インタビュー
「Halo 5: Guardians」デザインディレクターBrad Welch氏インタビュー
魅力的なCO-OPキャンペーン。マルチプレイの報酬は「交換パック」に一元化
(2015/9/12 13:08)
「Halo 5: Guardians」クリエイターインタビュー第2弾として、343 Industriesのリードデザイナーであり、「Halo 5: Guardians」でデザインディレクターを務めるBrad Welch氏に話を聞くことができた。
「Halo」フランチャイズデベロップメントディレクターFrank O'Connor氏とのインタビューでは、ブランディングをはじめとした「Halo 5」全体の話がメインとなったが、Brad Welch氏とのインタビューでは、各ゲームモードの詳細やゲームの規模感について説明が行なわれたほか、CO-OPキャンペーンのデモを見ることができ、キャンペーンの細かい仕様について知ることができたのでまとめて紹介しておきたい。
マルチプレイの追加マップはすべて無料に。マルチプレイの新報酬「交換パック」とは?
Welch氏が最初に紹介してくれたのは、マルチプレイについて。「Halo 5: Guardians」は既報のように、24人で対戦できる大規模マルチプレイモード「Warzone」と、e-Sports的な展開を強く意識した8人対戦モード「Arena」の2種類が追加される。
「Warzone」は、大規模マルチプレイにふさわしい広大なフィールドを準備し、FPSでありながら、MOBAっぽいギミックを随所に取り入れているところも特徴で、単純に12対12で敵と味方にわかれて戦うだけでなく、戦功によって得られたポイントによって強力なウェポンや乗り物を呼び出して使ったり、フィールドの各地に潜むAIエネミーを撃破することで有利に戦いを進められる。インプレッションについては、E3レポートを参照頂きたい。
「Arena」は、e-Sportsの競技種目、あるいは自社主催の世界大会を強く意識した正当な対戦モードで、「Halo 5」で追加されたクランバー、スラスター、スライド、ショルダーバッシュ、グラウンドパウンド、そしてスマートリンクといった新しいアクションをフル活用し、相手チームより先に50キルを狙っていく。詳細については、今回体験会が行なわれたため、体験会レポートを参照頂きたい。
これらの2モード合計で、マップは20を用意し、さらに8カ月以内に15マップを追加予定。これらの追加マップはすべて無料で提供される。これまでは有料で提供されていたが、ユーザーによって持っている人、持っていない人に分かれ、マルチプレイコミュニティが分断されるというネガティブな側面が見られたため、「Halo 5」では一律無料配布に切り替えたという。
しかし、実際問題マルチプレイの運営にはコストが掛かる。それをリクープし、さらにしっかりマネタイズするための新たな工夫が「REQUISITION PACK(交換パック)」だ。この「交換パック」は、日本で言うところのガチャのシステムで、マルチプレイの戦功によって得られるポイント、もしくは現金で入手できる。
中身は完全にランダムで、見た目を変化させるアバターアイテムから、エンブレム、スキン、ウェポン、乗り物など多岐にわたり、ローンチの時点でも数百のバリエーションが存在し、その後定期的にアップデートしていく。当然、その有効性や希少価値に合わせてレアリティが存在し、レアリティの高いアイテムほど出現する確率は低くなる。この「交換パック」は、レアアイテムの出やすさや中身のカテゴリなどに合わせて複数種類が存在し、現金で購入するものはレアが出やすくなるという。マルチプレイ好きには賛否両論ありそうなギミックだが、まずは実装を待ちたいところだ。
「Halo 4」の2倍の規模を誇るキャンペーン。シームレスなCO-OPキャンペーンを堪能しよう!
