【特別企画】
Stay at home! 警告、ラフプレイ上等!! 「EGRETII mini」で「ハットトリックヒーロー」を遊びつくせ
稀代の傑作サッカーゲームでストレス発散
2022年3月18日 00:00
- 【EGRETII mini】
- 3月2日発売
- 価格:18,678円(税込)
- CEROレーティング:B(対象年齢12歳以上)
コロナ禍による、まん延防止等重点措置が3月6日で解除されるのかと思いきや、一部の地域ではまたもや期間が延長されてしまった。今月のカレンダーには待望の3連休があったのに、やむを得ず外出を控えた人も多いのではないかとお察しする。
そこで、今回の“Stay at Home!”企画では、前回の「『ダライアス外伝』初心者ガイド」に引き続き、今月にタイトーが発売した卓上サイズのゲーム機「EGRETII mini(イーグレットツー ミニ)」に収録された「ハットトリックヒーロー」で、日頃のストレスをスカッと解消する楽しみ方をご紹介しよう。
「ハットトリックヒーロー」は、1991年にアーケードゲームとして稼働を開始したサッカーゲーム。1人または2人協力プレイ時はCPUチームと対戦し、試合に勝利すると次の試合に進み、全7試合を勝ち抜くとエンディングを見ることができる。試合に負けるか、または引き分けた場合はゲームオーバーとなるが、何度でもコンティニューすることが可能。2人で対戦することもできる。
なぜ、筆者がこのタイミングで本作を皆さんにオススメするのか? その理由はズバリ、攻守が目まぐるしく入れ替わるスピーディさに加え、選手たちがオーバーヘッドキック、ダイビングヘッドなどの派手なシュートやボールコントロールテクニックを繰り出したり、時には相手を力ずくでなぎ倒してボールを強奪するなど、遊んでいてとにかく快感だからだ。
まだポリゴンを使った3DCGが広く普及していない時代にあって、スプライトや背景の拡大・縮小機能を駆使して描いた選手やピッチも実にカッコよく、今の目で見ても古臭さを不思議と感じない。ゴールが決まると選手たちが拡大表示され、ピッチ外に向かって走り出したり、味方の選手が駆け寄って喜びを分かち合ったりするなど、とびきり派手なゴールパフォーマンスの演出を導入していたのも当時としては斬新だった。
筆者は昭和の時代、約40年前からスポーツゲームが大好きで、今までに数え切れないほどのサッカーゲームを遊んできたが、「ハットトリックヒーロー」はその中でも傑作中の傑作であると心の底から断言できる。その理由は前述したとおりで、かつてはゲーセンで1コインクリアするまでさんざんやり込んだが、今遊んでもまったく飽きることがない。1991年の段階で、これほどまでに完成度の高いサッカーゲームがあった事実を、もっともっと多くの人に知ってほしいと思ったことも、本稿を執筆する動機のひとつとなった。
本作の稼働が始まった時期は、日本でもNHKのBSチャンネルで盛んに放送していた、サッカーW杯のイタリア大会が開催された直後にあたる。当時からサッカー観戦も趣味としていた筆者は、本作をひと目見ただけでたちまち魅了され、「この西ドイツの10番は仮想マテウス、アルゼンチンの10番は仮想マラドーナで、オランダの9番は仮想ファン・バステンだと思ってプレイしよう……」などと脳内で妄想しつつ、世界王者(※全7試合クリア)を目指して遊ぶのが楽しくてしかたがなかった。もっとも、当時の日本はサッカーがマイナースポーツだったので、なぜ1人でムキになって遊んでいるのか、周囲からはかなり白い目で見られていたようだが……。
ということで、これほどまでに面白い本作が「EGRETII mini」で久々に移植され、手軽に遊べるようなったこの機会を利用しない手はないというものだ。現在はeスポーツ競技としてもサッカーゲームは盛んにプレイされているが、昨今のタイトルではまず体験できないであろう、古い時代のサッカーゲーム独特の面白さを存分にご堪能いただきたい。さらに本稿では、「EGRETII mini フルパッケージ豪華特装版(初回限定)」に同梱された「特典DX攻略本」にも載っていない、知って得するオマケ情報も紹介しているので、最後までお付き合いいただけたら幸いだ。
反則上等! ラフプレイを駆使してボールを奪いまくれ
操作方法はいたって簡単。8方向レバーでカーソルが付いた選手を動かし、ボールを持っているときはAボタンを押すとシュート、Bボタンを押すとパスを放つ。ボールを持っていないときはAボタンでスライディング、Bボタンでパンチ、キック(飛び蹴り)を放つか、または相手選手のシャツを引っ張ることができる。
「サッカーなのに、なんでパンチやキックがあるの?」と、本作を知らない人であれば誰しもが疑問に思ったことだろう。だが驚くなかれ、 実は本作を最も面白くしている要素のひとつが、まさにこのラフプレイにあるのだ!
