【特別企画】

パルクールに全身を使った格闘! 「ダイイングライト2」インプレッション

ウイルス蔓延から15年、対立する人間達の間でどう生き抜くか?

【ダイイングライト2 ステイヒューマン】

2022年2月4日発売予定

価格:8,778円(税込)

 スパイク・チュンソフトは、「ダイイングライト2 ステイヒューマン」を2022年2月4日に発売する。本作の開発はTechland。

 「ダイイングライト2 ステイヒューマン(以下、「ダイイングライト2」)」は謎の伝染病により感染した人々がゾンビになってしまった世界が舞台となる。生き残った人々は、リーダーの元、生き残るために戦う複数の勢力となり、"シティ"で生活をしている。

 プレーヤーは主人公・エイデンとしてシティの人々と交流しながら時には勢力拡大を助け、時には敵対しながら、街の未来に深く関わっていく。リーダーや街が抱える様々な秘密が明らかになっていくと共に、エイデン自身の謎にもフォーカスが当たっていく。人々がゾンビとなり崩壊した世界の未来はどうなるのか? 本作はストーリーとプレーヤーの干渉により変化していく世界が最大の魅力だ。

 前作に当たる「ダイイングライト」は2015年の作品である。「2」が出るまでに6年以上かかったこととなる。本作の製作発表は数年前で、しかも本来は今年の12月に発売されるはずだったが、9月に2022年2月4日へと延期が発表された。開発はかなり難航しているようだ。今回の体験会はそういった発売延期に対して本作の存在感を示す、という意味合いもありそうだ。

 今回はスパイク・チュンソフトで本作の開発中のバージョンをたっぷり数時間プレイすることができた。街の中を駆け抜けるパルクールアクション、その優れた身体能力で挑戦する戦闘、メインのストーリーや、アイテムなどゲームの基本要素を体験できた。本稿ではムービーやスクリーンショットと共に、「ダイイングライト2」の感触を紹介していきたい。

【『ダイイングライト2 ステイ ヒューマン』オフィシャルゲームプレイトレーラー】

高所を飛ぶように移動する爽快なパルクールアクション

 本作の基本的なシステムは1人称視点のオープンワールドアクションRPGだ。最初に探索する場所から広大な地域が用意されており、メインのクエスト以外でも様々なクエストや収集要素がフィールドに点在している。しかしそこかしこにウィルスに感染したゾンビが闊歩しており、闇雲に歩いているだけではゾンビに囲まれてしまう。しかも"夜"にはゾンビが活性化しフィールド中に協力で素早いゾンビがあふれる。その危険な世界でエイデンは生き残るため、ゾンビの少ない建物の上を移動し、クエストをこなし探索をしていく。

 キャラクターには「コンバットポイント」と「パークポイント」という2つのレベルがあり、クエストをクリアし、戦闘をこなしていくことでレベルアップし、様々なスキルを獲得していく。またオンラインでの協力プレイが可能で、その場合ホストとなるプレーヤーのクエストを進めていくこととなる。前作では最大5人のプレイが可能で、4人は味方として、1人は敵のゾンビ側でのプレイが可能だった。前作はゲームバランス的に協力プレイが前提の厳しいゲームバランスだったが、今作はソロでしっかりゲームが進められる印象だ。

 「ダイイングライト2 ステイヒューマン」の舞台は、ウイルスの蔓延から15年が経過した世界となる。文明は大きく後退し、都市は廃墟となった。しかし人類は生き延びていた。残った資源をゾンビがうようよいる世界から回収し、UVライトでゾンビを遠ざけ、力強いリーダーの元結束し、他の集団と交易したり、対立して暮らしている。

 エイデンは"シティ"に流浪人として現われる。今回の体験ではこのオープニングが伏せられており、エイデンは「サバイバー」という一団にかろうじて受け入れられることとなる。このシティは他の世界と隔絶された「人類最後の砦」と呼ばれる場所の1つだ。ここでは3つの勢力が、ゾンビに飲み込まれずコミュニティを形成している。

人々がゾンビになって15年経過した世界が舞台となる

 シティの1つの勢力が環境への適応に長けた自由民「サバイバー」、もう1つが秩序を重んじる「ピースキーパー」、そして元囚人達で構成され、シティの支配をもくろむ「レネゲイド」。現在、ピースキーパーの指揮官が殺害された事件で、この3つの勢力は疑心暗鬼に陥っており、対立を深めている。

 「ダイイングライト2」は1人称視点のオープンワールドアクションRPGだ。プレーヤーはエイデンとなり世界を探索し物語を進めていく。シティは崩壊した大都市であり、ビルが林立し様々な建物がある。

 本作の大きな特徴は「パルクールアクション」。エイデンは優れた身体能力を持っており、建物の屋根から屋根に飛び移ったり、身軽な動きで壁の出っ張りにしがみつき体を支えることができる。まるで空中を歩くように、高い建物の上を移動する。

