インタビュー

中澤佑二さんが「Football Manager 25」撮影会に登場! サッカー元日本代表の名手が、サッカーゲームと監督論を語ったインタビューをお届け!

【Football Manager 25】

2025年3月 配信予定

価格:PC版 7,990円(税込)

【Football Manager 25 Console】

2025年3月 配信予定

価格:PS5/Xbox 7,990円(税込)

【Football Manager 25 Touch】

2025年3月 配信予定

価格:Switch版 4,990円(税込)

【Football Manager 25 Mobile】

2025年3月 配信予定

価格:Netflix版 サブスク加入が必要

 セガは、サッカー経営シミュレーションゲームのシリーズ最新作「Football Manager 25」撮影会を、12月8日に日産スタジアム(神奈川県横浜市)で開催した。

 本作はプレイステーション 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch/PC(Steam/Epic/Windows)/Mac/Netflixの各プラットフォームで2025年3月に配信予定のサッカー経営シミュレーションゲーム。イギリスのSports Interactiveが開発した、サッカー経営シミュレーションゲームのシリーズ最新作。プレイヤーはサッカークラブの監督となり、世界中の実名で登場する有名クラブから地域のセミプロまで、あらゆるクラブ率いることができる。シリーズ当初は日本語に対応していなかったが、2023年に発売した「Football Manager 2024」から日本語にも対応している。

 撮影会のゲストとして登場したのは、日産スタジアムをホームグラウンドとする横浜F・マリノスのOBで、サッカー日本代表としても長らく活躍した中澤佑二さん。当日はJ1リーグ最終節、横浜F・マリノスVS名古屋グランパスの試合当日ということもあり、特設ブースには多くのF・マリノスサポーター、および中澤さんのファンが駆け付けていた。

 撮影会では、中澤佑二さんへインタビューも行なえた。本稿ではインタビューの様子をお届けする。

サッカー元日本代表の中澤佑二さん
スタジアム横の特設会場で、抽選で選ばれた20組のファンとの記念撮影とサインに応じる中澤さん
記念撮影の終了後も、中澤さんは会場を取り囲んだ多くのファンと気さくに接していた

中澤佑二さんインタビュー:「『Football Manager』を遊べば絶対に勉強になる」

――本日はよろしくお願いいたします。まずは先ほど、ファンの方々と交流されたご感想などをいただけますでしょうか。

中澤さん:疲れました……いや嘘です、楽しかったですね(笑)。引退してから、6年ぶりぐらいでファンの方と触れ合ったっていうこともありますし、そもそも現役の頃はファンサービスをしなかったほうなので。プロでは20年間やりましたが、今日だけで20年分ぐらいの話をしましたね。本当にコアな、以前から僕のことを好きな方が来てくれて「引退してからも、変わらずに応援してくれてるんだな」って嬉しくなりました。

――「Football Manager 25」は、プレイヤーが全権監督となってチームを導くゲームです。中澤さんがもし監督になった場合は、どんなチームを作りますか?

中澤さん:いろいろな考え方があるとは思いますが、僕の場合は「今いる人材で作る」タイプかな? 「理想がこうだから、それに選手を当てはめる」というよりは「今ある素材で、どういうサッカーをしようかな?」と考える監督になるでしょうね。理想はもちろんあるのですが、現状の自分たちの戦力で、どういう戦い方をすれば選手たちにとって良いのか、選手たちを集めたときに、どうすれば1+1が2や3になるのか、と考えると思います。

――中澤さんがサッカーを始めてから引退するまでの間に、多くの監督と出会ったと思います。その中でも、特に印象に残っている監督は誰でしょう?

中澤さん:ヴェルディ時代も含めて、どの監督もそれぞれ個性がありましたね。インパクトが一番すごかったのは、間違いなくトルシエ監督でした。あんなにメディアに対して、露骨にアピールできる監督は日本にはいなかったですし、選手にもあれだけアピールをした監督は初めてだったので、今思うと面白かったですね。当時はまだ若かったのでムカついてましたけど(笑)、今となってはこういうやり方もアリだと思います。

――サッカーゲーム全般に対して、選手の皆さんはどういう印象を持っているのでしょうか?

