【特別企画】

「スプラトゥーン」は本日で発売8周年! 新しい“対戦シューティング”のカタチを作った「スプラ」の魅力を振り返る

【スプラトゥーン】

2015年5月28日 発売

 任天堂より2015年5月28日にリリースされたWii U用シューティング「スプラトゥーン」が、本日で発売8周年を迎えた。

 本作は、ステージをインクで塗りまくることでナワバリを広げ、最終的により多くのナワバリを獲得したチームが勝ちとなる「ナワバリバトル」が特徴的。子供でも楽しくプレイできる対戦シューティングゲームという新たな可能性を開拓したほか、爽快感のあるゲームシステム、インクリングという新たなキャラクターの登場などで人気に火が付き、今では任天堂の看板タイトルの1つとなった。

 だが、筆者の周りでは「スプラトゥーン2」から始めたという人も多く、その理由として「家にWii Uがなかったから」という声をよく聞く。現在1億台以上を売り上げ、老若男女問わず人気のNintendo Switchとは異なり、製造終了までに約1,400万台と販売が振るわなかったWii Uがプラットフォームであったため、初代「スプラトゥーン」に触れたことがない「スプラ」プレーヤーの方もたくさんいるだろう。

 そこで本稿では「スプラトゥーン」の8周年を祝し、初代「スプラトゥーン」がどのような作品だったかを、当時の筆者の思い出も交えつつ振り返っていきたい。

【Splatoon(スプラトゥーン)紹介映像】

筆者の新たな世界を開いてくれた「スプラトゥーン」。ナワバリバトルなど“これぞスプラ”と呼べるゲームシステムは初代から不変!

 まずは発表当時の「スプラトゥーン」について振り返りたい。本作は2014年に放送された「Nintendo Digital Event」にて初お披露目。「スーパーマリオ」シリーズや「ゼルダの伝説」シリーズなどを制作し、宮本 茂氏が本部長を務めた任天堂の情報開発本部(現在は企画制作本部)が手掛ける完全新作のシューティングゲームとなった。2015年5月に公開された「社長が訊く」にて、情報開発本部が手掛けるタイトルに新たなキャラクター(インクリング)が登場するのは、2001年に発売された「ピクミン」以来約14年ぶりだったと明かしている。

 だが、当時中学生の筆者はWii Uの新作タイトルの情報収集はしておらず、恥ずかしながら2015年5月の発売を迎えるまで「スプラトゥーン」の“スの字”も知らなかった。そんなところに友人が颯爽と現れ「君の家でスプラトゥーンをプレイさせてほしい!」とお願いしてきたのが、筆者と「スプラトゥーン」の出会いだ。後に聞いた話によれば、友人は「スプラトゥーン」を購入したはいいものの、ネット回線が原因でプレイを諦めていたとのことだった。

 当時は「スプラトゥーン?どんなゲームなんだ?」と思っていた筆者だが、友人のお願いであればと自宅に招き、発売年の2012年にクリスマスプレゼントで買ってもらったはいいものの、あまり使われていなかったWii Uのもとに案内した。これが「スプラトゥーン」の魅力に引き込まれるきっかけとなった。

2014年に発表された初代「スプラトゥーン」
任天堂公式サイトにて公開されている「社長が訊く」では、当時の情報開発本部が制作するゲームとしては14年ぶりに新キャラクターが登場すると言及されていた
【【E3 2014】Nintendo Digital Event】

 ご存知の方も多いと思うが、改めて「スプラトゥーン」のシステムについて簡単に紹介したい。本作はオンラインで4vs4のチームバトルを繰り広げ、ステージをインクで染め上げていく対戦シューティングゲーム。インクを塗った面積=ナワバリの広さを競う「ナワバリバトル」や、ガチエリアやガチヤグラなどに代表される「ガチマッチ(最新作ではバンカラマッチ)」、ストーリーが語られる「ヒーローモード」など、“これぞスプラ!”と呼べる要素は、初代「スプラ」の頃から登場している。

 ブキについても、シューターやローラー、チャージャー、ブラスターなどの基本的なブキはそろっていて、初代「スプラ」ではアップデートによって、インクをバラまく「バケツ」やガトリングガンのような「スピナー」、インクを塗りながら高速移動が可能な「フデ」などが追加。また、インクリングが身に着けるギアについてもアタマ・フク・クツの3種という点は変わっていないほか、2つの勢力にわかれる投票イベント「フェス」も開催されるなど、基本的な部分は最新作の「スプラトゥーン3」と変わらない。

