【特別企画】

ハードの中身を見られる! 組み立てて楽しむゲーム機プラモ、「BEST HIT CHRONICLE 2/5 セガサターン」&「PlayStation」

3月28日発売



価格:各2,750円(税込)

 BANDAI SPIRITSは、プラモデルの新シリーズ「BEST HIT CHRONICLE(ベストヒットクロニクル)」にて、「セガサターン(HST-3200)」と「2/5 “ PlayStation”(SCPH-1000)」を3月28日に発売した。

 懐かしいタイトルが多数収録されたミニサイズのゲーム機が次々と発売されている昨今だが、この製品はなんと2/5スケールのプラモデルである。“遊んで楽しむ”のではなく“作って楽しむ”というBANDAI SPIRITSならではのアプローチであり、同社のプラモデルの設計や成形技術が投入され、初心者から上級者まで楽しめる製品となった。ここでは同時発売された2つのプラモデルを紹介していきたい。

 「BEST HIT CHRONICLE」は、昭和から平成の時代にヒットを飛ばしたプロダクトを持つ企業とコラボレーションし、BANDAI SPIRITSのプラモデル成形技術によってそれをキット化するというシリーズだ。あの頃夢中になった製品を自ら組み立てることで、新しい発見を得るというコンセプトが掲げられている。今回キット化されたのはゲーム機だが、こうしたデジタル製品に限らずシリーズ化していくそうで、昨年9月の「全日本模型ホビーショー」では、日清食品とのコラボが企画中だということも明らかにされた

「BEST HIT CHRONICLE 2/5 セガサターン(HST-3200)」と「BEST HIT CHRONICLE 2/5 “ PlayStation”(SCPH-1000)」パッケージ。当時をイメージしたデザインだ
説明書も両機種のマニュアルを意識したデザインとなっている

次世代ゲーム機の内部はこうだったのか! その手で組み立てていく楽しさ

 「BEST HIT CHRONICLE」第1弾としてリリースされた「セガサターン(HST-3200)」と「2/5 “ PlayStation”(SCPH-1000)」は、多くのGAME Watch読者はご存じの通り、1994年にセガとソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)がリリースしたゲーム機であり、CD-ROM媒体を標準とし、3Dポリゴンでの映像表現を実現した「次世代ゲーム機」として栄華を極めたプロダクトである。もちろん製品は両社とのコラボレーションにより、それぞれの監修の元に設計されている。

 今回キット化された2つの機種はともに最初期のバージョンであり、細部もそれに則って設計されている。特にプレイステーションはバージョンによって背面の端子などに違いがあり、自分が持っていたものと違うという印象を受ける人はいるかもしれない。2/5というスケールは、1/2と1/3の中間程度だそうで、手のひらに乗るぐらいの大きさとなっている。

【セガサターン(HST-3200)】
「セガサターン(HST-3200)」Aパーツ。いろプラで、クリアパーツには一部アンダーゲートを採用
「セガサターン(HST-3200)」B1、B2パーツ。主に本体外装のグレーカラーのパーツだ
「セガサターン(HST-3200)」C、Dパーツ。電源基板とCD、レンズなどのパーツ
「セガサターン(HST-3200)」E1、E2パーツとリード線。コントローラーのパーツとなる
「セガサターン(HST-3200)」シールA、B。ソフトはセガサターンを代表する3作品の絵柄が付属
【“PlayStation”(SCPH-1000)】
「“ PlayStation”(SCPH-1000)」Aパーツ。基板やドライブなどのパーツをいろプラでZ成形
「“ PlayStation”(SCPH-1000)」Bパーツ。本体とコントローラーの外装
「“ PlayStation”(SCPH-1000)」C、Dパーツとリード線
「“ PlayStation”(SCPH-1000)」シールA、B。こちらは残念ながら特定のソフトの柄はなし

 ゲーム機のプラモデル化の利点としては、スケールモデルなどと同様に組み立てる過程でその構造を知れるということ。今でこそメディアの記事などで分解したゲーム機の中身を見ることは難しくなくなったが、発売当時に分解した中身を見たことがある人は少なかったのではなかろうか。

この製品で面白いのは、完成するとまったく見えなくなってしまう内部の基板やパーツ類が成形されているということ。CPUをはじめとした集積回路や、電源部の電子部品、CD-ROMを回転させて読み取るドライブなども実物通りに設計されていて、説明書には内部部品のカラーチャートまである懲りようだ。外装パーツはそれほど硬くはめ込まれてはいないので、完成後に分解することを前提に塗装をしたり、中身が見えるカットモデルのようなものを作ったりするのも楽しそうだ。

