インタビュー

【E3 2013】地球最強のレースゲーム「Forza Motorsport 5」プレビュー

まとめ「Forza Motorsport 5」は何がどう最強なのか?

その他

テスト走行が終わると車を正面から映し、泥の付着や傷の付き具合を確認することができる

 「Forza」がシリーズを通してこだわっているのがシミュレーションだ。「Forza2」の時点で360fps(60fpsの6倍)の物理シミュレーションを行なうなど、その先見性とこだわりは群を抜いている。今回もCalspanを始め、東洋タイヤ、ピレリなどにタイヤデータの協力を求め、新しいシミュレーションエンジンによる挙動を実現している。

 車へのダメージに関しても強化されており、今回、マテリアルを再現したことで、擦り傷やへこみ傷の付き方がリアルになっただけでなく、そのへこみ方や、車へのダメージの受け方が変化しているという。実際にテスト走行を行ない、壁などに接触してレースを終えると、何となく接触した部分にダメージ表現を適用ししているのではなく、正確な位置の塗装が剥げている感じで、車に申し訳ない気がした。

 そして1080p/60fpsへのこだわりは「Forza 5」でも踏襲されており、ここは絶対に死守すると語っていた。ブースでの試遊コーナーは1台のみのテストランだったため、文字通りヌルヌルの60fpsが実現されていたが、インタビューで見た実機デモは、8台で走行しており、パフォーマンスは60fps出ているようには見えなかった。といっても、E3のタイミングで60fps出ていないのはいつものことであり、これからのチューニングが期待される。

 前作の数少ないお楽しみ要素だったTop Gearとのコラボレーションは「Forza 5」でも継続し、今回はジェレミーによる車の解説のみならず、リチャード・ハモンドやジェームズ・メイ、そしてStigも登場し、ゲームを盛り上げてくれるという。インタビューでは、現在、McLaren P1を2台借りており、1台はこのE3会場、そしてもう1台はジェレミーが試験走行中だと語っていた。ともあれTop Gearとのコラボレーションの詳細については夏発表するという。

まとめ「Forza Motorsport 5」は何がどう最強なのか?

レースゲームファンを魅了したプラハコース。ほかの新コースも早く見てみたいところだ

 ここまで紹介してきて、「Forza Motorsport 5」は、これまで「Forza」シリーズがこだわってきた要素を正統進化させたとことんピュアなレースゲームであることがわかると思う。すなわち「Forza Motorsport 5」は、万全のコンディション下でのレースが体験できるレースゲームとして最強といえる。

 しかし、逆に言えばレース以外の要素はほとんど搭載されておらず、遊びや余裕の少ないレースゲームでもある。これはレースゲームファンにとって不満にもなっているが、多くのものを意図的に捨てているからこそ「Forza」は他の追随を許さない地位を築くことができている。

 たとえば、今回も念のためインタビューで質問してきたが、時間の概念、天候の概念、そして季節の概念は、まったく考慮されていない。ロード時間は相変わらずトイレに行けるほど長い(だから、多くのバリエーションのローディング用壁紙が用意されている)し、他のレースゲームにはあるような娯楽性の高いゲームモードは搭載されそうにない(ここはTop Gearのコラボに期待したいところ)。

 車種についてもEAの「Need of Speed」にはフェラーリが搭載されたにも関わらず、「Forza 5」にはポルシェはどうやらまたしてもローンチ時には搭載されないらしいし、全車種にForzaVistaを採用する代償として、マイナーなファミリーカーの類いは収録そのものが見送られる可能性が高い。このように挙げていけばキリが無いが、ともかく時代に逆行する要素ばかりで、これほどつけいる隙の多いレースゲームも少ないだろう。

 こうした部分は毎回多くのレースゲームファンから批判の的になるが、それでも最高のレース体験を提供するために1080p/60フレーム/360fpsの物理シミュレーションにこだわり続け、そこに向けて遮二無二前進し、一切の妥協をしないのは素晴らしいことだと思うし、私はそういうレースゲームが1本ぐらいあっていいと思う。ぜひこのまま開発を続け、フェアな環境でストイックにコンマ1秒を縮めたいレースゲームファンを唸らす作品に仕上げてくれることを祈るばかりだ。

【スクリーンショット】

(中村聖司)