 一方で協力対戦モードの「サーモンラン」や2丁拳銃のようなブキ「マニューバー」は、シリーズ第2作目となる「スプラトゥーン2」から追加。基本的には「ナワバリバトル」や「ガチマッチ」、「ヒーローモード」のみとなっていて、今振り返るとなんだか物足りないような気もするが、2015年当時は「スプラトゥーン」というゲームそのものが新しかったので、ボリューム不足と感じることはなかった。

「スプラトゥーン」より生まれた任天堂の看板キャラクターの1人・インクリング。分類上はイカとのことだが、ヒトのような姿にもなれる
やはり「スプラトゥーン」といえばナワバリバトル。インクを塗り広げていき、ナワバリが多かったほうの勝利となる
「スプラトゥーン」のもう1つの定番である「ガチマッチ」。初代「スプラ」では当初「ガチエリア」と「ガチヤグラ」のみだったが、アップデートで「ガチホコ」が追加された

 当時の筆者は「スーパーマリオ」シリーズなどのアクションゲームや、「トモダチコレクション」などのシミュレーションゲームを中心にプレイしており、シューティングゲームや対戦ゲームはあまりプレイしていなかった。だが、先の友人の計らいによって「スプラトゥーン」を借りることになったので、いざプレイしてみると「スプラトゥーン」の魅力に引き込まれていったのを覚えている。

 その理由の1つがやはり「ナワバリバトル」の存在だ。ナワバリバトルは“敵を倒す”ことより“ナワバリを広げる”ことが重要視されるため、当時対人戦に苦手意識を感じていた筆者も、ステージを塗っていくことで活躍することができた。また、ナワバリバトルの制限時間は3分と比較的サクサク決着がつくので、集中力が続いてプレイしやすい。ブキも個性的なラインナップが揃い、自分にピッタリなブキを見つけられる。筆者にとって、新しいゲームの世界を開いてくれたのが「スプラトゥーン」だった。

 さらに、ストリートな世界観をモチーフにした舞台「ハイカラシティ」の文化も、筆者が「スプラトゥーン」を好きになった理由の1つ。「シオカラ節」に代表されるゲーム音楽や、ストリートファッションをモチーフにしたギアでインクリングをカッコよくイメチェンできるなど、バトル以外の要素も充実しており、様々な面で楽しくプレイできるのが「スプラトゥーン」なのだ。

ハイカラシティの音楽やファッションも、筆者が「スプラ」を好きになった理由の1つ
個性的なブキの数々。当時からブキ屋の店主はブキチだ
ギアには“ギアパワー”という固有のアビリティがあるが、初代「スプラ」から筆者は見た目重視でギアを選んでいた
初代「スプラトゥーン」のアイドルと言えばやはりシオカラーズ。2023年もその人気は健在だ

性能ぶっ壊れのスペシャルウェポンも!? 初代「スプラトゥーン」のみ味わえる筆者が好きなポイント

 ここまでは初代「スプラトゥーン」がどのようなゲームだったかを筆者の思い出と共に紹介してきたが、ここからは初代「スプラトゥーン」で筆者が好きだったポイントを紹介。「スプラトゥーン2」や「スプラトゥーン3」ではなくなってしまったブキ・機能など、初代「スプラトゥーン」でしか味わえないものをあげていく。

 まずは、Wii Uの機能を活かしたミニゲーム「イカジャンプ」だ。Wii Uの特徴と言えば、テレビ画面と付属コントローラー「Wii U GamePad」に内蔵されたディスプレイによる2画面プレイ。これを活かし、初代「スプラトゥーン」はナワバリバトルのマッチメイク画面をテレビに表示し、Wii U GamePadのディスプレイでは「イカジャンプ」をプレイできた。「イカジャンプ」は縦スクロールゲームで、ZRボタンで力をためてジャンプし、頂上を目指してひたすらジャンプするのみ。非常にシンプルな内容だが、意外と集中力を使うため、マッチメイク中のすきま時間にはピッタリのミニゲームだ。

