(2015/6/4 15:04)
任天堂はWii U用対戦アクション「Splatoon(スプラトゥーン)」を5月28日に発売した。価格は5,700円で、CEROレーティングはA(全年齢対象)。先日の「完成披露試射会」に引き続き、ここでは製品版のレビューをお届けする。
「Splatoon」は、フィールドをインクで塗った面積(ナワバリ)を競うアクションゲーム。4人対4人でフィールドを塗りあい、3分間の試合終了後に多く塗れていたほうが勝ち。プレイ可能なオンライン対戦モードは、腕前関係なくカジュアルに対戦を楽しむ「レギュラーマッチ」と、6月2日に解禁された“本気”向けモード「ガチマッチ」のふたつ。後述のとおり、シングルプレイモードも充実している。
ゲームの各施設をチェック! ~拠点「ハイカラシティ」~
さて……ゲーム概要は先日の試射会記事をご覧いただくとして、製品版の注目点はなんといってもゲームの拠点となる「ハイカラシティ」と各施設だろう。「ハイカラシティ」には、オンライン対戦用の「ロビー」、カスタマイズ用のアイテムを扱う「ブイヤベース」、オフライン対戦用の「バトルドージョー」、シングルプレイ用のストーリーモード「タコツボバレー」といった各施設が存在。街中には直前に対戦したプレーヤーやMiiverse投稿で好評を博したと思われるアバターやNPCがおり、近づいてAボタンを押せばコーディネイトの詳細もわかる。
「ハイカラシティ」内の施設は、ゲーム開始時の「ランク1」では利用できないものがある。ランクは「ロビー」で対戦することで少しずつ上昇。現在ランク1~20まで設定されているが、試合をすれば(通信エラーをのぞき)必ず「ポイント」と「お金」が加算され、下がることはない。ランクが上がれば「ブイヤベース」が利用可能になるため、まずは感触を確かめつつそこを目指すことになる。後述するが、レギュラーマッチは恐らく“完全ランダムマッチング”と推察され、現時点では負けて失うものはないので初心者も気楽にプレイしていただきたい。なお、本作はボイスチャット非対応。プレイ中のコミュニケートは十字ボタン上下「カモン」と「ナイス」のみで、罵声を怖がる必要がない点も付け加えておく。
キャラクターカスタマイズは「ブキ」、「アタマ」、「フク」、「クツ」の4項目にわかれており、それぞれ「ブイヤベース」内の店で購入可能。当然ながら、購入には対戦で獲得した「お金」が必要。ブキはランクと「タコツボバレー」プレイ状況で少しずつアンロックされていくが「ギア」で総称される「アタマ」、「フク」、「クツ」の品揃えは午前0時にデイリー刷新され、ランクが上がるほど性能が高いものが並ぶようになる。細かく調べたわけではないため断言しづらいが、恐らくレベル13くらいからコイン10,000台程度のレア度3のものが並ぶようになるかと思われる。
ここで「レア度」って何? という人もおられるかと思うので説明すると、本作のギアにはそれぞれ“メイン”と“サブ”の「能力」がついている。各能力はバトルの手助けとなるもので、代表的なものとしては「攻撃力アップ」、「防御力アップ」、「インク回復力アップ」、「インク効率アップ」、「復活時間短縮」、「イカダッシュ速度アップ」、「ヒト移動速度アップ」、「スタートダッシュ」、「ラストスパート」、「スタートレーダー」、「スーパージャンプ時間短縮」、「スペシャル増加量アップ」、「スペシャル減少量ダウン」、「ボム飛距離アップ」、「ボムサーチ」、「イカニンジャ」、「うらみ」、「マーキングガード」、「ステルスジャンプ」、「安全シューズ」などがある。
能力のうち、メインは最初からオープンされており、サブは「?」でクローズされている。サブはプレイしてギア個別の経験値をためることでアンロックされ、内容もランダム。効果はメインがもっとも大きく、サブは3つでメインひとつくらいに相当。効果は重複するが、単純に加算されないため(できたとして)全部同じ能力で揃えても効率が悪い。このあたりはブキやプレイスタイルとの兼ね合いが重要といえる。
