【特別企画】
「鉄拳8」には練習が捗る1人用モードが充実! メディア向け体験会レポート
「アーケードクエスト」ではゲーセンコミュニティを再現
2023年12月12日 23:00
- 【鉄拳8】
- 2024年1月26日 発売予定
- 価格:9,680円~
バンダイナムコエンターテインメントは、プレイステーション 5/Xbox Series X|S/Steam用3D対戦格闘ゲーム「鉄拳8」におけるシングルモードのメディア向け体験会を実施した。
会場では製品版とほぼ同等のマスターロムがインストールされた環境が用意され、「ストーリーモード」や「アーケードクエスト」などのシングルモードがプレイできたほか、「鉄拳3」以来久しぶりとなるビーチボールを使って戦う「TEKKEN BALL」のシングルモードも体験できた。
「鉄拳」シリーズは1994年から続く3D格闘ゲーム。4つのボタンにそれぞれ両手両足が割り当てられており、これらを組み合わせることで多彩な技を繰り出して戦う直感的な操作が魅力の1つだ。これまでの「鉄拳」シリーズではアーケード版が先に稼働開始してから、コンシューマ向けバージョンがリリースされていたが、「鉄拳8」では初めてコンシューマ向けバージョンが先にリリースされる。
オンラインでのマルチプレイも魅力の「鉄拳8」だが、シングルモードで遊べる「鉄拳8」はどのような物か、今回は各モードをプレイした感触についてレポートしていきたい。
ボリューム満点の重厚なエピソードが楽しめる「ストーリーモード」
先ずは「鉄拳8」におけるメインストーリー「The Dark Awakens」が楽しめる「ストーリーモード」からプレイした。かなりボリュームのある内容となっており、前作「鉄拳7」と比べると大体1.5倍くらいのボリュームになっているという。本稿ではChapter1のみの紹介となる。
物語の大筋としては、本作の主人公である風間仁が、運命に抗いながら父の三島一八に挑む戦いとなっているが、そのスケールは全世界を巻き込む大闘争に発展するというもの。元々の「鉄拳」シリーズ自体が主人公である三島一八とその父である三島平八との闘争が中心となっていたのを思い出す。なお、風間仁自体も「鉄拳3」の頃から参戦しており、これまでの流れでどのような話があったのかが気になるところだ。
なお、シリーズ続編ということもあり、本作だけだと分かりにくいキャラクター間の関係性などもあるが、ほとんどのストーリー展開は本作のストーリーモード単体で楽しめるようになっている。キャラクター毎の細かい関係性がわからずとも、見ていてあまり疑問が浮かぶことはなかった。
メインストーリーはいきなりSFチックな乗り物が出現するなど、格闘ゲームのムービーと言うよりはSFの映像コンテンツを楽しんでいる感覚に陥るが、三島一八や風間仁などの主要キャラクターが登場するようになってようやくこれが「鉄拳8」のストーリーの一部だったかと気づかされる。
そして彼らの会話の先は拳で語り合う展開となり、ここからはプレーヤーが操作してバトルをするパートとなる。ここでの操作は簡易操作でプレイできる「スペシャルスタイル」が使用できる。ある程度はちゃんと戦う必要があるが、難易度が高いわけではないのでバトルに自信がなくても大丈夫だ。
また、ストーリー序盤は常に主人公の風間仁を操作するが、ストーリーが進むと他のキャラクターを操作する展開も用意されている。
本作の「ストーリーモード」は「鉄拳8」のストーリーを堪能する事に加えて、対戦を始める前のチュートリアルのような側面もある。「鉄拳」シリーズの初心者がゲーム全体の操作や感覚を掴むためのモードとして見ても悪くない。初心者の方は、まずストーリーモードをプレイして「鉄拳」シリーズの世界観とゲームの操作感を感じるのがよさそうだ。
