インタビュー
令和のFC用シューティング「超翼戦騎エスティーク」完成記念インタビュー。元コンパイルの開発陣など精鋭クリエイターによる'80年代テイスト満載のタイトル
2024年12月6日 19:26
駒林氏の人脈で、レジェンドクリエイターが続々集結。2023年のデジゲー博に出展するため、開発がしやすいファミコンをプラットフォームに選択
ここからは「超翼戦騎エスティーク」開発陣へのインタビューをお届けする。登場したのは駒林貴行氏(企画、プロデュース)、じぇみに氏(メインプログラム)、ぱっく藤島氏(じぇみに誘導、SE)、坂本慎一氏(サウンド)の4名だ。
キャット・ホイ商事合同会社代表。秋葉原のレトロゲーム専門店BEEP店長を経て、2017年よりM2に所属し、「メガドライブミニ」や「ゲームギアミクロ」のディレクターを担当。2021年に独立し同社を立ち上げ、主にオールドゲームのなんでも屋さん(自称)を勤めるかたわら、ゲームクリエイターとして本作の企画、プロデュースを手がける。
過去にコンパイルに所属し、多くの傑作を手がけてきたプログラマー。特に「ザナック」、「ガーディック外伝」、「ガンヘッド」といったシューティングはゲーム史に刻まれる名作で、この「超翼戦騎エスティーク」でもその手腕を発揮。プログラムだけでなく、ゲームデザイナー的な役割も担う。本稿では諸事情により、クリエイターネームで登場。
じぇみに氏のコンパイル時代の同僚のプログラマーで、代表作は「ガーディック」(MSX)、「ガルケーブ」(MSX、セガSG・SCシリーズ)などを開発。じぇみに氏とは「C-SO!」など多くのタイトルを開発している。本作ではじぇみに氏のアシストやコントロール役の“じぇみに誘導”の肩書きで参加。有限会社フューパック代表。
テーカン(現コーエーテクモゲームス)、NMK、ウエストンなどで、主にアーケードゲームのサウンドを手がけてきたコンポーザー。「センジョウ」、「サイキック5」、「ワンダーボーイ モンスターランド」などメロディアスな楽曲は現在も評価が高い。過去には駒林氏の依頼で2020年に「ゲームギアミクロ」のメニュー画面BGMを作曲。あまた株式会社所属。
――まずは駒林さんがこの令和の時代にFC用のゲームソフトを作ろうと企画した経緯からお聞かせください。
駒林氏:私が2021年にM2を退社後に自分の会社を立ち上げて、2022年に「デジゲー博」というインディーゲームのイベントに参加したんです。そこにいるクリエイターの人達がゲームを楽しそうに作っているのを見て感銘を受けて、自分でもゲームを作ってみたくなったんです。
デジゲー博の運営の方と話をしたときに「来年出展してみたら」と背中を押されたので、「それまでに形になるものを作るのなら開発の規模が小さいほうがいいだろう」と考え、ファミコンなら作れるのではないかと考えたんです。
――駒林さんが好きだとういうメガドライブではなく、ファミコンで?
駒林氏:構想段階ではメガドライブも検討していて、自機の変形アニメなんかを作ってもらったんですが、次のデジゲー博が開催される時期に合わせるとなると、メガドライブでは開発規模的に難しかったのでファミコンにシフトしました。
――思い立ってすぐに皆さんにお声がけしたんですか?
駒林氏:藤島さんとは以前から一緒にゲームを作りたい旨を話していて、翌年2月にじぇみにさんが参加できそうだということを藤島さんから聞き、交渉したところ快諾いただいたんです。
じぇみに氏:私も本業はあるんですが、話をいただいた頃に業務形態が自宅でのリモート作業になりまして、週の半分ぐらい家にいられるようになったので、通勤時間の分を開発に当てられるなと思い引き受けました。まあ実際にはその時間だけでは足らなかったんですけど(笑)。
――ファミコンタイトルの開発についてはいかがでした?
