【特別企画】

「Rise of the Ronin」完成披露会レポート。安田氏「Team NINJAの集大成。その心意気を感じて遊んでいただきたい」

【Rise of the Ronin】

3月22日 発売予定

価格:
通常版 8,980円
デジタルデラックス版 9,980円

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントは3月17日、「『Rise of the Ronin』完成披露イベント プレミアム体験会」を開催した。

 「Rise of the Ronin」は、コーエーテクモゲームスの「Team NINJA」が開発を手がけるプレイステーション 5用ソフトで、幕末の日本を舞台に“名無しの浪人”として自分だけの歴史を歩むオープンワールドアクションRPGとなっている。

 本稿では、3月22日の発売を間近に控えた「Rise of the Ronin」の完成披露イベントにお邪魔してきたので、早速現地の様子をお届けしていきたい。

【『Rise of the Ronin』 |「Story」紹介トレーラー】

大型スクリーンを使った記念撮影! メッセージボードなどで会場を彩る

 完成披露イベントが実施されたのは、東京都港区にある都内最大級のスタジオスペース「スターライズタワー」だ。

 東京都を代表する観光地の1つ「東京タワー」の真横に建てられたこの施設では、CM・MV・スチール撮影から、オンラインセミナー、eスポーツ大会に至るまで、幅広い用途の分野に利用される多目的スペースとなっている。最大の特徴は正面に設けられた巨大スクリーンに、20,000lmのプロジェクターを用いて大迫力の映像投影が可能なこと。

 本イベントには事前の申し込みの中から抽選で選ばれた一般の参加者たちが来場してきており、会場では発売前のゲームを先行で試遊できるほか、入り口前に設置されたメッセージボードへの書き込みや、スタジオの巨大スクリーンを使った記念撮影が行えた。

会場の入り口では鳥居をイメージした専用のゲートが設置されていた
入り口の真横にはメッセージボードが置かれ、訪れた参加者が自由に書き込める
ボードには『Rise of the Ronin』プロデューサー・早矢仕 洋介氏と、開発プロデューサー兼ゲームディレクター・安田 文彦氏の書き込みも
「#ライズオブローニン」を付けてSNS投稿すると、オリジナルステッカーがその場でプレゼントされるキャンペーンが実施されていた
来場者はステージに上がって記念撮影が行える。巨大スクリーンにあらかじめ用意された、幾つかの背景の中から好きなものを選んで、スタッフが投影してくれる
関係者に促されたのでとりあえず筆者も撮影して貰うことに。浪人笠を被って刀を持つも、侍というかどこかの騎士王みたいになってしまった
会場にはアートボードの複数展示されている
デザイン画「補火方」
デザイン画「義手」
デザイン画「阿鼻機流」

参加者たちによる2時間の濃密な試遊プレイがスタート

 時間になると、開発プロデューサー兼ゲームディレクターの安田文彦氏が登場し、会場に置かれたPS5実機でプレイ可能なゲーム部分についての簡単なブリーフィングが行われた。

 会場に用意されているデモバージョンでは、ゲーム冒頭部分のキャラクタークリエイトとチュートリアルを既に終えた段階からのスタートになる。難易度は製品版と同様、3段階から選択可能となっており、デフォルトは「イージー(薄明)」設定になっていた。

 安田氏は「『Team NINJA』の難しいアクションに慣れているという方は、ぜひ難易度をノーマル(黄昏)やハード(宵闇)に切り替えてプレイしていただけると楽しんでもらえると思います」と説明。安田氏の挨拶が終わると、その後は約2時間にわたって参加者たちによるゲームプレイ時間が設けられ、それぞれ指定座席でのプレイに集中していた。

 参加者たちには試遊台が1人1台ずつ用意されていた。記者陣とスタッフたちが背後から見守る中、ゲームを攻略する眼は真剣そのもの。今回の試遊では、オープンワールドが本格的に解放される「横浜」の手前からスタートする。そしてその横浜に入るためには、まず坂本龍馬が同行するミッションをクリアしていかなければならない。

 敵の攻撃をタイミング良く弾き返すカウンター要素「石火」が上手くいかず、感覚を掴むために何度か練習する人、獲得した能力ポイントを時間をかけて真剣に割り振る人、ミッション中は龍馬にキャラクター操作を切り替えられるので、主人公ではなく終始龍馬でプレイする人など、プレイスタイルに個性が出る。