ゾンビを避けるため空中を移動するのが本作の基本となる
地上は昼間でもゾンビが闊歩している

 この世界は昼間でも通りをゾンビが闊歩しており、道行く者を取り囲み襲ってくる。ゾンビの数は限りなく、倒しても倒しても出てくる。このため人々は建物と建物の間に板を渡したり、橋を作ってできるだけ高い場所で生活するようにしている。エイデンもこれらを利用し高所を移動するのだ。

 このパルクールアクションは前作から受け継がれ、さらにパワーアップしたポイントだ。エイデンは高速で建物の屋根を走り回り、ジャンプする。手が届くギリギリの場所でも指を引っかけ、その腕力で体を持ち上げることができる。腕だけで体を支えている場合はスタミナゲージが減少していき、なくなると手を離してしまう。このため移動中の短い時間でも休息しスタミナゲージを戻す必要がある。手すりを連続でつかんで移動する箇所などでは、「どこで休むか」も重要だ。

サバイバーの重要人物・ソフィー。彼女との関わりがゲーム序盤のシナリオだ
メインクエストだけで無く、様々なサブクエストが用意されている

 前作でも感じたが、「ダイイングライト2」のフィールドを移動する爽快感は格別だ。現実では足がすくんでしまいそうな高所や狭い足場を駆け抜け、ジャンプしていく楽しさ。どうやればより高いところに上れるか? ゾンビに追われて逃げながらも周囲を見渡し、次々と飛び移り逃げていく感じ。建物に張り巡らされたケーブルや、手がかかる場所を探し出しルートを見つける楽しさ。「移動の楽しさ」は本作の大きなセールスポイントだ。

【「ダイイングライト2」、全身をフルに使ったパルクールアクション】

ゾンビの恐ろしさが最大となる、「夜」こそが本作の本質

 「夜の怖さ」もシリーズを受け継ぎ、パワーアップしているポイントだ。ゾンビ達は日の光を嫌い、夜になると活性化する。しかも15年の間にゾンビは変異をしており、様々な能力を獲得したゾンビもいる。

 前作では多くのゾンビが瞬く間に追いかけてきて、本当に一歩も外に出られないような状況だったが、「ダイイングライト2」ではそこまで大量のゾンビがに追いかけてくることはない。夜のフィールドを探索することも可能だ。しかし昼間にはいなかった力が強かったり、液体を吐きかけてくるゾンビなども出てくる。

夜は多数のゾンビが闊歩する
ゾンビは進化し、様々な能力を発揮する

 「ダイイングライト2」では"夜のみのイベント"も用意されている。メインクエストだけで無く、サブクエストも多数用意されているようで、助けを求める人に援助の手を差し伸べる、といったものも確認できた。クエストマーカーは昼間でも確認できるので、昼に回りの地形を確認してから夜に挑む、というのも有効なようだ。

 夜は攻略の鍵にもなる。ゾンビは太陽光を嫌うため、昼間は建物内にいることが多い。建物内にクエストがあったり、隠された物資があっても、昼間ではゾンビがひしめいていて、中に入ることもままならなかったりそもそもクエストが進行しない場合もある。

 もちろんプレイしていれば時間は経過していくが「休憩所」を使うことで一気に昼から夜に、もしくは夜から昼にすることができる。休憩所に関しては、ゾンビに占拠されていたり、最初は使えない場合もあるが、ひとたびアンロックすれば有効な隠れ家になる。体力は回復できるし、バックの中にアイテムを置いておくこともできる。休憩所にあるバックは他の休憩所と共有になっているので、消耗品や持ちきれない武器などを入れておけば補給ポイントとしての有用性も増しそうだ。

多くのゾンビに追われる夜は本当に怖い
紫外線灯はゾンビにダメージを与えられる

 今回はゲーム要素を多く体験するため、メインクエスト進行を優先したため、正直、夜と昼のサイクルを充分に堪能できなかったところがある。この仕掛けは特にサブクエストで楽しくなりそうだ。その中でも夜のゾンビの拠点に侵入し、宝探しをするというのは魅力的だ。サブクエストを多くこなすことで装備の充実や、やキャラクターの成長もしっかりできるようになる。たっぷり寄り道をして世界を探索したくなるゲームだ。昼と夜の街の表情の違いも、ぜひ製品版でしっかり体験したい。

【「ダイイングライト2」、恐ろしい夜の光景】

プレーヤーの決断で変化していく世界

 「ダイイングライト2」は非常に魅力的なゲームメカニクスを持っているが、その要素をユーザーに体験させる原動力となるのはやはり「ストーリー」だ。エイデンは最初にサバイバーの「ソフィー」という女性に会う。彼女は前リーダーの娘だ。

 前リーダーはカールという男にサバイバーのリーダーの地位を譲ったが弱腰なところがあり、ソフィーと対立しているところもある。ソフィーの弟バーニーは自分が"ちゃんとした男"であることを証明したくて、暴走し姉の手を焼かせている。サバイバーはしっかりした拠点も持ち、自給自足の生活をして生き残っているコミュニティだが、警察組織のような厳格な管理体制を持つピースキーパー、無法者の集まりであるレネゲイトと危うい均衡状態にある。

