からインスピレーションを受けました。

 キャラクターの戦う目的や関係性を魅力的にデザインすることで、ユーザーたちがそのキャラクターたちについてもっと知りたくなるようにし、やがて他のメディアを通してストーリーが発展していくようなアクションゲームを目指しています。こういうモデルはユニークだと思いますし、キャラクター性をゲーム外でもアピールできる特徴があると思っています。

 ですので、いくつかキャラクターたちは、ナラティブがテキストベースで公開されているものもございますし、今後は4コママンガだったり映像だったりで拡張していきたいと思っています。

――ゲーム開発の現在の進捗状況と、今後のスケジュールについて教えていただければと思います。

キム・ドンヒョン氏:まず、直近のスケジュールとしては6月10日に開催される「Steam Nextフェス」に出展します。開発状況についてですが、戦闘やバトルロイヤルの仕組み、そして基本的なゲーム性に関しては完成済みで、他のプラットフォームとのクロスプレイもすでに検証が完了しています。そしてサービス開始までの間に、コミュニティといった部分を拡充してきたいと思っています。

 サービス開始の時期は、当然G・O・Pとの協議が必要になってくるのですが「Steam Nextフェス」の反応を見てフレキシブルに調整していくつもりです。アーリーアクセスについても可能性はあると思います。今ハッキリと言えるのは、正式サービスを年内目標にしていることです。

――リリース後に予定されているアップデートや追加コンテンツについて、ロードマップがあれば教えてください。

キム・ドンヒョン氏:既存のゲームサービスを参考にしてみると、マップが多いことがライブサービスにおいて必ずしも良いとは限りません。マッチングは大変になりますし、ユーザーたちも混乱してしまう部分があります。そこで「Fortnite(フォートナイト)」を参考に、全体マップを6つに分けてシーズンごとにそれらを変更していくような仕組みにしています。

 また、シーズンごとに少しずつ新鮮さを追求していき、6シーズン終えた頃には全体マップも変化しているようなかたちです。ただ、ユーザーが「別のゲームになってしまった」と、不快な気分になることは避けるよう、少しずつ変化をつけていきたいと考えています。

――現時点ではPS5/Xbox Series X|Sにも展開予定とのことですが、Nintendo Switchやスマートフォンなどのプラットフォームで展開される予定はありますか?また、もしされるとしたらクロスプレイはどうなるのでしょうか。

キム・ドンヒョン氏:可能性はあります。クロスプレイという話も技術的には既に実現可能な状態にあって、Switchの後継機種など将来的なプラットフォームについても考慮しております。

 ただ、モバイルについては現状課題が多い状態にあります。まだ「Unreal Engine 5」がモバイル支援をしていないため、手のかかる部分が多いなという印象です。また、モバイル版を展開するとしたら、クロスプレイは考慮しておりません。東南アジアの地域では、PCやコンソールゲームが普及していない国も多く、「モバイル版のサービスが始まったら声をかけて下さい」といった声が非常に多かったです(笑)。

 あとは画面比率や操作性に関する部分などで、他のプラットフォームと公平ではないといったものがあります。公平性を考慮しても、モバイル版はクロスプレイを支援しない可能性が非常に高いです。

――昨年12月にクローズドβテストが実施されましたが、ユーザーからのフィードバックはどういったものがあったのでしょうか?また、そうした意見は国や地域で違いがあるものなのでしょうか?

キム・ドンヒョン氏:皆さんが共通で評価してくれた中で多かった声が、キャラクター性・打撃感・操作性でした。これらは私たちの開発意図とも一致していたので、開発メンバーたちが非常に喜んでいた記憶があります。

 一方で、共通でご指摘のあった部分としましては、キャラクターの数が少ないことや、HPやスタミナの少なさといったものが挙げられました。これらに関しては、今準備している6月の「Steam Nextフェス」で登場するバージョンで、かなり改善されています。期待していただければと思います。

 国ごとに違った意見で面白かったのが、日本では「同じパーティで同一キャラクターを選べないようにして欲しい」とする声が多かった反面、韓国のユーザーたちは「どのキャラクターが同じキャラクター同士でチームを組むと強いのか?」と、tierで分けたり戦略の一環として研究したりしているなどでした。

 ランダムマッチングをした際、選んだキャラクターを変更することはできませんが、待機中の練習時間の中で、チームがマッチングした後にキャラクター被りを見てから、再度キャラクターを変更できるような改善を加えています。

――「ASURAJANG」はどのようなマネタイズの仕組みを取るのでしょうか?

キム・ドンヒョン氏:基本的には多くのバトルロイヤルが採用している課金モデルと同様です。シーズンバトルパス、アバター、アクセサリー、キルフィードと呼ばれる演出、新キャラクターなどを有償で購入していただく方式となっています。

――これまで開発中に直面した最大の課題とそれの解決方法などについてありましたら教えてください。

キム・ドンヒョン氏:解決方法については説明しづらい部分もありますし、ノウハウだから言えない部分もありますし、この場で話し出すと3時間はかかりますので……(笑)

 ただ、カートゥーンレンダリングのクオリティを上げること、韓国式ではなく日本式のキャラクターメイクをするところなど、それを実現できる人材を探すのにも苦労しました。それでいて数十名のキャラクターが登場し、対戦するのに問題が起きないネットワーク環境をもつアクション。韓国ではスピードハックと呼ばれる不正プログラムがあるのですが、それを防止することなどが、大きな課題だったと思います。

 開発期間が長くなった感覚があるのですが、それを全部乗り越えて今の「ASURAJANG」があります。

――競合他社のタイトルと差別化しているポイントについて教えてください。

キム・ドンヒョン氏:ユーザーの反応によってフレキシブルにミニゲームやカジュアルなゲームを追加できるのが長所だと思っています。シーズン制の運営をしますので、バトルロイヤルとひとつのモードに拘らないというのが強みです。カジュアル性を極限まで突き詰めていけたのは、差別化できる部分ではないかと思います。

――「ASURAJANG」において、プレーヤーにもっとも期待してほしいという部分について教えてください。

キム・ドンヒョン氏:まず、「この胸揺れるな」といった部分です(笑)。まあ、これは冗談ですが、韓国では手応えやしっくりくる打撃感ゆえの中毒性、といったフィードバックがありまして、実際にプレイするユーザーたちにもそういった部分を期待していただければと思います。

※キャラクターの胸は実際に揺れます。

――最後になりますが、日本のユーザーに向けてアピールしたいことやメッセージをお願いします。

キム・ドンヒョン氏: 東京ゲームショウでも感じたことなのですが、日本のハードコアなゲームから全てが始まったと思いますし、そこからゲーム記者としての生活を経て、開発者になり、今は代表としてまた日本に帰ってきたというのが感無量です。

 「ASURAJANG」は、過去に私が本気で楽しんできた日本のゲームの良かった部分を、今のトレンドと融合させた作品です。韓国においては「あまり見かけないタイプのゲームだな」といった意見もいただいたと思うのですが、日本のユーザーには親しみやすく馴染みのあるゲームになっているのではないかなと期待しております。楽しくプレイしていただけると幸いです。よろしくお願いいたします!

――本日はありがとうございました!