インタビュー
「Halo 5: Guardians」フランチャイズディレクターFrank O'Connor氏インタビュー
「シリーズの中で間違いなくベストの作品、大きな驚きが待っている」
(2015/9/12 00:44)
日本マイクロソフトは9月11日、「Halo 5: Guardians」の10月29日の発売に先駆け、「Halo アンバサダー」を集めて、新しいマルチプレイモード「Arena」の先行体験会を開催した。当日は先行体験会に合わせて、来日した「Halo 5」クリエイターへのインタビューや、メディア限定の体験会なども開催され、「Halo 5」尽くしの1日となった。本稿では、「Halo」シリーズの顔であるスキンヘッドでお馴染みの「Halo」フランチャイズデベロップメントディレクターFrank O'Connor氏へのインタビューの模様とお届けしたい
O'Connor氏は、2003年に当時の開発元だったBungie Studiosで「Halo」の開発に携わって以来、現在に到るまで「Halo」の顔役としてメディアに登場し続けている人物。「Halo」シリーズの取材を通して度々顔を合わせてきているが、常に冷静で丁寧な説明が持ち味ながら、不意に見せる笑顔がとびきり可愛いという愛らしいキャラクター性を持つ。
O'Connor氏は、自己紹介を兼ねてBungie時代の昔話を交えながら、自身と「Halo」との関わりについて紹介してくれたが、印象的だったのは「注意深く仕事をしている」というワンフレーズだ。理由はいくら丁寧に仕事をしていても、自分自身の感じ方とファンの感じ方が違うことがあり、毎回ファンの意見を注意深く観察しながら開発に臨んでいるという。その点、「自分の考えが間違っていなければ」と条件を付けた上で、今回の「Halo 5」は、過去のBungieの3部作を凌ぐ、過去最高の「Halo」に仕上がっていると、少しはにかみながらも自信たっぷりに語ってくれた。
「Halo 5」の大きな特徴は、主人公が2人いるところだ。お馴染みマスターチーフと、新キャラクターのエージェントロック。マスターチーフはシリーズを体現する存在だが、エージェントロックは、「Halo 5」から新たに登場する人物であり、343 Industriesが生み出した新顔だ。マスターチーフ率いるBLUE TEAMは、ある重大な使命を背負って3人の優秀なメンバーと惑星探索に挑むものの、消息を絶ってしまう。そこでBLUE TEAM捜索のために編成された組織がエージェントロック率いるFIRETEAM OSIRISとなる。
BLUETEAMは、6歳の時に誘拐され、特別なミリタリープログラムで超一流の兵士となった、ストイックで、真面目、そしてプロフェッショナルなキャラクターばかり。しかも、お互いが何を考えているかわかるほどの連帯感が身に付いているという。それはキャンペーンをプレイしていればわかるという。装備も一流で、シールドの回復スピードは、FIRETEAMのそれを大きく凌ぐ。
一方、FIRETEAMは、最近編成されたばかりのチームで、これからの活動の中でお互いを知っていくというフレッシュな関係性が特徴となっている。プレーヤーもプレイしながら彼らのことを知っていくことになるという。彼らはBLUETEAMに憧れて加入したにも関わらず、彼らを捜索するという矛盾した任務を担うことになる。彼らはBLUETEAMを見つけ出すために、フィールドをスキャンする能力を備えている。これにより壁の向こうにある隠しエリアを発見したり、BLUETEAM発見に結びつく手がかりを見つけたりできるようだ。
各チームとも、メンバーは4人。主人公2人は万能タイプだが、他のメンバーはそれぞれ足が速かったり、スナイパーライフルなど特定の銃器の扱いを得意とするなど技能に違いがある。「Halo 5」では、「Grand Theft Auto V」のようにバトル中に、使用キャラクターを切り替えるようなギミックはないものの、CO-OPキャンペーンをプレイすることにより、主人公以外のキャラクターがプレイできる。その際は、キャラクターの能力に変化が出るだけでなく、カットシーンも変化するため、ぜひキャンペーンは1人ではなく、複数人で協力して楽しんで欲しいということだ。
ちなみにこのBLUETEAMとFIRETEAMは、FIRETEAMがBLUETEAM捜索という目的を果たし、2つのチームが遭遇するシーンはあるという。ただし、一緒になることはなく、マスターチーフとエージェントロックが共に戦うということはないようだ。