サブは、ひとつ~ふたつ付きの安いギアなら数回プレイすればすぐアンロックされる。ポイントは1万前後のレアなギアで、最大3つまでサブ能力が存在するため、全アンロックには相応の時間がかかる。とはいえ、レアなギアを買えるようなプレーヤーにとってはたいした手間ではなく、むしろお気に入りの能力が出るかどうかといったガチャ的なお楽しみ要素。個人的にはギアの外観と能力を切り離してもらえたら「このギアでコーデしたいんだけど、能力的にちょっと……」ということがなくて良かったかなぁと思う。
ステージ更新は4時間サイクル ~手頃な時間と広さでサクサクプレイ~
「レギュラーマッチ」のステージは4時間更新で、切り替わるときはゲーム内ニュースが挿入される。現時点で2種類がランダムに選ばれ、マッチングもランダムでチーム振り分けのランク均一化もなし。ある程度は振り分けがなされているのかもしれないが、筆者の体感では「開始タイミングなどユーザーによるマッチングへの意図的な影響を排除してるのかな」という感じで、結果として片方に高ランクが集まることも珍しくない。
こう書くと「えーっ、じゃぁ一方的な展開になって楽しくないじゃん!」となるかもしれないが、ランクはあくまで指標であり、ランク20だからといって上手いとは限らないし、低ランクで上手い場合も十分ありえる。
さらに前述のとおり「レギュラーマッチ」は負けて失うものは何もなく、1プレイ3分間とサクサク遊べるため、前の試合結果を延々引きずる暇はない。「次、次!」とテンポよく遊べることもあり、マッチングのスピードを最優先した現仕様は理にかなっている。
現状のレギュラーマッチの“カオス”度は、先々プレーヤー層が厚みを増すにつれ徐々に慣らされていくものと推察される。下記「ガチマッチ」が開放されたことによって住み分けがより顕著になることが予想されるため、ランク1と20が混在するドタバタ劇を楽しみたいなら早いうちが良さそうだ。
エクストリーム&カオス! ~ガチマッチ~
「ガチマッチ」は、6月2日11時に解禁された新モード。勝利チームには「レギュラーマッチ」よりも多くのポイントとお金が与えられるほか、結果により「ウデマエ」と呼ばれるランクが変動。最初はC-(シーマイナス)から始まり、以降C、C+、B-……と勝利ポイントを重ねるごとに上がり、負けると下がる。ステージ更新は「レギュラーマッチ」と同じ4時間サイクルとなっている。
現状のルールは「ガチエリア」を採用。試合終了までに塗った総面積を競う「ナワバリ」に対し「ガチエリア」はステージ内の一部エリアを確保し続けるというもの。4対4のプレーヤーが極所に集中するため「ナワバリ」とは一味違う激しい展開が繰り広げられる。使用ステージはふたつからランダムに選ばれる。
半日ほどプレイした印象としては「レギュラーマッチ」ほどではないにしても、始まったばかりゆえ「こっちもカオスだぁ」といったところ。参加条件がランク10以上といっても、コツコツプレイしていればわりと早めに到達するレベルで、プレーヤースキルの振幅はかなりのもの。また、牽制なのか、SPメーターを溜めるためなのか、ステージ全体を塗ろうとするプレーヤーが敵味方を問わず散見され、それぞれの思惑が四散するカオスな展開に拍車をかけていた。
「ナワバリ」以上に接敵機会が増えるモードゆえ、より過激なバトルを体験したいなら、ランク10を目標に「レギュラーマッチ」で地道に腕(イカだから足?)を磨きたい。
絶妙なバランス設定が際立つ「ブキ」の数々
本作のブキは、現時点で「シューター」、「チャージャー」、「ローラー」の3系統に大別される。「シューター」は攻撃と塗りのバランスがよく、チャージャーは塗りは苦手だが長射程、ローラーは塗りに特化といったイメージになる。ランク上昇やタコツボバレーのプレイ進捗で購入できるブキは少しずつ増えていくが、根っこの部分のテイストは変わらない。