本作では副審がおらず、判定はレフェリー1人で下す。映像を見ながら審判員をサポートするVARのようなハイテク機器がない(当然!)こともあり、レフェリーから遠く離れた位置、あるいは死角でパンチや飛び蹴りを繰り出せばノーホイッスル、すなわち反則を取られない。レフェリーの目を盗み、相手をなぎ倒してボールを奪うのがすこぶる快感なので、もし相手にシュートを撃たれそうになったら反則覚悟でどんどんつぶしてしまおう。しかも、ラフプレイで倒した相手はしばらくの間ダウンするので数的優位の状態が作りやすくなる。反則が非常に有効なディフェンステクニックになっているのが本作ならではの面白いところ。もしラフプレイがレフェリーに見付かった場合は、もちろんイエロカードの対象となる。反則を避けたいときはスライディングを繰り出すか、または相手ドリブラーにボタンを押さずに体当たりすればボールを奪い取ることができる。
実は本作、何とレフェリーにも当たり判定があり、わざとレフェリーにドリブルしながら体当たりしたり、ボールをぶつけたりすることでダウンさせて一定時間動けなくさせることもできる。こうなったらシメたもの(?)、CPUチームもパンチやキックをガンガン浴びせてくるのでピッチは無法地帯と化し、両軍入り乱れての壮絶なボール奪取合戦が展開される。パンチやキックが炸裂したときの、プレーヤーの爽快感をさらに増す「ビシッ!」という効果音もこれまた最高だ。
また、レフェリーは、ボールがない所でも選手とひんぱんに接触して転んでしまう。しかも、倒れるときのアニメーションがいくつも用意されているので、思わず笑ってしまうことうけあいだ。本人には気の毒だが、ぜひ皆さんもゴールを目指しつつ、レフェリーをいじり倒して大いに笑ってほしい。
何はともあれ、まずは以下の動画をご覧いただきたい。随所で激しい攻防が繰り広げられ、本作がいかにエキサイティングなゲームなのかが一目瞭然におわかりいただけることだろう。
高速ダイレクトパス&シュートでゴールを決めると気分爽快!
ボールを持ったら、レバーとボタンを入力したままで、簡単に連続してダイレクトパスをつないだり、オーバーヘッドやダイビングヘッドでシュートを放ったりできるのも本作ならではの魅力だ。
本作ではパスボタンの代わりに、シュートボタンを使ってパスをつなぐことも可能。シュートのほうがパスよりも低くて速いボールが蹴れるメリットもあるので、状況に応じてボタンを使い分けられるようになると楽しさがさらに増す。ボールを持った選手は状況に応じて、自動でヒールリフトやジャンピングスルーなど、華麗なテクニックを繰り出して相手をかわすこともあるので、これまた実に快感なのだ。
以下の動画で、本作ならではのスピード感や華麗な足技、ゴールパフォーマンスの数々をとくとご覧いただきたい。ちなみに、同じ選手が1試合に3ゴールを決めると、パフォーマンス中に「HAT-TRICK」の表示およびボイスが流れ、さらに1人で6ゴールを決めると「DOUBLE HAT-TRICK」と表示され、プレーヤーを祝福する心憎い演出も用意されている。もしかしたら、本作のタイトルに込められた意味は、まさにここにあったのかもしれない。
また、ご参考までにCPU戦で絶大な効果を発揮する「必殺シュート」も併せて紹介しておこう。やり方は、まずAボタンを押しっ放しにしてリフティングをしてから、斜め(右上)に向かってロングシュートを放ち、さらにゴール前で待つ味方に再びダイレクトシュートを撃たせるだけだ。相手GKは、たとえシュートがあさっての方向に飛んだ場合でも必ずボールに寄るクセを利用した「必殺シュート」は、1回戦から最終戦まで全チームに通用する。もし余裕があれば、ぜひマスターしてほしい。
ピッチの外でも繰り広げられる感動、爆笑必至の小ネタも必見
前述のゴールパフォーマンスをはじめ、本作は画面をよ〜く見ているとビジュアル面でも非常に細かい演出が盛り込まれ、その面白さをさらに引き立てていることがわかる。
