インタビュー

UBIのゲーム版「アバター」では“レイトレーシング音響技術”を採用

臨場感と細部にこだわり惑星「パンドラ」の世界を構築

【アバター:フロンティア・オブ・パンドラ】

12月7日 発売予定

価格:9,780円

 ユービーアイソフトのアクションアドベンチャー「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」では、「レイトレーシングオーディオシステム」が採用されている。本作を開発するMassive EntertainmentのAssociate Game Director、Drew Rechner氏が弊誌のインタビューに応えてくれた。

 「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」は、映画「アバター」の世界をベースに、惑星「パンドラ」の世界を冒険する一人称視点のプレイステーション 5/Xbox Series X|S/Xbox One/PC用アクションアドベンチャー。「レイトレーシングオーディオシステム」では、光の反射をシミュレーションするレイトレーシング技術を音響に用いることで、高い臨場感を実現しているという。

Massive Entertainment Associate Game DirectorのDrew Rechner氏
【「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」 – 公式ゲーム概要トレーラー | Ubisoft Forward】

 Rechner氏によれば、「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」で最も注力したのは「細部へのこだわり」だという。Lightstormが作り出した映画「アバター」は精巧で細部にまでこだわった世界が表現されており、本作の制作にあたっても同様にどこまでこだわれるかが大きなミッションとなっていた。

 そのため森を構築するにあたっても、周囲から様々な野生動物の声が聞こえたり、トカゲや昆虫といった生物がいたり、細部にこそこだわっているのだという。そのこだわりのひとつが「レイトレーシングオーディオシステム」であり、3D空間でひとつひとつのものが音を発することで、より精密で臨場感のある空間を感じられるのだとした。

 以下では、インタビューの全文をお届けする。なお質問は合わせて開催されたプレビュー版の体験を踏まえたものとなっている。そちらのレポートと合わせて、ぜひご覧いただきたい。

自然は細部の細部までこだわって表現しているという

どこを見ても映画のコンセプトを崩さないゲームを目指す

――「アバター」という世界的に有名なIPのゲーム化ということで、苦労された点も多いと思います。本作では、プレイヤーにどんな体験をしてもらいたいと思い開発が行われましたか?

Rechner氏:私たちがプレイヤーの皆さんに真に味わってほしかったのは、まるでパンドラにいるかのような感覚です。パンドラの西部辺境を舞台にした独立型のストーリーを描くにあたり、映画「アバター」のファンにとって馴染み深いだけでなく、映画の設定に忠実な新しい体験をお届けしたいと考えました。

 鬱蒼と生い茂る熱帯の森「キングラー・フォレスト」では、映画と同じようなテーマを想起させるお馴染みの設定を目にすることになりますが、突風が吹き荒れる広大で視界が開けた「アッパープレーンズ」や、苔と霧に覆われ、どこか神秘的な雰囲気の温帯林である「クラウドフォレスト」など、まったく新しいエリアも用意しました。これらのエリアは、オリジナルの設定に忠実でありながら、まったく新しい体験のように感じられるはずです。

――ゲームをプレイする前に映画を見直しておいたのですが、まるで映像作品で見た世界に自分が本当に入り込んだかのような気分を味わうことができました。この世界を作りあげていく上で、特にこだわった部分があれば教えていただけますか?

Rechner氏:「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」の制作にあたり、私たちが最も注力したことのひとつが細部へのこだわりでした。私たちが今作で綿密に連携を図ったLightstorm社は、映画「アバター」を手掛けた会社です。

 同社は、まるで本当に存在するかのような、探検したくなる精巧で細部にまでこだわった世界を生み出すことで知られています。「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」の制作において、細部にまで細心の注意を払うことが私たちの大きなミッションのひとつであり、例えば森の中で立ち止まれば、周囲に存在するさまざまな野生動物の声が聞こえたり、虫やトカゲのような生き物が木の皮を這う姿が見えたりします。

 あるいは地面に目をやれば、そこにもさまざまな昆虫がいたりします。また、レイトレーシングオーディオシステムを採用しているので、ゲーム内の一つ一つが3D空間で実際に音を発し、目だけではなく、耳でもその臨場感を味わうことができます。こうした細部へのこだわりは、「アバター」ファンにもご満足いただけるはずです。

――映像やアクションも印象的でしたが、プレイヤーの気分を盛り上げてくれるBGMもそのシーンにピッタリなものが流れており、こちらも感心させられました。本作ではどれぐらいの楽曲数が用意されているのでしょうか?

Rechner氏:私たちは「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」のために新しいオーケストラ曲を制作しました。こうした楽曲は、私たちが伝えようとするストーリー体験にぴったりな雰囲気となっています。バンシーを手に入れたときの高揚感から、予測不可能な展開やナヴィであることの意味を見いだすストーリーの重々しい感じまで、すべてのシーンで気分を盛り上げてくれます。

――当初の予定より発売が延期されましたが、何があったのでしょうか?

Rechner氏:「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」の制作にあたり、私たちは映画「アバター」を手掛けるLightstorm社とコラボレートする素晴らしい機会に恵まれました。これにより、映画製作者としての同社の豊富な経験を活かすことができています。しかし、あくまで私たちが作るのはビデオゲームなので、ゲームプレイのニーズを満たし、かつ「アバター」の世界に合うコンセプトを用意する必要があります。

 私たちはどこを見ても映画のコンセプトを崩さないゲームを目指すため、こうしたゲームプレイ要素においても、「アバター」の世界にうまく溶け込むようなものに時間をかけて仕上げることが大切でした。

――植物を利用した移動のアクションなど、ギミックの配置も心地よく、自然に感じました。本作では、リフトツタ、人魚の尾、ゲートウェイリリー以外にも、どんなギミックが用意されていますか?

Rechner氏:あまりネタバレはしたくありませんが、ゲーム内には私たちが「動物系植物」と呼ぶ様々な植物が登場し、プレイヤーはそれらを利用することができます。製作の材料や食事の材料を収穫するだけでなく、移動にも使うことが可能です。プレイヤーに、身長3メートルでとても素早く俊敏な身のこなしのナヴィになったかのように感じてもらうには、パンドラ独自のものを使って各地を飛び回ったり、木の高い枝まで跳ね上がったりしてもらうことが欠かせませんでした。

――開発側から見て、特にイチオシのポイントがあれば教えてください。

Rechner氏:「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」を特別な作品たらしめる理由のひとつに、「アバター」の世界観に忠実であることが挙げられます。ゲームプレイでそれを実現するために、私たちは量よりも質に重きを置きました。これは製作システムや料理システムにも反映されており、ゲーム内でプレイヤーが大量の資源を集めることを求められることはありません。代わりに、その資源の中から最上のものを手に入れ、そうした資源で最上のアイテムを生み出すことに集中することになります。

 例えば、植物の生育条件に気を配ったり、時間帯や天候に気を配ったりする必要があるわけです。実際にどのように収穫するか、どれだけ注意深く行うかも重要です。それらすべてが食材の総合的な効果に寄与し、結果として、より良いアイテムや料理を作ることができるようになります。

――最後に本作の発売を楽しみにしているファンに向けて、メッセージをお願いします!

Rechner氏:12月7日に「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」をぜひプレイしてください!