使えるブキが増えるにつれ、最初のうちは誰もが「どのブキが最強かな」と考えるだろうが、本作はブキ設定が本当に絶妙で、現状「これが強い!」と感じられてもそれはマッチングされるプレーヤースキルの振幅によるものといったケースが多々ある。試射会で猛威を振るった「ローラー」が典型例で、後日の試射会や製品版では、ただ突っ走るだけの「暴走ローラー」の多くは引き撃ちや狙撃のカモにされ、死角を狙いオープンスペースを突く“プレーヤースキル”が際立つ。
元来がピーキーな「チャージャー」もその例に漏れず、練習中もしくは不慣れな人と同じチームになると「あーこれはイカン(イカだけに……だけに……)」となるが、一定以上の技量を備えた「チャージャー」は火線を向けられるだけで戦慄モノで、さらに上となると足止めインクまで完璧で開けた場所で狙われたら覚悟せざるをえないゴルゴばりの“スペシャリスト”にも何度か遭遇している。
「シューター」は、プレーヤースキルの振幅により現時点でもっともポイントを獲得しやすいブキ系統。というのも、本作は“どれだけ塗ったか”が重要で、たくさん敵を倒しても“塗り”が甘ければそのぶんしかポイントは得られない。マッチングやステージの影響を受けやすい「チャージャー」と「ローラー」に対し、「シューター」は“安定感”という利点が出やすい印象。とりわけ「わかばシューター」と「プロモデラー」が水際立っており、ブキとしての完成度と扱いやすさは一般的なFPSで言うところの「AK-47」や「M16」的。
周囲の支援を得て威力が増す「ローラー」、個人スキルが最大限に反映される「シューター」など、それぞれ位置づけは完璧といっていい。ステージごとに若干の相性はあるが、現在のブキ設定は個人スキルやセンスでどうにでも化ける本当に素晴らしいもので「よくここまで念入りに調整できたなぁ」と深い感動すら覚える。スペシャルウェポンの調整も絶妙で、メインブキとの組み合わせを自由にさせていないのも英断。先々追加されるであろうブキにも非常に期待がもてる。
ヒーローモード ~任天堂らしいアイデアとセンス満載~
マンホールのフタから進入する「タコツボバレー」。ここではシングル用「ヒーローモード」がプレイできる。アタリメ司令によれば、タコ軍団「オクタリアン」により「ハイカラシティ」のエネルギー源“オオデンチナマズ”が消えてしまったという。プレーヤーはカラストンビ部隊の隊員3号となり、オクタリアン基地から“オオデンチナマズ”を取り返すことになる。
「オンライン対戦のチュートリアルかな?」と思いきや、いざプレイしてみるとこれが超本格的なシングル仕様。チュートリアル的なニュアンスは最低限で、それ以上にアクションパズル的な要素が大々的にフィーチャーされており「対戦もいいけど、こっちもいい!」といった具合で、これまたついつい何度もやってしまうクオリティ。特にボス戦は「これぞ任天堂!」というフックが詰まった楽しいものばかり。オンライン対戦に興味がなくても、アクションゲームが好きならぜひ1度触れて欲しいくらい。
「ヒーローモード」はオンライン対戦と別になっているため、こちらをプレイしてもランクは上がらず、稼いだお金(イクラ)も本モードでしか使えない。ただし、順次ステージをクリアしていくとオンラインで使える武器などがアンロックされるため、まずはオンライン対戦という人も後々要チェックだ。
インクから広がる無限のプレイアビリティ ~開発チームの努力とセンスに敬服~
ビデオゲームがこの世に産声をあげて、いく年月。アラフォー~アラフィフな筆者らの世代は、「ポン」や「ブロック崩し」といった黎明期からスマホ全盛の現在まで数多のゲームを経て、音楽業界よろしく「もういい加減ネタも出尽くした。完全なオリジナルなんて、この先もう出てこない」などという評論家の意見に「さもありなん」と思ったりもした。
