【特別企画】

「Re:ゼロ」のレムを“夏の日差し”で撮る! 帽子をかぶり、前髪がかかるキャラクターをいかに綺麗に撮るか!?

 せっかく手に入れた美少女フィギュア。綺麗な写真を撮って、SNS等にアップしたいと思う人は多いだろう。しかし綺麗な写真を撮るには設備にもお金がかかるし、そもそもどう撮れば良い写真になるかわからない。

 そこで、なるべく追加投資を抑えて、スマホでいつもよりキレイにフィギュアを撮ってみるテクニックを考えていきたい。第1回にあたるスマホと身の回りのアイテムだけで“良い感じのフィギュア写真”を撮ろう!ではロボを被写体にして、コピー用紙を利用した汎用的な光の当て方を紹介した。

 第2回では、「美少女フィギュア」を題材に、キャラクターの特徴や、写真の雰囲気を考えた撮影を考えていきたい。光の当て方など基本の要素は第1回をベースに、そこからの拡張となるので、前回も参考にして欲しい。

今回もおおよそ部屋にあるであろうモノで、イイ感じの写真を撮っていきたい

 今回使用したものは、前回と同じくノートPC(光源用)とコピー紙数枚、ミニ三脚。撮影はスマホで行なう。今回、追加の光源としてLEDライトを使用している。LEDライトは1,000円から4,000円ほどで購入できる。

 LEDライトを使用したのは、今回被写体であるフィギュアが、「水着と麦わら帽子の女の子」なので、夏の日差しが当たっているような雰囲気にしたかったからだ。LEDライトはそれほど高くなく、使うことで光の演出ができる。防災キットの中などにないか探してみよう。

 スマホはiPhone 11 Pro Maxと純正のカメラアプリを使用した。露出補正をしたのみで、そのほかは未調整。アプリによる補正については今後紹介していきたい。

使用したものは、前回と同じ、ノートPC(光源用)とコピー紙数枚、ミニ三脚
LEDライトは大小様々だが、今回は小型のLEDライトを使用した

 使用したフィギュアは「TAITO プレシャスフィギュア レム~Tシャツ水着 ver.~」。美少女フィギュアの撮影において格闘要素となりがちな前髪と被り物がある点と、プライズとしては透けTシャツへのこだわりが変に強い点から採用した。今回はこの特徴を考えて光を当てていきたい。

今回撮影した、「TAITO プレシャスフィギュア レム~Tシャツ水着 ver.~」
WF2020[Winter]で撮影したアクアマリン レーシングミク2019 タイVer.を見てもわかるが、だいたい前髪の構造と頭部のアクセサリの存在が強敵になりがち。ちなみに撮影機材は、α7RⅣ+MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5

光源と反射体で挟む事で光をきちんと当てる

 というわけで、前回同様に白い画像をフルスクリーンで表示したノートPCをメインの光源とした状態から見ていこう。ノートPCは右斜め前に配置。前髪の分け目の落影が入りにくい角度を探っていく。

 レムというキャラクターは顔を覆うような前髪が魅力であるが、撮影時の難しいポイントでもある。この時、ノートPCを動かすよりは、フィギュアを横軸に回転させていき、変化を見ていくといい。

 ほとんどの場合で、顔にどう光が当たっているのかの確認と修正になりがちであり、以下もその通りになっている。

【光の方向を意識する】
前髪の落影が生じにくい角度にしたもの。ただ右顔はやや暗くなっているのだが、立体物でもあるので、割り切っている。それ以上に問題は右足の影だ。マッチョな筋肉マシマシフィギュアであれば、インパクトが増していいのだが、水着美少女の脚部としては陰影がはっきりしてしまうのはキツい
【光源の向かい側から反射させる】
コピー用紙を光源の向かい側に立てる。これで脚にできた影を薄くできた。写真にコピー用紙が入り込んでいるが、距離で微妙な変化があるので、この場合はトリミングをしてしまう前提。しかし、よく見てみると光の周り方が変化したため、顔が暗くなってしまった
【フィギュアを回転、さらに紙を追加する】
微妙にレムを回転させて顔への当たり方を確認。ただこのとき、帽子や前髪部、首、フトモモの内側の影が気になったので、レム前にコピー紙を追加。これは証明写真撮影でよくある膝上に白いハンカチを置くことと同じで、光を反射させ影を消していく作業だ。もちろんだが、「この顔の角度がいい」と決まっているフィギュアの場合は、それに合わせて光源や紙の配置を調整していこう

 iPhone 11 Pro Max(厳密にはiPhone 11シリーズ)の純正カメラの傾向的に色はやや暖色となっているが、こうして光をうまく当てていくことで、スマホ単体での撮影結果としてはイイ感じになった。

