【特別企画】
「アトミクロップス」は農業とシューティングとローグライトを合体させた欲張り新感覚アクションだった!
農業か探索か、限られた時間の中でどう動くかが鍵に
2020年9月11日 18:00
- 9月17日 発売予定
- 価格:2,980円(税別)
人気のゲームジャンルには流行り廃りが存在するが、シューターや農業ゲー、ローグライク系のように根強い人気を保ち続けているものも存在する。実際このジャンルのどれかに属するゲームを一切プレイしたことはないという読者は少数だろう。では、今挙げたジャンルのゲームを全て合体させたようなゲームをプレイしたことはあるだろうか。そんなゲームは存在しない? いや、DMM GAMESが9月17日に発売を予定している、プレイステーション/Nintendo Switch/PC用ソフト「アトミクロップス(Atomicrops)」がそれだ。
本作を簡単に説明すると、大爆発によって荒廃した世界を舞台に、農業をしながら襲ってくる敵を倒すファーミングアクションシューティングゲーム。プレーヤーは突然変異してユニークな見た目になった作物を育てながら、夜になると襲撃に来る外敵から農場を守ることになる。PVだけでもキャラクターのトゥーンな造形や、ユーモアを感じさせる独特の世界観を持つ作品であることがわかるが、その外見とは裏腹にハードでシビアな難易度を持つ奥深いゲームでもある。
さて、今回は本作がどんなゲームなのか、日本語版先行プレイの機会を得たので、実際のプレイフィールをお伝えしよう。
農業と銃撃戦、恋愛要素まで取り入れたゲーム性
本作の目的は荒廃した世界で農業をしながら一年を生き延びること。作物をつくり資金を得て装備やアイテムを揃えたり、マップを探索をし敵を倒しながら作物のタネや進行を有利にするアイテムを獲得しながら、春夏秋冬4つの季節毎にやってくるボスを倒して一年を無事に過ごせたらゲームクリアだ。
各季節はそれぞれ3日で、1日は昼と夜に分けられており、リアルタイムで昼夜が変化する。昼の農場は比較的平和だが、夜になると農場を荒らしに敵が襲撃してくる。プレーヤーは自分の農場と作物を守るため、毎夜銃を持ち敵と交戦することになる。
農業は耕した土地にタネを植え、肥料や水をやり、成長したら収穫するという流れで行なっていく。収穫した作物は1日の終わりに自動的に売却され、街で手に入った資金を使って武器やアイテムを購入することが可能。季節が進むごとに毎夜の襲撃も激しくなっていくので、よりよい装備で挑む必要がある。もちろん、昼間でも全く攻撃されないわけではないので農業に集中していると痛い目を見るので注意が必要だ。
農業の収益を伸ばすために重要なのは大きな作物を作ることだ。同じ作物を2×2の正方形の形で植えて肥料を与えれば合体し、巨大な作物となるので、この状態で収穫すれば通常より高く売れる。特に木になるタイプの作物は何度も収穫できるので、運よく大きな土壌と同じ種類の苗が手に入ったら巨大化させるといい。
さて、作物を育てるためには、当然そのタネが必要となる。タネを手に入れるためには農場を出て、危険な敵キャラクターが徘徊している荒野を探索しなければいけない。荒野には敵の拠点があり、そこにいる敵を全て倒すことでタネやアイテムなどを手に入れることができる。
荒野は農場の四方に存在しており、方角ごとに草原や砂漠といったタイプがある。それぞれマップにいる敵の種類は固定だが、拠点の位置や拠点にあるアイテムの種類などは毎ゲームごとランダムで配置されるため、リプレイ性が高くなっている。アイテムには雨を降らせたり、耕せる土地を広げたりする使い捨ての呪文のような「ハト」や、農業を手伝ってくれる動物、範囲内に強力な効果をもたらすがクールダウンが設定されている「トラクター」、例えば「農業の際に行動速度が上がる」など、キャラクターの能力を向上させるものなどが存在する。また、倒した敵は農場で撒いて成長層度を向上させられる「肥料」になるので、敵と戦闘するだけで僅かながらメリットを受けることができる。
敵からの襲撃を耐え、無事に夜が明けたらヘリコプターに乗って街へ戻り、作物を資金へと変換する。稼いだ金は主に武器に使用することになる。武器は近距離に強いショットガンや、遠距離用のライフルなどオーソドックスなものから、リスを飛ばすようなユニークなものまで存在する。
また、購入した武器は購入後に更に資金を払って強化することもできる。強化すると威力や連射速度、リロード速度が上がったり、弾が爆発するようになったりするユニークな効果がランダムに付与される。強化しておくとグッと戦闘が楽になる……のだが、武器は基本的に使い捨て(キャラクター「ライ」のみ2日間使える。強い)で、1日が終わると壊れてしまうため、いつどの武器を買ってどれだけ強化するか、頭を悩ませることになる。武器とお金をいかに効率よく使うかが腕の見せ所とも言えるだろう。
