【特別企画】

加藤英美里さんらが熱演! 朗読劇「ファイナルファンタジーXI 異聞のウタイビト」レポート

冒険者なら誰もがニヤリとする珠玉の朗読劇!

【ファイナルファンタジーXI 異聞のウタイビト】

2月17日開催

会場:ところざわサクラタウン ジャパンパビリオンホールA

入場料:8,800円 ※全席指定

 2002年にサービスを開始した「ファイナルファンタジーXI」(以下「FFXI」)。今年で22周年を迎える長寿MMORPGであり、いまだに根強い人気を誇るタイトルだ。今夏発売予定の「ファイナルファンタジーXIV」新拡張パッケージ「黄金のレガシー」では「FFXI」とのコラボとなる新アライアンスレイド「エコーズ オブ ヴァナ・ディール」が実装されるなど、話題も尽きない。

【ところざわサクラタウン ジャパンパビリオンホール】

 その「FFXI」の朗読劇『ファイナルファンタジーXI 異聞のウタイビト』が去る2月17日に開催された。「異聞」と題されている通り、今までゲーム本編では語られることがなかった、さまざまな物語が描かれている。物語のシナリオ制作にあたっては「FFXI」チームが監修し、ファミ通、電撃のプロデュースのもと、過去に「FFXI」のシナリオ開発に関わったスタッフが担当している。いずれのシナリオも、今回の朗読劇のために完全書き下ろしされたものだ。

【キャスト】
メインキャストの4名。左から順に、佐々木望さん、加藤英美里さん、浅川悠さん、白熊寛嗣さん

 また出演する演者も、実力派の声優陣が集結。「FFXI」プレーヤーにとってはお馴染みの声優・加藤英美里さんと浅川悠さんに加え、佐々木望さん、白熊寛嗣さんが出演。笑いあり、涙ありの「異聞」を演じていた。本記事では、ヴァナ・ディールの冒険者には必見ともいえる「異聞のウタイビト」をレポートする。

【展示品】
「ヴァナ・ディールの秘蔵展」で一躍界隈の有名人となった展示P謹製による「イージス」が、大阪会場より出張展示。撮影も可で、展示前は多くの冒険者で賑わっていた
各種販売グッズの案内。全部の演目を観た後は「ピンバッジ 胡蝶のイヤリング」を欲しくなった人も多いハズ

イメージどおりのキャラクターがそこに……!? 熟練の冒険者も声優陣の素晴らしい演技に驚嘆

 まず「異聞のウタイビト」を観て驚いたのは、キャラクターを演じる声優陣の演技に違和感をまったく感じなかったことだ。

 知っての通り「FFXI」はゲーム中に音声が入っていないので、これまで登場キャラクターの声は各プレーヤーが想像でイメージするしかなかった。今回の朗読劇では想像してきたキャラクターとイメージと違うんじゃ……? と心配する人もいたかもしれない。実際に長年「FFXI」をプレイしてきた筆者がそう思っていたクチなのだが、今回の朗読劇を鑑賞してみて、それはまったくの杞憂だったことがわかった。

 どのキャラクターも、驚くほど違和感がないのだ。冒険者にとっては聞き慣れたBGM、そして魔法やウェポンスキルの効果音などに乗って演技が進行するだけで、もうそこは“ヴァナ・ディール”なのだ、と感じた。ネット上の評判も上々で、改めて声優陣の演技力は本当に凄い……と思い知らされた次第だ。

【舞台演出】
照明や効果音の演出がまさに「FFXI」をプレイしているような感覚で、すんなりと劇中の物語に入っていくことが出来た

 筆者が特にイメージ通りだと感じたのが、浅川悠さんの演じるケット・シー。ああ、実際にケット・シーがいたらこんな感じでしゃべるよな……と、まさに頭の中で描いていたケット・シーがそのまま出てきたような声色と演技だった。もう今後は、浅川悠さんの声でケット・シーのイメージが固定化されると感じたくらいだ。

 他にも、佐々木望さんのナジや白熊寛嗣さんのラーゾス、そして加藤英美里さんのリリゼット……。どれも素晴らしい演技で、キャラクターのイメージそのままの声になっていた。白熊さんが演じたとある人物は、ちょっと渋くて格好良すぎると感じたが……(笑)、ともあれキャラクターごとの声色の使い分けも絶妙で、浅川悠さんのケット・シーとファリワリなど、実際に観ていても同一人物が演じているとはにわかに信じられないくらいだった。

過去や未来、そして異世界転移!? 冒険者ならニヤリとできる多様な5つの物語が展開

 今回の朗読劇では、5つのストーリーが語られた。どれもバラエティに富んだ内容で、今まで冒険してきた場所を舞台にしたその光景が、目に浮かぶようだった。アーカイブによる有料視聴は2月24日まで有効になっており、以下では未視聴の人のためにそれぞれネタバレを避けた内容と声優陣の演じたキャラクターを紹介する。

ミミルンのピカピカ★大冒険

加藤英美里……ミミルン
浅川悠…………ナジャ・サラヒム
佐々木望………アブクーバ
白熊寛嗣………ガッサド

閑古鳥が鳴くサラヒム・センチネルに、お金持ち(?)のキキルン族・ミミルンが捜し物の依頼にやってきた。ナジャとアブクーバ、そしてミミルンは捜し物を(主にアブクーバが)発掘するためにアトルガン各所に向かったが、出てきたのはガラクタばかり。だがそのガラクタは、実は……?

【加藤英美里さん】
加藤英美里さん演じるミミルンはとにかく可愛い。やはり可愛いは正義である

それゆけ! アルタナ四国・限界サバイバル

加藤英美里……クピピ
浅川悠…………クリルラ
佐々木望………ナジ
白熊寛嗣………???