なお、Chapter1は風間仁の敗北とともに今後の展開を示唆するような演出で幕を閉じる。本作の「ストーリーモード」は区切りがあまりなく、間髪入れずにどんどんと次のチャプターが開始され、ストーリーが展開していくため、正に1本の映像作品を見るような感覚でプレイできる。時間に余裕さえあれば一気に全てのストーリーを見終えてしまうくらいの没入感があった。
ゲームセンターの雰囲気を再現する「アーケードクエスト」
続いて、「鉄拳8」で新たに追加されたユニークなシングルモードの1つ「アーケードクエスト」をプレイした。「アーケードクエスト」では、アバターのキャラクター、即ち自分自身が主人公となり、全国のゲームセンターを巡り、ゲームセンターに集まるゲーム好きの他キャラクターたちと交流したり、ゲームをプレイして腕を磨くシングルモードだ。対戦のチュートリアルも組み込まれており、シリーズを初めてプレイする人が「鉄拳8」のシステムを学び、上達しながらプレイできる。
先ず笑わせてもらったのは、最初に集う主人公の地元ゲームセンターに集まる他のNPCキャラクターたちだ。ゲーム内キャラクターの見た目にこだわるキャラクターもいれば、ゲームが上手いことを鼻にかけたような嫌味なキャラクター、ゲームを遊ぶことその物を楽しむキャラクターなど、いずれも個性的ながら、一昔前のゲームセンターの雰囲気にマッチしたNPCが豊富に用意されている。
ゲームセンター内では他のNPCキャラクターたちと対戦しながら段位を上げていくシステムもある。段位はこれまでの「鉄拳」シリーズで、オンライン対戦時の自身の格付けの指標となるパラメータで、オンライン対戦ではこの段位の近いプレーヤー同士がマッチングする仕組みだ。「アーケードクエスト」で提示される段位は、あくまでも「アーケードクエスト」内での段位で、実際のオンライン対戦用の段位とは別ではあるが、1人用モードでも目に見えて上達を感じられる面白い仕組みだ。
ゲームセンターで他のキャラクターたちは対戦前に事前に会話したり、プレイ後に感想を話したりもできるので、実際のゲームセンターでプレイしているような感覚になる。また、特定の相手と対戦して勝利するとゲーム内ファイトマネーが貰えたり、アバター用のアクセサリーなど、ゲーム内で利用できるアイテムが手に入る。ただ対戦するだけではなく、ちゃんとご褒美があるのもモチベーションに繋がる1つのポイントだ。
なお、ゲームセンターで手に入るアイテムはアバターのカスタマイズで使えるほか、「鉄拳8」のキャラクターのカスタマイズでも使えるアイテムが手に入る場合もある。「鉄拳」シリーズでは、カスタマイズしたキャラクターをそのままオンライン対戦で使う事ができる。しかもカスタマイズ項目はかなりバリエーション豊かで、カッコいい服装から奇抜なオブジェクトまで豊富に用意されているのも「鉄拳8」の魅力の1つと言える。
「アーケードクエスト」ではゲームセンター内のキャラクターとの対戦を一定数終えるとゲームセンター内の大会が行なわれる。トーナメントで優勝するとストーリーが展開して次のゲームセンターに進むことが可能になる。
「アーケードクエスト」におけるゲームセンターの再現性は見事だ。10年以上前は各所に多く存在したゲームセンターだが、近年コロナの影響や、オンラインタイトルの増加による集客数の低下など、その数は減少を続けており、ゲームセンターでゲームを遊ぶ機会そのものが減少している。そんな状況下において、ゲームセンターの雰囲気を再現しつつ、「鉄拳8」のシステムを使ってそれを楽しめるようにした仕組みは面白い発想だ。
ゲームセンター内にはゲームを熱心にプレイしているキャラクターたちもいれば、壁の端に立って他のキャラクターたちの様子を眺めている人など多種多様なキャラクターが用意されており、実際のゲームセンターの雰囲気をうまく再現できているように感じた。昔はよくゲームセンターに通っていたというゲーマーたちは元より、ゲームセンター未体験の人にも是非プレイしてほしいモードだ。
シンプルルールで遊べるミニゲーム「TEKKEN BALL」が面白い!