老化で感性が鈍っているせいもあるのだろうが、良くも悪くもこうした経験の積み重ねが、ちょっとやそっとのことで“感動”を覚えさせなくなっている。「あぁ、こういうの以前にもあった」というのもあるし、「ごめん、これなら昔あった○×のほうがよくできていた」というのも少なからずある。だから多くのジャンルで“リバイバル”が成立しえるし、やがてゲームもそうなるのだろう。
アクションシューティングというジャンルも、3D表現が当然になってから数多の作品がリリースされフェードアウトしていった。「好きだった作品をあげろ」といわれれば枚挙にいとまがないほどだが「傑作をあげろ」といわれたら「個人的に推したいけど、このゲームの○×という部分は、人によって好き嫌いが大きくわかれそう」というフィルターにより、正直かなり言葉に窮する。「あばたもえくぼ」、「たで食う虫も好き好き」なんてことわざもあるとおり、あからさまにダメもしくは尖った部分が大好きになってしまうことも珍しくない。
「Splatoon」は、そんな擦れた筆者に久々にガツン!ときた“快作”で、しかも「あばたもえくぼ」云々なんてところは現時点でひとつもない。試射会で得た感触と期待感は、製品版で文字どおり“大爆発”。どれだけ貪るようにプレイしても足りず、疲れ果てて「もう限界」といった感じでやっと手が止まるほど。ゲーム内インフォメーションなど、細部(本当に細部!)の粗探しもできなくはないが、それらは瑣末すぎて意味をなさない。
“敵を倒す”といった従来型アクションシューティングの軸足を“インク(塗る)”という要素にシフトさせ、それがどうしたら1番いいものになるか徹底的に考え、形にしていく。何かを塗って競うというアイデアは過去にもあったが、ここまで美しく丁寧に磨き抜いたものは、もはや全く新しいジャンルと言って差し支えない。勝敗には関係ないが、戦術的には大きな意味を持つ壁の塗り、「ネズミ返し」ならぬ「イカ返し」などのレベルデザインも精妙で、蛇足感は皆無。各ステージで特徴を作ろうとすると「ここをこうすれば勝てる!」といった状況が生じがちだが、現時点でそうした不備は一切見当たらない。
各ステージのサイズもサービスイン直後を踏まえた最適解といった印象で、「レギュラーマッチ」であれば4人の共通認識があれば残り1分で大逆転も十分可能。その一方で、意思統一どころか「手足がバラバラに動いてます」といった有様でもゲームのていをなす懐の深さを備える。
敵を倒すスキルも重要だが、あくまでも“インク(塗る)”と対を成している点もポイントのひとつ。一般的な対戦メインのTPSやFPSでは精密なエイミングスキルが大前提となるため、それが苦手だとそもそもゲームに参加できない(楽しめない)が、本作は塗ることが最大の貢献。ドンパチ要素を十二分に残しつつ、それが苦手な人も参加できる……なにより“貢献できる”作りは白眉の一言。「誰でも楽しめるゲームです」なんてセールストークも陳腐化して久しいが、本作ではプレイするたびに実感させられる。
ここ数年、特にオンラインが大前提になって以来「これ本気でバランスチェックしてるのかな?」と思えるゲームが増えてきたように感じられる。「パッチであとから調整できる」という開発側の意識もあるのだろうが、ユーザーである我々にしてみれば「最初から完璧なんて望んでいないけど、少しでもベストに近づくよう努力だけはしてくれよ!」とさえいいたくなる代物まである。
そんな状況において「Splatoon」はある意味“お手本”であり“究極系のひとつ”ではないかと筆者は思う。「マリオカート」や「大乱闘スマッシュブラザーズ」初出時に似た衝撃というか“手ごたえ”が随所に感じられ「これがアクションシューティングの新たな基準になるのかな」という想いが、プレイを重ねるたびに強くなる。アイデアをひとひねり加えるだけでも大変なのに、ここまで真球に近いものを提示して見せる。しかも新規IPで、だ。
