【特別企画】

「Rise of the Ronin」先行プレイレポート。刀を打ち合う緊張感! 多彩なアクションで攻防戦に自由度が生まれる

【Rise of the Ronin】

3月22日 発売予定

価格:
通常版 8,980円
デジタルデラックス版 9,980円

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、プレイステーション 5用オープンワールドアクションRPG「Rise of the Ronin」を3月22日に発売する。

 本作は、「仁王」、「NINJA GAIDEN」シリーズなどを手がけてきたコーエーテクモゲームスの開発チーム「Team NINJA」がおくる、幕末の時代を描いたオープンワールドアクションRPGだ。

 徳川幕府による武家政権が続いていた19世紀の日本を舞台に、プレイヤーは1人の“浪人”として、激動の時代を体験していくことになる。坂本龍馬や桂小五郎、勝海舟からマシュー・ペリーに至るまで、歴史上における重要人物たちとどのように関わっていくかで、自分だけの歴史が物語として紡がれていく。

 コーエーテクモゲームスはこれまでも戦国時代や三国志など、歴史を題材にした作品を多数打ち出している。日本史の世界をゲームに落とし込む時代考証のノウハウは、NHKの大河ドラマにも活かされているほどで、ゲームファンのみならず時代劇を嗜むユーザーも、その恩恵に預かっているといえるだろう。

 発売が迫る今作だが、世界最速でゲームを体験できるメディア向けハンズオンイベントが開催された。本稿では、イベントの様子やメディア合同インタビューで耳にしたこと、実際にゲームをプレイして得られた所感についてなどをお届けしていきたい。

【『Rise of the Ronin』 プレオーダートレーラー】

コーエーテクモが総力を挙げて長年開発を続けてきたタイトル

 イベントでははじめに、今作のプロデューサーである早矢仕洋介氏と、開発プロデューサー兼ゲームディレクターの安田文彦氏が登壇し、開発者によるブリーフィングセッションが行われた。冒頭の挨拶で早矢仕氏は「『Rise of the Ronin』をやっとみなさんに触っていただけることを大変嬉しく思います」と、その胸中を明かした。

 今作のコンセプトについては「運命を切り開け」といったキャッチコピーを掲げており、プレイヤーは名もなき浪人として、江戸・京都・横浜といった幕末の主要都市を巡りながら、自分自身の運命を切り開いていくストーリーが展開される。

 また、幕末の英雄たちと関係を結び、選んだ選択肢の内容によって、物語の結末が変化するマルチエンディング方式を採用しているという。主人公は“名もなき浪人”であることから、プレイヤーがその主人公キャラクターに感情移入し、自分なりの幕末の歴史を描いてほしい、と早矢仕氏は語った。

コーエーテクモゲームス「Rise of the Ronin」プロデューサー・早矢仕洋介氏

 大まかな概要について紹介を終えると、ゲームディレクターの安田氏にバトンが渡され、今作のシステム部分について触れた。まず、ゲームではキャラクタークリエイトが可能になっており、浪人の主人公とその相棒のような存在の2人ともが、性別・顔立ち・体格といった容姿を細かく設定できるとのこと(キャラクタークリエイトについての詳細は後述する)。

 アクションについては侍の剣術はもちろん、幕末の時代らしい西洋の銃剣、短銃といった武器も取り入れられているが、Team NINJAのこれまでのアクションになかったものも織り交ぜられている、と安田氏は明かした。さらに、英雄と因縁を結ぶことで、プレイヤーキャラクターの「流派」が強化される要素もあるという。因縁を結べるキャラクター数は50名以上登場しているそうで、因縁を結べばプレイヤーキャラクターの強化にも繋がるとのことだった。

 そしてゲームの制作にあたっては、実写映画「るろうに剣心」でも知られる映画監督・大友啓史氏のほか、「Fallout」シリーズや「Starfield」などの作曲を手がけたイノン・ツゥール氏らなどの外部クリエイターが協力しているとのことだ。ブリーフィングセッションの最後は再び早矢仕氏がマイクを握り、「『Rise of the Ronin』はコーエーテクモが総力を挙げて長年開発を続けてきたタイトル。それを実際に触っていただくことでずっと関わってきた安田を含めて、とても特別な1日になるんじゃないかなと思っています」と締め括った。

