インタビュー

あの「神魔の塔」の香港Madhead、次は「時空之門」で世界を狙う

ダルマ落としのようなパズルゲームで世界を脅かす敵を倒す

1月29日~2月2日 開催



会場:台北世貿一館

MadheadのCEO、Terry Tsang氏

 香港のスマートフォンゲームメーカーMadheadは、今夏に配信予定の新作ストラテジーゲーム「時空之門」の体験版をTaipei Game Show 2016(TGS 2016)に出展した。MadheadはAndroid/iOS向けのパズルRPG「神魔之塔」でアジア市場に名乗り挙げた新興のメーカーだが、3年連続でTGS 2016で最も広いブースを出展するなど強気の攻勢を続けている。

 TGS 2016では開催期間限定のアプリ「Madhead TGS 2016」をリリース。アプリを通じて、開場時間中の会場の様子をずっとライブ配信し続けた。会場で行なわれるステージイベントはゲーム内と連動。例えばステージイベントでビンゴゲームが行なわれ、その結果にあわせてゲーム内でアイテムが配布されたりといった形で、会場に来ることができないユーザーにも同じ楽しみを共有してもらおうというアイデアだ。

 MadheadのCEO、Terry Tsang氏は現在34歳。金融系の会社などを経験した後、現在はCTOを務めている弟と2人で会社を興した。最初はウェブデザインなど手広くやっていたが、やがてゲームを作るようになる。百本余りを作った末に生まれたヒット作が「神魔之塔」だ。

 その強気を裏打ちしているのが、「神魔の塔」のメガヒットだ。本作は中国で1,800万ダウンロード、台湾でも1,000万ダウンロードを記録している。

 Tsang氏は、新作「時空之門」で日本市場にも参入を狙っており、現在はそのためのパートナーを厳選している最中なのだという。TGS 2016の会期中、Tsang氏から話を聞くことができたので、ゲームや、アジアでの展開について聞いてみた。

ヒットの秘密は“神魔の女神”とユーザーコミュニティ

Madheadブースの「神魔之塔」試遊コーナー

 「神魔の塔」は、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」に酷似している。とりわけスマホゲームでは、ヒット作の模倣が数多く生まれるのは世の常だが、ポイントなのは「パズドラ」タイプのゲームはたくさんあった中で、本作がなぜメガヒットに至ったのかだ。そのカギを握っているのが、Madheadの台湾でのプロモーション戦略を担っているのは“神魔の女神”という女性たちだ。

 神魔の女神は、ゲームキャラクターのコスプレをしたり、ゲームのプロモーションイベントを手伝ったりしているユニット。5名でスタートし、現在は43名になった。もっとも人気のある女の子はFacebookのフォロワーの数が60万人を超えており、それ以外の女の子も数十万のフォロワーを抱えている。彼女たちのFacebook、Twitter、instagramなどを通じて数百万にコストをかけずに情報を発信することができる。TGS 2016の会場でも毎日違う女神たちがブースの中でカメラに囲まれていた。

 女神によるプロモーションと共に、Tsang氏が重視しているのがユーザーとのコミュニケーションだ。「神魔之塔」がヒットした要因としてTsang氏は、ユーザーが作るギルドの存在を上げた。「神魔之塔」には最大75名が参加できるギルド機能がある。ギルドの平均人数は30~40人程度。この数字は、「オフ会がちょうど開きやすい」(Tsang氏)人数なのだそうだ。

 ユーザーのギルドは現在4万ほど存在しており、直接会って交流を深めたり、ギルド同士がアライアンスを組んで活動したりといったユーザーのコミュニティが非常に活発だ。そのおかげで、すでに配信開始から3年が経つゲームにも関わらず、離脱率を低く抑えることに成功している。

 Madhead側もe-Sportsやオフラインイベントを積極的に開催している。さらにTsang氏自信がファンの招待に応じて直接家に行ったりといった濃密なコミュニケーションをとっている。TGS 2016もファン感謝祭の意味合いが強く、来場者へのプレゼントやゲーム内へのアイテム配布で気前よくふるまっていた。イベントと同時進行で、ユーザーがIDで「神」か「魔」に分かれて戦う「神魔大戦」というゲーム内企画も行われていたが、筆者が取材した1月31日の時点ですでに40万人あまりが参加して、300万回を超える勝負が行なわれていた。

 他のゲームとのコラボも盛んに行なっており、今年の1月には、ミクシィがアジアで提供している「モンスターストライク」の繁体字版「怪物彈珠」との2回目のコラボレーションキャンペーンも開催されている。

【Madheadブースの様子】
ブースのステージではビンゴゲームやコスプレショーなど様々なイベントが開催されていた
鏡を使ったトリック写真が作れる「時空の鏡」コーナー
クオリティの高い女神たちのコスプレ
会場を歩き回っていた、背の高いキャラクター
TGS 2016の会期中は14名の女神たちが交代でブースに登場した。熱心なファンが応援ボードを手にステージ前に陣取っていた

ダルマ落とし風パズルゲーム「時空之門」で世界を狙う

ダルマ落とし風ギミックのパズルRPG「時空之門」

 今年4月の配信開始を目指している「時空之門」は、だるま落とし風のパズルを解いて敵を攻撃するRPG。戦闘に入ると、画面中央に平らな石が重なって落ちてくる。石には「水・火・風・雷」という4色と金色、銀色の計6色があり、同じ色を3つ重ねると消える。制限時間内に、不用な色の石をフリック操作でだるま落としのように横にたたき落としつつ、上下の石の色を合わせて消していく。連鎖で消すとコンボチェーンが発動して攻撃力が増加する。

 キャラクターには「神魔之塔」で人気があるキャラがグラフィックスを一新して使われている。グラフィックスはLive2D技術で非常になめらかなアニメーションをする。Live2Dというと、顔の角度を変えたり、手を多少動かしたりという印象だったが、スマホの全画面を使う迫力のあるバトルシーンに、ここまで動くのかと驚いた。

 Tsang氏はこの「時空之門」をグローバルで勝負するためのタイトルと位置づけている。現在のスケジュールではまず中国でローンチした後、欧米向けに展開し、最後に日本市場という流れだが、可能であれば全世界同時ローンチも視野にいれたいと語っていた。

 すでに「神魔之塔」でブランドイメージが確立している中国・台湾ではその延長線上のプロモーションを予定しているが、まったく未開拓である欧米や日本市場への展開には、別の手段を考えている。「日本では台湾と同じ手法は通用しないだろうと思う」とTsang氏。台湾でうまくいった要素のうち、例えば「コスプレなどは、クオリティが高いので日本でもある程度通用するかなと思っている」(Tsang氏)。

 欧米圏については、香港の会社だけあってMadheadのスタッフは全員が英語を話すことができる。そのため、アメリカに対してはある程度自信があるという。「中国のELEXのゲーム「Clash of Kings/クラッシュ・オブ・キングス」がアメリカでも成功しつつあり、我々もその成功から学んでいます」とTsang氏。3月にロサンゼルスで開催される「GDC」でも広くパートナーを探す予定だそうだ。

【「時空之門」スクリーンショット】
落ちてくる「元素石」を、制限時間の間に同じ色を3つ重ねて消すことで、敵を攻撃できる

(石井聡)