様々なクエストが用意されている
ソフィーの弟ダニーはトラブルメーカーだ

 エイデンは目的がある。彼には人に簡単には話せない理由があってこのシティを訪れたのだ。今の目標は「フィッシュアイ」と呼ばれる場所に行くこと。そのためにはシティの人々に信用されなくてはならない。このためエイデンはピースキーパーが殺害されたというトラブルを追いながら、様々な人と関係していくこととなるのだ。

 メインクエストは基本的には指示された場所に行き、様々な提示された目標をこなしていくことになるのだが、そこから3つの勢力の性格、この世界の人々の暮らし、ユニークなキャラクターなど多彩な情報が明らかになり、この世界に"実在感"を与えてくれる。ソフィーは信じるに足る人物に見えるが、弟は何かがあれば突っかかってくる。彼女自身も何か秘密がありそうだ。

サバイバーの拠点は街になっていて、様々な商品が買える
クエストでは強力な敵と戦うシーンも

 クエストをこなしていくことでまずエイデンはサバイバーの知り合いが増えていくことになる。しかしそれはまだまだ薄い関係で、エイデン自身もまた得体が知れないところがあり、ふとしたきっかけで対立を起こしかねない。プレーヤーは各勢力とどう関わるか、決断していくこととなる。

 この決断はストーリー上の選択だけでなく、稼動した施設をどの勢力に明け渡すかでも変わってくる。シティは風力発電で紫外線照射装置を動かし、夜のゾンビから身を守っている。この施設は各勢力の命綱であるが、もし故障してしまったらゾンビに占拠されてしまう場合もある。

悪党兄弟をどうするか、様々な選択が待っている

 今回の体験会では給水塔を奪還し、どの勢力に渡すかの選択肢があった。プレーヤーの決断で勢力の拡大に加担できるのだ。勢力の拡大はシティの風景を変える。また勢力と敵対する決断をしていけば問答無用で攻撃される時もある。ある程度バランスを考えた方が、移動には有利になりそうだ。

 この「プレーヤーの決断で変わっていく街の風景」は「ダイイングライト2」の大きな魅力の1つだ。プレーヤーの選択はストーリー、街の風景、エイデンが取得できるスキルなど、様々な要素で関係してくる。繰り返しプレイし、全く違うシティの姿を見るのも楽しそうだ。

ジャンプ、腕力、道具……様々な要素で戦う戦闘

 そして「戦闘」である。「ダイイングライト2」の文明が崩壊した世界では銃火器は非常に貴重なようで、エイデンはもっぱら鉄パイプなど近接武器で戦う。ただ武器を左右に振り回すだけでなく、スキル取得によって多彩な攻撃ができるようになるのが本作のウリだ。

 倒れた敵を攻撃する場合は武器を振り下ろす。さらにスキルを取得していくことで様々な技を使うことができる。うまくガードを使うことで相手に大きな隙を作り出したりと、プレイになれていくことでより多彩な戦い方ができると感じた。

本作の基本は格闘戦闘になる。様々な武器を使いこなしていく
火炎瓶で物陰から攻撃

 スキルは戦闘だけでなく、バルクールの能力を向上させることもできる。また武器の中にはMODを追加できるものもある。MOD設計図を入手すれば武器に様々な効果を付与させることができ、打撃武器に炎を 吹き出す能力を付与するなどの強力な武器を作り出すことができる。

 敵も一筋縄ではいかない。巨大なゾンビや素早いゾンビなど変異したゾンビは手強い。人間も集団で襲ってこられれば不利だし、大きな武器を振り回す強い敵もいる。エイデンは正面から戦うだけでなく、様々な地形を活用したり、火炎瓶や弓矢などを活用して遠距離からダメージを与えるなどの戦い方も可能だ。

 スキルの傾向によってエイデンの得意な戦い方は変わってくる。プレーヤースキルが高い人ならばエイデンは非常に機敏な動きでゾンビを翻弄するだろう。うまいプレーヤーの戦いを見てみたいゲームでもある。

ステルスで近づけば、敵を素早く倒せる
火炎をまとうMODを武器に装備して攻撃
【「ダイイングライト2」、格闘、ステルス、特殊武器、多彩な要素で戦え!】

 アクションだけで無く、戦略も大事だ。ステルスで相手から知覚されなければ相手の背後を突き倒すことができる。「サバイバーセンス」を使うことで壁の向こうの人物などを知覚できる。このスキルは探索にも有効だ。

 また、戦闘要素ではないが、これからの要素として「パラグライダー」がある。上昇気流をとらえることでエイデンは空を飛ぶことができる。この装備が使えるようになれば高いところからも降りることができ、移動の自由度はさらに広がる。こちらも使いこなせば、かなり楽しくなると感じた。

パラグライダーで空中を移動
【「ダイイングライト2」、パラグライダーで空中を移動可能に!】

 今回は数時間じっくり「ダイイングライト2」をプレイできたが、正直魅力のほんの一端に触れたのにすぎない。もっともっとプレイしたくなった。やはり気になるのが「ダイイングライト2 ステイヒューマン」という本作のタイトルだ。人がゾンビへと変わっていくこの世界。エイデンは果たして人でいられるのか、ストーリーはどのように展開しているのか、しっかりとプレイしていきたい。