 ミッションのボス敵は、山頂の廃寺に陣取っている賊の親玉だ。龍馬と2人がかりで挑むことになるが、大太刀を巧みに操る上に高い攻撃力を持つ最初の強敵である。初戦でこそ敗北する人が多く見られるものの、比較的早い段階でボス敵の動きを見極めて、慎重に体力を削り切るプレイヤーは多かった。事前に「仁王」、「Wo Long: Fallen Dynasty」などをプレイし、Team NINJAが手がけるアクションの感覚を取り戻していたのか定かではないが、どの参加者もキャラクターの立ち回りが洗練されている印象を受ける。

 また、多く見られた死因が「気力(スタミナ)」を切らしたところに、ボス敵の攻撃が直撃してしまうようなケースだ。これは攻撃後に特定のタイミングでR1ボタンを押すと、気力を少量回復する「閃刃」によってカバーしやすいポイントなのだが、多くの参加者が的確な石火、そして龍馬への操作切り替えで乗り切っているのが意外だった。

 ボスを倒すと、そのボスの処遇をどうするか選択肢が発生する。ボスを生かすか殺すかはどちらも自由ではあるのだが、筆者が見て回った限りでは、命乞いをする賊の姿に憐れみを感じたのか、生かす人が多い気がした。もちろん悪即斬で切り捨てる人もいる。その後、どの参加者も横浜の街を探索したり、物語を進めたりと濃密な試遊時間を過ごしているようだった。

1時間たっぷりのステージイベント! 開発者による質疑応答など

 参加者たちによる約2時間の試遊プレイを終えて、やがてメインスタッフの安田氏と早矢仕氏を迎えたステージイベントの時間に移る。このコーナーでは、発売を目前に控えた「Rise of the Ronin」にまつわるアレコレを、開発スタッフの2人から改めて紹介してもらうと共に、ステージの巨大スクリーンを使った実機プレイのデモンストレーションを披露していった。MCを務める山口 慧さんの進行に合わせ、盛大な拍手と共に、安田氏と早矢仕氏の2人がステージへ登壇した。

 本イベントからゲーム発売まで残すところ5日間になったその心境を問われると「コーエーテクモ、Team NINJAの中で1番開発期間が長く、規模も大きいタイトルでしたので、来週お客さまに触っていただくという実感が湧かなくて緊張しています(笑)」と早矢仕氏。安田氏も笑いながら「楽しんでいただけるといいなっていう期待と、どう受け取っていただけるのかっていう不安もありつつ...今日皆さんがプレイしている姿を見て、初めて実感が湧いてきました(笑)」とこぼしていた。

コーエーテクモゲームス 『Rise of the Ronin』プロデューサー 早矢仕洋介氏
コーエーテクモゲームス 『Rise of the Ronin』開発プロデューサー兼ゲームディレクター 安田文彦氏

 今年3月10日には京都で「PlayStation Presents PLAY! PLAY! PLAY!」の番組公開収録と、世界初となるユーザーの試遊プレイも実施されている。そのときの様子について早矢仕氏は「体験版もリリースしていなかったのですが、我々が望んでいるようなかたちで遊んでいただけたので、世界中の皆さんにも同じように遊んでいただけたらありがたいです」としていた。

 安田氏としては、京都会場と今回の東京会場どちらの参加者に対しても、思っていた以上にゲームが上手く、Team NINJAのタイトルで鍛えられてしまったのではないかと、独自の見解を述べ笑いを誘った。

 トークイベントはそのまま質疑応答のコーナーに移る。最初に完全新作タイトル「Rise of the Ronin」の開発経緯についての質問が出た。早矢仕氏によれば2015年ごろにTeam NINJA内で、“将来的にこういうゲームを作れるチームにしていきたい”といった、今作の原案となる構想と、チームを育てるきっかけが生まれたそうだ。

 ゲームの開発自体は「仁王」発売後からだが、「Rise of the Ronin」を制作するためにTeam NINJAの開発力を伸ばしたり、ゲームエンジンを開発したりと、その方向性は定まっていたという。また、「仁王」のヒットを受けて、その開発経験を活かし、Team NINJAらしいオープンワールドを模索。コーエーテクモらしい「歴史」の要素を取り入れつつ、“アクションの気持ち良さ”にもこだわるチャレンジをしたとのことだ。