じじむさいワードが続いて恐縮だが、この歳になるとゲームで感動するなんて滅多にないし「もうそういうこともないのかな」と思うこともある。だが“本物”は、年齢や時代を問わず受け手の感動を心底から呼び覚ます。「あったよ、本物!」そう叫びたくなるほど「Splatoon」は筆者の目に眩しく、心を捉えて離さない。対戦前提のアクションシューティングのバランス調整なんて本当に大変だろうに、よくぞここまで丁寧に磨き上げたと、ただただ感心させられる。「ハマりすぎにご注意!」も陳腐な言葉だが、これまた本作ではガチもガチ。本当にご注意ください。
オマケ:これから始める or 負け続きでお悩みの方に ~ワンポイントアドバイス~
前述のとおり「Splatoon」は“インクで塗った面積を競い合う”という従来のアクションシューターにない大胆な要素が盛り込まれている。ゆえに一見ランクが高い人でも、立ち回りが不安定というか、確証をつかめないままフワフワした戦い方に終始している人もチラホラ。
本稿執筆時点(6月2日)で、オンライン対戦は「レギュラーマッチ」、「ガチマッチ」ともに“カオス”な展開に終始しがち。誰をどう参考にするか以前に、基本的な操作すらおぼつかない人もおられるだろう。かくいう筆者も偉そうなことをいえるほどの技量ではないが、それでも日々のプレイで得た経験を踏まえ、これから始める人、もしくは負け続きで頭を抱えている人に、「レギュラーマッチ」でオススメのブキや基本的な考え方などをご紹介する。つたないながらも「Splatoon」ライフの一助になれば幸いだ。
● 「わかばシューター」で守備重視の立ち回り
本作は試合終了時点でステージを多く塗っていた側が勝ちとなるため、開始直後から「とにかく前へ!」となりがちだが、そうした“焦り”はインクの無駄遣いや照準ブレなどのミスに直結し、何もいいことはない。まずはゲームに慣れるという意味でも“突撃!”ではなく“守備的な立ち回り”から入ることをオススメする。
「インクで塗るだけなのに守備的って?」と思われるかもしれないが、これが味方の展開を安定させる重要なスタンス。たとえば敵が塗ったインクに進入すると、足をとられダメージを受ける。これを避けるべく、前方で敵と打ち合いになっている味方がいたら、敵に攻撃をヒットさせることよりも“塗りあいのサポート”を意識するのが“守備的な立ち回り”だ。
ここで役立つのが、初期装備の「わかばシューター」。初期といっても弱いわけではなく、それどころか相当なポテンシャルを備えた逸品。射線が扇状にブレ射程もやや短いが、インク消費が少なく回復も早いため非常に使い勝手がいい。扇状にブレるぶん射程ギリの塗布パワーが凄く、これを利して味方の足元や周辺スペース確保を心がければ、たとえ敵に当たらずとも十分な貢献となる。目前の敵に集中すると周辺を見る余裕もなくなるが、守備的な立ち回りなら十分可能。あとはZLボタンで移動+インク回復が無意識にできるようになれば、インク切れの心配もほとんどなくなり、さらに余裕をもって立ち回れるようになるはずだ。
ここでひとつ付け加えると、守備を心がける際は、サブウェポンの「ボム」に頼らないこと。「ボム」はインクを大量消費するため「わかばシューター」の利点が失われがち。試射会の頃と違い、今は「ボム」の投擲音がした瞬間に即退避されてしまうため、狭小スペースの敵を確実に狙ったり追い払うといったケース以外ではあまり使わないほうがいいだろう。
ゲージMAXで使える「バリア」も、敵と遭遇したらすぐ右スティックを押し込むのではなく“カウンター”を意識するといい。緊急回避として絶対的な性能を持つが、持続時間が短いため「無敵になって敵を強引に撃ちにいく」と詰め切れず返り討ちにあうことが多い。“周辺状況の把握”を基本に、敵が近づいてきたら“塗布パワーでスペース確保”を意識しつつ立ち回り、相手が「バリア」などで強引にきたら、なるべく我慢してからカウンター「バリア」。耐えた時間差ぶんの「バリア」で相手を仕留めることができれば最高だ。