中澤さん:例えば(中村)俊輔みたいなサッカー好きは、おそらく実際の試合のことを考えながらゲームをするタイプですね。対戦相手のフォーメーションも、自分たちのシステムも入れて試合をしたら、どういう場面でミスマッチが生まれるのか、どこにギャップが生まれるのか、みたいなことをやるのが俊輔のようなタイプでしょう。

 純粋にサッカーが楽しくて、自分はディフェンスだけどフォワードにして、得点をたくさん取りたいタイプの選手もいるでしょうね。それからストレス発散のために遊ぶとか、好きな選手を使いたいとか、自分の理想のチームを作りたいとか、人それぞれの遊び方をしていると思います。

――自身の経験を生かすのか、それとも自分ができなかったことにチャレンジするのか、選手によって分かれるのでしょうか?

中澤さん:今の11人全員を動かすゲームであれば、自分の経験やサッカー観を生かせますが、そうではないゲームの場合は、熱くなって自分で点を取りたいなと考えると思います。あるいは「今のサッカーは両ウィングが張っているから、実際に張らせてみるか」とか「昔に戻って、オーソドックスな4-4-2にしたらどうなるかな?」とか、過去の経験を元にして試すこともあるかもしれませんね。

――中澤さんご自身は、どうやって遊んでいますか?

中澤さん:点をどんどん取ろうと思っていますね。僕はセンターバックでしたが、昔の自分が出てくるゲームではセンターフォワードで使っていました。足が遅くて、ドリブルもほとんどできない、もうヘディングしかできないので(苦笑)、とにかくクロスを上げて点を取らせていました。

――中澤さんは「Football Manager」シリーズを実際にやり込んだことがありますか? ほかにも、もし一緒に遊んでいた元チームメイトや監督、コーチなどがいたらぜひ教えて下さい。

中澤さん:以前に栗原(勇蔵)と一緒に遊びましたが、難しいですよね……。今までのゲームとは違って、監督目線でのチームマネジメントとして、見なければいけないポイントも、やらなければいけないこともたくさんあって、試合を始めまでの時間がすごく掛かりますよね? 実際のチームを率いるのと同じぐらいリアリティがあるのではないかと思いますので、いざ遊んでみたらすごくのめり込むし、面白いゲームだと思います。

 シーズンを通して遊ぶと、途中でいろいろなことが起きるので、本当に奥が深いゲームですね。やればやった分だけ、いろいろなことにどんどん気付けるゲームだと思います。「こうやってシュートして点を取りたい、俺はフォワードなんだ!」みたいな考えではなくて、本当にチームのことを考えられる人に向いているのではないでしょうか。

――中澤さんがプレイするときは、当然F・マリノスを使いますよね?

中澤さん:いいえ、使わないです……ウソウソ、もちろん使いますよ(笑)。

――では、今作の「Football Manager 25」では、ご自身がプロデビューした東京ヴェルディを使われてはいかがですか?

中澤さん:昔みたいに(先輩の)カズさんとか、ラモスさんとかが使えたらいいなと思います。でも、たいへんかもしれませんね(苦笑)……。

 今後、実際に社会人のサッカーチームを立ち上げようと考えている人は、参考になるところがたくさんあるので、絶対に「Football Manager」を遊んだほうがいいと思いますよ。今はまだ6部とかでも、将来はJリーグを目指しているチームがたくさんあると思いますが、監督だけではなくて選手も、上の立場にいる人のことがわかったほうが勉強になりますよね。

――「Football Manager」を参考にして、次のシーズンをどうするかなどと考えている選手やスカウトがヨーロッパにいると聞いたことがあります。

中澤さん:リアルのクラブ経営とまったく一緒なんですよ。例えばスカウトですと、南米とかヨーロッパリーグに強いみたいな特徴がありますし、こういったものを含めてすべて勉強になりますよね。ゲームではあるのですが、サッカーを勉強するためのコンテンツとして、学校の授業で使ってもいいのではないでしょうか。週末とか、月に1回とかでみんなで対戦して「どういうチームを作りました?」って、みんなでデータを持ち寄ったらサッカー熱が上がりますし、発表の場としても面白いですよね。

 サッカーがわからない子供でも、ゲームであればあの手この手で考えながら遊びますから、授業に落とし込むと面白いと思いますし、授業に行きたい子も絶対に増えるでしょう。ゲームだけどもゲームじゃない、「スカウトはどうする?」とか、本当によく考えなければいけないので、そこで「監督は誰にする?」とか「この選手はいらないよね」とか、ディスカッションが生まれますよね。

 今はiPadが使える時代ですし、セガさんが文部科学省に行って「これを授業で使ってみてはどうですか?」ってぜひ頼んでいただけませんか? これがきっかけで、サッカーの指導者を目指す子もきっと出てくると思うので面白いと思いますよ。

――中澤さんは、今後指導者として何か達成したい野望みたいなものはありますか?