じぇみに氏:ファミコンのゲームを作っていたのは、10年20年どころではない昔ですからね。
駒林氏:最後に作ったのは「ガンナック」(トンキンハウス)じゃないですか? 確か1990年。
じぇみに氏:そうだね、30年以上前か。といいつつも、ファミコンなら当時のヒーコラ言いながら開発していたハードウェアの概念についての経験とノウハウが割と生きていたので、取り急ぎ手元にあった昔のソースなんかをガチャガチャといじくって、1~2か月ぐらい検証した結果「よし、いける」という手応えを掴んで、昔と比べて容量にも比較的余裕もあるので、何とかなるだろうという算段になりました。
――ということは、開発はそれほど大変ではなかったんでしょうか。
じぇみに氏:いや大変でしたよ(笑)。でもできなくはない。できないことはやれないので断りますから。各ステージの大きなボスとか、単に歩かせるだけだと滑らかではないので、画面を振動させることでそれっぽく見せるとか、こっちで独自に判断して仕様を入れしたりしました。プログラムに付随するバランスの部分は駒林さんから全て任せてもらえたので、それが逆に助かりました。
藤島氏:ある意味昔ながらの作り方ですよね。今だと細かく書かれた仕様書があって、プログラマーはそれに従って作るので、余計なことをやると怒られますから。
坂本氏:携わる人が多いと、口頭で「あとはよろしく」なんて普通は言えませんからね(笑)。
じぇみに氏:ほとんど任せてもらったので、「(組み込みが)面倒くさっ!」と思うことはあってもそんなに苦労はしなかった。最終面なんかは「いい演出ないか」と言われたので、こんな画面のスクロールができるよって返したら「それで行きましょう」みたいな感じでしたし。それもファミコンだからできたというのもあります。
――開発期間はどのぐらいだったのでしょう。
駒林氏:じぇみにさんに話しをしたのが2023年の2月で、作業に入ったのは7月なので、開発期間は実質1年ぐらいですね。
――開発に入ってからは結構早かったんですね。
じぇみに氏:今の開発環境なら、妥当な時間だと思いますよ。私も昔のようにフルタイムで開発に関われてはいないんですが、それでも想定内のスケジュールだと思います。フルタイムだったらもっと早くできたかもしれない。
――ゲームデザインはどのように考えられたんですか?
駒林氏:デザインのベースとして変形ロボットを入れたいということをグラフィック担当のYAMATANさん(後述)と話していて、自機が変形するならメリットとデメリットを決めようとか、覚えることが多いのはやめようとか、ミスしたときに再びパワーアップが必要なのは面倒だから入れないとか、遊びやすさを考えてシールド制にしようとか、長いのはダレるのでステージは短めにするとか、私とYAMATANさんがゲームとして遊びやすいルールにすることを最初に決めたんです。
じぇみに氏:私の作るゲームだとだいたい武器は5~6種類入れて、それに伴うパワーアップもあるので、このゲームデザインは自分ではやらない芸風として結構新鮮でしたね。
駒林氏:私もYAMATANさんもゲームを新旧へだたりなく遊ぶので、それを踏まえて「これはどうなの?」って疑問に思った部分は全部棄てていったんです。シューティングのお作法の中には必ずしも楽しさに繋がるわけではないものもあると思ったので、極力削る方向にしました。
あとはやっぱり「面白いゲーム」ってなんだろうと考えたとき、その理由の一つに「何度も遊びたくなるもの」が挙げられると思っています。そういうゲームって一体何だろうと考えたら、“パターンを思いつかなければ死”みたいなゲームではなく“覚えることが少ない”ことが理由の一つだと私は思うんです。そのためには余計なことを増やさないように考えた結果が本作のゲームデザインということになりますね。
――新旧のシューティングゲームの傾向を見ると、要素をたくさん求めている人もいますよね。そのあたりはいかがですか?