以下の動画のように、タイムアップ直前に同点あるいは勝ち越しゴールを決めると、選手がひざまずいて十字を切る、特殊なゴールパフォーマンス( ※1 )を披露するのがその一例だ。筆者もこのパフォーマンスを初めてゲーセンで見たときはゲームオーバーの危機、すなわち100円玉を取られる大ピンチを回避できた嬉しさと相まって、全身が震えるほどに感動したことは今でも鮮明に記憶している。サッカーマニアの心をくすぐりまくる見事な演出を、ぜひ実機でも体験していただきたい。
※1「特殊なゴールパフォーマンス」:元ブラジル代表のジャイルジーニョが、1970年のW杯で披露したパフォーマンスが元ネタではないかと思われる。彼の十字を切る姿は、当時の日本のサッカーファンの間でも有名になった。
レフェリーに反則が見付かった選手は、必ずイエローカードを提示される。同じ選手が2度目の反則を取られた場合は、もちろんレッド—カードを提示されて退場となる。選手が退場を宣告されると、わざわざ試合を一時中断してピッチ外へと走り去るパフォーマンスを用意し、さらに専用のジングルまで用意されているのだから恐れ入る。これほどまでに、いい意味でおかしな演出は、今どきの真面目な(?)サッカーゲームではまずお目にかかれないだろう。
ピッチの角や、ハーフウェイラインの両端に立っているフラッグに選手が触れたり、ボールが当たるとフラッグがガタガタと揺れる音が鳴る。さらに、以下の動画のようにシュートなどで強く蹴ったボールが当たった場合は、フラッグがグルグル回転しながら吹っ飛ぶ演出も用意されている。ゴールライン後方にいるカメラマンにボールが当たると、カメラマンがその場に倒れ込んでしまうのもこれまた面白い演出だ。スローインの際に、レフェリーが全速力でタッチライン際に走ってジャッジしたり、ハーフウェイラインの上部にある看板には「ROUGH PLAY」と書かれていたりするのも微笑ましい。
ほかにも、ゲームオーバー後のネームレジスト画面で「TBY」と入力すると、入力完了後に名前が「TA」に書き換えられてネコの足跡のようなマークが追加されたり、デモ画面でシュートボタンを32回押すと、画面右下にクマの絵( ※2 )が表示される隠し技もあるので、興味のある方はぜひお試しを。写真の掲載はあえて控えるので、どんな絵が出てくるかは見てのお楽しみ!
※2「クマの絵」:かつて、タイトーの開発部署があった埼玉県熊谷市にちなんだネタと思われる。ちなみに、同様の隠し技は「奇々怪界」などにも仕込まれている。
稀代の傑作、痛快サッカーゲームをこの機会に遊び倒せ!
初期のサッカーゲームは、ファウルやオフサイドの判定が存在しなかったり、1チームの選手の数が11人に満たなかったりするタイトルもけっして珍しくなかった。しかし本作は、当時としては破格のリアルさを実現し、なおかつリアルサッカーではあり得ないラフプレイの要素をも取り込み、絶妙の面白さを生み出した稀代の傑作であったと筆者は思う。本稿の執筆にあたり、久々にプレイして改めて痛感した。
また、「EGRETII mini」初回限定版に同梱された特典CD「70/35 -TAITO 70th / ZUNTATA 35th Anniversary-」には、本作のアレンジ曲「ハットトリックヒーロー 〜fight song 2020〜」も収録されているので、こちらもぜひご堪能いただきたい。元祖アーケード版の発売から30年以上も経ったこのタイミングで稀代の傑作が移植され、さらに新たなアレンジ曲まで聴けるようになるとは……まさに感無量である。
1人でCPU戦のエンディングを目指すのもよし、友人や家族といっしょに協力・対戦プレイに興じるのもまたよし。しつこいようだが、スキを付いてパンチや飛び蹴りを食らわせて相手選手からボールを強奪し、時にはレフェリーをいじり倒して大いに笑い、本作で日頃のストレスをパーッと発散してみてはいかがだろうか?
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