ストーリー進行が人によって異なる体験になりやすいオープンワールド特有の難しさについて、遊んだプレイヤーが幕末の世界にタイムスリップしているような体験になるよう意識したと早矢仕氏
PS5だからこそ体験できるものとして、安田氏はこれまで築いたアクションのノウハウをオープンワールドに取り入れた点を挙げた。そして、SIEとの密な連携がPS5ならではの没入感をつくり出すことに繋がったという。コントローラーがもたらす体験にも注目したい

 一通りMCからの質疑を終えたところで、今一度「Rise of the Ronin」のコンセプトや概要についての紹介が挟まれた。その後は会場に設置されていた目安箱の中から、参加者の質問に対して時間が許す限り答えていくというコーナーに。

 まずはじめに出た質問は“オープンワールドにした理由”だ。回答したのは早矢仕氏。「時代モノをオープンワールドで再現すると、その時代を生きたような体験ができる」、「Team NINJAらしいオープンワールドにチャレンジしたかった」と、主に2つの理由を述べていた。

 そして2つ目の質問は“主人公を2人にしたキッカケと、2人にしたことの難しさ”といったものだった。安田氏は「多種多様な勢力、思想のキャラクターたちと因縁を築いていくことをコンセプトにしています。ただ、主人公にとっては家族とも恋人とも兄弟とも違うけど、近いようでもある、そんな因縁の深さを感じてほしい」と感じたのがきっかけになったようだ。

 難しさについては、二人一組の「隠し刀」の設定があったため、キャラクター切り替えを実装するに至ったそうだ。その過程で数十の登場キャラクターをプレイアブル化したのが苦戦したという。

多数のキャラクターを操作切り替えでプレイできるようにするという提案に対して、チームは嫌がったようだがなんとか実現している

 3つ目は“高難易度の周回要素の有無”となる。これに対して安田氏はキッパリと「あります!」と明言。ただ、オープンワールドだからといって、もう1度はじめから全てをやり直すことはないそうだ。ストーリーのリトライ要素を駆使することで、1度目に選ばなかった選択肢を選ぶことができるという。エンドコンテンツとして用意されており、ぜひオンラインのマルチプレイも駆使しながら楽しんでほしいとしていた。

 最後の質問は“安田氏の飼っている柄の猫は登場するのか”というやや変化球な質問であった。安田氏は苦笑いしながらも「実は1匹出ているので見つけたら切りかかったりしないで、可愛がってあげてください(笑)」と話した。これに対して「『猫集め』は結構難しいのですが、そんなところも楽しんでいただけたら(笑)」と、早矢仕氏が締め括る。これにて質問コーナーは幕を閉じていった。

 コーナーはデモンストレーションに移って、Team NINJAの中でも随一の腕前を誇るという『Rise of the Ronin』ディレクター・隈部 宣道氏が、PS5実機を使ったバトルの実演と「江戸」の街並を初公開。

 イベント会場の最寄りには、歴史ある「増上寺」が現存しているため、今回の実演においても増上寺がお披露目されていた。デモンストレーションの最後には、隈部氏が難易度ハードで「勝海舟」にチャレンジするという企画が行われ、見事勝利できれば参加者全員にノベルティとしてオリジナルTシャツがプレゼントされることになっている。

「増上寺」
江戸の街並みを馬で疾走
浅草の名物「雷門」

 ミッション開始前からプレッシャーをかけられてしまった隈部氏だったが、道中の敵を確実に倒し、順調にボス敵・勝海舟のもとへ近づいていく。暗殺、提灯を弾いての属性付与など、テクニックでしっかり魅せながらその腕前を披露した。

 そして、最後に待ち受ける勝海舟との戦いでは、強力な攻撃をほとんど石火で弾き返すという驚異的なカウンター力を会場の参加者たちに見せつけて見事にチャレンジクリア。参加者たちは無事、オリジナルTシャツをもらえることになった。

銃弾や提灯を「石火」でカウンターすると、武器に「属性付与」で一時的に属性効果が付く
難易度「ハード」とは思えないほど、容易くほとんどの攻撃を石火で防いでしまった
コーエーテクモゲームス 『Rise of the Ronin』ディレクター 隈部宣道氏

 発表会の最後で安田氏は「僕も発売されたらプレイしようと思いますので、幕末でお会いできることを楽しみにしています」とコメント。早矢仕氏は「『Rise of the Ronin』はコーエーテクモ、Team NINJAの集大成という位置付けでここまで開発してきました。その心意気をぜひ感じて遊んでいただきたいと思います」と語り、完成披露イベントは終わりを迎えた。