じぇみに氏:確かにそれもあるけど、両方はできんからね。私だったらパワーアップとかごちゃごちゃ盛り込むけど、今回は駒林さんのコンセプトに合わせて、わかりやすいほうに寄せて面白くするような作り方をしています。
駒林氏:今回は“攻めと守り”というシンプルなテーマを設けて、そこに注力して作ってきたので、それでもし面白くならなかったら、もしかするとパワーアップなんかも増えていたかもしれませんが、おかげさまで面白くなったので結果的によかったと思います。
――ゲームのバランス設定どんな基準で決められたんでしょう。
駒林氏:遊んでいて自分がイラッとしない感覚的なところで設定しました。これまでいろいろなゲームを遊んできて、その不条理さにイラッとするシーンも多かったので、そこを動きやゲームシステムでカバーするような設定ですね。ミスからの立て直しや初見殺しは極力ないようにして。
じぇみに氏:ボム的な攻撃も入れたしね。ボスなどはあれで力押しできますから。
駒林氏:スーパーウェポンですね。道中のパワーアップアイテムを取れば使える数は割と増えていくので、力押しもできますよ。
じぇみに氏:私の作ったゲームとしては難易度が少し高めでした。ただそこは駒林さんの意向です。
藤島氏:難易度設定って入ったの?
じぇみに氏:ありますよ。入れたのは割と間際になってかあらだけど、元々入れるつもりだったからね。「NORMAL」、「HARD」、「GOD OF GAME」という3段階で。
――EASYはないんですね。
駒林氏:EASYってゲーマー目線だと、なんとなく馬鹿にされている感じがするじゃないですか(笑)。私もまさにそうで、そこに対してイラッとしないように入れませんでした。
じぇみに氏:実は本当に誰でもできるような簡単なモードは入れようと考えたこともありましたが、無理して入れるほどでもないなと思って今回は外しました。
駒林氏:その代わりというわけではないですが、ボスでミスしたときにコンティニューをするとスーパーウェポンがちょっと増えた状態で、ボスから再開できるようにしています。力押しでもいいのでクリアしてシステムを理解できたら、次の難易度に挑戦していただきたいです。
――シューティングゲームとして面白く作っているところ以外のセールスポイントありますか?
駒林氏:そこはやはりファミコンの実機でも動くというところでしょうか。実機でここまでの絵と音が出てプログラムもしっかりしていて、しかもゲームとして面白く作れているということが売りになると自負しています。
じぇみに氏:あとは処理落ちをしないことかな。どうしても処理落ちしそうなところは意図的に敵の数を減らしたりして。スプライトも極力ちらつかないようにしています。
――ゲームの舞台となるステージが、ラストを除いて各国の都市という設定はどういう発想だったのでしょう。
駒林氏:ゲーム自体が架空の世界なので、少しでもプレイヤーが身近に感じられるよう、知らない惑星とかではなく、知っている国にしました。ファミコンが現役だった頃は1本のゲームをずっと遊び続ける時代でしたけど、今はゲームを買うお金があったとしても遊ぶ時間がない時代じゃないですか。買った写真を撮ってSNSに投稿して積んじゃうみたいなことも少なくないので、手に取っていただいた方ができる限り興味を持ってくれて、遊ぶことに対するモチベーションが上がる内容を常に意識しました。その結果の一つとして、身近な5つの国をステージに選んだんです。あとはステージクリアごとにギャル二人のビジュアルも出ますしね。
じぇみに氏:国と言いつつ、都市だけどね。
駒林氏:そうですね。グッズのクリアファイルにイラストを描いていただいた、はるはた氏の師匠である、漫画家の井上淳哉先生に開発中のゲームを見せる機会があって、そのときに「これは国じゃなくて都市のほうがいいんじゃないか」って言われたんです。それを共有したら、確かににその方がいいって話になったので変えました(笑)。
藤島氏:日本が京都なのが面白いよね。普通は東京とかにするのに。
駒林氏:京都にしたのはわかりやすい和のテイストを入れたかったからです。海外ユーザーのウケなんかも考えて。あと東京って、他のシューティングでも使われているじゃないですか。「スクランブルフォーメーション」とか「アクウギャレット」とか。
じぇみに氏:ちゃんと漢字も出るしね(笑)。
駒林氏:京都ステージ前半は和のテイストは多いと思いますよ。
――タイトルの「超翼戦騎エスティーク」にはどんな由来があるんでしょう。
駒林氏:格好いいと思うロボットの名前は何だろう、と思いついた結果頭に浮かんだ7文字の英単語が「E・S・T・I・Q・U・E」だったんです。文字にも意味があって「Eastern=東方」、「Super=超」、「Technological=技術」、「Invincible=無敵」、「Quick actionable=高機動」、「Uultimate=究極」、「Equipment=装備」で、「東方超技術無敵高機動究極装備」となります。確かタイトーの「メタルブラック」にも同じような設定があって、それと同じ感じです(笑)。
じぇみに氏:でも意味はもう一つあるよね?(笑)
駒林氏:ありますけど、そこはあえて伏せておきます。発表からここまでの過程を見てきた人ならすぐにわかると思いますので、まあご想像にお任せします(笑)。
――「超翼戦騎」のほうは?