コーエーテクモゲームス「Rise of the Ronin」開発プロデューサー兼ゲームディレクター・安田文彦氏。オープンワールドの特色を活かしたやり込み要素の中でも「猫集め」をおすすめに挙げていた
多彩な武器・流派が登場しているので、冒険の中でそれらを集めていくのも面白そうだ
大友啓史氏は映像監督兼シナリオを務めている。イノン・ツゥール氏の手がけたゲーム内楽曲についてもぜひ注目したいところだ

プレイヤーを大いに悩ませること請け合い。こだわりまくれる魅惑のキャラクリ要素

 ブリーフィングセッションを終えると、すぐさま会場の試遊ブースに案内され、テーブルごとに設置されたPS5実機を使っての試遊時間になった。今回の試遊プレイで触れたバージョンは製品版とほぼ同様のもので、キャラクタークリエイトからゲーム冒頭のプロローグ部分、その後解放されるオープンワールドのマップ探索といった基本的なメインコンテンツをひと通り時間内に触れられた。

 早速、初回のキャラクタークリエイトについて見ていこう。先に前提をお伝えしておくと、今作の主人公は特殊な訓練を受けて育てられた、二人一組の「隠し刀」と呼ばれる兵士だ。物語冒頭では任務中、片割れが行方不明になったことを機に、浪人として生きながら、その消息を追う旅に出る……というのがプロローグにあたる内容となっている。

 なぜキャラクタークリエイトでこの話題を持ち出したのかと問われれば、前項ブリーフィングの部分で軽く触れた通り、プレイヤーキャラクターと片割れの相棒とで、合計2人分の外見設定をすることになるからだ。

 せっかく幕末の世界に没入するのであれば、やはり自分で操作するキャラクターと物語で追々関わってくる相棒、2人のキャラメイクには時間をかけてこだわりたいところだろう。しかも今作では、顔・髪・髭・化粧・体・声の各部位を細部まで設定可能なため、こだわり始めるとゲームが中々始められないジレンマに直面しかねない。つまり、こだわる人ほど相応の覚悟を持ってキャラクタークリエイトに望んでほしい、とお伝えしたいワケだ。

顔の項目を開くと「輪郭」、「渋さ」、「眉」、「目」、「瞳」etcと、多岐にわたって設定項目が出現する。驚いたのは「歯」の項目で“お歯黒”の有無まで決められる
外見テンプレートも複数用意されており、これらを使えば比較的キャラクタークリエイトの時間を短縮できる。西洋人のような顔立ちもテンプレートに用意されていた

 設定できる項目はかなり膨大だ。例を挙げれば、前髪の有無から髪の毛の長さ、毛先のカールなど、「髪」の項目ひとつ取っても、細かく調整できるようになっている。ほかにも太ももは太く身体は細め、体毛の有無やら髭の長さ、タトゥーのような化粧を顔のどこに施すのか、あるいは身体のどの部位に施すのかと、非常に細かく決められた。

 キャラクタークリエイトにあまり時間をかけたくない人は、テンプレート機能を活用して、外見のベースをザックリ取り決め、気になる部分だけを編集するといった方法もある。いわゆる“おまかせ”の「ランダム設定」機能を使うというのもアリだろう。なお、外見設定の際、2人とも同性にするといったことも確認できた。外見設定を行ったら最後に初期スキル、得意武器が決まる「研ぎ方」を選びいよいよ本編が始まる。

こだわり出すと遊ぶ時間が足りなくなってしまうので、今回の試遊プレイではひと通り設定項目を確認した後、デフォルトの外見でゲームをプレイすることにした

Team NINJAらしい骨太なバトルは健在。過去作の面影を感じる要素やケレン味たっぷりのカッコいいアクションも!