続いてキャンペーンの紹介では、デモ映像を交えながらさらに詳細な説明が行なわれた。「Halo 5: Guardians」フランチャイズディレクターFrank O'Connor氏インタビューでも紹介したように、「Halo 5」のキャンペーンはマスターチーフ率いるBLUETEAMと、エージェントロック率いるFIRETEAM OSIRISという4人1組の2つのチームが存在し、この2つのチームを交互にプレイしていく形でストーリーが進行していく。
「Halo」シリーズのキャンペーンは、フレンドと一緒に同一のキャンペーンを進行させられるCO-OP(協力)プレイにその特徴があるが、「Halo 5」ではCO-OPプレイがさらに進化しており、最大4人でCO-OPプレイが楽しめる点は従来から変わっていないが、今回は1人でプレイしている場合でも、3人がAI操作で参加し、常に4人のキャラクターでゲームが進行するようになっている。この場合、フレンドは途中参加で入ることもできるし、途中で抜けてもそのままAIが代わりに操作してくれるという“シームレスなCO-OPプレイ”を実現している。
CO-OPプレイでは、標準装備のヘッドセットを使ってボイスチャットでお互い声を掛け合いながらワイワイ楽しめるし、AIが操作している場合は、ターゲットカーソルを合わせた状態で、Dパッド(十字キー)の上を押すことで、メンバーに指示を出すことができる。指定したのが任意の地点ならそこに移動し、武器ならそれを拾って使い、敵ならそれを攻撃する。非常にシンプルなシステムだ。
この“常時4人プレイ”がありがたいのは、自分が倒されてもゲームオーバーにならず、フレンドもしくはAIが助けてくれるところだ。もちろん、4人全員が倒された場合は、チェックポイントからやり直しになるというが、1人でも生存していれば復帰が可能となっている。
新しいムーブメントで印象的だったのはショルダーバッシュだ。要するに“タックル”だが、これは敵を倒すだけでなく、怪しい壁やゲートに使うことで、壁をぶち破ってその奥に進むことができるのだ。「Halo 5」では、このショルダーバッシュを駆使して、隠し部屋や隠し攻略ルートを探す楽しみがあるということで、BLUETEAM捜索の任務を担うFIRETEAMでは、独自のトラッキング機能を備えており、壁をスキャンすることで隠されたルートを探し出すことができるという。
もうひとつスマートリンクもぜひ活用したい機能だ。これは要するにエイミング(照準合わせ)で左トリガーに割り当てられている基本アクションだが、ウェポンによってはスマートリンクを使うだけで、スコープのテクノロジーが機能し、スコープ内に収めた敵に銃撃を当てることができる。「Halo 4」では一部ウェポンにスマートリンクが導入されていたが、「Halo 5」ではすべての武器に導入されているという。特にエイミングが苦手というFPSビギナーは積極的に活用したいところだ。
BLUETEAMのデモ映像では、E3で初披露されたキャンペーンデモから大きな進化を感じることができた。BLUETEAM 2つ目のミッションの序盤シーン。舞台は高低差のあるファクトリーのような空間だ。印象的だったのは、高低差を活かした立体的なバトル、そして探索だ。従来のFPSは「Halo」シリーズも含めて、システム的に高低差のある立体的なバトルを実現しにくく、実質的には2次元の平面的な戦いがほとんどだった。
これに対し、「Halo 5」では背丈程度の高さであればどんどんよじ登れるし、グラウンドパウンドを使って高所からの強襲が非常に有効になっている。こうしたアクションをフル活用できるようにレベルデザインも非常に立体的になっており、様々な侵攻ルートが用意されている。自分は高所を辿りながら、仲間には低い位置から進んで貰うなどの戦術展開も可能で、従来の“出現した敵を撃破して次のステージに進む”という単純な展開から、攻略ルートを探索し、隠しルートを見つけ出すという楽しさが加わっている。さすがに“オープンワールド”というレベルではないということだが、「Halo 5」のキャンペーンは探索の楽しさがあるということは覚えておこう。
ちなみにデモのラストシーンでは、マスターチーフが高いところからコブナントに突き落とされ、岩場の向こうに生身のコルタナが出るという幻覚を見る……という内容だった。序盤からかなり意味深な展開だが、「Halo 5」のキャンペーンは、「Halo 4」以降に登場する343 Industriesが生み出した新キャラクターたちが活躍する奥の深いストーリーになっており、シリーズのファンならアッと驚くような展開が待ち構えているという。「Halo 4」の2倍というボリュームも楽しみだが、そのストーリーにも注目したいところだ。
Welch氏に日本市場への期待を聞くと、「日本のゲームファンが実際にプレイするのを待ちきれない気持ちでいる。日本のゲームユーザーは世界に先駆けて、『Halo 5』の“秘密”を見つけるかも知れないし、実際にどうやってプレイするのかを見せて頂きたい。特に日本のゲームファンは、ゲームについて長い歴史と伝統を持っているため、その部分については大いに期待している」と、ディープな遊び方をしてくれることを期待するコメントを寄せてくれた。
キャンペーン、マルチプレイの双方で野心的な新システムを多数盛り込んだ「Halo 5: Guardians」。その発売日が本当に待ち遠しい限りだ。