 考え方としては、第1回と同様に光の反射を利用して被写体を挟んでいくこと。ただ上記しているように、前髪や帽子の影への対処があるため、手前に紙を置いたり、中空に紙を配置するなどの配慮が必要になったりするが、気持ち斜め下から光を当てるようにしてみると影を消しやすいハズ。

夏のまぶしい日差しの感じを、LEDライトを使って出してみる

 冒頭で触れたLEDライト。小型LEDライトの多くは直進性の高い光であることが多い。ライトの発光部部分を点灯していない状態で見て、乳白色のフィルターがない場合は、とくに直進性が高いものとなっている。そのため、夏場の太陽っぽい強い日差しの雰囲気にしやすい。

 フィギュアが強い日差しを受けているようなイメージで、斜め上から照らしながら、雰囲気が出るよさそうな位置を探ってみよう。

【上方にLEDを配置】
透けTシャツっぽさを演出するために斜め後ろ上方にLEDライトを設置。人間の目とアニメ的には逆光にはなりにくいのだが、カメラの場合は仕様的にフィギュアが暗くなってしまうので、露出補正をしつつ、光源と紙を配置しなおしている
【紙を置いてみる】
LEDライトの前に紙を置いて、光を柔らかくしてみようとしたところ。ただあまり効果はナシ。紙を丸めたり、くしゃくしゃにしたりで変わることもあるが、使用しているライトの性能依存なので、とりあえず試してみよう。トレーシングペーパーがあれば、複数枚を重ねてみるのもアリ

 応用として、メイン光源をLEDライトに変更してみる。このときも上記しているように、紙はLEDライトの線上に配置するので、感覚はつかみやすいハズ。ただ直進性のある光であるため、位置決めはノートPCを利用したときもよりもシビアになりがちだ。またノートPCはWindows 10のデフォルト壁紙にして、夏っぽさ演出用の小道具とした。

【胸元にハイライトを】
夏っぽい雰囲気を出すのはどうすれば良いか、とか思いつつ、胸元あたりにハイライトを置いてみた。手前で保持している紙は、帽子の影が強すぎたのでそれを和らげるため。なるべく顔には当たらないようにしている
【顔も明るく】
上記と微妙に変更して、顔も少し明るくしてみたパターン。このあたりになると趣味の世界に入ってくる

 また夏場の光源は強烈な影でも表現できる。それは立体物の場合も同様で、強い光の当て方だけでも雰囲気の変化量は豊富だ。たとえば、以下の3パターンだけでもよくわかるハズ。

【LED配置を変更】
LEDライトの位置を変更してみたもの。地味にiPhoneはこの手のパターンが苦手なようだが、明るい部分の違いで、雰囲気が大きく変化しているのが分かるハズ。顔だけでなく、胸の形状も加味して決めるとイイ感じになりやすい

 前回と今回で、汎用的な光の当て方を説明できたと思う。ただフィギュアは対象によってテーマが全く違う。女の子も明るい子から根暗な子、妖艶な美女など、キャラクターによって光の当て方、写真の撮り方は違ってくる。フィギュアに応じて、キャラクターに応じてアレンジは必要なので、試行錯誤が大事だ。

 今回提示したやり方は、お気に入りのフィギュアにそのまま適用可能でないが、それでも出発点を提示したつもりだ。ポーズによっても微調整、もしくは大幅な変更が必要になりがちなので、初回はなるべく動きの少ない立ち方のフィギュアからのトライがいいだろう。

 ともあれ、観察しながらとにかく撮影をエンジョイして、知見を増やしてほしい。次回は写真編集アプリの使用方法について触れる予定だ。スマホで気軽に写真は撮れるが、やはり本格的なカメラと比べると“色”が弱い。アプリを使うことでより自然な発色による写真を目指そう、というのが次回のテーマだ。