● ステージの高低差を利用する
これは「わかばシューター」に限らないが、ステージの高低差も戦術面において重要な意味を持つ。高所から下方へのインク散布は、より遠くまで届く。高低差がある限り、チャージャーなどをのぞき敵からの脅威は基本的に低減。「わかばシューター」は扇状にブレるため、他ブキよりも効果的なインク散布が可能だ。
たとえば「シオノメ油田」であれば、「わかばシューター」ひとりでスタート地点から右下(左下)1/4を十分カバーできる。高所から見下すルートを確保し、あとはZLボタンで移動しつつ眼下にインクを散布。敵のインクもすぐ上塗りできるし、相手がこちらの存在に気づいていなければ背後に着地して瞬殺という手もある。
アクションシューターにおける高所は“狙撃用”というイメージが強いが、本作は「わかばシューター」など“塗り”が得意なブキにも適している。高所でのインク散布は目立つため、敵に狙われたら執着せず、周辺の状況をよく見て味方をサポートしやすい位置にポジションを移すといい。
● 最後の1分が重要 ~最初の2分は様子見でいい!?~
6月2日時点での「レギュラーマッチ」は、1試合3分間。多く塗ったほうが勝ちという条件から「最初から最後までムダなく常に動き回る(塗る)」となりがちだが、現ステージの広さを踏まえると、実はラスト1分まで相当ムダな動きが許される。ブキや味方の共通認識という前提こそあるが、極端な話、最初の2分は相手に好き勝手させてもかまわないほど。1分あれば、自軍スタート地点手前でキルを取り一気にまくることも十分可能(もちろんステージによって向き不向きはある)。
これから始める人や負け続きの人は、こうした点を踏まえ“心に余裕をもって”最初の2分間をプレイしていただきたい。ゲームのテンポが非常にいいこともあって、前述のとおり「1分1秒たりともムダにできない!」という先入観を抱きがちだが、それが無用とわかればだいぶ落ち着いた立ち回りができるのではないだろうか。逆に、ジャンプマーカーなどをラスト1分まで使わず油断させるブラフも効果的かもしれない。
先々制限時間が異なるステージが出てくる可能性もあるが、現時点では「ラスト1分までは焦らずとも大丈夫」といった印象。こうして展開を見る余裕がでてきたなら、他のブキを試すにもちょうどいい頃合だ。
● 慣れた人でも難しい!? ~GamePad画面のチェック~
これは筆者も十分にできていない課題のひとつ。本作は、GamePad画面に全体ステージ情報が表示される。どちらがどれだけステージを塗っているかひと目でわかるだけでなく、敵味方の位置も(状況により)一目瞭然。スタート地点や味方、ジャンプマーカーをタッチするとそこまで一気に飛べる「スーパージャンプ」もGamePad画面の重要な機能のひとつだ。
さて……常にチェックしたいGamePad画面だが、前述のとおり本作は非常にテンポよくゲームが展開するため、手元のGamePad画面に目をやる余裕があまりない。リスポーン中ならともかく、視界内に敵がいる状況では本当に難しい。近くに敵がいる状況でこそ周辺情報をより正確に把握したいのだが、このジレンマがなんとも悩ましい。
GamePad画面を見るタイミングとしては、明らかに敵がいない(はず)のルート移動中、直近の敵がサブウェポンを使う(インクを大量消費しているため厚みのある攻撃はこないはず)、敵を倒した直後、ガン逃げを決め込む瞬間(画面を見ていてもダメなときはダメ)などなど。ジャンプマーカーは敵味方問わず重要な局面で役立つため、スタート画面でブキ「スプラローラーコラボ」装備プレーヤーがいたら必ずチェックしておきたい。
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