駒林氏:そちらは’80年代のロボットアニメを意識したものです。使えそうな単語をざっと洗って、そこからゲーム内容に合わせた文字を拾いつつ、字面のバランスなんかも意識した名前です。英語だと「Changeable Guardian」なんですけどね(笑)。こっちは細かい話ですが、コンパイルのMSXタイトルの文字並びのパロディでもあったります。
――ちょっとマニアックすぎて難しいですね(笑)。
開発者が迂闊に歯ごたえのあるものを作ろうとすると、手に負えない難しさになってしまう恐れがあるので、自身の基準より少し易しいものを目指した
――今回デザイナーの小玉さんとYAMATANさんにはコメントをいただきました。
各面のボスはそのステージの元になる国ごとの特色を踏まえてデザインしています。あまりリアルになりすぎないよう、エンタメ寄りに振った派手なデザインを心掛けました。その後、実際にゲーム画面に表示されたものを改めて調整しています。
小玉さんの元デザインをファミコンで表示するにあたり、なるべく劣化しないよう試行錯誤しました。開発終盤で一部切り詰めることになりましたが、それでも潤沢な容量が大きな助けになりました。
また、弾や敵が見にくくならないように気を配りました。例えば1面は、敵の攻撃が激しくない序盤のみ背景にネオンをたくさん配置して賑やかにして、攻撃が激しくなる中盤以降はは視認性を良くするために、大きなビルやネオンはあまり出さないようにしています。3面は他の面と比べて背景が明るく、他の面と同じ自機の色だと視認性が悪くなったので色をわずかに変えています。
また、1面から5面までの時間帯を夜→朝→昼→夕方→夜という順番にして時間の経過を表現しました。ファミコン実機は発色数が少なく、様々な色がはっきり見える昼よりも暗い夜のほうが綺麗な画面が作りやすいので、昼の面は少なくしています。
――デザイン担当のお二人とは、具体的にどのような仕事をされたのでしょうか。
駒林氏:小玉さんとは「こんな感じのゲームを作っているので、キャラクターやざっくりとした世界観を作ってくれませんか」、みたいな雑談レベルの相談をしたことをきっかけに、正式に依頼をして絵を描いてもらいました。
――発注時はどんなオーダーをされたんですか?
駒林氏:都市のステージが5つあって、変形ロボットが出てきて、そこに宇宙人が攻めてきて、女の子が主人公で……、みたいな簡単な概要だけを伝えて、後はお任せでいい感じに膨らませてください、ぐらいの感覚でしたね。
――比較的簡単なオーダーなのに、ここまで作り込んでくれたんですね。
駒林氏:おかげさまで、ゲームとして必要な世界観をしっかり作っていただくことができました。
――一方のYAMATANさんはデザイナーの方なんですか?
駒林氏:YAMATANさんは私の個人的な友達のフリーのデザイナーで、BEEPの雑誌やM2の作業で色々と仕事をしていただいたんです。M2時代に「戦刃アレスタ」のメイングラフィックなどを担当してもらったこともあり、本作ではゲーム中のドット絵の全てを描いていただきました。
藤島氏:開発で時間がかかるのは画を描くことなので、今回に関してはプログラムに徹することができたじぇみにさんの作業量的な負担が少なくて、上手い具合にかみ合っていたようには見えましたね。
――開発で苦労されたところはありますか?
駒林氏:じぇみにさん以外のプログラム関連を担当されている方に、プログラムがわかっていない私が中継しなければならなかったゆえ、無駄な作業が出てしまったことが申し訳なかったことですかね。
あとはどこまでシューティングのビギナーに歩み寄るかという部分での、ゲーム全体のバランス調整は苦労しましたね。その範囲が見極められなくて、どこまで初心者に寄り添うのか、あるいはもっと歯ごたえがあったほうがいいとか、さじ加減がわからず開発の皆さんを振り回してしまいました。
――当時は作っていると、どんどん難しくなってしまうという傾向があったそうですが、そういうことはなかったですか?
