インタビュー
「リネージュM」はいよいよ3周年!運営チームに話を聞いた
巨大連合による2極化が進行。他国とは異なる様相に運営チームも注目
2022年5月29日 12:00
エヌシージャパンがサービス中のAndroid/iOS⽤MMORPG「リネージュM」が、本日5月29日にサービス開始から3周年を迎えた。
これまで多数のアップデートが実装され、ゲームとしての⾯⽩さや深みは⼤きく増しておりどっぷりとハマっている読者の⽅も少なくないだろう。
そして3周年のタイミングでまた多数のキャンペーンやアップデートが⾏われている。そこで弊誌では「リネージュM」サービスチームリーダーの鈴⽊⼀⽒と、運営プロデューサーの川南巌⽒にインタビューを実施した。まずはこれまでの「リネージュM」を振り返ったあと、新職業やキャンペーンなどのアップデート情報、そして今後のロードマップまでじっくりとお話を聞くことができたのでお届けしよう。
「リネージュM」ならではのシステムから生まれた様々な遊び方
――まずは簡単に自己紹介をお願いします。
鈴木氏:「リネージュM」サービスチームリーダーの鈴⽊です。業務の内容は主に企画の制作や、サービスチームの指揮、その他監修や、本社との調整を⾏なっています。
川南氏:運営プロデューサーの川南です。⾊々とあるのですが鈴⽊と⼀緒に企画の仕事やサービスチームの指揮などを⾏なったり、他にも突発的な対応などが多いですね。
――3周年を迎えての今のお気持ちを教えてください。
川南氏:前に担当していたのがPC版の「リネージュ」というタイトルだったのですが、こちらが20年以上サービスしているタイトルなので、それに並ぶような⻑いサービスができればと思っています。ですので3年は⼀区切りだとは思うのですが、まだまだこれからというイメージでやっていきたいと思います。
鈴木氏:まずは「プレーヤーの皆さんに⼼より感謝しております」ということを伝えたいです。何よりここまでゲームが盛り上がってきたのは「リネージュM」をプレイしてくださったプレーヤーの皆さんのおかげですね。皆さんのお陰でここまで続けることができました。
3周年を記念するイベントは去年よりさらに気合を⼊れて準備しておりますので、プレイしてくださっている皆さんに去年より喜んでもらえることを期待しています。
――この3年間でゲーム内外で印象的な出来事があれば教えてください。
川南氏:神聖剣士と暗⿊騎⼠が同時に実装された「EP.3 DUAL FORCES」というアップデートですね。それ以前のアップデートは基本的には先⾏リリースされている韓国や台湾の順番に沿って実装されていました。他の国では神聖剣士と暗⿊騎⼠はそれぞれ別のアップデートで追加されたので、⽇本は同時に実装しようということで、光と影のような印象的なビジュアルイメージも含めて、うまくいったアップデートだったと思います。
鈴木氏:最近の出来事なのですが、1,000⽇記念の⽣放送の際に実施したゲーム内アトラクションの⼤失敗ですね。ゲーム内アトラクションを実施するにあたり、これまでの参加⼈数などを元に参加想定⼈数を予測して、それを元に企画しています。僕らも盛り上げて、プレーヤーの皆さんも盛り上がってくれたというのは良かったのですが、想定の3倍以上のプレーヤーの皆さんに参加していただいて、⽣放送中に画⾯がフリーズするという事態になりました。
イベントに全くならずに皆さんにお詫びする形で、全員に参加賞などを送らせていただくという、アトラクションにならない⼤惨事が起きたのが強く印象に残っています。⽣放送だったので脂汗が⽌まりませんでしたね。
3年記念の⽣放送も考えていて、今回もイベントをやろうと考えているのですが、想定以上のプレーヤーの皆さんが参加しても、前回のようにはならないようにイベントを企画するという形で進⾏しています。