マッチメイク中の空き時間にプレイできた「イカジャンプ」。ハイカラシティに置いてあるアーケード筐体でもプレイ可能だ

 続いては、初代「スプラトゥーン」に登場していたスペシャルウェポンの数々。ステージを塗り進めていくとポイントが貯まり発動できるスペシャルだが、初代「スプラ」では“凶暴”なスペックを誇っていた。まずは当時大人気だったスペシャルの1つ「スーパーショット」。遠くに居る敵を1撃で倒すことができるのだが、その射程と連射力が凄まじく、状況によっては相手4人を壊滅させることもできた。

 また「メガホンレーザー」も驚異的なスペックを誇っていたスペシャルの1つ。発動したいポイントに対して大きなメガホンを向けると、音波のようなものが発生し、これまた範囲内に居る敵を全て倒すことができていた。そのほかにも、素早い移動と高い攻撃力を兼ね備えた「ダイオウイカ」、発動した瞬間に敵4人の位置が一瞬でわかる「スーパーセンサー」など、初代「スプラトゥーン」のスペシャルウェポンは、驚異的な性能を備えていたのだ。

 だがシリーズ2作目の「スプラトゥーン2」では、これらのスペシャルウェポンは一切登場せず、全て新たなものに置き換え。また、シリーズ3作目の「スプラトゥーン3」では「テイオウイカ」や「メガホンレーザー5.1ch」など、初代「スプラ」に登場していたスペシャルの改造型が登場しているが、いずれも先のような高い攻撃性はなくなっている。

初代「スプラ」に登場していたスペシャル「メガホンレーザー」。当時のプレーヤーで、この音波が見えたら「終わった……」と思った方も多いのでは?
【【Splatoon】ブキ「スーパーショット」】
【【Splatoon】ブキ「ダイオウイカ」】

 最後はやはり「ヒーローモード」だろう。「スプラトゥーン」シリーズは「ナワバリバトル」などの対戦バトルのみならず、インクリングたちの歴史やストーリーが描かれるオフラインモード「ヒーローモード」も魅力の一つ。やりがいのある難関ステージや、キャラクターの知られざる過去も語られるなど、「スプラトゥーン」ファンであれば1度はやっておきたいモードだ。

 特に「ヒーローモード」は各作品でしか楽しめないため、初代「スプラトゥーン」のヒーローモードは初代「スプラ」でしか楽しめない。ストーリーの詳細は伏せるが、筆者は「ヒーローモード」の音楽が大好きでラスボス戦で流れる「シオカラ節」には大興奮した記憶がある。初代「スプラ」のヒーローモードをプレイする際は、バックに流れる音楽にも注目してみてほしい。

初代「スプラ」のヒーローモードでは、タコ勢のオクタリアンと対峙する

初代「スプラ」のオンラインプレイは一時停止中だけど……。6月1日からの「スプラトゥーン3」新シーズンは見逃せない!

 ここまで「スプラトゥーン」の8周年を祝して、初代「スプラトゥーン」の内容を振り返ってきた。筆者の学生時代を彩ってくれた「スプラトゥーン」だが、改めて振り返るとまだ8年しか立っていないことに驚いてしまった。また、今もなお、新たな看板タイトルやキャラクターを輩出しつづける任天堂には、感服せざるを負えない。

 だが初代「スプラトゥーン」については、1つだけ懸念したいこともある。それは2023年3月よりオンラインプレイに関する脆弱性が発見され、「マリオカート8」と共にネットワークサービスを一時停止していることだ。対応には時間を要する見込みとあるが、Wii Uのニンテンドーeショップはソフトの新規購入を終了し、先日にはWii U本体の修理サービスの順次終了も発表。刻一刻とWii Uの製品寿命が迫っている今、なかなか復旧が難しいというのが現状だろう。

 一方で明るいニュースもあり、6月1日からは最新作「スプラトゥーン3」にて新シーズン「2023夏 Sizzle Season」が開幕。初代「スプラ」から始まった「スプラトゥーン」シリーズも、今では様々なブキやステージが追加されるなど、日々進化を続けている。今日は、初代「スプラ」での思い出を胸に馳せつつ、これからも進化を続ける「スプラトゥーン3」をプレイしたい。

6月1日開幕の「スプラ3」新シーズンも見逃せない!