エージェントロックをはじめ、登場人物が増えたことに合わせて「Halo」ユニバースもさらに規模を拡大している。ゲームの舞台はヒューマン、コブナント、フォーランナーという3種族の生息域に分かれ、多様な世界観や環境、ステージを提供する。
O'Connor氏がとりわけ説明に力を込めていたのが悪役だ。ヒーローの活躍を際立たせるためには、強力な悪役の存在が欠かせない。コブナントやフォーランナーはヒューマンに対して激しい敵愾心を持ち、マスターチーフらの行く手を遮る存在になっていく。ユニークなボスクラスモンスターも数多く用意され、様々な攻撃で我々を迎え撃つようだ。
気になるローカライズについては、O'Connor氏は「非常に満足しており、ベストなローカライズができた」と語ってくれた。理由は、サウンド開発に戸島壮太郎氏や陣内一馬氏といった日本人コンポーザーが名を連ねているため。これまでは他社に委ねた結果、細かい部分のツメがどうしても甘くなってしまっていたというが、今回は日本人スタッフが責任を持ってローカライズに取り組んだため満足のいくベストなローカライズができたという。
インタビュー後半では個人的に気になっていることについて、いくつか質問してみた。1つ目は、「『Halo』シリーズを初めて体験する人や遠ざかっている人が、シリーズを重ねて複雑怪奇になっているストーリーの全体像を知るための良い方法は何か?」というもの。
O'Connor氏は、その認識について同意しつつ、「Halo 5」はゲームとしては独立しているため、単体で楽しめるようなストーリー設計になっているというが、より深く物語を理解したい人に向けては、「Halo 5」の限定版に同梱されるアニメーション作品「Halo: The Fall of Reach」をチェックするのがいいという。
「Halo: The Fall of Reach」は、初代「Halo」から「Halo 3」までの3部作をモチーフにしたノベライズをベースとしたアニメーション作品で、「Halo 5」のメインキャストであるBLUETEAMの創生期などを知ることができるという。6歳の子供たちが家族から引き離されてミリタリープログラムに強制加入させられるという、スパルタンプログラムの暗部が描かれるようだ。ちなみに「Halo: The Fall of Reach」は、「Halo 5」発売後に「Halo Channel」で誰でも視聴することができるということだ。
次に聞きたかったのは、今回のアジアツアーの成果だ。O'Connor氏は、熱心な「Halo」ファンのいる日本市場を重視する姿勢を示しつつ、とりわけ印象的だった地域として「Halo」初上陸となる中国を挙げた。中国は2014年にコンソールゲーム市場が解禁されたばかりということもあり、「Halo」シリーズは未進出。現在、最初の「Halo」作品として「Halo The Master Chief Collection」の展開を計画しているというが、大きな歓迎を受けており、ユーザーの高い関心を感じたという。その一方で、e-Sportsという視点で見た場合、意見が合わない部分もあるようだ。
肝心の「Halo 5」の中国展開については、現在、センサーシップの承認を待っている段階だという。現在Microsoftでは中国独自のセンサーシップについて学んでいる最中と言うことで、できるだけ早いタイミングで「Halo 5」を中国市場に投入したいという。
3つ目として、「METAL GEAR SOLID」や「Call of Duty」といった他の有力フランチャイズと比較して「Halo」シリーズの魅力は何かを聞いた。O'Connor氏は、名前を挙げたそれぞれのフランチャイズのファンであることを笑顔で告白しながら、「テイストの違い」を挙げた。具体的には、宇宙を股に掛けた広大な世界観を冒険する楽しさや、装甲車や宇宙船など様々な乗り物が登場し、SF設定に基づく未来のツールが登場し、そしてそれらツールが問題解決の手段として使えること。そしてチームベースのメカニズムの優秀さを挙げ、AIや友人のヘルプを受けながら進められるCO-OPキャンペーンの存在をアピールした。
最後に日本のゲームファンに向けてメッセージを求めると、O'Connor氏は急に笑い出した。理由を尋ねると、10年以上前に「Halo 2」のプロモーションで日本のゲームファンと対戦してボロ負けをして恥をかいたのだという。ただ、今も対戦は好きで「『Halo 5』の発売日はマルチプレイを楽しもうと思っている。Xbox Live ID“Frankie”で遊んでいるので、一緒に遊んだり、意見を寄せたりして欲しい」と笑顔で答えてくれた。発売まであと1カ月あまり。発売が非常に楽しみな超ビッグタイトルだ。