川南氏:画⾯を表⽰していても動いてないし、当然参加していただいているプレーヤーの皆さんの画⾯も動いていません。敵を倒して参加賞をもらおう!みたいなイベントだったのですが、敵をターゲットもできない、攻撃もできないという状況で、あれは申し訳なかったですね。
――ゲーム内の勢力争いなどで印象的な出来事があれば教えてください。
鈴木氏:全体的な流れとして印象深いのが「サーバーの概念が変わった」ことでしょうか。
元々PCの「リネージュ」やMMORPGでは、同⼀のタイトルでもサーバーごとに⽂化が形成されたりとか、競争もサーバー内だけで起こることが一般的かと思います。ところが「リネージュM」はサーバーの垣根を越えた「インターサーバー」のコンテンツがあって、それはボスのドロップアイテムを奪い合うような利権争いだったり、去年実装された「ギラン城」という10個のサーバーの血盟が1つの城をかけて戦う攻城戦コンテンツがあるのですが、そういったインターサーバーの存在によって、サーバーの垣根を超えて同盟が結ばれるようになっていったんですね。
その上「リネージュM」ではサーバー移動キャンペーンが頻繁に実施されています。インターサーバーの情勢によって、サーバーのルールが180度変わってしまうようなことが起きているんですね。そういったサーバー移動が⾏われることで情勢が変わりすぎて、他のサーバーで起きてることは今までは対岸の⽕事みたいな感じだったのが、今度は⾃分達がプレイしているサーバーがその舞台になるだとか、他サーバーのことも気になるようなタイトルになった印象です。
⾔うならば⾃分がプレイする「⽣きていく世界」から、⾃分がプレイする「エリア」みたいな感覚に変わっちゃったという感じでしょうか。
川南氏:今まではローカルサーバーの中で⼤きい⾎盟や代表的な⾎盟が2,3個あるというような⽂化だったのですが、インターサーバーでサーバーの垣根を越えた連合みたいな派閥が形成されていったんですね。それが⼤体2つ、多くて3つに分かれるのが印象的ですね。⼤体そのくらいのパワーバランスに収束していくという感じに。
鈴木氏:2つ以外の選択肢を取れないんですよ。というのも2つの勢⼒が今は1:1で戦っているじゃないですか。それを1:0.5:0.5にすると、1の⽅が絶対勝つんですね。どうしても0.5同士が主義主張が違っても1を倒すために団結しないと勝てない。なので⼤体2勢⼒、⼀瞬3勢⼒になることもありますけど、すぐに2勢⼒になります。⼈数の差があるので。
――確かに私がサービス開始時に所属していた⾎盟もローカルサーバーで代表的な⾎盟だったのですが、サーバー移動で別のローカルサーバーから来た⾎盟に蹂躙された記憶があります。私がプレイしている範囲でも本当に⾊んなエピソードがありましたね。
当時は⾮常に熱くなって感情的になる出来事もたくさんありましたが、そうやって感情を揺さぶられるのが「リネージュM」というタイトルの魅⼒なんでしょうね。
鈴木氏:今は⾎盟という概念も変わってきていますからね。⾎盟っていうのは集団をまとめるための道具みたいな形になってしまっていて、⼊れ替わりがすごく激しいという印象です。サーバー移動のために血盟君主権限を持った⼈が⼀⼈で管理していて、他のサーバーから味⽅を受け⼊れるだけとか。上位の⾎盟はそのような運用になってしまっている部分も少なくないですね。
もちろんずっと同じサーバーでプレイされている⾎盟もありますが、大部分の上位⾎盟はそのような使い⽅になってますね。
川南氏:サーバー移動をよく使うような⽅は⾎盟ランクをイチから上げるのは現実的ではないので、⾎盟ランクが上位の箱みたいなのをキープしてあるんですね。そしてサーバー移動のタイミングで「何⼈移動するので」、という話を連合内部で行い、それを受け⼊れるという流れが、インターサーバー勢⼒内では出来上がっていますね。
※箱:プレーヤーを受け入れる「血盟」を指す。
鈴木氏:PVPとかしない⼤⼿⾎盟が、急にメンバーが変わってPK宣⾔したりとか、そういったことも起きたりしますね。