 まず最初に「Rise of the Ronin」をプレイした上で、その戦闘の所感だけをお伝えすると、公開中のプロモーション映像から筆者が想定していた以上に歯応えを感じられるものだったと言わざるを得ない。

 “攻めるときに攻めて防ぐときに防ぐ”いわばメリハリの効いた戦闘バランスで、スピーディかつ緊張感溢れるものだと断言できる。戦いのテンポ感をTeam NINJAの過去作で例えるなら、2023年3月に発売されたアクション「Wo Long: Fallen Dynasty(ウォーロン フォールン ダイナスティ)」に近いものがありそうだ。

【『Rise of the Ronin』 | 武器・流派紹介映像「刀」篇】

 今作では、攻撃・回避・ガードなど、アクションゲームにおけるスタミナの役割を持った「気力」が自分と敵に存在しており、気力が切れると一時的に体勢を崩して、大ダメージを与えるチャンスが生まれる。試遊では二刀流にあたる武器種「二刀」を好んで活用していたが、調子に乗ってガンガン攻め続けているとあっという間に気力を切らして逆に反撃を受けるケースが多かった。

 道中の敵はなんとか倒せても、ステージ最奥のボス戦では気力を切らすと命取りになりかねない。敵と剣を交える際には、自分と敵の気力を注視しておくべきなのだろう。また、一定のタイミングでボタンを押すと気力を回復させられる「閃刃」と呼ばれるシステムが備わっており、こうしたテクニックを交えながら戦えると、攻撃できる手数も増える。

 ディレクターの安田氏は閃刃について、「仁王」の“残心”から影響を受けて実装されたものと語っていた。これまでTeam NINJAの手がけてきた作品の成分を感じさせる体験は、戦闘部分だけではなく随所に散りばめられており、ここは過去作ファンがニヤリとできる小ネタになっているという。

敵の「気力」を減らし切ると強力な攻撃を行える

 キャラクターを作り終えて本編をスタートさせると、隠し刀の里にてチュートリアルが始まった。先ほど作り終えたばかりのキャラクターのうちから1人を選び、基本的なバトルシステムのトレーニングを行っていくようだ。いくつか用意されている武器種の中から好きなものを2つ選び、それらを切り替えながら道中の敵を片割れの相棒と共に倒していく。

 隠し刀の里で基礎修練を終えると、黒船に潜入し密書の奪取とペリー暗殺を育ての親から言い渡された。ここから専用のエリアで初めての実戦を迎えることになる。小舟から泳いで黒船へと渡り、道中の敵を背後から一撃で仕留める「暗殺」などを駆使しながら、ペリーのいる甲板へと慎重に進む。物影に隠れて敵に気づかれないよう、隠密行動を行う場面もあった。

 その道中ではほかにも銃を使った遠距離攻撃や、敵の銃弾をタイミング良く弾いて武器に炎を纏わせる「属性付与」なども、Tips経由で紹介されていく。特に属性付与に関しては、安田氏曰く、時代劇ならではのケレン味や想像できるロマンを意識して取り入れたものと語っていた。ゲームが進んでいくと、武器に属性をエンチャントできる消費アイテムが入手できるようになるそうだ。

好きな武器を2種類選択してチュートリアルのマップを進んでいくことになる。実際に武器を振り回し、自分の手に馴染む得物を選ぶといい
隠し刀の里の最奥では、主人公と片割れの育ての親「研師」が待ち構えていて、片割れとの稽古を行う
敵を暗殺し、海の中に引き摺り込む場面
攻撃をタイミング良く弾くシステム「石火」を敵の銃弾に対して使うと刀が炎を纏う「属性付与」。最初はタイミングが掴めずに中々苦労する

 ペリーの部屋で密書を入手してハシゴを登ると、そのままペリーとのボスバトルに突入。この戦いではフィールド内の各所にタルが置いてあり、R2ボタンで発射できる鉤縄を用いて、ボスにタルを飛ばし攻撃できる。鉤縄はフィールド内で高所へ登る際に用いるほか、敵に引っ掛けて小さなスキを作り出せる便利なアイテムだ。先述した属性付与同様、使える物は手持ちのアイテムから周辺のオブジェクト、敵の銃弾すらも、惜しみなく活用する自由度の高い戦闘がアクション映画さながらにド派手。鉤縄を上手く活用すれば“魅せプレイ”にも使えそうである。