懇親会に招待され、三国の使者としてジュノにやってきたナジ、クリルラ、クピピの3人。パーティ会場ではモーグリから余興として「エクソレイの粘菌」「古代魔法のパピルス」「ボムの炭」を入手してくるように言われる。渋々出掛ける3人だが、はたしてモーグリの目的とは?

【佐々木望さん】
佐々木望さんのナジは、頼りないようで最後はしっかりと決めてくれる……というナジのイメージにぴったり

浦蛇太郎

加藤英美里……ミリ・アリアポー
浅川悠…………ファリワリ
佐々木望………ガダラル
白熊寛嗣………ルガジーン

演劇の楽しさに目覚めた聖皇ナシュメラに五蛇将で芝居を見せてほしいと無茶振りされ、困り果てたルガジーン。ミリとガダラルに相談するが、そこへアトルガン皇国が誇る天才吟遊詩人(自称)ファリワリが協力を買って出た。そして決まった演目は、東方の昔話を元にした「浦蛇太郎」。ルガジーンたちは聖皇を満足させられるだろうか?

【白熊寛嗣さん】
生真面目ながらどこか抜けている、苦労性のルガジーンを見事に演じた白熊寛嗣さん。きっとゲームで描かれない普段のルガジーンはこうなんだろうなあ……と感じさせてくれた

小さな友人の小さな贈り物 ~声優・加藤英美里の異世界転移~

加藤英美里……エミリュ
浅川悠…………マリア
佐々木望………ダークライト
白熊寛嗣………アイアンフィスト

多忙を極めつつも「FFXI」のプレイは欠かさない、声優の加藤英美里。某仕事の○儀的に「遊びじゃないんです」と語る彼女だったが、ある日気がつくとタルタルの白魔道士エミリュとしてヴァナ・ディールに転移していた。サンドリアの高潔なエルヴァーン・ダークライト、豪放なガルカのモンク・アイアンフィスト、そして酒に目がないヒュームの黒魔道士マリアとともに、冒険を開始するのだったが……。

4話目はまさかの異世界転移もの。この話が一番ネタに溢れていて、終始笑いが絶えなかった

黒夜の胡蝶

加藤英美里……リリゼット
浅川悠…………ケット・シー
佐々木望………モーグリ
白熊寛嗣………ラーゾス

「アルタナの神兵」後、“元いた世界”へと戻ったリリゼット。ある日、その世界には存在しないはずのとあるキャラクターが倒れている(原因はリリゼット)のを発見する。その彼(?)は、ある懐かしいアイテムを持っていた……。本来2度と交わることのない2つの世界が束の間交錯する、小さな奇跡の物語。

【浅川悠さん】
浅川悠さんの演じるケット・シーは、まさにベストキャスティングと言える本当に素晴らしい演技だった

ヴァナ・ディールの冒険者だけがわかる小ネタの数々が楽しい

 どの演目でも、特筆すべきは小ネタの豊富さ。「峠のリフレシュ」、「捕虜になってて留守」などのゲーム内ネタに始まり、「おいすー」、「用語辞典に載ってたっけ?」、「漲ってきました」など、ヴァナ・ディールの冒険者たちにとってはニヤリと出来る……というか、もう終始ニヤニヤしっぱなしの濃さだった。

 「浦蛇太郎」の竜宮城のシーンなど、タイやヒラメの舞い踊りの代わりにビシージでお馴染みのあの方々が出て来て「ワタシトオドリマセウ!」と叫んだときには、盛大に吹き出してしまったくらいだ。ああ、これは本当に「FFXI」を愛しているスタッフが制作しているんだなあ……と実感出来て、本当に満足のいく内容だったことは改めて強調しておきたい。

 そして、最後の「黒夜の胡蝶」は感動させられた。アビセアでとある場所に1人取り残されたままのプリッシュ(通称アビッシュ)同様、「アルタナの神兵」後のリリゼットがどうなったかが気になっていたプレーヤーも多かったことと思う (※編注) 。「黒夜の胡蝶」では待望の、“その後のリリゼット”が描かれている。それだけでもファンにとっては観るべき価値がある、と言っていいだろう。

※編注……アビセアに登場したプリッシュについては、グランブルーファンタジーとのコラボレーションイベント「ファイナルファンタジーXI 幻想のウタイビト」でその後が描かれている

【スペシャルゲスト!?】
各演目の時間が予想外に延びたとのことで、第3話と4話の間に急遽ファミ通のオポネ菊池さんと電撃の旅団のおしょうさんがショートトークを開始。オポネさんが公式から提供してもらった効果音素材の間違いに気付いたり(さすが!)、舞台バックに映されたゲーム内の風景は全て電撃の旅団の団長ことPeaberry氏が撮影したものだったなど、ちょっとした裏話が聞けた

 今回「朗読劇」ということで、ただシナリオを読み上げるだけのような感じなのかなあ……と想像していたが、そんなことはまったくなかった。照明などの舞台装置やBGMと効果音などの演出、バックスクリーンに映されるゲーム内風景、そして何よりも演者の素晴らしい演技と身振り手振りを交えたキャラクターの表現方法……。まさにこれは、ただの朗読ではない「劇」と言っていい内容だった。

 前述通り、朗読劇『ファイナルファンタジーXI 異聞のウタイビト』は2月24日まで有料でアーカイブ配信されている。配信期間が残りわずかなので、未見の人はぜひチケットを購入して視聴することをオススメしたい。そして今後第2弾、第3弾の朗読劇が開催されることを、ヴァナ・ディールの冒険者として期待したいものである。

【フィナーレ】
キャスト全員でのフィナーレ。第2弾、第3弾の開催もぜひ!