インタビュー
「FINAL FANTASY VII EVER CRISIS」開発者インタビュー
野村哲也氏がシリーズ全体収録の“無茶振り”を回想。より「FFVII」に近いリメイク作に
2023年9月7日 18:04
- 【FINAL FANTASY VII EVER CRISIS】
- 9月7日 配信予定
- 料金:基本プレイ無料(アイテム課金制)
スマートフォン向けにリリースされる「FINAL FANTASY VII EVER CRISIS」は、RPG「ファイナルファンタジーVII」や「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-」を収録した、完全新作のタイトルだ。事前登録者数150万人を突破し、注目を集めている本作が遂に本日9月7日にリリースとなった。
そこで本稿では、リリース直前に行なわれた「FINAL FANTASY VII EVER CRISIS」プロデューサーの市川翔一氏、ディレクターの鳥山 求氏、さらにクリエイティブ・ディレクターを務める野村哲也氏へのオンラインインタビューの模様をお届け。「FFVII」シリーズを網羅する本作の制作の裏側や意気込み、今後のアップデート予定なども訊くことができたので紹介していく。
なお、本誌では6月に行なわれたメディア向けクローズドベータテストのインプレッションも掲載している。こちらもぜひ参考にして欲しい。
野村氏の“無茶振り”でシリーズ全作収録に。よりオリジナルに近いリメイクの「FFVII EC」
――本日はよろしくお願いします。まずは、開発者の皆さんから「FINAL FANTASY VII EVER CRISIS(FFVII EC)」の特徴や魅力を教えてください。
市川氏: 私からは全体観として、原作である「ファイナルファンタジーVII」シリーズのシナリオや、キャラクターをしっかり作り直すことを目指しました。グラフィックスだけではなく、キャラクターの所作だったり、ストーリーの端々で感じられる雰囲気などを、“今のクオリティ”の「ファイナルファンタジーVII」として、再現しているところに注目いただければと思います。
鳥山氏: 私からはバトルに関してお話しさせていただきます。コンソールでリリースされている「ファイナルファンタジーVII リメイク」はアクション性(アクティブタイムバトル、以下「ATB」)を進化させたタイトルになっていますが、「FFVII EC」ではコマンドバトルのような戦略性を進化させたものになっています。これにガチャで手に入る武器が組み合わさることで、攻略しがいのあるバトルコンテンツになっています。
――「FFVII EC」には“リメイクのもう一つの可能性”というキャッチコピーがありますが、「ファイナルファンタジーVII リメイク」とは異なるポイントやこだわりを教えてください。
野村氏: 「ファイナルファンタジーVII リメイク」が発売された時に、やはりオリジナルに近い「ファイナルファンタジーVII」のリメイクを求めているファンの方がいらっしゃいました。そういった意味では、オリジナルにより近い形のリメイクを目指したのが「FFVII EC」になっています。
鳥山氏: 例えば、イベントシーンではキャラクターを原作の「ファイナルファンタジーVII」に近い頭身で再現して、それを現代のグラフィックスへ寄せたものとなっています。また、現在のスマホは当時のゲーム機よりも高性能ですので、モーション表現などでキャラクターの繊細な動きなどを表現できるようになりました。
また、昨今のスマートフォン用RPGはキャラの感情を顔グラフィックスで表現するケースもありますが、「FFVII EC」の場合はポリゴン風キャラクターの演技に注目してもらえると、そのキャラの感情がわかるようにして、どこか懐かしいなかにも「FFVII」原作の“リメイクのもう一つの可能性”としての新しい表現となるようにしています。
――私も「FFVII EC」のクローズドベータテストに参加させていただきましたが、シーンごとのグラフィックスの美しさに心を惹かれました。これらをスマートフォンで実装する上での苦労などはありましたか?
市川氏: ムービーシーンは容量との戦いで、より多くのシーンを収めるためにどう最適化するかという技術的なものはありました。一方イベントシーンでは、過去作の空気感を再現するためにどう工夫するかが課題になりましたね。
鳥山氏: 面白いなと思ったのは「ファイナルファンタジーVII」のムービーシーンって、実は結構頭身がバラバラで(笑)……。CBTのプレイ範囲ではあまり入っていなかったですが、リリース版ではポリゴンキャラクターをそのまま使ったムービーシーンもあるので、そういったところでも懐かしさを感じられる方もいらっしゃると思います。
――「FFVII EC」は「ファイナルファンタジーVII」のみならず、「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-」や完全新規の「FINAL FANTASY VII THE FIRST SOLDIER」など、1本で様々な「FFVII」シリーズのストーリーをプレイできるタイトルとなっています。どういったアイデアから本作は生まれたのでしょうか?
野村氏: もともと初期提案の「FFVII EC」は、オリジナルの「ファイナルファンタジーVII」だけを収録予定でした。その予定で企画が私のところに来たのですが、それだと「ファイナルファンタジーVII」のストーリーで終わりになってしまって、今後の広がりも驚きもないと思ったのです。
そこで最初から「ファイナルファンタジーVII」シリーズ全体をプレイできたほうが面白いのではないかと思って、この辺りは私の“無茶振り”で決めたという感じです。
市川氏: そこから我々の戦いが始まったと思っています。でも、結果としては「THE FIRST SOLDIER」や「クライシス コア」もですが、「FFVII」シリーズのファンそれぞれが各タイトルに思い入れを持っていただいているので……。野村さんの“無茶振り”は辛かったですけど、すごくいい振りを頂戴したなと思っています(笑)。
野村氏: 個人的には、現状プレイ環境がない「ビフォア クライシス -ファイナルファンタジーVII-(BC FFVII)」の回収をしたい思いが強かったのも理由の一つです。
――CBTの段階では先ほど紹介した3作のみがプレイできていましたが、今後のアップデートでそのほかの「ファイナルファンタジーVII」シリーズが追加される予定はありますか?