 また、ミッション中はプレイヤーと共に行動している片割れ(仲間)に操作を切り替えることができた。たとえば主人公の体力が厳しい、あるいは主人公に対して激しい攻撃が続いているといった局面で、仲間に操作を切り替えて、背後から奇襲を仕掛けるような戦法が取れる。この機能はプロローグだけの限定的なものではなく、ゲーム内で共に行動する「徒党」と呼ばれるNPCがミッションに同行している場合なら、リアルタイムで操作を切り替えられる仕様となっている。

 今回の試遊中、坂本龍馬とミッションに挑む機会があり、主人公が所持していない短銃を用いたアクションを、キャラクター切り替え機能を通して体験することもできた。体力、気力はもちろん個別であるため、回復アイテムがないときには積極的にキャラクターを切り替えてミッションを進められる。

タルを投げ飛ばしたり、先述した「石火」のエンチャントを活用したりしながら効率良くペリーとの戦いを進めていく
ミッション中は同行しているキャラクターに操作を切り替え可能。なお、プレイヤーキャラクターが倒されても相方が生きていれば、自然と操作キャラクターが相方に変更される

 ペリーを倒すことには成功するが、その後正体不明の人物に襲撃されて、片方が囮になりもう片方が密書を持ち帰る選択肢が発生。ここで最終的に選択したキャラクターが、プレイヤーの分身として幕末の世界を旅することになる。その後は色々とって最終的に外の世界を歩き回る浪人デビューを果たすのだが、試遊ではここに行き着くまでの戦闘で何度かゲームオーバーになってしまった。

 戦闘では敵の動きを見て慎重に攻防戦を展開するのがミソで、いわゆる“死にゲー”を彷彿とさせる感触は確かにある。ただ、ゲーム開始時に難易度選択が行える上、難易度はいつでも変更可能な仕様だ。敵の手応えをそこまで求めておらず、シナリオを重視したい人でもしっかり楽しめる準備はされている。今回筆者はアクションゲームを頻繁にプレイする経験から、難易度「黄昏(普通)」を選び、幕末を生きる野武士や忍者たちをシンプルにナメていた……というのもゲームオーバーを繰り返した主な原因だろう。敵はザコでも結構イイ動きをしてくる。

今作は「幕末」と時代背景が戦国時代より近代なことから、時代考証にあたっては現存資料も多く、これまでとは違った密度で研究・考証をできた、と安田氏は語る

 今作は戦闘アクションの選択肢や幅広さが豊富というのも特徴的だが、ミッションは協力プレイにも対応している。ここまで紹介してきたように、戦いの中で取れる手段は多岐にわたることから、無数の攻略方法が考えられる。戦闘に関して遊びごたえ十分な匙加減なのは間違いないものの、幅広いプレイヤー層に、戦闘の緊張感と敵を倒したときの達成感を感じ取ってもらえると思う。

 今回の試遊は時間の関係もあって、オープンワールド部分を触り程度の探索で終えた。比較的早い段階から馬を入手でき、マップ内の探索は快適な印象だ。各地域に出没する野盗を倒して、平民に安寧をもたらしたり、サブクエストを受けて寄り道してみたりなど、広大な世界を広々と遊び尽くせそうである。

 余談にはなるが、安田氏はインタビューの中で「Team NINJAが手がけてきたタイトルで動く物はほとんど“敵”だった」という。そのため、幕末の世界を描く上で一般人の営みも描写する必要があり、初めて“敵以外”のキャラクターをしっかり描くチャレンジになったそうだ。ひょっとすると安田氏がブリーフィングセッションで推した「猫集め」には、そんなチャレンジによって生み出された、猫へのこだわりがあったりするのだろうか……。

安田氏は「坂本龍馬」が作中でお気に入りのキャラクターだという。一方、早矢仕氏は「あえて個人名は出しませんが、幕府側の人が凄く魅力的でした」と答えてくれた