ここからはオンラインでもソロでも楽しめるモードを紹介したい。先ずはビーチバレーならぬ「TEKKEN BALL」だ。これは「鉄拳3」に搭載されていたゲームモード。直接相手キャラクターを攻撃するのではなく、コート上でボールを攻撃して遊ぶモードとなっている。
「TEKKEN BALL」のルールは非常にシンプルだ。自陣にあるボールに対して通常攻撃や必殺技などで攻撃する。するとボールにエネルギーが蓄積されていき、敵陣に飛んでいく。ここで相手側はボールに対して反撃を行なうことで、ボールは返せるが、失敗するとボールに蓄積されたダメージを受けることになる。これを繰り返して、相手の体力を奪った方が勝利となる。
実際にやってみるとボールへの攻撃が思いのほか当たらないし、当たったボールの挙動も読みにくい。効率的にボールにエネルギーを蓄積して返すコツなども色々ありそうだが、あまり深く考えず、自陣のボールに攻撃や必殺技を当てまくって、ボールを返すラリーを繰り返すだけでも十分に面白い。
プレーヤーの特徴をバッチリ学習!練習に使える「スーパーゴーストバトル」
もう1つ、「鉄拳8」の特徴の1つとなる「スーパーゴーストバトル」についても紹介したい。こちらはオンラインで多くのプレーヤーが集まるオンラインビジュアルロビー「TEKKEN FIGHT LOUNGE」など、オンラインにいる他のプレーヤーの情報からダウンロードできるゴーストデータと対戦できる仕組みとなっている。
オフラインでも参照した他のプレーヤーのゴーストデータと対戦できるほか、開発者のAIゴーストが事前に用意されており、これらと対戦する事で、通常のCPU戦とは異なる、人間らしい動きのCPU対戦が可能だ。また、自身のゴーストと対戦することで、自身の弱みや強みを分析するといった使い方もあるだろう。
今回は「アーケードクエスト」内でプレイできるオフラインの「スーパーゴーストバトル」でその動作を試した。AIは「アーケードクエスト」でプレイしてきたバトルの内容を、短時間で学習できる「Qラーニング」手法により、キャラクター毎に学習情報を蓄積して、プレイヤーに似た動きをかなり高い再現性で学習しているようだ。
例えば試合開始直後にどのような攻めを見せるか、敵との距離の詰め方や移動の挙動、「鉄拳8」で追加になった新システム「ヒート」をどのタイミングで使うかなど、その挙動はかなり自身の動きに近い物となるようだ。例えば意図的に攻めの合間に投げを使っていくような戦いを繰り返していたところ、筆者の動きを学習したAIゴーストは投げの頻度がかなり高くなっていた。
このようにAIゴーストは、従来のCPU戦とは異なるシングル対戦が楽しめるほか、自身のプレイを振り返る指針の1つとして利用するのにも大いに役に立つ。また、他のプレーヤーのAIゴーストを使う事で、そのプレーヤーの手癖などを学ぶのにも利用できるため、オンライン、オフラインともに有用な機能と言えるだろう。
リプレイ機能のコーチング機能はその場で練習が可能に!