――インターサーバーがあるからこそ面白いし、PCの「リネージュ」と違った新しい遊ばれ方をしているのは本当に面白いですね。インターサーバーが導入されることで、ローカルサーバーの垣根を越えた勢力が生まれるのは開発/運営側の想定の範囲内なのでしょうか。
川南氏:サーバーの垣根を越えてある程度大きな勢力が生まれるであろうというのは想定の範囲内です。そこから先は想定されてないかもしれないですね。
鈴木氏:2勢⼒というのは韓国ではありえないと思います。韓国ではロールプレイする上で、仲間を裏切って、新しく別の勢⼒に⼊ったりなどが頻繁に行われているという話も聞くので。
川南氏:あまり大きな勢力で落ち着かないっぽいんですよね、勢力図が。意見があわないって別れていったりとか、大きな勢力にずっといると面白くないといって別の勢力を立ち上げたりとか。
日本はあまりそういう動きがないので、大きいところに固まっていって2勢力に固まるという結果になっています。同じサービスでも結果が異なっているので、そこはプレーヤー気質というか、そういうのが現れていると思います。
鈴木氏:想定外なのはあまりにも巨大な連合ができたことでしょうか。対抗するためには同規模の巨大な連合が必要になるので、その結果2勢力に分かれるという。
――勢力間で血盟単位の移動などは今でも起きているのでしょうか。
川南氏:半年に1回位は⼤きなトピックは起きますね。勢⼒の⼒関係の変化なども起こりました。あまり頻度が多いと、ゲームプレイじゃなくてずっと政治しないといけないですからね(笑)。
政治は「リネージュM」でも最近は⼤きな要素を占めてきてると思います。
とはいえまだ外交に特化したプレーヤーは出てきていないイメージです。キャラクタースペックや⽇頃の貢献度で発⾔⼒の⼤きさが形成されている時代かなと思います。⾃分のキャラクタースペックはそれほどでもないけど指揮采配がすごいみたいな⼈はいらっしゃるかもしれないのですが、僕はまだ知らないですね。
――他に印象深いエピソードはありますか?
鈴木氏:いつも苦労していますが、特に新職業とかクラスケアが絡むアップデートですね。他の国でアップデートされた内容がそのままローカライズされて送られてくるわけじゃないので、内容のチェックや確認が大変ですね。
例えば他国のクラスケアのタイミングで入ったコンテンツが日本では実装済みだったりとか。じゃあその代わりに何をあてがうのか、となって全く異なるコンテンツが導入されたりとか、クラスケアしているタイミングで武器や装備も実装するのですが、それが実装済みだったり未実装だったり……。こちらから指摘するとそれが仕様だったり、本当に抜けているだけだったり、チェックが大変ですね。
――その中でも特に大変だったアップデートはありますか?
川南氏:⼀番⼤変だったのは「銃⼠」ですかね。銃⼠はアップデートそのものより、サーバートラブルが⾮常に多くて、それが厳しかったですね。システム上のトラブルとハードウェア上のトラブルが併発してしまってシンプルに⼤変でした。「お家帰れない……」みたいな(笑)
鈴木氏:私が⼤変だったのは「Engage」というアップデートですね、⼩規模でクラスケアなどが絡まないアップデートですね。システム的なアップデートが多くて、データベースを変更するようなアップデートだったんですが、テストではうまく⾏っていたのに、本番ではトラブルが起きてしまいまして…。
変⾝システムに異常が起きてしまったりとか、アップデートしていないはずの部分の数字がおかしくなってしまったりとか、変⾝して攻撃しようとしても1歩ずつしか進まないというような現象が起きてしまって、臨時メンテナンスを複数回実施するなどプレーヤーの皆さんに迷惑をかけることになってしまったアップデートです。
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