中澤さん:今はラクロスのほうを見ているのですが(※)、ラクロスはまだまだアマチュアなので、そのアマチュア感を何とかしたいなあと。日本一を決める大会の決勝戦、サッカーで言えば天皇杯みたいな試合でも、お客さんは全然入らなかったり、代表の選手たちでもお金が入ってこないから自費で(遠征に)行ったりしますので、そこをどうにかしたい野望はありますね。サッカーは、それこそ放っておいても皆さん集まってくれますし、いろいろなことを考えてくれる人もたくさんいますが、ラクロスは考える人も選手も少ないですし、子供の数が減って競技人口もどんどん減っていて、サッカーや野球に比べると、コロナの影響もあって減る割合がラクロスのほうが極端に大きいんです。

 もちろん、僕はサッカーが嫌いになったわけではありませんよ。ただ、今はラクロスのほうに、自分の培ってきたいろいろな経験ですとか、今こうしてメディアの前でしゃべったうえで記事にしてもらったりとか、何かできないかなという思いはずっと持っています。

※筆者注:中澤さんはラクロスのコーチングライセンスを持っており、横浜国立大学女子ラクロス部のコーチを務めている。

――マネジメントという意味で、サッカーの経験がラクロスにも通じる部分があると感じることがありますか?

中澤さん:僕はサッカーを20年間やってきましたが、サッカーも元々はアマチュアでしたし、武田(修宏)さんとかに「アマチュアの頃と比べて、プロになってからはこう変わった」と、当時のお話を聞いたりすると、参考になることが多いですね。聞いたお話を参考にして、ラクロスの強化にもぜひつなげたいなあと。バスケットボールだってラグビーだってバレーボールだって、今までアマチュアだの企業スポーツだのと言われていたのに、頑張った結果プロリーグやクラブチームができたわけですし。

 急にはうまくいかないと思いますが、まずはラクロスの企業チームを増やしたいです。6チームぐらいでいいから、企業さんがラクロスチームを持ってくれたらいいですね。お金が掛かるのでたいへんなのですが、もし興味を持っていただける企業さんがいらっしゃいましたら、僕はいくらでも走り回りますよ! ぜひセガさんもいかがですか(笑)? もちろん、サッカーゲームも好きなのですが、今はちょっと遊べていないですね……。

会場に駆け付けた、教え子のラクロス選手たちと記念撮影をする中澤さん

――過去の「Football Manager」シリーズに登場した選手たちの能力値は、性格まで細かく設定されていると思いますが、中澤さんの中で、特に個性の強い外国人選手を挙げると誰になりますか?

中澤さん:ドゥトラですね。ドゥトラは、最初はハンバーガーばかり食べていたのですが、それをやめて食事をしっかり取るようになったらパフォーマンスが上がりました。やっぱり、食生活は大事だなあって。「40歳まで頑張れたのは、ドゥトラの存在が大きい」と俊輔も言っていました。40歳になっても、ドゥトラがサイドバックですごく走り回れたのは、それだけ練習で頑張り、食事にも気を使ったからでしょう。ベテラン選手のそういう姿を、若手は自然と見てるのかなと思いますし、僕にとってもすごく大きな存在でした。

 外国人選手は「助っ人」ですから、結果さえ残していればまず文句は言われないのですが、今のJリーグでは「それだけ」ではダメなんですよ。ただ点を取るだけではなくて、それにラスしてハードワークや献身性も今のJリーグでは求められるので、能力の高さに加えてハードワークも揃ってないと、多分Jリーグではサブになってしまう。前半は日本人で固めて、後半15分で外国人を使うっていうパターンになると思いますね。能力は高くても、1人サボるだけで破綻しちゃうのが、今のJリーグなんです。ただ、リーグが変われば、また別の話だとは思いますね。

――ありがとうございました。