駒林氏:そこは意識していました。自分の中でこのぐらいという難易度のバランス感覚は頭にあって、そこは超えないようにしました。実は特定の場所に安全地帯が見つかったりしたんですけど、それもあえて潰さずに残しています。
あとは秋葉原Heyさんでのフィールドテストを2回やっているので、そこでお客さんが初見でどの程度進められるのかデータが取れたので、それを参考に最終調整をしています。
――フィールドテストの結果はどんな感じだったんですか?
駒林氏:テストの2回目で、難易度ノーマル設定で3割ぐらいのお客さんが初見でゲームクリアできていた印象でした。この数値は想定内だったので、最低限のラインが見えて、あとはルールがわからなくても2面ぐらいまでは行けるだろうとか、ルールがわかると4面ぐらいまでで終わるとか、シューティング慣れしていればラスボスまで倒せて、みたいな感じで段階的なラインを設けていて、それがほぼ予想通りだったので、この難易度で大丈夫だろうと確信したんです。
じぇみに氏:私自身もシューティングが上手いわけではなくて、自分がプレイできる程度の難しさで作るということをまず第一に考えていたんですが、当時いくつかゲームを作った結果、“作者は毎日試遊して慣れるから上手くなるんだ”ってことに気づいたんです。そんな作者が歯ごたえのあるゲームにしようなどと考えたことで、一般ユーザーが投げてしまうほどの難易度になってしまった結果を思い知っていたので、自分がちょっと食いたりない程度の難易度を基準値としたんです。
それでも今回は私でも難しいなと感じるところもあったんですが、先ほどのテストの結果で駒林さんが「こんなものでしょう」と確信できたそうなので、そのまま進めることにしました。ここから上の難易度を作ることも最初から決めていて、デフォルトの「NORMAL」で満足できない人は上の「HARD」や「GOD OF GAME」に挑戦してみてください。最高難易度の「GOD OF GAME」も駒林さんはクリアできていたので、人でもクリアできるところに設定できたのではないかと思います。
駒林氏:さすが制作者がクリアできないのは体裁が悪いですからね(笑)。
――難易度の違いはどう設定しているんですか?
じぇみに氏:上の難易度は敵が撃ってくる弾が少し速くなります。それと一部の敵の耐久力が上がります。敵のパラメータに調整を入れて、敵が全般的に押してくるようになります。このゲームって敵単体よりは複合して強いバランスなので、それがちょっとずつ押してくることで、それまでは何とかなったものが、何とかならなくなって難しくなるという定義です。
駒林氏:あとはスーパーウェポンの初期数が違っていたり、「GOD OF GAME」では被ダメージが2倍になったりする設定もあります。全難易度共通のシステムとして、ダメージをくらってシールドが0になってもミスにならずに耐えるというルールがあるので、そこを理解すると高難易度でもだいぶ進めやすくなると思います。
――そのあたりはちゃんと現代のゲームデザインとして考えられているんですね。
駒林氏:買う人全員が上手かったり、当時みたいにクリアするまでプレイする根気があったりするわけではないですからね。
じぇみに氏:実機とブラウン管でプレイすれば1フレームの遅延もないので、環境を作って遊ぶと有利になれるかもしれません。とはいえ現在の互換機や液晶モニターの環境でプレイしてもそこまでシビアではないですけど。そこまでシビアなゲームは私も嫌ですし(笑)。
――そういう意味でじぇみにさんの好みや意向は多分に反映されているわけですね。
じぇみに氏:そこはそうかもしれないですね。もちろん最終的に駒林さんの意向は反映させてますけど。
駒林氏:先ほども話した通り、とにかく“自分で遊んでイラッとしないゲーム”というところにはこだわりました。
じぇみに氏:そうだね。ミスをしたときも「なんだこの攻撃は!」と思うよりは、「そうか、そうきたか!」と納得できるミスをしたほうが、プレイのモチベーションが続きますから。