今回はリプレイ機能についてもチェックした。「アーケードクエスト」や「スーパーゴーストバトル」、CPUとの対戦やオフラインのプレーヤー同士の対戦が行なえる「バーサスモード」などのバトルについてはオフラインでプレイした場合もリプレイが記録される。なおオンラインの場合も、ランクマッチやクイックマッチなどほぼ全てのバトルについてリプレイが記録される。
本作のリプレイ機能では、フレーム情報や入力したボタンなどの情報が確認できるキーディスプレイの機能など、一般的なリプレイ機能ではお馴染みの機能はもちろん備えている。が、それに加えてアドバイスをしてくれるコーチング機能も用意されているのが「鉄拳」シリーズのリプレイ機能の特徴の1つだ。
例えば筆者がバーサスモードでCPUと対戦したリプレイを見ていると、リプレイ再生中に画面上部にウィンドウが開き「オススメ確定反撃」と表示され、技のコマンドが提示された。確定反撃とは相手の攻撃をガードした後に技を出す事で必ずヒットする攻撃の事だが、相手の攻撃に対して必要以上にガードを固めすぎていた筆者に対してこうしたアドバイスを的確に出してくれるのは驚きだ。こうしたアドバイスは他にも「オススメサンプルコンボ」や「しゃがめる上段連携」などいくつか用意されている。
リプレイではこうしたアドバイスが発生した部分のみをチェックする事が可能なほか、「鉄拳8」のリプレイ機能では、リプレイ中に教わったばかりのコマンドを実際に試す「練習」機能が新たに追加となった。「練習」機能を使うと、画面が切り替わり、先ほどと同じ場面が再現されるので、そこで実際のボタン操作が試せるようになっている。なお、アドバイスで提示されるコマンドは全てアーケードモードのみで、簡略操作モードのスペシャルスタイルでの操作についてはアドバイスされない。
これまではアドバイスのコマンドを覚えておいてあとでトレーニングモードを開いて練習するといった手間がかかっていたが、本作ではすぐに動きが確認できるのは大きな改善ポイントだ。また、今回は試していないが、CPU対戦などの場合ならリプレイの途中から試合を再開することも可能なようだ。
シングルモードでも遊べる要素が盛りだくさん
以上、「鉄拳8」シングルモード体験会で遊んだゲームモードについて、ざっくりと紹介した。今回筆者は「鉄拳8」から新規追加のキャラクター、麗奈を使ってみたが、かわいい顔ながら使う技や決めセリフなどはどぎつい物が多く、カッコいい女性キャラクターに仕上がっている印象だった。また格闘スタイルは不明ながら、本作では登場しないとされている三島平八と同じような技を多く使うなど、彼女の正体についても本作の楽しみの1つと言えそうだ。
また、今回紹介した「ストーリーモード」とは別に、キャラクターごとにも個々のストーリーモードが用意されているという。そこでは「鉄拳」シリーズお馴染みのムービーなどでキャラクターを掘り下げるエピソードが用意されているようなので、この辺りは購入後のお楽しみと言えそうだ。
ゲームセンターの雰囲気を楽しみながら「鉄拳8」が学べる「アーケードクエスト」についても、現段階ではどのようなストーリーが展開していくのか想像もつかない。各地のゲームセンターを巡る事でどのようなドラマが展開するのか、この辺りも購入後に是非一通りプレイしてその結末を確かめたいところだ。
「鉄拳8」はガッツリプレイするようになると、おそらくオンラインでの対戦がメインになっていくと思われる。その一方で初心者がスムーズに入れるような仕組みとして、「アーケードクエスト」や「ストーリーモード」などキャラクターを掘り下げるようなコンテンツも豊富に用意されており、これまで「鉄拳」シリーズに触れた事がない人であっても、気軽に遊べる仕組みが豊富だ。
「鉄拳8」で初めて「鉄拳」シリーズをプレイする初心者の人も、全シリーズプレイしてきたベテランプレーヤーも、先ずは「ストーリーモード」や「アーケードクエスト」で新たに用意されたコンテンツを堪能してから自身のメインキャラクターのやりこみに進むことをお勧めしたい。キャラクターのバックボーンや世界観を存分に楽しみながら、じっくり基礎を学べる仕組みがシングルモードには豊富に用意されているので、「鉄拳8」の魅力がさらに引き立つこと間違いなしだ。
TEKKEN8 & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.