また、街では他にも特殊なタネや荒野に点在する壊れた橋を直す道具を購入できる。橋を直す道具も安くはないし、奥のマップに進むためには複数必要になったりするので、ここでもまたお金が必要だ。頑張って農業に励もう。
加えて街では収穫したバラをNPCにプレゼントすることで好感度を上げつつアイテムを貰うこともでき、NPCの好感度が最大になると結婚が可能になる。結婚した場合、NPCは自分と一緒に農場についてくるようになり、農業を手伝ってくれたり敵と戦ってくれたりするので、積極的にバラを育て、NPCと仲良くなっていきたい。
農業か探索か、時間の使い方が悩ましくも面白い
実際に本作をプレイしてみると、序盤からなかなか歯ごたえのあるゲームだと感じさせられる。敵の攻撃はそれなりに激しく、後半になると低難易度でも弾幕のようになり、気を抜くとすぐにライフが削られてしまう。自動的にライフが回復しないのも難易度も上昇させている要因だ。
アイテム面では、なんとか強力な武器であるライフルかSMGを購入できれば敵を倒すのはかなり楽になる。農業では自動的に水をやってくれる牛などが手に入ると効率がグッと向上する。というのも作物は水が枯れると成長が止まるので、牛がいると探索している間にも作物が育ってくれるからだ。逆にこれらが全く手に入らないと、ジリ貧の金欠によるかなり厳しい戦いと立ち回りを求められることになる。
特に重要だと感じたのは1日のうちの限られた時間、敵の襲撃がない昼をどう使うかだ。農業を続けるためにはタネが必要となり、タネがなくなれば探索をせまられる。しかし、探索を安全にこなすためには武器が必要で、農業でお金を稼がなければいけない。この農業と探索のジレンマが常につきまとい、プレーヤーを悩ませる。突き詰めていくと、昼は探索をし、夜に敵の襲撃をしのぎながら農業を行なうことが最適解なのだが、敵の弾幕を躱しながらタネをまいたり、収穫するのは簡単ではない。
そのため、農業補助してくれるハトや動物・戦闘を支援してくれるタレットやパッシブ系のアイテムの存在は重要となるが、これらのアイテムは毎回手に入るわけではないので、自分の資金やアイテムの状況を見ながら妥協点をさがしていくことになる。因みに、アイテムは運の要素が強いが、NPCとの結婚はプレイに慣れてくればすんなりできる。バラは第二の資金だと考え、積極的に育てるといい。
このような農業と探索のジレンマが、本作を普通の農業ゲームとも、シューティングアクションとも違う、新しいプレイフィールを生み出しているように感じた。
何度でもプレイしたくなる高いリプレイ性と周回プレイ要素
さて、本作はローグライト的な要素も強く、高いリプレイ性や周回プレイも魅力のひとつだ。先に述べた通り、本作では拠点の位置やアイテムの引きはランダムになっているが、ゲームオーバーになってコンティニューする度に、移動速度の向上やレアアイテムのドロップ率向上など、キャラクターの基本性能を成長させることができる。そのため、挫けずにプレイすればクリアは可能となっており、所謂「死にゲー」の要素も兼ね備えている。こうした点はローグライト的だといえる。
なお、強化はマップの各所にいる「アリ」を救出後、1季節ごとに作った作物の質と量に応じて村長から貰える「豊穣のツノ」を渡すことで行なえる。難易度が高くなるほど、このアリでの強化が前提の難易度になっていくので、“今回”のゲームのためにも“次回”のゲームのためにも、農業は欠かさず行なっておきたい。
また、1年を生き延びることができれば、「2年目」、「3年目」……という形で上位の難易度が解放される。難易度があがると敵は強くなる代わりにもらえる「豊穣のツノ」の量が増え、キャラクターの強化が加速する。こうして強化したキャラクターとプレーヤーが身につけたゲームの知識、そして運を武器により歯ごたえのある難易度に挑んでいくようなゲームデザインだ。
総評として「アトミクロップス」は絶妙なプレイ難易度の高さと、農業と探索のどちらに時間を使うかというジレンマの存在が新しいプレイフィールを生み出している。ポストアポカリプス的な世界観やキャラの造形・良質なBGMが魅力的なことも加わって、なんどプレイしても飽きず、ついついコンテニューを押してしまう中毒性の高いゲームだ。
本作は様々なジャンルを構成する要素が合体した作品ではあるが、それぞれの良さを活かしつつ、綺麗にまとまっており無駄を感じさせないつくりになっている。「シューティング・農業・ローグライト」このどれか一つにでもピンと来る読者にはプレイをお勧めしたい一作だ。
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