市川氏: そうですね、やっていきたいですね。ただ、CBTではストーリーの一部分のみプレイ可能になっていましたが、リリース版では相当なボリュームのものを収録しています。ですので、現時点では3作のストーリーを楽しんでいただきつつ、頂いた質問や、さらにその先もどうなのかというところは、今後取り組んでいきたいと思います。
野村氏: 一応発表としては、最初のトレーラーで「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン(FFVII AC)」や前述の「BC FFVII」なども追加予定にはなっています。
鳥山氏: 現在実装されている「ファイナルファンタジーVII」や「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-」(CC FFVII)のメインストーリーのほかにもストーリークエストでは、キャラクターを深堀りするようなオリジナルストーリーが入っています。ほかにも今後配信されていくシーズナルイベントなどにも「FFVII EC」でしか体験できない新しいストーリーを用意しています。原作に基づく新しいコンテンツも含めて、しばらくは3作の物語をお楽しみいただきたいですね。
――先ほど、リリース版では相当なボリュームの物を収録すると仰っておりましたが、リリース時点で3作のストーリーは最後までプレイ可能でしょうか? それともアップデートで順次追加される予定ですか?
市川氏: メインストーリーについてはアップデートで順次実装される形になっています。ですが鳥山が申した通り、ストーリー本編のみならずキャラクターにフォーカスした「キャラクタークエスト」など「FFVII EC」ならではのコンテンツもありますので、実際のプレイ体感として相当量のストーリーが楽しめるタイトルになっています。
――完全新規の「FINAL FANTASY VII THE FIRST SOLDIER」について、2021年にリリースされたバトルロイヤルゲームと同名タイトルとなっていますが、こちらのストーリーを収録した理由というのは?
野村氏: そうですね……。基になったバトルロイヤルゲーム「FINAL FANTASY VII THE FIRST SOLDIER」でも、主人公のグレンなどは登場しています。なので元々用意していた設定なのですが、バトルロイヤルゲームの特性上、ゲーム内でストーリーを描くことがありませんでした。そこで同時期に開発されていて、「ファイナルファンタジーVII」シリーズを網羅する「FFVII EC」にストーリーを収録する流れになりました。
――「FFVII EC」によって、これまで「ファイナルファンタジーVII」をプレイしたことない方もスマートフォンでシリーズの世界観を体験できるようになりました。「FFVII」初心者の方にどういった部分を楽しんでいただきたいですか?
市川氏: まずは「FFVII EC」に収録されているメインストーリーたちを体験していただきたいですね。特に「ファイナルファンタジーVII」などのメインストーリーは一部をピックアップしており、クラウドやエアリス、セフィロス、物語の根幹となる“ジェノバ”などにフォーカスを置いた“いいとこ取り”になっています。なので、まずは「FFVII EC」で物語の全体の流れを体感していただいて、より深く体感したいという方は「ファイナルファンタジーVII リメイク」や「クライシス コア」などを手に取っていただけたらと思います。
ただ、もちろん本作単体で完結するよう制作しているので、「FFVII EC」で「ファイナルファンタジーVII」シリーズの世界に浸っていただけたら嬉しいです。
――最後に「ファイナルファンタジーVII」シリーズのファンや今作をプレイされる方に対して、メッセージをお願いします。
市川氏: 本日9月7日にリリースとなった「FINAL FANTASY VII EVER CRISIS」ですが、我々としては「ファイナルファンタジーVII」の世界観を作り上げるとともに、プレーヤーの方により楽しんでいただけるよう運営を徹底していきます。これからも様々なイベントを用意しておりますので、皆さんで「FFVII EC」を楽しんでいただけたらと思います。
鳥山氏: 私からは「ファイナルファンタジーVII」ファンの方にメッセージを……。「FFVII EC」では、クラウドやエアリス、ティファ、バレットなど「FFVII」のキャラクターと常に一緒に居られるような、共同生活をしているような体験をスマートフォンで楽しめる仕上がりになっています。さらに「ファイナルファンタジーVII リメイク」や、今冬発売予定の「ファイナルファンタジーVII リバース」に向けて、原作となる「FFVII」のストーリーを改めて確かめたり、“違いを楽しむ”という遊び方もできますので、ぜひプレイしてみてください。
野村氏: 「FFVII EC」は運営モノなので、今後もプレーヤーの皆さんの意見を伺いつつ、各章を遊びやすく調整したり、ストーリー自体をより楽しめるようにしていきます。また、キャラクターの魅力もより引き出せるように、“運営モノならではの良さ”を活かしてやっていこうと思ってますので、ぜひ「FINAL FANTASY VII EVER CRISIS」をよろしくお願いします。
――本日はありがとうございました。
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