 またプラモデルは塗装も容易なので、プロトタイプのシルバーのセガサターンや、開発向けの緑や青のプレイステーションなど、別のカラーバリエーションに塗装してみるのも、プラモデルならではの楽しみだと思った。

【セガサターンを組み立てる!】
スモーククリアのパーツを採用したセガサターン本体上部
シールはピンセットなどを使ってパーツの形に合わせて貼るようにしよう
ボタンを押すことでCDドアを開けられるよう、独自のパーツを採用している
カートリッジスロットのフタは開閉選択式。完成後も押せば開くが、戻すには本体上部を外す必要がある
電源基板とCDドライブの内部モジュール。レンズにはクリアパーツを使用している
「64ビット級」をアピールした2つのCPUなどの集積回路が並ぶメイン基板。右上のコイン電池のパーツも忘れずに
完成した本体下部に内部モジュールを入れ、本体上部をかぶせれば完成
電池及び拡張端子のカバーも実物通り。シリアル番号や端子内部はシールで再現
コントローラーの基板にはなんと接点を表現したモールドが。もちろん組み立てれば見えなくなる
ボタンは非可動だが、刻印された文字の書体なども実物に近づけている
CD裏面は虹色に輝く反射模様がシールにて表現されている
セガサターンが完成。ケーブルの長さは2/5スケールに合わせ、規定の長さにカットしている
CDドアはOPENボタンを押すと持ち上がる。セットしたCDは回転させられるようになっている

「セガサターン(HST-3200)」と「“ PlayStation”(SCPH-1000)」の2種類を実際に組み立ててみると、工程自体はあまり変わらず、パーツ自体も多くないので、写真撮影をしながらでも1つを1時間程度で完成させることができた。

各部ディテールは可能な限りモールドで再現しているが、細かなところや色分けが必要な箇所は付属のシールで対応している。貼りやすいようにパーツの形にカットされているが、密着させれば目立たなくなる仕様なので、塗装しなくても写真のように実物に近い形で完成する。

【PlayStationを組み立てる!】
ディスクホルダー(フタ)と外装。ここから電源スイッチなどを組み付けていく
スイッチ類を組み付けた本体上部。写真ではわかりづらいが、電源ランプはクリアパーツだ
本体下部の基板。塗装に挑戦してみるのも面白そうだ
電源基板、ドライブ、コントローラー端子などを組み付けて、本体下部が完成
スイッチ部のシールは文字がまっすぐになるようによく見て貼りたい
現在まで受け継がれる独特の形状のコントローラー。実機ではアナログスティックや振動機能はまだなかった
プレイステーションにはデータ保存用に使用した純正メモリーカードがパーツで付属する
完成したプレイステーション。ディスクホルダーのソニーのロゴはオミットされていた
プレイステーションソフトの特徴だった黒いCD-ROMの読み取り面をシールで再現
セガサターンと同様、ボタンでディスクホルダーが持ち上げられる
CD裏面は虹色に輝く反射模様がシールにて表現されている
こちらは背面の各種端子はモールドで表現されている

 筆者にとってこの2機種は、ユーザーでありながらも、この業界で本格的に仕事を始めたときにリアルタイムで触っていたゲーム機であり、特にセガサターンは専門誌に携わったことで多くのタイトルを担当した愛着のある機種でもある。

スモーククリアのパーツを使ったスイッチ周りのデザインや、外装の内周と外周で手触りの異なるコントローラーなど、組み立てていてその感触が蘇ってきた。バックアップ用コイン電池のパーツを組み付けたときに、手持ちのセガサターンの電池は大丈夫かと心配したが、2年前に弊誌で「サウンドノベル 街」の記事を執筆したときに交換したばかりだったことを思いだして安心した、なんてこともあった。

 一方のプレイステーションは、仕事では当然早い時期から触っていたが、自前で購入したのが比較的遅かったため、この最初期のバージョンは所有したことがない。S端子やコンポジット出力端子があり、専用のケーブルではなく、一般的なAV機器向けのケーブルで接続できたのは便利だった。

 しかしこのバージョンを含めた初期機種は使い込むとCD-ROMの読み込みが不安定になることがあり、本体を逆さにしたり縦置きにしたりして読み込ませるという苦労を経験をした人もいるかもしれない。今となってはそれもいい思い出である。

 筆者と同様に、この2機種に思い出が多い人は多いかと思う。ゲームがプレイできるわけではないものの、近年のミニゲーム機群とはまた違う魅力を体感できる製品なので、ぜひ手にとって楽しんでみてほしい。

それぞれの実機とのサイズ比較。ともにかなり小さいということがわかる